Title №14:床用レジンに対する二酸化チタンコーティング

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№14:床用レジンに対する二酸化チタンコーティング
の口腔内における細菌付着抑制効果
小畑, 朋邦; 上田, 貴之; 櫻井, 薫
歯科学報, 115(3): 278-278
http://hdl.handle.net/10130/3706
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
278
学 会 講 演 抄 録
№13:ミダゾラム・プロポフォール併用およびプロポフォール単独の静脈内鎮静が自律
神経活動に及ぼす影響に関する比較研究
澤口夏林,松浦信幸,一戸達也(東歯大・歯麻)
目的:歯科治療は患者に精神的ストレスを与える。
過去の報告では,口腔への疼痛刺激は身体的ストレ
スばかりでなく強い精神的ストレスを与えると報告
されている。ストレスの軽減に有効な方法の一つに
静脈内鎮静法が挙げられる。日常臨床でよく用いら
れる鎮静薬にプロポフォールとミダゾラムがあり,
いずれも交感神経抑制作用を有する。加えて,ミダ
ゾラムは抗不安作用,健忘作用が強く,不安・緊張
による交感神経緊張を抑制する。これらのことか
ら,ミダゾラムとプロポフォールを併用する方がプ
ロポフォール単独よりも患者にとって快適な鎮静状
態を提供できる可能性がある。本研究では,これら
の静脈内鎮静下にストレス負荷として歯科治療時の
弱い痛みを想定した電気刺激を与えた時の自律神経
活動を心拍変動の周波数解析を用いて比較検討し
た。
方法:本研究は東京歯科大学倫理委員会の承認を得
。ASA 分類Ⅰの男性健康成人
て実施した(№591)
ボランティア19名を対象とし,ミダゾラム・プロポ
フォール併用(MP 群)およびプロポフォール単独
(P群)の2群を設定してクロスオーバーで観察し
た。鎮静中の薬物投与量は,両群とも BIS(Bispe-
ctral Index)値 が70∼80と な る よ う に MP 群 で は
04mg/kg を投与後,プロポフォール
ミダゾラム0.
0μg/ml,
を TCI(Target-Controlled Infusion)で1.
5μg/ml で維持した。観察項目は
P 群では TCI で1.
呼吸数,経皮的動脈血酸素飽和度,非観血的血圧,
心拍数,催眠・鎮静レベル(BIS,OAA/S)
,心拍
変動の周波数解析(HF,LF,LF/HF)とした。観
察時期は各鎮静薬の投与前,投与中,投与後の各
100秒間とした。統計処理は Paired-t test と Repeated measures ANOVA を用いた。
結果:MP 群,P 群の両群で BIS 値に有意差は認め
られなかった。両群で鎮静薬の投与後から血圧,心
拍数の低下がみられた。MP 群は P 群よりも HF が
大きく,LF,LF/HF の値が小さかった。
考察:本研究の結果から,プロポフォールを単独で
使用するよりもミダゾラムを併用する方が電気刺激
時の交感神経活動を抑制し,副交感神経活動を活性
化することが分かった。ミダゾラムとプロポフォー
ルを併用した静脈内鎮静法はプロポフォール単独の
静脈内鎮静法よりも精神的ストレスを軽減する効果
が大きいことが示唆された。
№14:床用レジンに対する二酸化チタンコーティングの口腔内における細菌付着抑制効果
小畑朋邦,上田貴之,櫻井 薫(東歯大・老年補綴)
目的:義歯表面には細菌が付着し,バイオフィルム
が形成され,誤嚥性肺炎発症の一因となる。これま
で我々は,基礎研究にて二酸化チタンコーティング
が床用レジンのぬれ性を向上させ,食物残渣の付着
を減ずることができ,さらに細菌や真菌の付着を抑
制することを示してきた。
今回,TiO2コーティングを施した床用レジンの
口腔内長時間留置下における細菌付着抑制効果を調
べることを目的として,本研究を行った。
方法:被験者は過去2か月間に抗生物質を服用して
いない健常有歯顎者の成人10名(平均年齢26±3
歳)とした。
上顎臼歯部頬側と口蓋部に床用レジン試料を留置
した。頬側の試料は半径5mm,厚さ1mm のディ
スク形態とし,バフ研磨を行 っ た Non-coating 群
と,TiO2コーティングを行った TiO2-coating 群
の2群に分けた。口蓋部の試料は口蓋床を製作し,
ランダムに正中から左右側のいずれか片側へ TiO
2コーティングを施し,
コーティングの有無で Noncoating 群と TiO2-coating 群の2群に分けた。
それぞれの試料を被験者の口腔内に7日間ずつ留
置した。尚,食事中と口腔清掃時は,試料を口腔内
より外して水中保存するよう指示をした。留置期間
終了後,1分間の超音波洗浄を行った後,細菌カウ
ンタ(DU-AA01NP-H,パナソニックヘルスケア)
にてディスクの頬側研磨面および口蓋床粘膜面に付
着している細菌数を計測した。
頬側および口蓋部それぞれの TiO2-coating 群と
Non-coating 群の細菌数について Mann-Whitney の
U 検定を行った(α=0.
05)
。(東京歯科大学倫理委
員会承認第471号)
。
結果および考察:頬側の Non-coating 群で6.
5±0.
1
log10 CFU/ml,TiO2-coating 群で5.
7±0.
3log10
CFU/ml,口蓋部の Non-coating 群は7.
3±0.
3log10
CFU/ml,TiO2-coating 群 で6.
5±0.
4log10 CFU/
ml であった。頬側と口蓋部いずれにおいても両群
間に有意差を認めた。
これまでの基礎研究から,TiO2コーティングを
施した試料表面が超親水性を得たことにより口腔内
においても初期付着菌の義歯表面への付着が抑制す
ることができたためと考えられる。今回の結果よ
り,義歯への TiO2コーティングが口腔内におい
ても細菌付着抑制効果を発揮することがわかった。
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