雨上がりの新緑とミヤマキリシマ満開!、極上の由布岳登山の巻

雨上がりの新緑とミヤマキリシマ満開!、極上の由布岳登山の巻
栗秋和彦
昨年のGW明け、新緑に映えた由布岳に久し振りに登った。お鉢巡りも初体験でき、自分としてはけっこう
充実した山行だったな、と記憶に新しい。でいつもの山仲間、T田、M木両兄と 6 月の第一週にどこかへ行こ
う、と話が持ち上がった。当然の如く 「えっ、この時期ならミヤマの九重でしょう!」と異口同音に答える筈。
しかし前日九州北部は梅雨入り直後のけっこうまとまった雨が降った。黒土に足を取られる九重独特のぬか
るんだ登山道を思い浮かべると、皆一様に腰が引けたのは分からなくもない。そこでM木隊長の「由布岳な
ら滑りませんばい!」と一オクターブ高い声が雌雄を決めた。由布岳へ方向付けをした瞬間だったのだ。
登山口から由布岳を仰ぎ見る 振り返ると倉木山がどっしりと構える
ぐいぐいと歩を進める
合野越にて飯盛ヶ城の頭を望む
午前 9 時過ぎ、ほぼ晴れわたった正面登山口に着き、仰ぎ見た由布岳は新緑まばゆい緑と、晴れわたっ
た空の青に、それでも山肌にまとわりついて昨日の雨のなごりを残す雲の白さが際立った。三色揃い踏みで
我々を迎えてくれたのだ、嗚呼ありがたやである。で松木隊長の仰せのとおり水はけのいい登路は雨の影
響をまったく感じさせず、グイグイと歩を進めることができた。合野越までに 20~30 人はかわしたと思うが、
おじさんトリオ(我々のこと) のスピードが速い訳ではなく、ゆっくりモードの登山者が多かったということか。
してその殆どは老々男女グループか、中高年カップルだもの、グループ内で歩調を合わせれば、おのず
とゆっくりペースになるは必定であろう。そんなこんなで合野越での小憩後も快調にピッチを刻み、森林帯を
黙々と高みを目指した。そしてジグザグ道を数多繰り返すと標高 1200 ㍍くらいからは灌木帯に変わり、登山
口から由布院盆地にかけての視界が急に晴れた。もちろんその延長線上には九重から祖母傾へとつづく山
嶺がうかがえたが、昨日(雨)の今日ではまだ雲が取れず、すっきりとはいかなんだ。ヨシヨシ遠方視界は頂
上でのお楽しみだぃ、と上へ上へと急いだ。
ところが登山口から 1 時間20 分余りで辿り着いたマタエでは大勢の登山者が休憩しており、皆一様にお鉢
方面を向いてたむろしていたのだ。「何だ、なんだ?」と訝って見ると、お鉢いっぱいにミヤマキリシマの群落
が今を盛りに咲き誇っている。マタエに至る途中の登路でも標高が上がるにつれ、ミヤマの花弁は次第に色
づき、頂上付近のそれもかすかな期待はしていたものの、お鉢周りがこんなに華やぎ、登山者を魅了せしめ
たのか、そこまでの想定はしていなかったので、驚きは大きかったと言えるのだ。
往路、樹林帯を抜けて由布院盆地を
マタエにてしばし休憩
お鉢上部、ミヤマキリシマの華やぎ
とそれはともかく悠長にマタエに居座る訳にはいかない。目指すは西峰であり、取り付きは目の前であっ
たが、降りてくるハイカーの多いこと多いこと。10 人以上の団体が連なっては、待ち時間もバカにならないし、
その一部は鎖に全面的に依存して危なっかしく降りてきたり、クラックに靴がはまり「あれっ、靴が脱げた (ど
んな靴紐の結び方をしとるんかぃ ! )」など素っ頓狂な嬌声を上げるおばさんがいたりと、山を遊園地と勘違
いしてはいかんぜよ、と言いたいくらいどなのだ。 そんなこんなで取っ付きの岩場を抜けるのにけっこう時
間がかかったが、こんなハラハラドキドキシーンはいただけない。いくら自己責任の世界とは言っても、グル
ープのリーダーは東峰へ誘導するなど、メンバーの力量を見極めた対処をお願いしたいよな。
さて山頂(西峰) では昼食タイムを取り、小一時間の滞在とした。この間、幾度かガスの切れ間から圧倒的
高度差をもって由布院盆地を垣間見たり、対岸の東峰からお鉢の全容を伺ったりと、その刹那的点描を愉し
んだが、すっきりとした眺望はお預けのままだったのがちょっと心残りであったか。
西峰で揃い踏み
東峰を垣間見る
東峰直下のミヤマ
西峰へのの核心部・障子戸の岩場
で下山時期を促されたのは小一時間にも及んだ滞在時間ではなく、十数名に及ぶ団体客のリーダーとお
ぼしきおじさんの「そろそろ降りるよ!」との号令であった。まさに老々男女を擁するこのグループ、登りシー
ンを見た訳ではないが、頂で聞こえてくる言動からして、相当に手こずったふうなのだ。ならば彼らの前に下
っておかないと、待たされることは必定。精神衛生上まっこと好ましくなく、すわ行動!と自然に身体が動い
たのだ。
とまぁそれでもマタエまでは前を下る複数の小グループを交わす訳にもいかず、けっこう登ってくる登山者
を待ったりと、スムーズな下山シーンとはならなかったが、登りほどの渋滞にはならなんだ。あとは脇目もふ
らずスタコラサッサと下山するのみ。けっこう速足で下ったつもりでも、マタエから 1 時間 5 分ほどかかって、
ようやく登山口に帰り着いたが、我が 20 才台前半、東峰から 20 分ジャストで走り下った経験(※)からする
と、寄る年波に勝てる筈はなく、みなぎる青春のパワーには感服するばかりですね、私事ではありますが。
さて下山後の山のいで湯は筆者の案内で玖珠町の七福温泉・宇戸の庄とした。周りを屹立した奇岩で囲
まれた谷間のひなびた一軒宿だが、テレビもラジオもなく、携帯も通じない癒しの環境を短時間にせよ、味わ
ってもらいたかったからである。とは言っても筆者も 9 年前に訪れて以来ご無沙汰していたので、再訪に食指
が動いたのも事実だったか (何だ、自分の都合じゃないか、はい) 。
玖珠 I.C から北東へ 10 ㌔弱の仙境
半露天にまったりと浸かるの図二題
青空に奇岩怪石が映える
半露天の岩風呂(一人400円)は開放感たっぷり、湯舟から真正面に見上げる緑々の稜線に露出した奇岩
怪石の景は、我々を非日常へ誘うに充分なシチュエーションであって、アルカリ性単純泉の源泉39.5℃は
いつまで入っていても決してのぼせることはない。珠玉の温泉だったことを喧伝しておこう。
(※)青春時代、所属した社会人山岳会の主催で正面登山口から山頂(東峰)を往復する「由布岳早登り
大会」なる山岳レースが催され、第 3 回(74 年)と第 4 回(75 年)大会に出場していずれも総合 3 位
(20~30 人規模の出場者数) 、1 時間 6 分余りで往復(上り 46 分、下り 20 分)した。
(参加者)M木、T田、栗秋
(コースタイム)
大野城駅 7:15 20⇒(車 大宰府 I.C 九州道~大分道湯布院 I.C 経由)⇒正面登山口 9:05 16→合野越 9:45
52→マタエ 10:39(順番待ち) 48→西峰 11:01(昼食)50→マタエ 12:05 08→合野越 12:47→登山口 13:13
25⇒(車)⇒玖珠町・七福温泉(宇戸の庄)14:20 15:50 ⇒(車 玖珠 I.C 大分道~九州道大宰府 I.C 経由)⇒
大野城駅 17:15
番外編・・打上げは南福岡の「うるみ」にて。仕事帰りのN口君に声をかけての三態(17:45~20:10)
(平成27年 6 月 6 日)