SCNES SelfConsistentNuclearEnergySystem 2. SCNES

自ら整合性のある原子力システム :SCNES
1
. i自ら整合のある原子力システム J SCNES
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tNuclearEnergySystem とは:
・「資源確保と環境保全の同時達成ができる J究極の原子力エネルギーシステ
ムであり下の 5つの機能を、満足することを目標とします。
-燃料の生産と同時に、核分裂反応によって生まれる放射性物質を環境に放出
しないゼロリリース(放射性物質の無放出)の実現を究極の目標とする原子
力システムです。
2
. SCNESの概念
・このシステムでは、ウラ ンを燃料の原料になる物質として取り入れ、シス
テム外にエネルギーを供給します。原子炉の中では、エネルギーの生産に
加えて、新たな燃料物質の生産を行うと同時に、核分裂反応によって生ま
れる放射性物質を核変換により安定物質に変換します。
-新たに生産される燃料物質を元の燃料と共に、リサイクル利用しますので、
ウランの利用率が飛躍的に向上します。更に、核分裂反応によって生まれ
る放射性物質は分離・回収し、原子炉内で安定元素などに核変換しますの
で、システム外に排出するのは安定物質(非放射性物質)のみとすること
ができます。
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-原子炉の中で、エネルギーや燃料の生産、放射性物質の核変換を効率良く
行うためには、高速中性子を利用する高速炉が必要となります。
-我が国の高速炉技術は 「もんじゅ 」の運転によりステップアップすると期
待されています。 「もんじゅ J は究極の目標の実現に向けた開発段階にある
重要な原子炉と位置付けることができます。
燃料 (U
、PU、MA)リサイクル
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放射性 F
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:半減期 1年以上の核分裂
律 的 粉l(?RFP)
-ゼロリリースの達成のためには、燃料
(
U、PU、MA) のリサイクルに加え
て、炉内の核分裂反応で生じる半減期が長い放射性物質 (LLFP) を安定物
質に核変換することが必要になります。
-半減期が長い放射性物質 (LLFP) などを効率良く核変換するためには、核
分裂で生まれる物質 (FP) から半減期が長い放射性物質のみを分離・抽出
する同位体分離技術などの革新技術も必要となります。
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自ら整合性のある原子力システム
ーエネルギ}資源の確保と放射性廃棄物の無放出を目指して一
藤家洋一
NPOニュークリア÷サロン代表理事
資源確保と環境保全の同時達成に向けて
ここに(図-1
) がありますけれども、「自ら整合性を J という言葉の意味合
いを私はこの 5つの機能で表現しています。この 5つの機能を同時に達成でき
れば整合性のある原子力システムが達成可能になります。このためには量子力
学を使った少し難しい計算も必要になります。これはまた要素だけでなく、シ
ステム全体を対象に評価しなければなりません。計算は(図-2) のようなシ
ステムについて行いました。
その結果をいくつかの表にして示します。
~
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自ら整合性を Jの意味
エネルギー資源の確保(1.核分裂エネルギー資
源の確保)
現在実用化が進んでいる核分裂エネルギーを考えるとき、その資源がどれだ
けあるのかということがまずーっのポイントでありますし、次にはどういう状
況で存在しているのか、どういう使い方ができるのかということを考えていか
なければいけないだろうと思います。核分裂エネルギー、これはウランやトリ
ウムなどを使って核分裂反応を起こすわけですが、その中でブ勺レトニウムに代
表されるアクチニド燃料も創られていきます。
そこで、もちろん現在陸上の資源を取り出して使っていますが、この資源量
は千年程度であろうと考えられています。
しかし私が焦点を合わせておりま
すのは、海中にあるウラン資源、あるいはトリウム資源に対してです。と申し
ますのは、化学反応の文明も百万年以上続いているわけです。だから、私たち
が地球のエネノレギー源だ、人類のエネルギー源だというときには、やはり少な
くとも数十万年から 1
00万年ぐらいの資源があることを大前提にする必要があ
ると思っております。事実、自然エネルギーには数百万年を依存してきました
し、火の制御から始まる化学エネルギーの恩恵にも 200万年近く依存して来て
います。それから見るとこのウラン資源、あるいはトリウム資源は海中にある
0
0万年は優にもっと考えられます。
もので 1
海中には 40億トンから 50億トンあると今言われておりまして、もちろん陸
上のウラン資源への依存も大切ですが、それで十分というわけにはいきません。
最近の情報ではただ、それを今のような原子力発電、軽水炉で使って経済性
1
を達成するのはなかなか難しかろうし、これを使うのは次のステップ、高速炉
に期待するのが望ましいと議論がなされているところです。
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自ら整合性を」の意味
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資源の有効的活用 (2. 核分裂反応によるエネル
ギ一発生とその有効的活用) (表ー 1)
資源確保の意味の一つは、エネルギーを取り出すということであることはご
承知のとおりであります。それから、燃料をっくりださなければいけない。燃
料がないとエネルギー取り出しは続きませんから。で、資源の確保という観点
ではエネルギー取り出しと燃料生産があるということです。
さて、文明論的な意味合いから我々の科学技術を見てみますと、初期の人類
社会ではエネルギー源としては自然エネルギーというか、太陽エネルギーに頼
った時代が数百万年にわたって、永く続きました。しかし、人類は次に火を制
御して自分の思うように使いはじめました。これで人類は明確に文明を持つに
至ったのです。したがいまして、私は人類文明という言葉を使ったことはあり
ません。人類以外に火を制御して文明を持つに至った動物はいないと思ってい
ますので、人類という言葉をわざわざ使わないで文明という言葉でそれを代表
しているわけです。
そういった文明構築の中でいろいろなことをやってきましたが、その中でエ
ネノレギーを人工的に変換して使いだしたということはものすごく大変なことで
す。しかし、これは同時に次の問題を生んだこともご承知のとおりです。化学
反応、モノを燃やしながらっくり上げた文明が、産業革命によって力学的エネ
ルギーであるとか電気エネルギーに転用できる。はじめてエネルギー変換とい
う意味合いが具体化してきたものですから、そこで文明の形態まで変わって、
200年足らずで俗に言う地球温暖化問題につながり、エネルギー資源を転換せざ
るを得ないかという議論が進められてきたところです。
そういった中で、化石エネルギーに代わるものとして核エネルギーが出てき
たわけです。燃料生産というところでいきますと、化石エネルギーは天然に存
在する。また生物自体も生死に拘らず、それが一つの化学エネルギーを持った
存在です。核反応については、皆さんよくご承知のように、核融合と核分裂が
あります。私自身は、この核分裂エネルギ}がこれからもエネルギー源として
は大変重要な役割を果たしていくものだと考えております。
r
自ら整合性を Jの意味
環境保全 (3. 放射性廃棄物処理、処分)
それで環境保全は一体、原子力で可能なのか。何となくこれまでは核融合は
夢のある話として環境保全もそんなに難しくないように言われ、核分裂反応は
)
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>
2
燃焼に伴って生まれる高レベル放射性廃棄物の処理が大きな課題になっていま
すが、前総理もふくめて、これじゃ先が見通せないと言って反原発を唱えてお
られるようですが、これはいろいろ考えると、ポイントがまず合っていない。
まさに 1
0
0万年のエネルギー源として考えるならば、それだけの対応をしなけ
ればいけないと考えられます。
私たちは、今の軽水炉による原子力発電がすべてだとは思っていないわけで
す。軽水炉だけだと確かに放射性物質を生み出しますが、放射能を消滅させる能力はあり
主主ムL だから、そのことはよく頭に入れて考えておかなければいけない。そこに必要な
のは、やはりそういった放射性物質を消滅するかあるいは自分のシステムから外に出さな
いようなものを考えなければいけないのです。(表2)
環境保全の要求の中には、放射性廃棄物を核変換して無害化するという重要な要請があ
ります。放射性のないものに核反応を起こして放射性物質になることも一方でありますが、
放射性物質について核反応を起こして放射性でないものにすることも十分可能です。主主
いったところにポイントを置くということが非常に大事でありまして、ここで申し上げて
いるのは放射性廃棄物を環境に放出しないゼロリリースのプリンシプルです。(表-3)
アメリカ人が使うときはゼロエミッションという言い方をしています。最初、 2
003年で
したか、サンタフェでこの議論をやりましたときに、私はゼロリリースの意味をとにかく
技術によって外へ出さないという意味で、リリースしないということで使ったんですが、
英語では大した違いがないということでした。ただ、いまだに私自身はゼロリリースとい
う言葉を使っております。
これを実際どうやればできるのか。ここでやはり考えておかなければいけないのは、日
本では「科学技術」と言うように科学と技術を一つの単語のように話すことが多いいので
す。両者をセットで使うことが非常に多いのです。しかし、これは考えてみれば日本が科
学技術後進国であることを言っているようなものです。科学と技術は大きく異なります。
科学というのは可能性を求めての科学であって、技術は具体的な方法によって効率を求め
るものです。だから、まずは科学的な意味での可能性がないのを技術でいくらフォローし
てもこれは意味がない。
ただ、科学的に意味があることであっても、技術的には最初から 100%実現するものでは
ない。その効率が 100%実現しないことを、技術進歩によってだんだんと克服して来たのが
これまでの歴史で、まさにロングレンジのものの見方が大切です。そのとき私たちは時間
というものをどう考えていくのか、あるいは物質の量というのをどう考えるのか、大きさ
というのをどう考えるか。これは今、非常に重要な問題として出てきています。
今日は重さの話とか長さの話は時間の制約もあってできませんが、時間の話になります
と、私はよくディケイド、センチュリー、ミレニアム、 10年、百年そして千年という時
間単位で表現することがあります。
3
司
同
ディケイドという言葉については、今日の言葉としては皆さんよくご承知のように、今、
最先端の軽水炉型の原子力発電所をつくろうと計画して作りはじめて、実際に電気を皆さ
0年という時間単位があるでしょうと。
んに供給できるまでに大体 1
1
0
0年って何かと訊かれますと、高速炉とか核融合、こういったものを理論研究から始め
て開発を続け、第 1号の実用炉が実現するまでがセンチュリーという単位でみておくのが
いいのではないかと思います。事実、高速炉も今インドが最初の実用炉を作りつつありま
すし、ロシアもその状況です。日本は「もんじゅ」にこれからどう対応していくのか非常
に重要な局面にありますけれども、今までの歴史から言うとちょうど高速炉開発が 70年た
っておりますから、これから 30年程度で実用へ持っていくということが、望まれます。こ
れは同時に核燃料サイクルについても言えることです。
0
0
0年という単位は、明らかに放射能という親から人類が解放され
最後のミレニアム、 1
るのにミレニアムという一つの単位があっていいのではないか。ただし、ミレニアムはあ
まりにも長すぎるということのためにいろんなプロセスを考えながら、 300年ぐらいを一つ
の目安として見ておくのがいいのではないか。事実、その方向へ向かっての努力が続けら
れているということです。
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自ら整合性を」の意味
~
環境保全 (4. 非軍事利用、究極的核廃絶) (図ー 3)
我が国は唯一の被爆国としての立場から、平和目的に限って原子力の利用を宣言し、世
界に訴えかけてきました。しかし、まだ核兵器があるという事実を否定するわけには参り
ません。となりますと核拡散防止さらには核廃絶に向けて明確に姿勢を示し、国際貢献を
していくことです。この問題への取り組身としてはドイツの友人たちも検討しています。
従来は高速炉は金属燃料でも MOXでも核拡散抵抗性があるとみられてきました。ここで
見る(表-4) のような形にできます。│最近になってアメリカで使用済み核燃料から核兵
J
器が作ることができるとの発表があり、その対応が行われています
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自ら整合性を Jの意味
環境保全 (5. 安全確保止める、冷やす、閉じ込める)
(
図-4) 再臨界排除実験
それから、原子力と言われると、途端に「安全は ?
J という質問がおうむ返しに戻って
きます。事故で直接人が死ななくても大変な騒ぎになることを見ても、やはり放射能と安
全というのは切っても切れない関係にあって、すぐそれが出てくるようです。
核分裂炉の安全は原子炉を非常の際に、[止める]、(冷やす)そして放射性物質を[閉じ込
める]ことによって達成されます。
今度の事故でもいろいろな議論がなされました。最大のポイントは何であったか。それ
は、事故を起こした原子炉の中にある燃料がまた臨界になって核分裂反応が継続し、放射
能を外部に出すのではないか。いわゆる再臨界問題、再臨界というのは原子力の人聞には
すぐ頭にのぼることですけれども、私は軽水炉で再臨界が起こるとはほとんど考えており
4
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ません。事実、スリーマイルでも起こった形跡はありません。それから、今度の福島の問
題でも、少し:泡が出たのが再臨界の現象じゃないかということでありましたが、そうでは
なかったと考えています。
軽水炉においては再臨界が起こるという心配はほとんどありませんが、高速炉は安全の
一つの大きなテ}マがこの再臨界問題であります。これをどうやって抑えるかについては、
実は先ほどご紹介がありましたように、私がカザフスタンへ何度も通った目的の一つに再
臨界排除の実験をしたいという希望がありました。
私がカザフへ行って設備を見ている中で、そういう研究用原子炉があり、再臨界に関す
る実験ができそうでした。そこの工場のボスをつかまえて、「この実験設備を日本に貸して
くれないか。やりたい住事があるんだけれど」と言ったら、「いいじゃないか。やりましょ
うJ ということでトントンと話が進みました。
ただ、そのときは日本の電力の方々も相当元気がよくて、電力でやろうということをお
っしゃって大変私は嬉しかったんですけれども、何か問題が起こると国際的にどうやって
責任を取るのかということが頭にありましたので、役所へ行って話をして、とにかくこれ
を国の予算でやってほしいということを申し入れて国の予算でやってもらいました。
見事というか、この再臨界排除の問題は先行し進めていた理論的追求とここでの実験の
両者で非常にいい結果が出ましたので、これはこれからの高速炉の設計の中に採用される
ような成果を出すことができました。そのとき一緒にやった日本の人たちは動燃の人たち
が中心でありましたが、実際の運転はほとんどカザフの技術屋さんたちが協力してくれま
した。国際協力というのはこういう形でやると成果が上がるものだとわかりました。成果
をオープンにしても一向にかまわなかったということも嬉しかったなと思っています。
今のところではこの高速炉の再臨界問題というのは安全審査項目になっています。「もん
じゅ j の安全審査でも必ずこの問題が出てくる。 C D A (コア・ディスラプティプ・アク
シデント)、炉心崩壊事故というので必ず高速炉でやらなければいけない。それをこの実験
によって対応しやすくなったかと考えています。
5