一般生物

№1 細胞の研究
○細胞 (cell) …生物を構成する基本的な単位
○細胞の発見
1665 年 ロバート・フック:『ミクログラフィア(顕微鏡図譜)』
顕微鏡を利用してコルク片の観察
1838 年 M.J.シュライデン:
『植物発生論』
植物発生の研究
細胞は植物を作る単位であると共に、独立した生命を持つものである。
1839 年 T.シュワン
細胞は植物と同様に動物をつくる単位である
《細胞説》…細胞はすべての生物の構造と機能の単位である
○細胞の観察
・光学顕微鏡(分解能 0.2μm)
・電子顕微鏡(分解能 0.2nm )
※ 1μm = 1/1000mm
1 nm = 1/1000μm
走査型
透過型
№2 細胞の構造と働き
○細胞
原形質
○ 核 …1831 年
細胞膜
細胞質
核
R.ブラウン:細胞の中にある粒子に対して「核」と名づけた
核
膜 …二重膜構造
核
孔 …物質の出入り口
核
液 …核内を満たす液
核膜
核液
核孔
核小体 …核内に 1∼2 個存在
核小体
染色体 …染色剤で染まる
遺 伝 子 … DNA (デオキシリボ核酸)
ヒ ス ト ン … 塩基性タンパク質
○細胞質
・細胞質基質 …細胞内で形として認められないもの
・細胞小器官 …細胞内で形あるものとして存在するもの
ミトコンドリア:・エネルギーの生産,好気呼吸
・二重膜構造 (内膜,外膜)
・クリステ …糸状,棒状のもの
・マトリックス …内部の物質
染色体
ゴルジ体:・一重膜の重なり
・細胞内で合成されたタンパク質を細胞外に出す →分泌
例) 脾臓:ホルモン,消化酵素
中
心
体:・動物細胞と藻類,コケ,シダ類の一部の細胞核の近くに存在
・微小管で構成されている
・細胞分裂,ベン毛の形成のときに働く
色
素
体
葉緑体 (クロロフィル・カロテン・キサントフィル)
チラコイド …多数の層状構造
グ ラ ナ …チラコイドの集団
ストロマ …隙間を埋める基質
有
色
白
色
体:橙,黄の色素を含む
体:色素を持たず光合成で作られた糖を一時的に
蓄えアミノ酸に変える
アミロプラスト:・糖質からデンプンを合成する
・デンプンを貯蔵する種子などの細胞に存在
※植物は無機物を有機物に変換する
○細 胞 壁 …・植物細胞の細胞膜を取り囲む丈夫な膜
・ペクチン質とセルロースが主成分
木 化 :リグニンが沈着
コルク化:スベリンを含有
クチクラ:クチンを分泌
○ 液 胞 …内部は細胞液(有機酸,糖類などを含む)で満たされており、アントシアン(花青
紫)を含む
○ 代 謝 …生物の体内で起こる化学反応
・同 化:細胞どうしが引き合い、ひとつになる
・異 化:細胞どうしが離れる
№3 原核生物と真核生物
○原 核 生 物 …細胞内に染色体はあるが、これを取り囲む膜がない
→原核生物
○真 核 生 物 …染色体が核膜に包まれて細胞内に存在
→真核生物
№4 生きている細胞に見られる現象
○原形質:高分子化合物 (タンパク質・デンプン(グルコース))が水と結合している (水和)
※タンパク質…親水性
コロイド …分子の直径が 1∼100nm の粒子が溶媒に分散している状態
ゾル(流動性)とゲル(非流動性)の二種類
○原形質流動 …細胞自身の形は変化しないが、細胞が流れるように移動する現象
※アメーバ現象 …細胞の外質を変化させて仮足を伸ばして移動する (アメーバ・白血球など)
仮足:流動性と非流動性が交互に変化 (可逆的変化)
○生体元素 …生体を構成する元素 (炭素 C を中心として H,O,N など)
○生体物質 …生体を構成する物質 (水,タンパク質,糖質,脂質,核酸など)
○オパーリンの実験
オパーリン :『生命の起源』…細胞膜 (コアセルベート)の存在
・実験:CO2,NH3,H2O の混合気体に放電 → アミノ酸,糖,核酸の塩基が生成
○植物の働き
CO2 + H2O
NH3
グルコース
脂肪酸
脂肪
太陽エネルギー
  →
アミノ酸
タンパク質
核 酸
有機化合物
・自家栄養 …自分だけで生きることができる
・他家栄養 …自分だけで生きることができない
○タンパク質 (プロテイン) …生命現象のあるところに存在し、構造を持つ高分子化合物
窒素 N(16%),酸素 O,水素 H,炭素 C
酵素作用,収縮,物質輸送,抗原抗体反応
・変性 …タンパク質の構造が変わる
○ 核 酸 …ヌクレオチド = 有機塩基 + 五炭糖 + リン酸
・DNA (デオキシリボ核酸) :染色体,染色質(遺伝子)
・RNA
(リボ核酸)
:核小体,細胞質基質
○ 脂 質 …脂肪酸を含む化合物
→水に溶けにくい,有機溶媒に溶けやすい,生物体が利用できる
・中性脂質 =細胞組織 …エネルギー源
・リン脂質 =全ての膜 …細胞膜の構造
○多糖類 …細胞質基質,細胞壁(植物)
エネルギーとして貯蔵,細胞質の保護
○生体内の水 …ヒト:60∼70% →溶媒として作用
化学反応
物質を溶かす
物質を輸送
№5 細胞膜の性質と透過性
○細胞膜 …・リン酸脂肪が膜を形成する主要な成分
・厚さ 8∼10nm で物質の出入りを調整
○半透性の浸透
・細胞壁 =全透性の膜 (全透膜) → 全ての物質を透過させる (拡散)
・細胞膜 =半透性の膜 (半透膜) → 水および一部の分子を透過させる
※ 浸 透 …半透膜を通して、水や分子が移動すること
浸透圧 …浸透するときにかかる圧力
○細胞膜と細胞の浸透圧
溶液
細胞の変化
高張液
細胞内の水が細胞外に出て行く
→ 収縮して機能をうしなう
等張液
水の移動がつりあっている
→ 正常な状態を保つ
低張液
細胞内に水が入ってくる
→ 膨張する
○動物細胞と浸透
赤血球 + 低張液 → 膨張してヘモグロビンが流出する (溶血)
※ 生理食塩水 …赤血球に変化をもたらさない NaCl 溶液 [ヒト 0.9%]
○植物細胞と浸透
植物細胞 + 高張液 → 細胞壁から細胞膜が離れる (原形質分離)
↓
植物細胞 + 低張液 → 細胞が吸水して回復する
(原形質復帰)
○選択透過性 …必要に応じて特定の物質を選択して透過させる
○受動輸送 …濃度差があるときに起こり、拡散によって物質が移動する [濃度 高い→低
い]
※キャリアー …膜に組み込まれている輸送体
○能動輸送 …濃度勾配に逆らって特定の物質を移動させる
※Na-,K+ATPase …赤血球の膜に存在し、ナトリウムイオンとカリウムイオンが同時に存在
するときに ATP を分解する酵素
№5 体細胞分裂
※・母細胞 …分裂前の細胞
・娘細胞 …分裂によって新たに生じた細胞
○体細胞分裂 …分裂前後で染色体の数は変化しない
有糸分裂 …染色体,紡錘糸が現れる分裂
無糸分裂 …染色体,紡錘糸の形成がない
中期 後期
前期
終期
M期
G2 期
○減数分裂 …分裂後、分裂前に比べて染色体数が半減
間期
G1 期
S期
細胞周期
○染色体 …遺伝子 (DNA) , タンパク質
※核型 …核分裂中期に染色体が赤道面上に並ぶ。このとき染色体数,形,
大きさなどの特徴は種によって一定である。この特徴のことを
言う。
○相同染色体 …体細胞にはふつう同形・同型の染色体が 2 つずつ含まれている。その対に
なっている染色体のこと。染色体数は 2n で表される。
○細胞周期
・分裂期 (M 期) …前期 → 中期 → 後期 → 終期
・ 間 期 …細胞の形態的変化は見えないが細胞内での物質代謝は盛んに行われている。
G1 期 …DNA 合成準備期
S 期 …DNA 合成期
G2 期 …分裂準備期
○体細胞分裂 …・単細胞生物 → 個体の増加
・多細胞生物 → 細胞が増加し、成長する
核分裂 …染色体の数や形、行動によって 4 期間に分けられる
前 期 …ひも状の染色体が見え始めてから赤道上に並ぶまで
前期の終りには、核小体と核膜が消失し多数の紡錘糸が形成される
染色体はそれぞれ縦に裂けて 2 本の染色分体になる
※星状体 …動物細胞の中心核が 2 つに分かれて両極に移動したもの
中 期 …ひも状の染色体が赤道面上に並んだ時期
後 期 …各染色体の 2 本の染色分体がそれぞれ分かれて両極に移動する時期
染色体は動原体に結びついた紡錘糸に引っ張られるように移動する
終 期 …染色体が極にたどり着くと終期に入る
紡錘糸は消失し、染色体はもとの延びた状態(染色糸)になる
核小体と核膜が現れ、2 個の娘細胞が完成する
細胞質分裂 …普通は娘核の分裂が完成する前に始まる
№6 単細胞生物から多細胞生物へ
○単細胞生物 …栄養活動と生殖活動が同時に行えない
例)原生生物:アメーバ,ゾウリムシ,ミドリムシなど
緑藻生物:クロレラ,クラミドモナスなど
微生物:大腸菌,乳酸菌,結核菌など
○細胞群体 …単細胞生物が集まって連結して生活するもの
例) エリベンモウチュウ,オオフゲマワリ(ボルボックス)
細胞の働きに分化が見られる → 栄養活動と生殖活動が同時に行える
○原始的な多細胞生物 …働きが分化していて、共同にまとまって生活体となっている
例) きのこ,ワカメなどの藻類
※真性粘菌 (変形粘菌) …細胞に分かれておらず、胞子から発芽した無数のアメーバ状
の細胞が合体して多核(変形体)の状態となり、網状に広がっ
ていく
○発達した多細胞生物 …細胞が完全に分化 → 形態と機能を持つ
○ 組 織 …ある構造で機能を持った細胞が密着して一定の生理的機能を持っている
○ 器 官 …いくつかの組織が集まって特定の機能を営み、それが形態的に独立性を持って
いる
№7 植物の細胞
○永久組織
表皮系
表皮組織
維官束系
木部
師部
基本組織系
皮層・髄
葉肉
柔組織
機械組織
柔組織
○分裂組織 …盛んに分裂して細胞を新生させている組織で、細胞壁は薄く液胞が少ない
例)・成長点 (頂端分裂組織)
根,茎の形成 …箱型の細胞
・形成層 (維官束形成層)
維官束の中にあり分裂して内部に木部、外部に師部を作る
…長方形の細胞
・コルク形成層
茎が肥大成長すると外部に押し広げられて傷を受ける。傷を受
けた柔細胞の中の一部の細胞が分解能力を回復してできる二次
的な分裂組織で、コルク細胞をつくる。
№8 動物の細胞
○上皮組織 …体の外表面および消化管や血管の内表の組織で、細胞同士が密着している。
その細胞には分化しているものがある。
例) 皮膚 ―クチクラ層
消化管―分泌組織,吸収組織
腎臓 ―細尿管
○結合組織 …細胞間の結合や連結あるいは体を維持する組織
例)膠原細胞 ― コラーゲン
血球
― 白血球,赤血球,血小板
骨組織,軟骨組織
○筋組織 …動物性細胞からなる組織で細胞質に伸縮性のタンパク質を持っている
例)平滑筋
心筋以外の内臓筋
横紋筋
骨格筋 …多核で随意筋,収縮力は強く疲労しやすい
心 筋 …単核で不随意筋,収縮力は弱く疲労しにくい
○神 経 組 織 …細胞膜の内外に電位差をつくり、細胞外からの刺激に対して反応(興
奮)する性質が発達した細胞をいい、長い突起を伸ばして互いに連絡しあ
い、その興奮を速やかに伝達することができる。この網目状の連絡網のこ
とを言う。
例) ニューロン,グリア細胞
№9 タンパク質の多様性
○タンパク質 …生物の生命現象でアミノ酸を主成分とする → 窒素 N を 16%含む
○タンパク質合成
複製
20種のアミノ酸
→ RNA      → タンパク質
DNA  
※アミノ酸の平均分子量 = 110
○ネズミの代謝回転
ネズミの肝細胞のタンパク質 → 4∼5 日で約 70%が入れ代わる
○生物体を構成するタンパク質
・筋肉 (アクチン,ミオシンなど)
・染色体 (DNA + タンパク質)
・輸送タンパク質
№10
・細胞膜構成成分
・結合組織,骨,軟骨
・酵素 (生体触媒)
・ホルモン (生体調整物質)
タンパク質の構造と性質
○アミノ酸
側鎖
R CH COOH
カルボキシル基
NH
2
アミノ基
R CH C
NH 2
O
OH 水酸基
○ 縮 合 …アミノ酸 A (OH または O)とアミノ酸 B (O または OH)が反応するとき、水 H2O
として離れて結合する反応
○ペプチド結合 …アミノ酸 A の COOH とアミノ酸 B の NH2 が結合して、H2O をつくり
-CO-NH-をつくる結合
○ペプチド …ペプチド結合によってできたもので、そのうち分子量が 6000 以上になるタン
パク質
○タンパク質の構造
・一次構造 …タンパク質は構成するアミノ酸の種類と配列順序がある
・二次構造 …水素結合によって安定している
・α-ヘリックス構造 (らせん構造)
・β-シート構造
(折りたたみ構造)
・三次構造 …タンパク質の分子全体が特有の立体構造を持っている
・四次構造 …三次構造をもつタンパク質が複数個で集合体となってひとつの働きをもつ
分子になっている場合の分子
○タンパク質の形から見た分類
・球状タンパク質 …例)アルブミン,プロブミンなど
・繊維状タンパク質 …例)コラーゲンなど
○タンパク質の変性
三次,四次構造のタンパク質
水素結合,疎水結合,分子間引力,イオン結合 → ゆるやかな結合 (秩序ある構造)
↓加熱,アルコールなど
無秩序の構造 =タンパク質の変性
※一次構造ではおきない
№11
○生体内の生命現象
各種の化学反応 = 代 謝
代謝と酵素
同化:エネルギーの消費
異化:エネルギーの生産
○エネルギー代謝 …吸熱反応と発熱反応がある
○生体エネルギー:ATP …食物から得られる
ATP:アデノシン三リン酸
↓
ADP:アデノシン二リン酸 + Pi + エネルギー
↓
AMP:アデノシン一リン酸 + Pi + エネルギー
○ 酵 素 …タンパク質の一種で生体触媒
基質には結合部位と反応部位がある
※ Pi = 無機リン酸
活性化因子
アポ酵素 [酵素+補酵素]    → ホロ酵素 [完全な働きをする酵素]
※ 補酵素:金属イオン , 活性化因子:ビタミン B 群など
※基 質 特 異 性 …それぞれの酵素は特定の物質にしか作用しない
※ 基質:酵素が働きかける物質
(1)反応速度と温度
(2)反応速度と pH
反応速度
反応速度
低
最適温度
高
酸性
最適 pH
塩 基
○ 代 謝 …生体内の化学反応
呼 吸
単細胞生物:内呼吸 (細胞呼吸・組織呼吸)
多細胞生物:外呼吸 = 呼吸器官が必要 (肺,えら,皮膚,腸)
○血液による酸素の輸送 = 肺:ガス交換 (血液中に酸素が移動すると共に血液中から CO2
が移動する)
※ヘモグロビン (血色素,呼吸色素,Hb) = ヘム + グロビン(タンパク質の一種)
Fe2+ + ポルフィリン
Hb + O2 → HbO2 (酸素ヘモグロビン)
※ 血液
血球:白血球,赤血球,血小板
血清:繊維素,血漿
○二酸化炭素の運搬
(1) 炭酸ガス分圧の高い組織
炭酸脱水酵素
CO2 + H2O → H2CO3  → H+ + HCO3(2) 酸素分圧の高い組織
炭酸脱水酵素
CO2 + H2O ←   H2CO3 ←
 H+ + HCO3(3) Hb-NH3 + CO2 → Hb-NH2-COOH
(4) 物理的に溶解
№12
代 謝
○グルコースの反応
C6H12O6 + 6O2 + 6H2O → 6CO2 + 12H2O + 688kcal
生体では段階的にエネルギーを取り出して、生体エネルギー(ATP)に変換する
○好気呼吸の反応過程
(1) 解 糖
4ATPの生成
グリセルアルデヒド
(2C3)
脱水素酵素 (デヒドロゲナーゼ)
2ATPの消費
グルコース
C6H12O6 (C6)
ピルビン酸
C3H4O3 (2C3)
・解糖においては、1mol のグルコースから 2TAP が生成される
※解糖反応において酸素は必要ない
・解糖での ATP 生成を 基質レベルでの ATP 生成 という
AH2 + NAD+

→
A + NADH + H+
※嫌気的条件
NADH + H + NAD +
乳酸
ピルビン酸
(2) TCA サイクル (クエン酸サイクル)
アセチルCoA (C 2)
[酢酸CoA,活性酢酸]
ピルビン酸 (C 3)
CO2
クエン酸 (C 6)
オキサロ酢酸 (C 4)
2[2H]
CO2
2[2H]
CO2
CO2 2[2H]
(C4)
(C5)
脱水素酵素
※ 2[2H]:AH2 + NAD+   → A + NADH + H+
○ 発 酵 …広義:有機物質が微生物によって代謝されること
狭義:糖質が微生物によって嫌気的に代謝されること
・アルコール発酵
C6H12O6 
→ 2C2H5OH + 2CO2 + 56kcal
グルコース
エチルアルコール
2ATP ほか
・乳酸発酵
→ 2C3H6O3 + 47kcal
C6H12O6 
グルコース
乳酸
2ATP ほか
・酢酸発酵

→ 2C2H5OH + 2CO2 + 56kcal
2C2H5OH 
→ CH3COOH + H2O +56kcal
C6H12O6
エタノール
酢 酸
○チマーゼ …酵母がアルコールを生成するのに必要な酵素群
○ 腐 敗 …微生物が呼吸物質として、タンパク質のような窒素を含む化合物を利用して悪
臭を伴ったり、有毒な物質の生成を伴ったりする場合をいう。
○ミトコンドリアとピルビン酸
※ FAD:酸化型 FAD , FADH2:還元型 FAD
AH2 + NAD+
AH2 + FAD

→ A + NADH + H+

→ A + FADH2
ピルビン酸 (C 3)
NAD+
CO2
NADH + H+
アセチルCoA (C 2)
[酢酸CoA,活性酢酸]
ミトコンドリア
クエン酸 (C 6)
オキサロ酢酸 (C 4)
NADH + H+
NAD+
FADH2
NAD+
CO2
CO2
FAD
コハク酸 (C 4 )
NADH + H+
(C5)
NADH +
H+
NAD+
○ミトコンドリアの水素伝達系
NADH + H +
2H + 2I
NAD +
シトクローム系酵素
ADP + P i
ATP
※ ADP + Pi 
→ ATP :酸 化 的 リ ン 酸 化
酸化的リン酸化は水素(電子)伝達系に共役して反応する
NAD の反応のとき、3ATP の生成
FAF の反応のとき、2ATP の生成
2H + + 2I
№13
ATP

→
生物における ATP 利用
[化学,熱,運動,電気,光]エネルギー
○脂肪とタンパク質の利用
グリセロール
脂 肪
脂
肪
酸

→ 解糖反応

→ アセチル CoA
ピルビン酸
アセチル CoA
タンパク質

→
アミノ酸
α-ケトグルタル酸
コハク酸
オキサロ酢酸
№14
光合成
○光合成 …光エネルギーを利用した代謝 (炭酸同化作用)
緑色植物,光合成微生物が行う
6CO2 + 12H2O + 光エネルギー 
→ C6H12O6 + 6H2O + 6O2
○光合成研究の歴史
・ファン-ヘルモン:植物の成長には水が必要である (ヤナギの苗の実験より)
・プリーストーリー:植物と空気の関係を明らかにした (ガラス鐘を用いた実験より)
・インゲンホウス:植物が酸素を発生させるためには光が必要で、この働きをるのが緑色
の部分である
・ド-ソシュール:植物の成長には二酸化炭素と水の両方が必要である
・
ザックス
:植物に光が当たると有機物質(デンプン)が生成される
○ 葉緑体 …・二重膜構造
・チラコイド (ラメラ) [多数重なるとグラナ]:同化色素を含む
・ストロマ:葉緑体の基質に相当 (膜構造以外),同化色素を含まない
○同化色素
・クロロフィルa:主色素,青緑色,光合成微生物を除く光合成植物
・クロロフィルb:補助色素,黄緑色,ミドリムシ類と緑色植物
※高等植物は クロロフィル a:b = 3:1
・クロロフィルc:補助色素
・カ ロ テ ノ イ ド:補助色素,多くの植物に含まれる
カ
ロ
テ
ン
:黄赤色,Cと H からなる
キサントフィル:黄∼褐色,C と H とOからなる
№15
光合成速度
○光合成速度の関係因子
①光の強さ
・光合成量は光の強さに比例して大きくなる
・光の強さがある程度以上になると、光合成速度は一定になる
・温度が低いと速度は遅くなる
②二酸化炭素濃度
・光合成量は二酸化炭素濃度に比例して大きくなる
・二酸化炭素濃度がある程度以上になると、光合成量は一定になる
・二酸化炭素濃度が低いと、光合成量は小さくなる
③温度
・光が弱いと光合成量はあまり温度は関係しない
・光が十分に強いときには、温度と共に光合成量も大きくなるが、ある程度以上高温に
なると光合成量は急激に低下する
○ブラックマンの法則
『光の強さ,二酸化炭素濃度,温度などが限定因子になる。これらの中で最も悪いよう条
件によって光合成速度は支配される』
№16
○補
償
光合成と呼吸
点 …呼吸によって排出される二酸化炭素量と、光合成によって吸収される二酸
化炭素量が等しくなるところ
○光飽和点 …光の強くしても、それ以上二酸化炭素が吸収されない(光合成速度が一定にな
る)状態の始めの光の強さ
真の光合成量 = 見かけの光合成量 + 呼吸量
○ヒルの実験
『葉緑体と、水素を受け取りやすい物質を同じ液に入れて、光を当てると、H2O が分解して
H は水素受容体と結合して、O2 が発生することを発見した』
○カルビンの実験

→
放射性元素 14C:14CO2
有機物質:グルコース(ブドウ糖)
○カルビン・ベンソン回路
ATP
2C3
2CO2
NADH + H +
ADP
C5
NADP +
C6
グルコース

→
デンプン
○明
反
[クロロフィル a などの同化色素]
応:光化学反応系
+
12H2O + 12NADP + ADP + Pi
○暗
反

→ 12NADPH + H+ + 12ATP + 6O2
応:酵素化学反応系
12NADPH + H+ + 12H+ + 6CO2 + 6ATP

→
C6H12O6 + 6H2O + 6ADP + Pi
◎光合成の全体反応
6CO2 + 12H2O + 光エネルギー 
→ C6H12O6 + 6H2O + 6O2
№17
細菌の炭酸同化作用
○光合成 → 光合成細菌, 紅色硫黄細菌, 緑色硫黄細菌
※紅色硫黄細菌:6CO2 + 12H2S + 光エネルギー

→
C6H12O6 + 6H2O + 12S
○化学合成

→ 2NO2- + 4H+ + 2H2O
菌:2NO2- + O2 
→ 2NO3- + 化学エネルギー
菌:2H2S + O2 
→ 2S + 2H2O + 化学エネルギー
・亜硝酸菌:2NH4+ + 3O2
・硝
酸
・硫
酸
№18
窒素同化作用
○窒素同化作用 …地中に存在する硝酸イオン(NO3-)やアンモニウムイオン(NH4+)などの無
機窒素化合物から、タンパク質合成の材料となるアミノ酸をつくる働き
①窒素の吸収と還元:NO3- → NO2- → NH4+
②アミノ酸の合成
NH4
グルタミン酸
グルタミン
グルタミン酸
α-ケトグルタル酸
各種の有機ケト酸
アミノ酸
核酸・タンパク質など
アミノ基置換反応
№19
空中窒素の固定
○窒素固定 …空気中の約 80%は窒素である。これを、窒素同化の窒素源として利用できれ
ば、窒素の入手は非常に簡単になる。しかし、空気中の窒素を直接利用でき
るのは、細菌類やラン藻類だけで、植物にはその能力はない。このような生
物が、空気中の窒素を用いて、窒素同化に必要なアンモニアをつくること。
○根粒菌 …マメ科植物の根粒に存在
○独立した窒素固定細菌:・アゾトバクター …好気性菌
・クロストリジウム …嫌気性菌
・ラン藻類 …ネンジュモなど
№20
生殖の方法
○ 生 殖 …生物が同じ特徴または同じ種類の新しい個体をつくる働き
○無性生殖 …配偶子を作らないで生殖を行う、性と関係ない生殖法で親の一部から新しい
個体が形成される
→親と子の遺伝形質がまったく等しい = 新しい環境に対応する適応
性に欠ける
・分 裂 …体が 2 つ以上に分かれて新しい個体を形成する
例) ミドリムシ,アメーバ,ゾウリムシ
・出 芽 …細胞や個体(母体)の一部がしだいに大きくなって分かれ,新しい個体を形成
する
例) 酵母菌,ヒドラ,カイメン
・胞子生殖 …胞子という無性的な生殖細胞を作って、新しい個体を形成する
例) コケ類,シダ類,藻類
ミズカビなどの胞子を特別に「遊走子」という
・栄養生殖 …高等植物の栄養器官の一部から新しい個体を形成する
例) むかご,走出枝,塊茎
○有性生殖 …性の区別のある生殖細胞(配偶子)が合体(接合,受精)して新しい個体を形成す
る
・両性生殖 …雄雌の配偶子が合体して新しい個体を形成する
親世代の遺伝子を受け継いで、新しい遺伝子の組み合わせをもつ
→ 遺伝に多様性がある = 新しい環境に対する適応性に優れる
・接 合
同形配偶子結合:相反する性質を持った配偶子の大きさや形が同じもの
例) アオミドロ,シオグサ
異形配偶子結合:相反する性質を持った配偶子の大きさや形が同じもの
例) アオサ,ユーグレナ
・受 精
雌性配偶子:移動しない,栄養分を持っている,大きい
雄性配偶子:移動する
№21
,栄養分を持たない ,小さい
生殖細胞の形成
○細胞分裂の種類
・無糸分裂 …染色体や紡錘糸をつくらず、単純にくびれて 2 分する分裂。病的な細胞に
多い
・有糸分裂 …染色体や防水糸の糸状構造が明らかに認められる分裂
○体細胞分裂 …単細胞生物では自己増殖,多細胞生物では成長期に盛んに行われる
核分裂と細胞質分裂が見られる,染色体数は 2n→2n
○減数分裂 …生殖細胞の形成
第一分裂…染色体数 2n→n
前期:染色体と紡錘糸の形成,核膜と核小体の消失
中期:縦裂した染色体が赤道面上に並列する
後期:染色体の 2 分,両極への移動
終期:核膜と核小体が出現し新しい核の形成
第二分裂…染色体数 n→n
前期:=第一分裂の終期
中期:各染色体が赤道面上に並ぶ
後期:各染色体が縦裂して、両極に移動する
終期:核膜が生じて細胞質分裂が起こる
○減数分裂での DNA の相対変化
4
D
N 3
A 2
量
1
0
間期
G1 期 S期 G2 期
減数分裂
第二分裂
第一分裂
前期 中期 後期 終期 前期 中期 後期 終期
細胞1個あたりのDNA量
核1個あたりのDNA量
№22
動物の生殖
○精子形成
始原生殖細胞 (2n) → 精原細胞 (2n) → 一次精母細胞 (2n)
→ 二次精母細胞 (n) → 精細胞 (n) → 精子
尾部 (鞭毛)
中片
頭部 (核)
中片 = ミトコンドリア
○卵形成
始原生殖細胞 (2n) → 卵原細胞 (2n) → 一次卵母細胞 (2n)
→ 二次卵母細胞 (n)
第一極体 → 卵
第二極体 → 消失
第二極体 → 消失
卵
○ 受 精 …多くの哺乳動物が行う
卵:第二分裂中期で分裂が停止 → 排卵
→ 精子の侵入が刺激となって分裂が再開
※極体は動物極から外に出される
・受精の過程 (例:ウニ)
①精子は卵が分泌する受精素に誘引されて、卵の表面までくるとその頭部の先端にあ
る先体を糸状に変化させて卵に結合する。
②そして、静止が卵の中に侵入するとその場所を中心として卵の表層の性質が急に変
化して、第二以後の精子の侵入を防ぐ。それとともに、精子侵入点の卵表から受精膜
が持ち上がり、やがて卵表面から離れて卵を取り囲む。受精膜には発生初期の胚を保
護する働きがある。
③卵の中に侵入した精子は、尾部を切り離して 180 度回転し、中片は星状体を形成する。
頭部は精核となり、星状体を先頭にして卵核へと近づいていく。
④卵核と精核が融合して融合核となり、受精が完了する。
№23
植物の生殖 (被子植物)
①花粉の形成
減数分裂
花粉母細胞 (2n)  → 花粉四分子 (n):それぞれの細胞を未熟花粉と呼ぶ
 → 一つの未熟花粉
  → 雄原細胞 & 花粉管細胞
②胚嚢の形成
減数分裂
胚嚢母細胞 (2n)  → 胚嚢細胞 (n):4 つの細胞のうち 3 つが消失
大きい細胞のみが残る
  → 胚嚢細胞が 3 回分裂し、8 個の核が存在する
卵細胞
卵 細 胞 (n) ×1
助細胞
助 細 胞 (n) ×2
核極
反足細胞 (n) ×3
中央細胞
中央細胞 (n) …2 個の核極が存在
反足細胞
※細胞としては一つである
○珠 孔 …花粉管が侵入するところ
※珠孔のある側に卵細胞がある
№24
重複受精
○重複受精 …被子植物のみが行う
・花粉:雄原細胞×1 → 雄原細胞×2
↓
花粉管核
胚嚢の珠孔に花粉管が伸びて達する
↓
花粉管の先端が破れて 2 個の精細胞が胚嚢のなかに入る
卵細胞(n) + 精細胞(n) 
→ 受精卵(2n)

中央細胞(n + n) + 精細胞(n) 
→ 胚乳(3n)
細胞分裂
・胚 
→ 幼芽・子葉・胚軸・幼根の形成
有胚乳種子 …胚乳が形成される種子
例) カキ,ムギ,イネ
無胚乳種子 …胚乳が子葉に急須湯されて蓄積される種子
例) エンドウ,クリ,ダイコン
○種子の発芽と成長
1) 細胞分裂が進んで種子が完成すると一旦、代謝は低下して休眠状態に入る
2) 発芽の条件
a)
水:酵素の活性化
b) 温度:酵素の活性化,代謝の活性化
c) 空気:好気呼吸の促進
→
代謝の開始
(成長の開始)
→発芽
低温要求種子:例)リンゴ,ナシ
光発芽種子
:発芽するとき光がないといけない種子
例)タバコ,レタス
№25
①コケ植物
配偶子(n)
雄株
雌株
胞子嚢
胞子 (n)の形成
↓
原糸体 (n)
生物の集団と環境
造精器 (精子(n))
造卵器 (卵細胞(n))
↓
受精 (2n) → 受精卵
↓
胞子体 (2n) …配偶子から離れずに栄養分を受けて
減数分裂
成長しつづける
雄株
雌株
●コケ植物 …配偶子が主で、胞子体は配偶体に寄生している。
維管束を持っておらず、陸上への適応性が低い。
②シダ植物
配偶体 (n)
同じ配偶体に造精器と造卵器が形成され、胞子体は大きく成長する
●シダ植物 …胞子体が大きいが、配偶体も独立生活する。
維管束を持っているが、受精には水が必要である。
③種子植物
●種子植物 …胞子体が非常に大きく、発達している
配偶体は胞子体に寄生する
世代交代には核相の変化を伴う
№26
動物の発生
①発生の過程
1)
胚 …多細胞生物の卵が受精してから発生を始め、独立生活ができるようになるまで
の幼体をいう(胎生の動物では胎児という)
2) 卵割 …動物の発生初期の特殊な体細胞分裂
※間期に DNA の合成は起こるが、細胞質の増加は起こらない
3) 卵の種類
等黄卵 …卵黄量が少なく、均等に分布
等割
例)ウニ,哺乳類
端黄卵
卵黄量が植物極側に偏って分布
不等割
例)両生類
卵黄量が極端に多く、偏在している
盤割
例)魚類,鳥類,爬虫類
心黄卵 …卵黄量が卵の中心部に集中
表割
例)昆虫類
4) 卵割の種類
卵割
全割
等割
…卵全体で卵割が起こり、割球の大きさが等しい
不等割 …全割だが動物極側の割球が小さくなる
部分割
盤割
…動物極側の一部で起こり、割球が盤状に配列して胚盤を
形成する
表割
…卵表面でのみで起こり、娘核が卵表面に移動する
5) 旧口動物
…原口の部分が口になる動物
例) 環形動物,軟体動物,節足動物
6) 新口動物
…原口の部分が肛門になって、原腸が伸びてきて外胚葉に接した個所に口ができる
例) 脊椎動物,棘皮動物
7) 神経胚後期
…胚葉の分化
・外胚葉 …表皮,神経管
・中胚葉 …脊索,体節,賢節,側板
・内胚葉 …腸管の内壁
②ウニの発生
1) 第一卵割 [2 細胞期]
受精卵が縦に割れる(=経割)。胚の外側には受精膜がある
2) 第二卵割 [4 細胞期]
もう一度経割し、4 個の割球になる。
3) 第三卵割 [8 細胞期]
赤道面で割れて(=緯割)、大きさの等しい 8 個の割球になる。
4) 第四卵割 [16 細胞期]
5) 第五卵割 [28 細胞期]
6) 第六卵割 [桑実胚期]
割球の大きさに大小の差がある。内部は卵割腔という腔所がある。
7) 第七卵割 [胞胚期]
卵割腔が大きく発達して胞胚腔ができる。繊毛が伸び出てくると、回転移動する
と共に、酵素を分泌して受精卵を破る(=孵化)
一次間充織が見られる。
8) 第八卵割 [初期原腸胚期]
植物極付近に原口ができ、そこから胞胚腔へと陥入が始まる。
9) 第九卵割 [後期原腸胚期]
原腸の先端の細胞が遊離して、二次間充織となる。
陥入が進んで、内部に原腸,入り口に原口ができる。
10) 第十卵割 [プリズム期]
一次間充織から骨片ができる。
外胚葉,中胚葉,内胚葉が分化する
11) 第十一卵割 [プルテウス幼生期]
原腸の先端が外胚葉と接して通じ、口となる。
原口が動物となる。
③器官の形成
1) 器官の形成
胚葉の分化 → 器官形成
2) 前成説と後成説
1881 年 ルー (独)
カエルの卵のみ細胞期のものを使用して、一方の胚を殺す
→ 神経細胞 … 前成説?
1891 年 ドリーシュ (独)
ウニの卵の 2 細胞期または 4 細胞期の割球をバラバラにする
→ いずれの割球からも完全な幼生 … 後成説
まとめ
ルーの実験では殺した細胞を離すと、生き残りの胚は完全な幼生になる
→ 前成説 ×
ドリューシュの実験で赤道面で動物割球と植物割球とに分割すると不完全な
幼生になる
→ 後成説
3) モザイク卵
卵割期に、既に胚の各部分の運命がモザイクのように決められている卵
4) 調節卵
分化の決定時期が比較的遅く、発生の早い時期に各割球をぶな K つしても各部分
の分化が調節されて完全な固体が生じる卵
④胚の予定域
1) 胚の予定域
1926 年 フォークト
局所生体染色法 … イモリの初期胞胚
2) 予定域の決定時期
1921 年 シュペーマン
交換移植 …イモリの原腸胚
初期原腸胚
後期原腸胚
移植片
予定神経域
予定表皮域
予定神経域
予定表皮域
→
→
→
→
移植場所
予定表皮域
予定神経域
予定表皮域
予定神経域
分化
表皮
神経
神経
表皮
3) 形成体の発見
1924 年 シュペーマン
原口背唇部 → 卵割腔に移植
4) 形成体 (オルガナイザー)
未分化の組織に働きかけて、それを特定の組織に誘導する組織
№27
遺伝の法則
①メンデルの法則
1) メンデルの法則
1865 年 メンデル
『植物雑種に関する研究』
遺伝の仕組みを証明する因子(遺伝因子)を仮定
2) 形質 … 生物個体の特徴となる個々の形や性質のうち、子孫に伝わるもの
a)
表現型形質 :表面に現れる形質
b) 遺伝子型形質:表現系を支配している因子の組合せ
3) 対立形質
種子の形が丸形・皺形のように、互いに対をなす形質
4) 対立遺伝子
対立形質を伝えるそれぞれの遺伝子
②一遺伝子雑種の研究
1) 一遺伝子雑種
一対の対立形質だけに着目して作った雑種
2) 自家受精
同じ個体内の配偶子どうしまたは同じ花の中で受精させる
3) 交雑 …遺伝子の異なる 2 個間の交配
4) 優性 …雑種第一代に現れる形質
5) 優勢の法則
『優勢と劣性の対立形質を持つ純系の 2 個体を親として交配すると、
雑種第一台には、優性形質だけが現れる』
6) 分離の法則
『個体が配偶子を形成するとき、個体が持つ対立遺伝子は
分かれて別々の配偶子に入る。
』
→ 雑種第二代の表現型の分離比 = 3:1
7) 接合体
a) ホ モ 接 合 体:同じ遺伝子の組合せを持つ個体
b) ヘテロ接合体:異なる遺伝子の組合せを持つ個体
8) 相同染色体
一つの核の中に、大きさと形が全く同じ 2 本の染色体が対を成して存在
9) 検定交雑
表現型が劣性形質の個体は必ずホモ接合対である。しかし、表現型が優性形質の
個体は、ホモ接合体かヘテロ接合体が有り、外見からは区別できない。それを調べ
るために劣性のホモ接合体と交雑させること。
↓
子がすべて優性形質の場合 …優性ホモ接合体
子が優性:劣性=1:1 の場合 …ヘテロ接合体
③二遺伝子雑種の研究
1) 二遺伝子雑種
2 対の対立遺伝子に注目して、交配してできた雑種
2) 独立の法則
『個体が配偶子を形成するとき個体が持つ対立遺伝子は別れて別々の配偶子に入る』
④いろいろな遺伝現象
1) 不完全優性
遺伝子間での優劣関係が不完全になるために起こる現象
2) 複対立遺伝子
3 種類以上の遺伝子が互いに対立関係にある遺伝子
例) ABO 式血液型の遺伝
4) 致死遺伝子 … 遺伝子がホモ接合体になると致死作用を表す遺伝子
5) 補足遺伝子
独立に遺伝する 2 対の対立遺伝子が補足的に働いて一つの形質を発現させる場合の
両遺伝子
例) 系統の異なる白いのスイートピーを交配
→ F1 ではすべて紫花 → F2 は 紫:白 = 9:7
※これは色素源をつくる遺伝子(C)と色素源を色素に変える遺伝子(P)が
共存するときだけ紫色[CP]になり、他は全て白色になるからである。
6) 抑制遺伝子
独立に遺伝する 2 対の対立遺伝子のうち、一方の優性遺伝子がもう一方の優性遺伝
子の働きを抑制する場合に前者の遺伝子を言う。
例) 白繭をつくるカイコガ(IIyy)と
黄繭をつくるカイコガ(iiYY)を交配
→ F1 はすべて白繭(IiYy)
→ F2 は 白:黄 = 13:3
※これは黄色を発現する遺伝子(Y)の働きが、色の発現を抑える遺伝子(I)
によって抑制さたからである。
№28
遺伝子と染色体
①メンデル遺伝子と染色体
1900 年 ド・リーフス,コレンス,チェルマク,(外山亀太郎)
メンデルの法則を再発見
1903 年 サットン
減数分裂の研究
メンデルが提唱した遺伝因子と染色体が一致することに気付いた
(=染色体説)
1926 年 モーガン (米・遺伝子工学者)
ショウジョウバエの研究
遺伝子は染色体上に有り、一定の配列である (=遺伝子説)
②性染色体と遺伝子
1) 性染色体
性を決定するための染色体
2) 常染色体
雌雄に共通な染色体
性決定の型
雄ヘテロ
XY 型
XO 型
雌ヘテロ
ZW 型
ZO 型
※WXYZ で表す
※A で表す
性
♀
体細胞
2A+XX
受精卵
2A+XX (1/2♀)
♂
♀
2A+XY
2A+XX
2A+XY (1/2♂)
2A+XX (1/2♀)
♂
2A+X
2A+X
♀
2A+ZW
2A+ZW
(1/2♀)
♂
2A+ZZ
2A+ZZ
(1/2♂)
(1/2♂)
♀
2A+Z
2A+Z
(1/2♀)
♂
2A+ZZ
2A+ZZ
(1/2♂)
決定因子
例
雄性
哺乳類
高等植物
雄性
昆虫
雌性
鳥類
爬虫類
雌性
ヒデナガトビケラ
3) 伴性遺伝
雌雄に共通している性染色体にある遺伝子による遺伝
形質の現れ方が雌雄によって異なる
№29
遺伝子の連鎖と組換え
①遺伝子の連鎖
1) 連鎖
形質が異なるものが同じ遺伝子にある場合
2) 完全連鎖
ある染色体上で連鎖している 2 対の対立遺伝子について見た場合、それらの遺伝子
間の距離が短いときには連鎖が完全で、遺伝子の組換えが起こらない。
3) 乗換え
交差が起こると、交わった部分で切れて相同染色体の一部を交換し合う場合
4) 組換え
乗換えに伴って遺伝子の組合せが変化すること
5) 組換え価
ある生殖母細胞内の同一染色体に連鎖している 2 個の遺伝子が減数分裂時に染色体
の乗換えによって組換えを起こす場合
組換えによって生じた個体数
× 100
組換え価(%) =
検定交雑によって得られた総個体数
②染色体地図
1) 遺伝学的染色体地図
遺伝子の組換え価をもとにしてつくられたもので、モーガンらによって考案され
た。連鎖する遺伝子の組換え価が、遺伝子間の相対的な距離を表すことに気付いた
モーガンらは、キイロショウジョウバエノ染色体に連鎖する多くの遺伝子間の距離
を求め、遺伝子の相対的な位置を決めることでこの地図を作成した
※三点交雑法
1926 年モーガン。同一染色体上にある 3 つの遺伝子の組換え価をもとにそれらの
配列順序と位置関係を調べる方法
2) 細胞学的染色体地図
遺伝子が、実際の染色体にどのように位置しているのかを示した染色体地図