複素数の波動

複素数の波動
波動と言えばサイン・コサイン しかし、変数と値を複素数に拡張す
れば、指数関数も波動になる。 指数関数expの 波動としての性質を学ぼう。
波とは何か
波とは・・・ 気体や、液体や、固体などの
媒質が、安定点の両側に往復
運動する現象。 時間と共に振動の安定点が
平行移動する場合、進行波に
なる。振動数は媒質間の結合
の堅さkと媒質の慣性mで決ま
る。 k:バネ定数=復元力/変位 m:質量=慣性力/加速度
運動
質量m 張力 バネ定数k
合力
弦の振動
微小区分
質量/体積ρ
運動
圧力
空気中の音の振動
1/κ圧縮率
波の式
数学的な取り扱いのため、波を式に表
すとき、正弦波=sin波を使うのが便利
である。 周波数f で振動する振幅Aの波の関数
φは、 φ=Asin(2πft)
と表せる。 cosはsinの位相に90度=π/2が足された
ときの値を示すので、本質的には同じ形
の波である。位相θの波は一般に φ=Asin(2πft+θ)
と表される。 0
A
θ
f :波の数/単位時間
ω = 2πf :角度変化/単位時間
t
1秒
exp(jθ)
θ=ωt
オイラーの公式を使うと、指数関数に
よって正弦波を表すことができる。 exp(j2πft)=cos(2πft)+jsin(2πft)
虚数変数の指数関数はガウス平面内
で半径1の円周上を回転するので、正
弦波状の変化をするのである。 この式から、逆に正弦波を求めること
もできる。 cos(2πft)={exp(j2πft)+exp(j2πft)}/2
sin(2πft)={exp(j2πft)-exp(j2πft)}/j2
解exp(jωt) のグラフの形1
実数係数の指数関数 変数(t)につれて減衰(係数
が負)、または増加(係数が
正)する。
虚数係数の指数関数 変数(t)につれて螺旋を描く。
Im
exp(jβt)
Re
1 exp(αt)
t
β/2π t
解exp(jωt) のグラフの形2
複素数の角周波数ω を実数α と虚
数 jβ(α と β は実数)の和で表す。
ω = α + jβ
この時関数 exp(jωt) は関数exp(βt) とexp(jαt)の積となる。
それぞれの関数は、増加、または
減少する指数関数と、ガウス平面
を回転する螺旋なので、積は収束、
または発散する螺旋になる。
Im
Re
exp(jωt) t
Fig. 0-­‐X 3D graph of exp(jωt).
共振回路の動作
解の形から、共振回路に流れる電流iは、振動しなが
ら減衰することが予想される。(エネルギーが勝手に
増加することはないので。) 振動現象は、もっぱらLとCの間のエネルギー交換に
よって発生する。 抵抗がなければ周波数は になる。 1 / LC
抵抗Rがあると周波数は低周波側にシフトする。 1
R2
ω=
−
LC 4L
付録:複素数
•  虚数は四則演算による数集合の拡張。2乗の
逆写像について閉じた集合を構成するために
は、2乗して-­‐1になる数が必要。これを虚数と
呼ぶ。 •  実数と虚数の線形結合を複素数と呼ぶ。 •  複素数の和・差はベクトルと同様。 •  複素数の積は成分ごとの演算の和で、商は
その逆演算をしなければならない。