宇宙の科学(第6章) 前回の問題の答え 木星の質量は、地球の質量のおよそ何 倍でしょう? 科学技術理解Ⅲ(宇宙の科学) 第6章 太陽 Kは絶対温度の単位ケルビン。摂氏温度をCとすると、 絶対温度K=C+273。 年齢は46億年。 地球からの距離は1億5千万km(1天文単位) 黒点 太陽は自分自身で光っている(エネルギーを 出している)。 惑星は太陽の光を反射して光っているだけ。 太陽のように自ら光っている星を、恒星と いう。 赤道部分で約25日、極近くで約30日というよ うに、赤道に近い所ほどより速く自転。 これは太陽がガス球だから。 遠心力のため赤道付近は少し膨れている。 太陽の質量の約75%は水素、残りのほと んどはヘリウム(それ以外の元素はごく微 量) 7 光球は太陽の表面に相当する部分。厚み は約300km。 これより深いところではガス密度が急激に高く なり、不透明になる。 我々が受け取る太陽からの光は、光球(温度 約6千K)から放射されたもの。 5 黒点(つづき) 光球面には黒点が現 れる。 典型的な黒点は中央 の暗部とその周りの 半暗部からなる。 平均的な大きさは約1 万km、大きいものは 10万km以上。 3 光球 太陽の自転周期は緯度によって異なる。 4 太陽の概観(つづき) 直径140万km(地球の110倍)、 質量2x1030kg(地球の33万倍)、 平均密度1.4g/cc 中心温度1500万K、表面温度6000Kの巨大なガ ス球。 太陽と惑星の最大の違いは? 2 太陽の概観 0.3倍 3倍 30倍 300倍 3000倍 1 太陽 6 今起こっている太陽磁場の異変 黒点はまわりより温度が低い(暗部が 4000K、半暗部が5500K)ので、黒く見える。 黒点は一般に対をなして現れる。一方はN 極、他方はS極の磁石の性質をもつ。 黒点の数は約11年の周期で大きく変動す る。太陽活動が盛んなときは黒点の数が 多い。 8 太陽の大規模磁場は約11 年の周期で反転している。 が、今は北極の磁場だけ 反転しそう。 ↓ マウンダー極小期もこのよ うな状態であったらしい。 ↓ 地球が寒冷化する?? 9 1 宇宙の科学(第6章) 彩層 コロナ 彩層は光球の外側にあ る薄い大気の層(厚さ 約2000km)。 彩層の光は弱く普段は 見えない。皆既日食の とき赤く輝いて見える。 温度は7千K~1万K。 彩層の外側には、 さらに希薄な大気 であるコロナがあ る。 コロナの光は弱い ので普段は見えな い。皆既日食のと き見える。 10 プロミネンス(紅炎) フレア プロミネンスは彩層から立ち上がる赤い炎 のようなガスの流れ。 周りのコロナより低温で高密度。 形、大きさ、寿命はさまざま。大きいものは 高さ百万km、寿命は長いもので数ヶ月。 太陽が出すエネルギー フレアは太陽表面で起こる爆発現象。 典型的なフレアは数秒で立ち上がり、数十 分~数時間継続。 大きなフレアが起こると、フレアで加速され た粒子が地球に到達し、電波障害やオー ロラなどを引き起こす。 コロナ外縁部からは、太陽の重力を振り切って、 プラズマが外に流れ出している(秒速数百kmの 速度)。 ⇒ これが太陽風 地球に到達した太陽風の一部は、北極・南極付 近から地球大気圏に進入し、大気中の酸素原子、 窒素原子・分子などと衝突する。 ⇒ このときの発光現象がオーロラ 14 石油が燃えると、1kg当たり約1万kcalの 熱が出る。 つまり、太陽は、毎秒1019kgの石油が燃え ることに相当するエネルギーを出し続けて いる。 16 12 太陽風とオーロラ 太陽が出すエネルギー(つづき) 地球が受けとる太陽エネルギーの標準値 は、1平方cm当たり、1分間に約2 cal(カ ロリー)。 太陽が出している全エネルギーは、1秒間 に約1023kcal(キロカロリー)。 コロナは温度が約200万Kの、密度が極端 に低い電離気体(プラズマ)。 コロナの温度は、なぜ光球の温度よりずっ と高いのか? ⇒ 磁場が関係しているらしい。 11 13 コロナ(つづき) 仮に、太陽が石油のかたまりだとしたら、わず か6000年で燃え尽きる。 17 15 太陽が出すエネルギー(実際に 計算してみよう) 太陽の出すエネルギーは1023kcal/s、石油は1kg あたり1万kcalのエネルギーを出す。 ⇒ 1023kcal/s÷1万kcal/kg=1019kg/s ⇒ 1秒間に1019kgの石油が燃えることに相当。 太陽質量は2×1030kg ⇒ 2×1030kg÷1019kg/s =2×1011s≒6000年 ⇒ 太陽が石油から出来ているとすると、6000 年しか持たない。 18 2 宇宙の科学(第6章) エネルギーのいろいろな形態 核反応 電子 - エネルギーの形態にはいろいろある。 陽子 物が燃えるときに出るのが化学エネルギー。 (例:火力発電) 物が高いところから低いところに落ちるときに 出るのが重力エネルギー。(例:水力発電) 原子核反応のとき出るのが核エネルギー。 (例:原子力発電) + + 原子核 中性子 - 核分裂: 重い原子核(ウランなど)が分裂 する現象。原子力発電、原子爆弾は核分 裂を利用。 核融合: 軽い原子核(水素など)どうしが くっついて、より重い原子核ができる現象。 水素爆弾は核融合を利用。 どちらの場合も大量のエネルギーが発生。 原子の構造の概念図 20 19 質量とエネルギーの等価性 太陽における核反応 アインシュタインは「質量とエネルギーは 等価である」ことを発見した。 エネルギーをE、質量をm、光速をc(約30 万km/s)とすると、次の式が成り立つ。 E mc 21 2 *この式から、1gの質量は2百億kcalのエネル ギーに相当することがわかる。 22 核反応の効率 太陽の中心部では、水素原子核4個がヘ リウム原子核1個に変換される核融合反 応が起こっている。 この反応で、水素1gあたり0.0072gの質量 が失われ、1.4億kcalのエネルギーが発生。 この核反応により、太陽は百億年以上輝 き続けられる。 23 石油燃焼: 1kg → 1万kcal つまり、1g → 10kcal 水素核融合: 1g → 1.4億kcal よって、水素核融合のほうが、 1.4億kcal/10kcal=1400万倍効率がよい。 24 太陽のエネルギー源 太陽のエネルギー源は、中心部で起こって いる核融合反応。 そのような核融合反応は太陽中心部 (1500万K)のように、超高温でないとおき ない。 25 3
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