しがだい41_p.6-7 白井重樹

滋 賀 大 学
の
い ま
地域教育支援活動について
本学部の教員が地域の教育課題の
解決に向けて大活躍
教育学部教授 白井 重樹
教育学部では、地域の教員養成・研修の中核的責任を担い、教
プログラムをリンクさせ、学生が現職教員の勤務校で指導を受
ける理科支援生制度を設けるなど、滋賀県及び県内各市教育委
は、毎年40数件(平成26年度は48件)に上っており、それぞれの地
員会の連携協力を得て実施できているものです。
域や学校の教育課題を受けて、
そのテーマは教科指導だけに限ら
これまでに養成した認定CSTは33名(26年度末には37名の見
ず、特別支援教育、幼児教育、進路指導、情報教育、環境教育等と、
込み)で、認定CSTによる現職教員を対象とした理科研修会は毎
教育現場の多様な課題を反映して幅広いものとなっています。
年度50回、年間受講者数は1,000名にも上っています。また、学
また、各教員が地域へ直接出向いて児童生徒や教員を指導す
生対象の准CSTも平成25年度末で13名輩出しており、認定CSTと
る出前講義、地域の学校園が取り組む校内研究に出向いて指導
ともに滋賀の理科教育を大きく躍進させる時期が間近に迫って
する学校支援、キャンパスを訪れる高校生を直に指導する高大
います。本年度
連携講座、高校生を対象とした教職探究に関連した数種の取り
から初等理科専
組み(講座、フォーラム、サテライト・レクチャー、高校別レク
攻を新設する学
チャー)は、教員需要が高止まりで推移している滋賀県の教員需
部改組が行わ
給バランスを確保する上からもニーズに応える活動であり、もう
れました が 、こ
一つの教員養成 となっています。
の取り組みが高
小学校省察会
このように、本学部
く評価されたも
らの体系的な実習科目や発展実習によるインターンシップを、
メ
が地域と連携して展
のといえます。
ンタリング、報告会、訪問指導を組み合せながら、学生への相談
開している地域教育
また、睡眠を
対応や指導を行っています。
また、学生が独自に取り組む学校支
支援の取り組みは、
うまくとることの大切さを啓発する睡眠教育を、高島市、大津市、
援ボランティアにも、指導と相談活動を続けています。
地域の教育振興に大
草津市などと進めてきました。中でも幼児への指導にあたって
おはよちゃん
育委員会や学校園等との連携をさらに深めるために、地域教育支
これらの 活 動
きく寄与しており、地
は、発達段階を何よりも考慮し、マスコットキャラクター おはよ
援機能を拡充・強化し、地域の中核的教員養成学部としての充実・
は、学生にとっては
域からの期待も大き
ちゃん のぬいぐるみを制作し、登園指導や集いの場で活用しな
発展を目指してきました。
これまでに、本学部附属教育実践総合
教師力を高める絶
くなっています。
センターに地域連携研究部門を整備し、地域教育支援室がその
好の機会であると
開してきました。大学での研究を、子供たちの日常生活の改善に
窓口となって学部横断的に取り組む地域教育支援のコーディネー
ともに 、学 生 の 力
役立てるための工夫の一例として、キャラクターの おはよちゃ
ターとしての役割を充実するとともに、教育委員会や学校園等と
は学校の活性化に
ん が呼びかけている活動は大変意義深いと感じています。
の連携の強化を通して、地域教育支援の充実を図ってきました。
一役も二役も買っ
以下に、地域教育支援活動のいくつかについて紹介します。
スクールサポート活動
教職探究フォーラム
ています。
本学が進めてきた地域教育支援の取り組みは、滋賀県及び市町
教員を目指す学生たちが、実践的指導力の基礎を養うため
教育委員会をはじめ、各学校園や教員との距離を近くし、各取り組み
に、地域の公立学校の協力を得て学生が恒常的に学校での教育
CST認定式後の集合写真
活動に参加できる取り組みを進めています。
を通じて人的なネットワークも大きく広がり、大学の資源に期待され
るものが増大してきています。いずれもこれまでの本学部が学部横
中でも、
「石山プロジェクト」
では学部に隣接している石山学区
の幼稚園・小学校を中心に、授業の指導補助として参加していま
す。子どもや学校の実情を体験的に理解し、月1回の省察会や
学期末の報告会を通して実践知を仲間と共有し、実践と理論の
往還の場としています。
「栗東・守山プロジェクト」
では、1回生か
がら、早寝早起きなどの基本的生活習慣を意識づける指導を展
成果と課題
学生を地域の学校へ
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委員会からの受講者の推薦を基本とし、学生と現職教員の養成
滋賀県、県内市町教育委員会及び学校園等と連携した共同研究
幼稚園省察会
地域教育支援活動のいろいろ
業支援終了後も継続して取り組んできました。校長や市町教育
石山プロジェクト報告会
断的に取り組んできた地域連携の成果の現れであるといえます。
滋賀大学発の地域教育支援活動が、
滋賀の教育を躍進させる
我が国の教員養成は、今日大改革のときを迎えています。
この
科学技術振興機構(JST)からの委託(平成21∼24年度)を受
更なる強化・拡大にあるといっても過言ではありません。関係各
けて始めたコア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成事業を、事
位のなお一層のご支援、
ご協力をよろしくお願いします。
荒波を乗り越え、地域に根付いた本学部の将来は、地域連携の
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