セカンドキャリア分科会<第 1 回>活動報告

セカンドキャリア分 科 会 <第 1 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会では、リタイアシニアのセカンドキャリアとして従来の「再雇用」ではなく、起業や社
会貢献といった「再挑戦」を活性化するためのシステム作りを議論することを目的とした「セカンドキャリア分
科会」を設置し、第 1 回分科会を 6/5(水)に開催しました。
分科会では、代表提案者である立教セカンドステージ大学の坪野谷氏より、同大学に通うシニア大学
生および修了生の「再挑戦」を支えるサポートセンターの取組が紹介され、実際にアクティブシニアとして活
動されている同大学の小川氏より「再挑戦」の具体例と課題について紹介されました。
また三菱総合研究所より分科会における問題意識やスコープ、そして産学官連携による「第二の人生」
を支えるプラットフォームの仮説と、その仮説を実証すべく立教セカンドステージ大学と共同で行った「アクテ
ィブシニアによる地域活性化コンサル」事例を紹介しました。
当日は企業会員、大学会員、自治体会員に加え、本テーマに関心を持たれた総務省・厚生労働省・
文部科学省の方、さらには立教セカンドステージ大学に通われる「アクティブシニア」が多数参加され、総
勢 62 名の参加者による熱い議論が行われました。特にグループ毎に行った意見交換では、参加者それ
ぞれの組織におけるセカンドキャリアの実態と不安、支援の必要性について熱い議論が行われました。
※写真:セカンドキャリア分科会の様子
セカンドキャリア分 科 会 <第 2回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第2回分科会を7/26(金)に開催しました。
分科会では、セカンドキャリアの「実践者」「支援者」それぞれの立場からシニアのセカンドキャリアの可能
性と阻害要因について話題提供が行われました。
まず「実践者」の立場として、立教セカンドステージ大学に通う筒井氏(元大手IT企業勤務)からキ
ャリア形成の“きっかけ”作りや立教セカンドステージ大学という「学び、交流、出会い」の場の重要性が紹
介されました。続いて同じく立教セカンドステージ大学に通う中村氏(元大手AL勤務)から早期退職
後の燃え尽き症候群から脱却する契機として「第2のモラトリアム」の意義や同僚のセカンドキャリアの成功
例/挫折例からみる共通課題が紹介されました。
続いて、「実践者」の立場として、今年4月にシニアインターンシップ事業をプレスリリースした株式会社
マイスター60の高平氏から、シニアインターンシップ開始の背景と狙い、インターンシッププログラム内容等
が紹介されました。
その後、参加者との活発な意見交換が行われ、最後に総括として三菱総合研究所松田よりセカンド
キャリアでも現役でも共通する職場のモチベーション維持の重要性とシニアのセカンドキャリアを阻む壁を打
破する5つの視点を紹介しました。
当日は企業会員、大学会員、自治体会員に加え、本テーマに関心を持たれた内閣府・厚生労働
省・文部科学省の方、さらには立教セカンドステージ大学に通われる「アクティブシニア」が多数参加され、
総勢50名の参加者による熱い議論が行われました。
※写真:セカンドキャリア分科会の様子
セカンドキャリア分 科 会 <第 3 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第3回分科会を8/27(火)に開催しました。
分科会では、アクティブシニアのセカンドキャリア開拓を支援している行政や大学、「パートナー」としての
アクティブシニアと連携・協業を実践しているNPOの方から話題提供が行われました。
まず「行政」の立場として、厚生労働省 高齢者雇用対策課の黒田氏から、「生涯現役社会の実現
に向けた就労のあり方に関する検討会」での議論と先進的な取組事例が紹介されました。
続いて「NPO」の立場として、としまNPO推進協議会の柳田氏から、「としまNPO推進協議会」におけ
るアクティブシニアとの協働の効用、立教セカンドステージ大学のシニア学生と普通のシニアの相違点等が
紹介されました。
次に「大学」の立場として、立教セカンドステージ大学運営委員でもある跡見学園女子大学の笠原
氏から立教セカンドステージ大学設立の理念や直面した壁、立ち上げ後の苦労等が紹介されました。
その後、参加者との活発な意見交換が行われ、アクティブシニアの観点からみたシルバー人材センター
の評価やアクティブシニアへのニーズの掘り起こしの重要性、第二の人生の「修行の場」としてのNPO活動
の活用方法、超高齢化社会におけるシニア大学の思惑と難しさについて活発な議論が行われました。
特に大学の役割については、民間研修/転職支援機関やシルバー人材センター等と比べて
1) ディスカッション型授業によりシニアのマインド・リセットができる。
2) プロジェクト型の教育研究システムが、シニアの「お試しの場」として相性が良い
3) 従来学生が多く存在するため、異世代交流による刺激が受けられる。
といった優れた特徴があるため、アクティブシニアのセカンドキャリア開拓において重要な役割を果たしうる
のではないか、という意見がある一方で、大学には「意思決定の遅さ」等もあり、主体的に担うのは難しい
のではないか、パートナーとして民間企業が参加するインセンティブが欲しいとの意見もありました。
※写真:セカンドキャリア分科会の様子
セカンドキャリア分 科 会 <第 4 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 4 回分科会を 10/21(月)に開催しました。
今回は、アクティブシニアの「活躍の場」をテーマに、実際にアクティブシニアと「このような連携ができない
か」という構想や実例を「若者」「企業」「大学」それぞれの立場の方から話題提供が行われました。
まず「若者から」として、東北を緩やかに長期的に支援する会事務局長の菊池氏から、同会の活動に
おいてシニアと一緒に活動しようとしても世代間で断絶が起こりがちになること、そのため「世代間通訳」が
不可欠であるという実体験に基づく提案が行われました。
続いて「企業から」として、大和ハウス工業株式会社の瓜坂氏から、同社ヒューマン・ケア事業における
シニアとの連携事例を紹介していただくともに、某商社 OB シニアと連携した新しい事業構想を話題提供
いただきました。企業はボランティアを続けることはできないため、シニアとの連携を持続するためのビジネス
モデルの重要性が提起されました。
最後に「大学から」として、学校法人桜美林学園出資会社である株式会社ナルドの川合氏から、大
学と連携した新しいカレッジリンク型 CCRC の構想について話題提供が行われました。同社の基本構想
に対して、「桜美林の強みを活かした魅力的なアクティビティは何か」「事業運営上のキャッシュポイントはど
こか」「学校法人としてのリスクが何で、そのリスクヘッジにはどうすればよいか」といったテーマについて参加者
によるグループディスカッションが行われました。
今回の分科会では「シニアの活躍の場」の持続性、すなわちビジネスモデルの議論ということもあり、グル
ープディスカッションは大いに盛り上がり、終了後も「次回は私(当社)の構想について皆さんにディスカッ
ションしてもらいたい」という意見も複数寄せられました。
※写真:セカンドキャリア分科会の様子
セカンドキャリア分 科 会 <第 5 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 5 回分科会を 2/5(水)に開催しました。
今回は、「シニア自身によるビジネス創出」をテーマに、実際にアクティブシニアがビジネス創出に取り組
んでいる事例が報告されました。
まず「アクティブシニア団体による事業創造」として、NPO法人ACOBA 副代表の木川氏から、
シニアが個人ではなく組織(チーム)として事業を起こしていく事例が報告されました。
続いて「シニア参加型・商品開発の取り組みと実績」として、一般社団法人生涯 学習普及協会代
表理事の小宮氏から、企業とシニア層をつないで、 商品開発・マーケティングを支援する同協会の取組
が報告されました。
その後、行われたディスカッションでは、企業とシニアの連携を促進するための「さらなる工夫」が議論さ
れ、インセンティブとしての資格制度やシニア個人ではなくシニア組織に還元する仕組みなどが提案されま
した。また、全てのシニアが「起業」スキルを有している訳ではない中で、シニアを組織化したり、不足する
経験・知識を補完する仕組みの重要性が挙げられました。
※写真:セカンドキャリア分科会の様子
セカンドキャリア分 科 会 <第 6 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 6 回分科会を 5/23(金)に開催しました。
今回は、「アクティブ女性シニアの再挑戦」をテーマに、男性中心の議論で忘れがちな女性シニアについ
て検討を行いました。
まず「輝くアクティブシニア女子力の可能性」と題して、一般社団法人シニア社会学会 会長(立教セ
カンドステージ大学講師、お茶の水女子大学名誉教授)の袖井孝子先生にご講演いただきました。超
高齢社会は「じょ・ろう・がい」(女性・高齢者・外国人)の時代であり、特に

男性よりも女性が長生きであり、高齢人口は女性が男性を上回る

男性よりも女性のほうがストレスに強い

産業化・工業化中心の 20 世紀(筋力・体力が重要)から
情報化・頭脳労働中心の 21 世紀(柔軟性・適応性が重要)へ
といった理由から、「21 世紀はおばあさんの世紀」であるとの問題提起が行われました。
この後、参加された会員で、男性シニアと比較した場合の女性シニアの「魅力」と「難しさ」、アクティブ
女性シニアの可能性を活かす「次の一手(施策・事業)」についてグループディスカッションを行い、

女性シニアの魅力(柔軟性、生活者視点、諦めの良さ、等)はあるが、行き過ぎると難しさ(意
思決定の遅さ、採算度外視、飽きやすい、等)になる点に注意が必要。

IT や計画性に弱い等、女性シニアの弱点を、若者や男性シニアを巻き込むことで補完する「チーム」
としての活動が鍵。
といった意見が出されました。
今回の分科会には立教セカンドステージ大学の「現役女性シニア」学生が多数参加されたこともあり、
男性陣が厳しい反論(?)を受けるなどグループディスカッションは大いに盛り上がりました。
セカンドキャリア分 科 会 <第 7 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 7 回分科会を 7/4(金)に丸の内(3×3Labo)に
て開催しました。今回は、「アクティブシニアライフを迎えるために、リタイア前にすべきこと」をテーマに、リタイ
ア前の現役時代(ファーストキャリア)において注意すべき点について検討を行いました。
まず「現役時代にすべきこと-シニアインターンシップの取組から」と題して、株式会社マイスター60 の高
平ゆかり氏にご講演いただきました。高齢者の人材派遣、職業紹介を行っている同社では定年世代のシ
ニア社員向けインターンシッププログラム(体験型意識改革研修)を 2013 年9月から開始しました。そ
れらの取組から得られた「現役時代にすべきこと」として、以下の論点提起が行われました。

早めに準備を始める(キャリアのリスクマネジメントを意識する)

社外評価を高める・社外でも通じるスキル・技術を磨く(道が拓ける)

逆境や理不尽さをむしろ成長の糧にする(環境変化に強い適応力が備わると信じる)

異質な文化、価値観、発想を否定しない(真のグローバル観を身につける)

家族との関係を大切にしよう(特に夫婦間)
続いて、「慶應大学 SFC を中心にしたプラチナコミュニティ形成の可能性」と題して、慶應大学の池田
靖史教授にご講演いただきました。慶應大学 SFC では「滞在型教育・滞在型研究」というコンセプトでキ
ャンパス機能拡張を検討しており、その一環として「世代間交流を視点にしたまちづくりとセカンドライフ」に
ついて学生とシニアの協創型ワークショップの提案が行われました。
最後に「アクティブシニアライフを迎えるためにしたこと/すべきであったこと」と題して、立教セカンドステー
ジ大学の現役シニア学生である新井純孝氏、名古屋美鳥氏、宮城島礼子氏より話題提供がありまし
た。3氏それぞれの実体験に基づく本音の話の後、会場の参加者との熱い議論が行われました。
新井氏
●計画することは大事だが、”Planned Happenstance”でことが運ぶことも。
●ポジティブであり続けるところに機会・チャンスがめぐってくる。
名古屋氏
●仕事を通じて、正しい判断基準を身に付ける ●「女の子」から「女性」に成長する
●社会の動きに目を向ける(仕事を離れて、社会の動きに目を向ける機会を)
宮城島氏
●やりたいこと「全て」のリストアップ(一つだけに絞らない)
●可能な範囲の準備(例:資格、資金) ●体力増進
1
最後に、三菱総合研究所 松田主席研究員から以下のアイディアが示された。

「65歳以上義務教育制度」一歩踏み出せないシニアには背中を後押しする「少しの強制力が
必要」であり、初等義務教育と同じくシニア義務教育が必要。

「脱たそがれ研修」40 代後半からセカンドキャリア研修を始める企業が多いが、元気のでない「たそ
がれ研修」と呼ばれる。30 代から 60 歳以降の働き方を意識するような研修を人事制度に。

「制度設計」
①減税インセンティブ:シニアの就労に対する所得税減税
②医療費インセンティブ:就労シニアは健康を維持する視点から医療費負担軽減
③ポイント制:エコポイントのように健康に関連したプラチナポイント(仮称)の創設
④時間制度:シニアの生涯学習や就労時間を、将来自分が介護になった時に使える

「人生二期作・人生二毛作」これまでのキャリアの分野や専門性と同じセカンドキャリアを目指すの
が二期作とすると、二毛作は、異なる分野や専門性で自らの生きがいや就労を見出すもの。シニ
アが地域社会デビュする前の、モラトリアム期間、助走期間、学びの場として、立教セカンドステー
ジ大や慶應大の未来創造塾は大きな役割を持っている。
2
セカンドキャリア分 科 会 <第 8 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 8 回分科会を 9/26(金)に立教大学太刀川記念
館にて開催しました。今回は「他世代と連携した新たなシニアライフ開拓」をテーマとして会員以外に立教
セカンドステージ大学の「シニア学生」および様々な大学の「一般学生」が参加しました。
まず「アクティブシニアのセカンドキャリア開拓 先進事例報告」として、株式会社三菱総合研究所の藤
井・岡崎・小野研究員から 6 事例についてビジネス上のポイント・課題の報告が行われました(下表)。
表 1 「アクティブシニアのセカンドキャリア開拓」として報告した事例
シニアの学び
「シニアの転職支援」 社会人材学舎 知命塾
「シニアの短期留学」 岩手大学 シニアカレッジ
シニアの就活
「シニアの仕事仲介」 クラウドワークス シニアワークス
「シニアの講師派遣」 シニア大樂 講師養成・派遣
シニアと社会の交流
「留学生との交流」 三井ボランティアネットワーク事業団 留学生交流事業
「シニアとの共同生活」 ソーシャルクラウド 下宿らうど
続いて、 「世代間交流 ー シニアと大学生のホームシェア」と題して、NPO 法人リブ&リブ 石橋代表
にご講演いただきました。リブ&リブは、独居高齢者数の急増、大学生の経済状況悪化、地域の空き家
増加の 3 つの社会課題の同時解決策として世代間交流ホームシェアを推進しています。世代間交流ホ
ームシェアは、都市に住む介護を必要としない独居シニアの自宅に、経済的に困難な状況にある地方出
身大学生が対等の立場で同居するという新しい取組みです。海外では事例がありますが、日本では受け
入れ側シニアの確保が困難という課題に直面し、まだ十分に普及していません。
リブ&リブの話題提供を受けて、「日本でシニアと若者の共住をもっと活性化するにはどうすべきか?」に
ついて、参加者を8つのグループに分けてグループディスカッションを行いました(主な意見は下表)。その
中でも「世代間交流ホームシェアを広げるために映画を作る」というアイデアに石橋氏が関心を示されまし
た。
1
表 2 「世代間交流ホームシェア」活性化の施策
A グループ
シニア(受け入れ側)の息子・娘へのアプローチで(シニアの)子供達を応援者にする。
B グループ
留学生に対象を広げる。
C グループ
世代間交流ホームシェアの PR movie を作成する。
D グループ
相性を見ながら共住の幅を広げることにより、敷居を低くする。
E グループ
受け入れの仕組み、体制作りとマッチングの精度を上げる工夫。
F グループ
つながり(趣味・同郷等)のある複数の学生と短期間でも先ずはトライする。
G グループ
シニアが若者を応援するネットワーク・マッチング・サービス・システムを開発する。
H グループ
ホームシェアで家を提供した場合、減税の対象にする。
最後に、三菱総合研究所 松田主席研究員から全体総括として以下のアイデアが示されました。

シニアと若者の共住には「経済面」「肉体面」「精神面」3つの不安を解消する鍵がある。

共住を進めるには四方一両得(高齢者、学生、地域社会、企業)の視点が不可欠。

シニアと若者の共住には「助走期間」と「程よい距離間(脱 1 対 1)」、シニアと若者のマッチング
においては「同窓」「同郷」がキーワード。
2
セカンドキャリア分 科 会 <第 9 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 9 回分科会を 11/11(火)に三菱総合研究所会議
室にて開催しました。今回は「外から見た日本:シニアに関する日本の常識/非常識」をテーマとしてド
イツ日本研究所 芳賀和恵氏に話題提供いただきました。
まず「外から見た日本 高齢社会先進国 Japan」として、欧州で開催されたドイツ老年(医)学会
(DGGG)2014、Innovation Forum VI 2014(シルバーマーケットについての分科会)で日本が
どのように言及されていたかをご紹介頂きました。

日本の高齢化に関して「先端技術(ロボット)の活用」という点が注目されている。

平均寿命や健康年齢、一人あたり医療費で日本は高齢化への対応に「成功」しているイメージが
あり、参考にしたいと考えられている。

高齢期のライフスタイルとして、就労・就業と生活満足度(生きがい)のコンビネーション、「サービ
ス需要者」としてでなく「価値創造者」としての高齢者像(ロールモデル)が欧州でも課題である。

高齢者の働き方は先進各国で模索中しており、就労支援を目的としたシニア大学も設立された
があまり成功していない(‘働くことが悪というイメージも)。シニアの起業が多い日本はこの面でも
モデルケースとなるかもしれない。
続いて、「ブルーゾーン(健康長寿の地域)」と題して、欧州から米国に広がった健康長寿地域の研
究プロジェクト「ブルーゾーン」をご紹介いただきました。

「ブルーゾーン」とは、元々はサルデーニャの長寿地域が注目されたことから生まれた言葉(地図上
で「ブルー」に塗られたゾーン)。Buettner 氏がブルーゾーン=人々が健康で幸せな生活を過ごし
ている(well-being)地域と解釈して、世界中の「ブルーゾーン」の共通項をまとめて発表したこ
とから注目されるようになった。

いまインターネット上で「Blue Zones Project」のサイトが立ち上がっている。
出所:http://www.bluezones.com/
1
芳賀氏の話題提供を受けて、 「日本版ブルーゾーンプロジェクトの可能性」について、参加者を8つの
グループに分けてグループディスカッションを行いました(主な意見は下表)。
表 1 「日本版ブルーゾーンプロジェクトの可能性」
A グループ
「人とつながる創縁プロジェクト」人と繋がる活動が健康寿命の維持には重要。自治会に
「従来とは異なる」役割を持たせる。活動の成果を客観的な定量測定する等の仕組み。
B グループ
「新しい事へのチャレンジ発表制度」大上段に構えない、ごく身近なことへのチャレンジを促
す。新しいもの・ことへの好奇心が前向きに生きる助けに。
C グループ
「高齢者(シニア)が楽しく働ける仕組み作り」ボランティア活動にポイント制度で仕事の対
価を払う(行政サービス等で)仕組み、他の世代と一緒に社会奉仕が出来る仕組み。
D グループ
「地域の子供たちのシニア家庭でのホームステイ」核家族でゲーム漬けの子供を、子供が巣
立ったシニア家庭にホームステイさせる。子供、両親、シニア全員が Win-Win 関係。
E グループ
「日本版ブルーゾーンを独自に定義し、日本に定着させる」官と民が協力してブルーゾーン
の PDCA サークルを回す。ブルーゾーンの普及目標を評価し、顕彰。レッドゾーンの評価も。
F グループ
「地元密着型プロジェクトとして企画・推進」身近な地元での活動プログラムの企画により、
地域コミュニティを活性化。自治体中心に、町内会や自治会など小さな単位で推進。
ブルーゾーンプロジェクト自体が抽象的な概念のため、当日のディスカッションに苦戦された方も多かった
のですが、一つの「健康で幸せな地域となる取組」推進のエンジンとしてのブルーゾーンが重要であるという
点について多くの方が賛同されていました。
2
セカンドキャリア分 科 会 <第 10 回 >活 動 報 告
プラチナ社会研究会「セカンドキャリア分科会」第 10 回分科会を 1/30(金)に三菱総合研究所会議
室にて開催しました。今回は分科会の総括として「アクティブシニアの活用術」をテーマとして立教セカンド
ステージ大学(RSSC)大歳美恵子氏に話題提供いただきました。
まず RSSC のシニア学生 132 名に対するアンケート調査結果として、アクティブシニアの目指す理想の
生き方(クールシニアライフ)として、以下の 3 つの傾向があることが紹介されました。

同じ志をもつ人との繋がりを活かし、新しいことにチャレンジしたい

他利(地域社会や若者)に役立つ生き方、社会貢献につながる活動を志向

知的好奇心旺盛で、関心分野が幅広く、学び好きで欲張り
その上で「現役は引退しても社会からは引退しない生き方」を実現するために、シニアが個人でなくチー
ムとして動ける仕組み=自立型組織(下図)を新たに立ち上げることが提案されました。
自立型組織の考え方
①仲間と共に
②自分のスキ
ル・経験を社
会に還元する
出来る時間
出来る範囲で
私たちの
考え方
・独立系の活動母体の発足
・少子高齢社会の課題解決への貢献
・活動主体メンバーの定期的な増員、増強による継続性
・MRI との提携/ 協業による成果品質の向上
大歳氏の話題提供を受けて、「シニアによる自立型組織との連携可能性」について、参加者を幾つか
のグループに分けてグループディスカッションを行いました(主な意見は下表)。
表 1 「シニアによる自立型組織との連携可能性と課題」
A グループ
次世代のサポート、オリンピックパラリンピックに向けた諸活動と連携可能性がある。
B グループ
シニアによる安易なボランティアは民間市場を歪めるので正当な対価を得るべき。
C グループ
ニュータウンの再生や高齢者向け住宅の商品企画はシニア視点が活かせる。
D グループ
シニア目線の商品開発及び市場調査。シニアの多様性に対応できると良い。
E グループ
リーダーシップ養成やチームメンバーとして活動するための「お作法」が必要。
F グループ
シニア組織自体にも新陳代謝(新メンバーが入りやすい仕掛け)が鍵。
1
「シニアによる自立型組織」は、これまで分科会で見えてきたシニア活用(活躍)の「3つの鍵」、

「集う場」・・・同じ志を持つ仲間(チーム形成)

「挑む場」・・・試行錯誤・失敗の機会(つまみ食い)

「語る場」・・・他者に学ぶ & 伝える(半学半教)
を兼ね備える一つのソリューションと言えるものと言えます(下図)。
シニア大学
シニアによる自立型組織
(プラチナ社会研究会会員と連携)
リタイア前
半学半教
リタイア後
語る場
集う場
チーム形成
プチ就労
プチ起業
挑む場
海外
企業
つまみ食い
地元
地方
シニアの活用
/活躍の場提供
本分科会は 2 年間の様々な先進事例研究を通じて、アクティブシニアの「第二の人生」に向けた支援
の仕組みの在り方を議論してきました。その成果を社会実装すべく、来期のプラチナ社会研究会では「丸
の内プラチナ大学」、「高知課題解決カレッジ」(仮称)といった「社会実験」型の分科会(プロジェクト)
を実施していく予定です。
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