開催結果の概要

なかのライフサポートビジネス創造塾 第5回テーマ別セミナー
実施日
平成 27 年10月28日(水)19 時 00 分~21 時 00 分
実施場所
中野区産業振興センター 3階 会議室
テーマ
「資金調達方法、収支計画策定、起業・開業手続き」
講師名
和田 夏彦 氏(西武信用金庫 業務推進企画部 推進役)
講師プロフィール
地域金融機関において実効性のある 「お客様支援センター」 の実現に向けて課題解決力向上に
努めている。
内
容
起業(個人・法人)する際に必要な資金調達方法、収支計画策定、起業・開業事務手続等、
実践的な知識を学ぶ。
参加者数
24 名
<第5回テーマ別セミナーの流れ>
18:30
受付開始
19:00
開会・事務連絡
19:08
なかのライフサポートビジネス創造塾
第5回 テーマ別セミナー「資金調達方法、収支計画策定、起業・開業手続き」
講師:和田 夏彦 氏(西武信用金庫 業務推進企画部 推進役)
チューター:月原 弘 氏(月原経営研究所 代表)
講義
19:55
休憩(10分)
20:05
講義
質疑応答
21:00
セミナー終了
名刺交換・あいさつ
21:30
退出
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第5回テーマ別セミナー 「資金調達方法、収支計画策定、起業・開業手続き」
【講 師】
和田 夏彦 氏(西武信用金庫 業務推進企画部 推進役)
【添付資料】 資料 ① 第5回セミナー配布資料(アーカイブ用抜粋版)
資料 ② 創業計画書(様式)
【セミナーの流れ】
起業(個人・法人)する際に必要な資金調達方法、収支計画策定、 起業・開業事務手続き等、実践的な知識を
学ぶ講義。予定を変更し、最初に収支計画、開業手続き、国などの支援制度の紹介を行い、後半は資金調達方法につ
いて重点的に講義。※添付資料①2ページ本日の内容から、講義順を下記のように変更。
(5) 収支計画の策定について
(6) 開業に伴う手続きについて
(7) その他国等支援制度について
(1) 資金調達の方法を検討する
(2) 現在の起業・創業を取巻く環境
(3) 補助金・助成金について
(4) 金融機関からの借入
□(5)収支計画の策定について(資料①p19~24)
①自分で説明のできる数値計画を作ろう(資料① p20)
業種ごとの平均値は、ネットなどでも検索できるが、それを鵜呑みにしない。あくまで参考に留め、自身で考え根拠ある
数 値を挙げること。例えば、飲食店でも形態は様々で、必ずしも業界平均があてはまるわけではない。規模、雇用内容に
より人件費等も変わってくる
②経費は固定費、変動費を考えて(資料① p21)
固定費(売上や仕入の規模に関わらず一定の金額が発生する費用)と 変動費(売上に比例して発生する費用)は
分けて考えること
③4 つの利益を意識する(資料① p22)
4つの利益とは、売上総利益(粗利)、営業利益(売上総利益から販管費を控除)、経常利益(営業利益に営業
外収益を加え、営業外費用を控除したもの)、当期純利益(経常利益に特別損益を加減し、各種税を控除)のこと。
それぞれの数字から、違った側面の企業活動の状態が判断できる
※金融機関は、黒字か赤字か、赤字の場合はその理由を必ず聞くので、数字とその根拠を意識して計画を立てること
□(6) 開業に伴う手続きについて(資料① p23~29)
○運営主体について(資料① p23~24)
・運営主体は 大きく分けて個人事業主と法人の 2 種類。 どちらを選択するにも一長一短がある
・法人と個人事業主、それぞれの開業手続きの違い等(資料① p25~27)
・各運営主体に共通の開業の手続き等(資料① p28~29)
※開業手続きに関してはネット等でも容易に調べることが可能。手続きの担当窓口でも教えてくれる
※業種により関係諸官庁への手続きが必要な場合がある。融資の際にも許認可のチェックがある
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□(7) その他国等支援制度について(資料① p30)
現在、いろいろな機関が支援をしてくれる。中小企業、その中でも創業者には、ヒト・モノ・カネ・情報が潤沢にあるわけでは
ないので、このような支援機関による支援を活用するといい
○補助金や助成金以外の支援や制度
・小規模企業共催制度: 中小企業・個人事業主の退職金に充当できる積立金。途中でやめることもできる。積立金を担
保にして融資を受けることも可能
・ミラサポ( 中小企業庁が運営する、中小企業・個人事業主をサポートする情報提供サイト): 3 回まで無料の専門家
派遣制度(2015 年は予算終了)や 補助金情報の掲載など。補助金の電子エントリーも可能
・経営革新等支援機関制度(認定支援機関): 経済産業省と金融庁が認定。中心は税理士で全体の 7 割、銀行等
金融機関もほとんどが認定を受けている。課題に関して相談を受けてもらえ、個別機関で解決できない 場合はよろず支援
拠点で対応。補助金申請の際にも認定支援機関の関与が条件の場合もある
・エンジェル税制: 創業して間もない企業へ投資を行った者に対して税制優遇を行う制度。経済産業局に申請した投資
家、ベンチャー企業など
・その他の支援機関: 商工会・商工会議所、 各エリアの産業振興公社・産業振興財団、 民間インキュベーション施設等
□(1) 資金調達の方法を検討する (資料① p3~4)
・資金調達の方法には、自己資金と補助金・借入・出資等外から調達する方法がある
・自己資金には、返済の必要や金利負担もなく、使い道は自由というメリットがあるが、一方、 資金量が限られ、事業清算を
した場合に自分の資産を失う可能性があるというデメリットがある
□(2) 現在の起業・創業を取巻く環境(資料① p5~7)
日本では、現在、企業数が減少し、開業率も低いことから、国を中心として創業を支援する施策が打ち出されている
①日本の事業者数
(資料① p5)
・日本は事業者数が減少している。※表中の“事業者”には個人・法人共に含む
②日本の開廃業率 (資料① p6)
・日本の開廃業率が 5%前後なのに対して、欧米の開廃業率は 10%を越えている
※廃業届を出さずに休眠状態にしているケースも多いと思われ、実際の廃業率はもっと高いとも考えられる
・国は、2014 年 6 月発表の「日本再興戦略」で、「開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベルの開・廃業率
10%台を目指す。」、「2020 年までに黒字中小企業・小規模事業者を 70 万社から 140 万社に増やす。」 と目標
を掲げ、そのための創業支援施策が打ち出されている
③国を中心とした創業向け施策 (資料① p7)
・ 起業・創業者向けの補助金制度創設、 第二創業(新事業展開)への支援により、事業の新陳代謝促進。 国による市
区町村に対する創業支援策 として、創業スクールの開催や特定創業支援の認定などを行っている
□(3) 補助金・助成金について (資料① p8~13)
○補助金と助成金の違い
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国の場合は、申請者のうち良いものから順番に採択する競争的資金を補助金、一定の要件を満たし早いもの順に交付さ
れる資金を助成金と区別している。東京都の場合は助成金と呼んでいても(たとえば「東京都の創業助成金」)、採択
を伴う競争的資金である。要件は、個別に確認すること
○補助金の申請から終了までの流れと注意点(資料① p8~9)
・補助金の申請から実際にお金がおりるまでの流れは複雑であるが、非常に重要なので覚えておくこと
・補助金は公募時期が決まっており、資金がおりるまでに時間がかかる。また、採択された後に、交付申請を行い、交付決定
後に事業開始となる。補助金の支払は原則精算払い(立替ておいて、事業終了後支払い)である
※国の補助金の公募期間と事業開始時期について
事業年度が原則 4 月開始~3 月終了であるため、10 月時点では公募はほとんど終了している。公募期間は、次年度の予
算が決まってくる 2 月くらいから(見込み含む)7 月くらいまでが主流。情報収集をしないと見逃すケースが出てくるので、支
援機関からの情報等をまめにチェックすること。また、応募して採択されても、事業開始ができるまでに 3 ヶ月くらいは時間がか
かることに注意が必要
<休憩 10 分>
○起業・創業者向けの補助金の紹介 (資料① p10)
補助金・助成金といわれているものは、現在 6000 近くあるといわれている。その中で、創業者向けのものを紹介
【創業補助金(国)】
申請できる人は創業者(一定の時期より創業した人)及び第二創業者
補助上限額 200 万円、補助率 2/3(※平成 26 年度補正予算のもの)
※今後の実施見通し(平成 27 年度は、4 月~5 月の募集だった)
平成 28 年度も地域創業促進支援事業として概算要求がでているので実施予定。国会で予算が可決されると確定
する。平成 27 年度の補正予算は年末頃に話が上がる可能性あり
・何年度まで実施するかは不明。採択率は 30~40%(採択率は高い方)。申請書は応募要領にある補助金の目的
を理解した上で書くとよい
・現在事業運営している法人が新規事業を別法人で始める場合も対象となる。但し、複数法人にした場合、会計処理
等出費がかさむケースもあるので、補助金を獲得するのが良いか検討が必要
・創業補助金の場合、申請に認定支援機関が作成した書類が必要となるので注意
【東京都創業助成事業】
事業内容:創業予定者、創業して間もない企業等に経費の一部を補助する
申請できる人:都内で創業予定または創業後 5 年未満の個人、中小企業者、NPO 法人(他に申請要件有)
助成金額:300 万円(下限 100 万円)、 助成率:対象経費の 2/3 以内
※今後の実施見通し(平成 27 年度第 1 回は 5 月、第 2 回は 11 月 9~13 日(申請予約〆切 11 月 2 日))
東京都は時期を分けて公募があるが申請提出日の事前予約が必要など要件有。助成金の予算が分からないので、
実施の有無の予測不可。情報収集を欠かさないこと
○助成金のご紹介 (資料① p11)
・創業以外の助成金でも使えるものがある。たとえば人材に関連する助成金など
○補助金・助成金等利用のメリット・デメリット
<デメリット>
・補助金・助成金ともに後払いのものが多く、特に補助金は支払までの期間が長期のためその分の資金が必要となる
・補助金は公募時期が決まっているので、いつからでも使えるわけではない
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<メリット>
・補助金取得は一定の審査を通った証として、他の支援のプラスになることがある
⇒特に難しい補助金取得の場合は、自社の技術の証ともなる
・獲得可否に関わらず、補助金申請書作成により自社の考えが明確になる(補助金に申請された方の声)
⇒決められた時間軸で系列的に書き出すことにより、明確になる
・認定支援機関による支援とセットになっている場合は、資金以外の支援も受けられる
○産業競争力強化法に基づく創業支援施策 (資料① p12~13)
創業支援計画に国の認定を受けた市区町村が支援した創業者には、創業時に利用する制度に特典がある。中野区が開
催している、「なかのライフサポートビジネス創造塾」もその一つ
□(4) 金融機関からの借入 (資料①p14~18)
①銀行等での借入について(資料① p15)
銀行と言っても大手銀行や地方銀行、信用金庫等いろいろある
<銀行と信用金庫の違いについて>
・根拠の法律(銀行法と信用金庫法)が違う
・銀行は株式会社組織の営利法人であり、業務範囲にも制限はない
・信用金庫は、信用金庫法(昭和 26 年 6 月 15 日施行)に基づく地域の会員による相互扶助を目的とした協同組織
の金融機関。主な取引先は中小企業、個人に限定されており、大手企業とは取引ができない。信用金庫の会員は、出
資金を出して、出資を持つ。融資対象は原則、会員。預金は会員以外も受け入れできる。営業地域が限定されており、
地域で集めた資金は地域内で融資する
例)西武信用金庫 東京都、神奈川県の一部、埼玉県の一部のみ。東京には 23 の信用金庫がある
○銀行等での借入の形態は主に 2 種類ある。金利、担保等条件等が変わってくる。
プロパー融資:いわゆる一般融資
信用保証協会付融資:信用保証協会の保証付き融資。金利以外に保証料が必要
○信用保証協会とは(資料① p16)
・信用保証協会法に基づく公的機関として、中小企業のお客さまが銀行等から事業資金の融資を受けるときに保証人と
な って借入を容易にし、企業の育成を側面から支援する機関
・事業規模や対象業種によって利用の制限あり(農業、漁業、一社等は対象外、NPO は 27 年 10 月より対象業種に
なった)
○自治体による制度融資(資料① p17)
都道府県の制度と市区町村の制度に大きく分けられる。当該自治体内での創業を条件に、利子補給などの優遇措置が
ある。利用する際には信用保証協会の保証が条件となるものがほとんどである
②公的金融機関での借入(資料① p18)
・「日本政策金融公庫」からの借り入れのこと。日本政策金融公庫には国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の
3部門があり、創業支援融資を行っているのは、国民生活事業部門。国民生活事業部門では、小規模事業者や創業
企業の事業資金融資のほか教育資金融資を取り扱っている。信用保証協会の保証は必要ない
・日本政策金融公庫の創業融資は大きい商売を始める場合にも対応できる限度額を取り扱うのが特徴
・新創業融資などは、担保・保証人なく会社名義のみで融資を受けることも可能
・公的金融機関での借り入れのデメリットは、預金口座を持てないこと、金利面でも政策的に決められたものが多いこと、1 年
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以内の短期の融資対応はあまりなく、手続き等時間がかかることなどが考えられる
○創業者の評価のポイント
・創業者は、事業実績がないため、財務データや取引実績などでヒト・モノ・カネの流れをつかむことができない。創業者を評
価する際は、「経営者としての能力が備わっているか」、「ビジネスプランは的確なものか」にポイントを置いている
○融資判断の際のポイント ~定性面と定量面~
・創業者の場合は定量情報よりも定性情報を重点的に評価する。
定性情報(非財務情報):法人や経営者(家族)の組織や人柄、技術力・知的財産、取引先や仕入先などの協力
者、人脈、店舗立地や工場設備など
定量情報(財務 情報)
: 決算内容、収支計画、資金計画など
○融資審査のポイント ~金融機関への示し方~
・金融機関へ示すこと:経験・スキル、知識、人脈、センス、計数観念、債務観念、自己資金等
・金融機関へ示し方:ビジネスプランと実証資料を持って面接
⇒特に融資側が見るのは、計数観念・債務観念の数字への意識、経験・スキル、知識、人脈等の人柄など
<<質疑応答>>
創業補助金の利用について、対象経費や休眠会社での対応はどうか等の質問があった。
講師からのメッセージ
「創業後、金融機関とのお付き合いは必ずあります。できれば、メインバンクを決め、
金融機関の担当者とは、お互いの顔が見えるような関係で、何でも相談がすぐできるような
お付き合いをしましょう。良いことも悪いことも早めの相談により対策が立てやすくなります。
また、独力だけでなく、支援機関等をどんどん利用していきましょう。特に補助金・助成金に
関しては支援機関等から情報収集することもできます。うまく活用してください。
皆様のご活躍を祈念しております。」
<セミナー風景>
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