平成27年度 第2回 加齢研 生化学セミナー 10/16(金)16:00ー17:10 @実験研究棟7F セミナー室(1) 16:00ー16:30 代謝制御分野 山本 徳男 先生 動脈硬化と免疫系 コレステロールの陰に潜む怪人21面相 動脈硬化の最大のリスクファクターは高コレステロール血症であり、コレステロールの管理が動脈硬化予防に重要で あることは、いまや常識である。動脈硬化病変はコレステロールを飽食したマクロファージと血管平滑筋で形成され ているが、どのようなメカニズムで、このような細胞集団ができ上がるかは、不明である。LDLレセプターを欠損す るワタナベウサギの動脈硬化病変部を解析した所、加齢とともにそこに抗体を産生するプラズマ細胞が集積するとい う不思議な現象を見つけた。しかしながら、これはウサギに特有な現象として、自分も忘れてしまった。その後、 種々のノックアウトマウスの解析から、動脈硬化と免疫系との関連が明らかにされつつあり、面白くなってきた。免 疫系は動脈硬化の発症に必ずしも必要ではないが、動脈硬化の改悪と改善を制御することが明らかになった。本セミ ナーでは動脈硬化の進展におよぼす免疫系の関与をレビューしたい。 16:30ー16:40 コーヒーブレイク 16:40ー17:10 生体防御学分野 小笠原 康悦 先生 T細胞受容体レパートリー解析法の開発 病気から身体を守るために、T細胞という免疫細胞が働いています。T細胞は、その受容体で様々な病原体に対応でき、 1020種類ものT細胞受容体、すなわちレパートリーをもっています。例えば、がんを排除できるT細胞受容体を特定 できれば、このT細胞受容体をもとにした創薬が可能となり、がんをより効率的に排除できるようになります。T細胞 受容体を網羅的に調べる技術(T細胞レパートリー解析技術)は以前からありましたが、精度や効率性に問題があり ました。我々はこの問題を克服し、高精度、高効率のT細胞レパートリー解析技術を新たに開発しました。この技術 はT細胞が関係する疾患全てに応用できるため汎用性が高く、がんや自己免疫疾患、感染症に対する治療薬、ワクチ ン開発、遺伝子治療などの新規治療法の開発および個別化医療を可能とします。 連絡先:加齢医学研究所・研究員会事務局 齋藤(内線8576)
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