府立総合医療だより平成22年度第2号

大阪府立急性期・総合医療センター
府立総合医療だより
平成22年度第2号
大阪府立急性期・総合医療
センター発行
06-6692-1201(代表)
http://www.gh.opho.jp/
乳がん治療・乳房再建センタ-の開設
日本人女性において乳がんは最も罹患率の高いがんとなり 当センタ で手術を受けられる患
日本人女性において乳がんは最も罹患率の高いがんとなり、当センターで手術を受けられる患
者様は増加しています。乳がんの診断から治療までは多岐にわたり、それぞれの分野における進
歩はまさに日進月歩です。このような背景から、乳がん患者様に最新・最適な治療を提供し、最大
のベネフィットをもたらすために、高度な専門的知識や技術をもつエキスパ-ト(乳腺外科医、
形成外科医、放射線治療医、病理医、看護師、薬剤師ら)が連携を密にして診療にあたることが
不可欠であると考えらえます。そこで、当センターでは、2010年4月に「乳がん治療・乳房再
建センタ-」を開設しました。
当センタ-で重点的に取り組んでいる分野についてご紹介します。
1.体に負担の少ない乳がん手術:手術で乳房を失うことは、女性にとってはかりしれない精神的
ストレスとなります。当センタ-では乳房を温存する手術を60~70%の患者様に実施していま
す。しこりが大きく、乳房を残すことが難しい場合は、手術前に抗がん剤を投与してしこりを小
さくしてから温存手術を試みることもあります。従来の乳がん手術といえばわきの下のリンパ節
を広く切除することが基本でしたが 多くの患者様が腕のしびれやむくみなどの手術後の後遺症
を広く切除することが基本でしたが、多くの患者様が腕のしびれやむくみなどの手術後の後遺症
に悩まされてきました。当センタ-では、わきのリンパ節に転移がない患者様に対して広くリン
パ節を切除しないセンチネルリンパ節生検(最初に転移が起こるとされる見張り役のリンパ節の
みを摘出して手術中に転移の有無を判断する方法で後遺症が起こりにくい)を積極的に行ってい
ます。最近になって携帯型の核医学装置用検出器(写真1)を導入し、より正確でスピ-ディ-
な手技が可能となりました。
2.治癒率を下げることなく
げ
となく、乳房
乳 の形態をできる
を き 限り美しく
く残す乳がん手術:
手術 乳腺外科と形成外
科が連携して、乳がん切除と切除によって生じる組織欠損部を背中またはお腹の脂肪や筋肉を用
いて同時に補填する一期的乳房再建手術(写真2)を積極的に行っています。この一期的乳房再
建手術件数は、現在、大阪府内で大阪大学附属病院についで第2位です。
3.専用の外来化学療法室で行う抗がん剤治療(写真3):乳房温存手術を目指した術前化学療法、
再発予防のための術後補助化学療法、進行 再発乳がんに対する治療を専従スタッフ(乳腺専門
再発予防のための術後補助化学療法、進行・再発乳がんに対する治療を専従スタッフ(乳腺専門
2名、がん専門薬剤師2名、がん化学療法看護認定看護師1名を含む)のもとで実施しています。
4.乳がん手術後の後遺症対策:乳がん手術の際にわきのリンパ節に転移があり切除された患者様
に起こる腕のしびれやむくみ(リンパ浮腫)に対して、リハビリに精通した専門スタッフが治療
にあたります(写真4)。
受診ご希望の方は かかりつけ医にご相談ください
受診ご希望の方は、かかりつけ医にご相談ください。
写真1:携帯型のRI検出器
を用いたセンチネルリン
パ節生検
写真2:乳房再建手術時
のマイクロサージャリ-
による血管吻合
写真3:外来化学療法室
のスタッフ
写真4:リンパ浮腫
セラピストによるケア
看
護
専
門
外
来
患者様が安心して医療を受けられるように、また、病気を持ちながら充実した療養生活が送られるように、患
者様の相談を受け継続的な支援を行います。
者様の相談を受け継続的な支援を行います
外来
月曜日
火曜日
水曜日
1番
木曜日
フットケア
外来
金曜日
5番
助産師外来
5番
母乳外来
母乳外来
母乳外来
リンパ浮腫
外来
スキンケア
外来
リンパ浮腫
外来
リンパ浮腫
外来
9番
9番
助産師外来
スキンケア
外来
緩和ケア
外来
9番
10番
各科
療養指導
外来
療養指導
外来
摂食・嚥下障
害ケア外来
療養指導
外来
療養指導
外来
療養指導
外来
*担当医師の診察・指示のもと予約制で対応しております。
フットケア外来
糖尿病足病変の予防ケア・糖尿病療養指導を、糖尿病ケア認定看護師が行います。(担当:糖尿病代謝内科)
助産師外来
妊婦健診や保健指導を、経験豊富な助産師が行います。(担当:産婦人科)
母乳外来
母乳育児に関する相談や乳房マッサージなど、専門知識を習得した助産師が行います。(担当:産婦人科)
リンパ浮腫外来
手術後の患者様へのセルフケア指導・リンパドレナージを、リンパドレナージセラピストの資格をもった緩和ケア
認定看護師が行います。(担当:外科 形成外科 泌尿器科 婦人科 等)
スキンケア外来
ストーマ・創傷・褥瘡ケアなどの療養支援を、皮膚・排泄ケア認定看護師が行います。(担当:外科 泌尿器科
皮膚科 形成外科 等)
緩和ケア外来
症状緩和・療養支援・家族支援や、がん告知ICの同席を、緩和ケア認定看護師が行います。(担当:内科・呼吸
器内科 消化器内科 外科 泌尿器科 婦人科 等)
摂食・嚥下障害ケア外来
嚥下評価、嚥下訓練、家族支援などを、摂食・嚥下障害看護認定看護師がおこないます。(担当:耳鼻科)
療養指導外来
外来HOT導入や、自己導尿の手技・気管切開の管理などの療養指導を、各分野における専門指導士が行い
ます。(担当:内科・呼吸器内科 消化器内科 外科 泌尿器科 耳鼻咽喉・頭頚部外科 等)
平成22年7月発行