論文要旨

>> 愛媛大学 - Ehime University
Title
シクロデキストリンを用いたコエンザイムQ_10のミセル
に関する研究( 学位論文要旨 )
Author(s)
上梶, 友記子
Citation
. vol., no., p.-
Issue Date
URL
2015-02-17
http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/4555
Rights
Note
受理:2015-01-21,審査終了:2015-02-17
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IYOKAN - Institutional Repository : the EHIME area http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/
(第3号様式)(Form No. 3)
学 位 論 文 要 旨
Dissertation Abstract
氏名:
Name
上梶 友記子
学位論文題目:
Title of Dissertation
シ ク ロ デ キ ス ト リ ン を 用 い た コ エ ン ザ イ ム Q10の ミ セ ル に
関する研究
学位論文要旨:
Dissertation Abstract
近年、食品や化粧品分野では飲料や美容液の透明化や、機能性成分の腸や皮膚
への吸収性促進を目的として、機能性成分をミセル化した製品開発が盛んに実施
さ れ て い る 。コ エ ン ザ イ ム Q 1 0 (CoQ 1 0 ) は ミ ト コ ン ド リ ア 内 の 電 子 伝 達 系 に お い て
エ ネ ル ギ ー 産 生 の 役 割 を 担 い 、 生 体 内 で は 酸 化 型 CoQ 1 0 か ら 還 元 型 CoQ 1 0 に 変 換 さ
れ 、強 力 な 抗 酸 化 作 用 を 有 す る こ と が 知 ら れ て い る 。体 内 組 織 中 の CoQ 1 0 量 は 加 齢
に 伴 っ て 減 少 す る た め 、CoQ 1 0 を 外 部 か ら 補 充 す る こ と で 生 理 機 能 の 向 上 が 期 待 さ
れ る 有 用 な 機 能 性 物 質 で あ る 。し か し 、CoQ 1 0 の 溶 解 性 や 吸 収 性 の 低 さ が 、使 用 す
る 時 の 大 き な 問 題 と さ れ て き た 。CoQ 1 0 の 水 へ の 難 溶 解 性 、皮 膚 や 腸 で の 低 吸 収 性
の 改 善 を 目 的 に 、学 位 申 請 者 ら は 、CoQ 1 0 の ミ セ ル を γ-シ ク ロ デ キ ス ト リ ン (γ-CD)
包 接 複 合 体 を 中 間 原 料 と し て 、グ リ チ ル リ チ ン 酸 ジ カ リ ウ ム (GZK 2 ) と CoQ 1 0 と の
ミセルを作製する手法を提案し、サプリメント、化粧品の製品化を進めてきた。
GZK 2 の 界 面 活 性 剤 と CoQ 1 0 /γ-CD包 接 複 合 体 の 併 用 に よ る CoQ 10 の 水 へ の 溶 解 性 改
善 は 、γ-CD空 洞 内 の CoQ 1 0 と GZK 2 の 置 換 反 応 が 起 き 、γ-CDか ら 解 離 し た CoQ 10 が 溶
液 中 に 存 在 す る GZK 2 の ミ セ ル に 取 り 込 ま れ て 溶 解 し た 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い た
が、詳細は明らかではなかった。
本 研 究 で は 、CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 を 経 由 し た GZK 2 に よ る CoQ 10 の ミ セ ル 形 成 機
構 を 明 ら か と す る こ と (第 2章 )、 こ の 作 製 ミ セ ル に よ る CoQ 1 0 の 皮 膚 吸 収 性 が 著 し
く 高 い こ と を 証 明 す る こ と (第 3章 )、 作 製 し た ミ セ ル の 酸 化 型 CoQ 10 が ア ス コ ル ビ
ン 酸 (ビ タ ミ ン C; VC) と 一 緒 に 添 加 す る こ と で 容 易 に 還 元 型 CoQ 1 0 が 得 ら れ る こ
と 、 そ の 還 元 機 構 を 明 ら か に す る こ と (第 4章 ) を 目 的 と し て 検 討 を 行 っ た 。
CoQ 1 0 /γ-CD 包 接 複 合 体 に 、 GZK 2 を 添 加 し た 際 の CoQ 10 /γ-CD 包 接 複 合 体 か ら の
CoQ 1 0 お よ び γ-CDの 溶 解 挙 動 や 作 製 水 溶 液 中 の CoQ 10 ミ セ ル の 形 成 機 構 に つ い て 検
討 し た 。 CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 へ の GZK 2 添 加 量 に 依 存 し て 、 CoQ 1 0 が GZK 2 と ミ セ
ル を 形 成 し 、 CoQ 10 の 水 へ の 溶 解 性 が 大 き く 上 昇 し た 。 こ れ は γ-CD空 洞 中 の CoQ 1 0
が 結 合 定 数 の 高 い GZK 2 と 置 換 し 、 次 い で 解 離 CoQ 10 と GZK 2 が ミ セ ル を 形 成 し 、
GZK 2 の ミ セ ル に CoQ 10 が 包 括 さ れ る と し た モ デ ル 式 を 提 案 し た 。提 案 モ デ ル の 反 応
機 構 よ り 、 CoQ 10 と GZK 2 と の ミ セ ル 形 成 に お け る 総 括 反 応 式 の 平 衡 定 数 は K =
0.68 (–) と な り 、 CoQ 10 と GZK 2 の ミ セ ル 形 成 反 応 の GZK 2 の 反 応 量 論 係 数 n は 1と 推
定 で き た 。CoQ 1 0 ミ セ ル の 平 均 径 は AFM観 察 、動 的 光 散 乱 法 に よ り 測 定 方 法 に よ っ
て 違 い が あ る も の の 、 お お よ そ 30~60 nmの 値 が 得 ら れ た 。
作 製 さ れ た CoQ 10 ミ セ ル の 機 能 性 評 価 と し て 、in vitro に よ る 皮 膚 吸 収 性 試 験 を 実
施 し た 。 試 験 に は ヒ ト 3次 元 培 養 表 皮 モ デ ル を 用 い て 、 表 皮 組 織 に 取 り 込 ま れ た
CoQ 1 0 量 を 評 価 し た 。CoQ 1 0 /γ-CD包 接 複 合 体 と GZK 2 の 組 み 合 わ せ に よ っ て 得 ら れ た
CoQ 1 0 ミ セ ル (CoQ 1 0 濃 度 : 0.1 w/v%) に お い て 、CoQ 10 の 皮 膚 吸 収 性 を 評 価 し た と こ
ろ 、 1ウ ェ ル あ た り 約 17 μgの CoQ 1 0 の 皮 膚 組 織 へ の 取 り 込 み が 確 認 さ れ た 。 内 因 性
の CoQ 10 量 は 僅 か 0.2 μg/ウ ェ ル で あ り 、他 の CoQ 10 製 剤 に 比 べ て も 非 常 に 高 い 値 で あ
(第3号様式)(Form No. 3)
っ た 。本 実 験 に よ り 、CoQ 1 0 /γ-CD包 接 複 合 体 を 経 由 し た GZK 2 に よ る CoQ 10 の ミ セ ル
形 成 が 、化 粧 品 素 材 と し て CoQ 10 の 皮 膚 吸 収 性 の 改 善 を 示 唆 す る in vitro で の 結 果 が
得られた。
GZK 2 と 同 様 に 胆 汁 酸 の 一 種 で あ る タ ウ ロ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム も γ-CD と の 相 互
作用が強く、界面活性能を有する化合物である。そこで、タウロコール酸ナトリ
ウ ム を 含 有 す る 模 擬 人 工 腸 液 を 用 い て 、 CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 か ら の CoQ 10 の 溶 出
挙 動 を 評 価 し た 。 ま た 、 CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 と 還 元 剤 と し て VCを 同 時 に 経 口 摂
取 し た 場 合 を 想 定 し 、 人 工 腸 液 中 に お け る VCに よ る 酸 化 型 CoQ 10 か ら 還 元 型 CoQ 10
へ の 変 換 速 度 を 検 討 し た 。 人 工 腸 液 へ の CoQ 10 の 溶 解 性 は CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 で
経 時 的 に 上 昇 し 、 食 後 人 工 腸 液 (FeSSIF) の 方 が 食 前 人 工 腸 液 (FaSSIF) よ り も 顕
著 で あ っ た 。 GZK 2 の 場 合 と 同 様 の メ カ ニ ズ ム で 、 γ-CDに お け る 結 合 定 数 の 高 い タ
ウ ロ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム が 酸 化 型 CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 に 加 わ る こ と に よ っ て 、
γ-CD空 洞 内 に お い て 酸 化 型 CoQ 10 と タ ウ ロ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム の 置 換 反 応 が 生 じ 、
解 離 し た 酸 化 型 CoQ 10 は タ ウ ロ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム の ミ セ ル に 包 括 さ れ 、溶 解 性 が
向 上 し た と 推 察 さ れ た 。更 に 、水 溶 性 の 還 元 剤 で あ る VCを 添 加 す る こ と に よ っ て 、
ミ セ ル と し て 溶 解 し て い る 酸 化 型 CoQ 10 が 還 元 型 CoQ 10 に 変 換 さ れ る こ と が 確 認 さ
れ た 。 し た が っ て 、 CoQ 10 を サ プ リ メ ン ト 等 の 健 康 食 品 と し て 摂 取 す る 際 に は 、 酸
化 型 CoQ 10 /γ-CD包 接 複 合 体 と VCを 併 用 す る こ と に よ っ て 、 腸 管 内 の 吸 収 過 程 に お
い て 還 元 型 CoQ 10 へ 変 換 が 促 進 さ れ 、 吸 収 効 率 も 高 ま る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。
本 研 究 に よ り 、CoQ 1 0 /γ-CD包 接 複 合 体 を 経 由 し た GZK 2 に よ る CoQ 1 0 ミ セ ル 形 成 反
応 機 構 を 提 案 し た 。 ま た 、 3次 元 培 養 表 皮 モ デ ル を 用 い て CoQ 10 ミ セ ル の 皮 膚 吸 収
性 が 非 常 に 高 い こ と を 推 察 で き た 。 ミ セ ル 形 成 を GZK 2 で は な く 、 タ ウ ロ コ ー ル 酸
ナ ト リ ウ ム を 含 む 人 工 腸 液 系 で の 還 元 型 CoQ 10 生 成 反 応 速 度 モ デ ル を 提 案 で き た 。