分析化学Ⅱ S3-5032 教員名 : 藤井清志 Email:[email protected] 教員室 : 物質工学科実験棟 2 階 205 室(0144-67-8038) Analytical Chemistry Ⅱ 物質工学科3年 単位数・必修/選択・授業時間 1履修単位・必修・前期週 1 時間・後期週 1 時間 授業の進め方 二塩基酸溶液の pH 計算や弱酸溶液や錯体を含む溶液の対数濃度図の作図等を通して,比較的複雑な系について,化学 平衡論にもとづく解析法を身につけさせる。条件生成定数を用いて反応前後の物質量の変化を推算する方法を解説する。 また,錯形成反応の応用例としてキレート系溶媒抽出による分離について解説する。 履修上の注意 2年生の分析化学Ⅰで習得した知識が基礎となる。必要に応じて2年次の分析化学Ⅰのノートを読み返すとよい。概 ね教科書に沿って進行するので,シラバスを参考にして予習すること。電卓,定規,テンプレートおよびグラフ用紙(A4 判)を用意すること。 授 授 業 項 業 目 1.より複雑な系についての平衡論的取り扱い 1-1 種々の酸・塩基の定義と相互の関係 1-2 弱酸 H2A 溶液の濃度計算法 2.分布図,対数濃度図の作成と応用 2-1 分率(α)の定義と計算 2-2 弱酸のα vs. pH と対数濃度図の作成と応用 ---前期中間試験--- 2-3 多塩基酸のα vs. pH 図と対数濃度図の作成 2-4 錯形成平衡における分布図の作成 3.溶解度に影響を及ぼす種々の効果 3-1 溶解度に及ぼす pH の影響 3-2 炭酸カルシウムの溶解度と pH の関係 3-3 炭酸カルシウムの溶解度曲線の作成 ---前期定期試験--- 4.条件生成定数 4-1 生成定数に関する問題演習 4-2 条件生成定数と副反応係数 4-3 副反応係数の算出法と実際の系への適用 4-4 EDTA のαY(H) vs. pH 図の作成 ---後期中間試験--- 5.分配平衡 5-1 分配則,分配定数,分配比 5-2 キレート系溶媒抽出 5-3 抽出曲線の作成 5-4 抽出挙動の解析法,抽出分離 ---後期定期試験--- 達 成 目 標 関 連 科 目 教 科 書 参 考 図 書 評価法及び基準 備考 の 授業 時間 4 4 内 容 授業項目に対する達成目標 Lewis の定義により物質を酸・塩基等に分類できる。 弱二塩基酸溶液の pH を計算で求められる。 酸溶液中の化学種の分率が計算できプロトン均衡式を 書ける。酸や塩溶液のα vs. pH 図,対数濃度図を描け る。対数濃度図から溶液の pH を求めることができる。 2 4 2 6 2 6 錯形成平衡の分布図を描ける。 炭酸塩の溶解度を水素イオン濃度の関数で表せる。 炭酸塩の溶解度曲線を描くことができる。 炭酸塩の溶解度が炭酸イオンの分率の逆数に比例する ことを示すことができる。 熱力学的生成定数と条件生成定数の違いを説明できる。 副反応係数を定義し,関係する諸定数で表すことができ る。 αY(H) vs. pH 図を作成できる。また副反応係数を用いて 反応の進行の程度を予測できる。 キレート系溶媒抽出の平衡定数(抽出定数)を分配定数, 生成定数,酸解離定数で表すことができる。抽出定数の 値から実用的な分離が可能となる抽出回数を求めるこ とができる。分離係数と分配比の関係を表せる。抽出定 数から複数成分の分離の可能性を推定できる。 多塩基酸溶液の pH の計算や弱酸溶液中に存在する化学種の分率の計算ができる。対数濃度図を描 いて pH を求めることができる。炭酸塩鉱物等の溶解度と pH との関係を説明することができる。副反 応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。キレート抽出系での 金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。以上の知識を理解し,実際の分析に応用できる能力 を身につける。 本科の点検項目 D-ⅱ,D-ⅳ 化学,物質工学基礎,分析化学Ⅰ,無機化学Ⅰ・Ⅱ,応用無機化学,物理化学Ⅰ・Ⅱ,環境化学,錯 体化学,卒業研究,特別研究(専攻科) R.A.デイ,Jr.・A.L.アンダーウッド共著,鳥居他共訳「定量分析化学」(培風館) 「苫小牧工業高等専門学校物質工学科の学生のための無機化学」 H. Freiser, Q. Fernando 著,藤永太一郎,関戸栄一共訳「イオン平衡」(化学同人) Allen J. Bard 著,松田好晴,小倉興太郎共訳「溶液内イオン平衡」−理論と計算−(化学同人) 日本分析化学会北海道支部・東北支部共編「分析化学反応の基礎」改訂版(培風館) 課題と試験により総合的に達成度を評価する。前・後期について、提出課題,中間および定期試 験の点数(100 点法)にそれぞれ 0.2、0.3 および 0.5 を乗じて合計した点数を各期評価点とし,前 期と後期の平均を成績評価点とする。評価点が 60 点に満たない場合,再試験を行うことがある。 再試験の点数(100 点法)は試験による評価の差し替えのみに用いる。
© Copyright 2025 ExpyDoc