141223 チャミノガ

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チャミノガ
「ミノムシ」と言えば、すっかり葉を落とした冬の木の枝で、風に吹かれてゆらゆらと
揺れている姿を想像しますが、これは最も大型で一般的な「オオミノガ」のイメージです。
ミノムシ(ミノガ科のガの幼虫)は、日本に 20 種類以上生息しているそうですが、その中で
よく見かけるのは先の「オオミノガ」と、同様に大型の「チャミノガ」の2種ですね。
オオミノガは、個体数がかなり少なくなっていますが、これは 1990 年代後半くらいから、
外来種の「オオミノガヤドリバエ」に寄生される個体が激増したためだと言われています。
一方「チャミノガ」の方は、「オオミノガ」のように木の枝にぶら下がって揺れている…、
という越冬スタイルではないために、気づかれないケースも多いようです。
それでは、どのようなスタイルで越冬するのかと言えば……、
枝に対して「45 度」くらいの角度でしっかりとくっついており、風で揺れることもありま
せんし、「ミノ」は細い枝で覆われていますので、枝の一部のように見えなくもないですね。
ちなみに、前記の2種のミノムシを含め、ほとんどの「ミノガ」の雌は生涯、ミノの中でイ
モムシの体型で過ごすのです。(翅も生えません…)
羽化して飛ぶことの出来る雄が、雌の居るミノまで飛んできて交尾、雌はミノの中で産卵後、
卵が孵化する前に干からびて死んでしまい、ミノの穴から地面に落ちてしまうのです…(T_T)
孵化した幼虫はミノから外に出て、糸をのばして垂れ下がり、風にのって別の枝や葉に飛ん
でいきますが、大きく成長した頃には冬も間近、ミノムシは越冬の準備にかかるのですね。
昔、ミノムシは鬼の捨て子で、秋風の吹くころになると「父よ、父よ」と鳴くものだ、と考
えられており、清少納言は「枕草子」の中に、
「みのむしいとあはれなり、鬼の生みたりければ…」「風の音を聞き知りて八月ばかりにな
れば、『ちちよちちよ』とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり」
と書いています。
ミノムシが、粗末な着物を着せられた子どもの姿と重なって見えたのでしょうね。
もちろんミノムシは鳴きませんので、今では「チチチ…」と鳴く「カネタタキ」と間違えた
のではないかと考えられています。
■写真①∼④:
チャミノガ(幼虫)
◆秋になるとミノの上端を枝に固着させ、開口部を閉じて越冬します。
◆翌春ふたたび口を開いて摂食して5月ごろ蛹化、成虫は 6、7 月に羽化します。
■写真⑤∼⑧:
チャミノガ(幼虫)※ 8/30 撮影
◆名称から可愛らしい印象を持ってしまいますが、結構グロテスクな幼虫ですね……。
◆まだ枝には「仮止め」の状態で、巣ごと移動しながら旺盛な食欲?で葉を食べていますね。