ピンクリボン通信第5号

第5号
1.腕をしめつけない
(2015年1月)
発行元:福山市民病院
乳腺甲状腺外科
今回は、リンパ浮腫について特集します。
「乳がんの手術をすると腕が浮腫む」と聞いたり、「リンパ浮腫に注意しましょう」と
聞いたり、“リンパ浮腫”のことを耳にした人も多いと思います。
しかし、「リンパ浮腫って何?」「どうやったら予防できるの?」
「なってしまったらどうすれば良いの?」と思うことはないでしょうか?
患者さんから一番多い質問の一つが“リンパ浮腫”です。
乳がんの手術後のリンパ浮腫は、腋窩リンパ節郭清(腋の下のリンパ節を切除)
することで、発症する危険性が高くなります。
リンパ管は体内の老廃物や水分を運び、リンパ節で濾過して排泄する役割を担っています。
手術によってリンパ節を切除することで、リンパ液の流れが悪くなり“リンパ浮腫”を発
症することがあります。
腋窩リンパ節郭清ではわきの下のリンパ節を10数個切除します。センチネルリンパ節生検では
わきの下のリンパ節を1~3個ほど切除します。
そのため、腋窩リンパ節郭清の方がリンパ浮腫になる可能性は高くなります。
“リンパ浮腫”を発症すると完治は困難です。
しかし、早期発見・早期治療で改善することができ、治療を継続することで
日常生活の質を落とさず過ごすことができます。
“してはいけない”行動はほとんどありません。
「ケガ」や「しめつけ」に注意しながら、今まで通りの生活を楽しんで下さい。
“リンパ浮腫”は手術後、何年経っても発症する可能性があります。予防・早期発見を日々の生活
として習慣付けることが大切です。日々の生活で注意できることをご紹介します。
リ
腕をしめつけると、リンパ管の流れが悪くなるため、
浮腫む原因になります。
ン
4 2.腕に傷を付けない
パ
原 傷ができると、傷を治そうとリンパ液が集まってきます。
手術によって流れの悪いリンパ管にリンパ液が集まると、
浮
則 さらに流れが悪くなり、浮腫む原因になります。
腫
3.スキンケアをする
皮膚を清潔にしておくことで、感染する危険が少なくなります。
予
皮膚を保湿することで、皮膚のバリア機能を保護することができます。
防
4.太らない
の
皮下脂肪が膨大してリンパ管を圧迫するため、浮腫みの原因になります。
適度な運動を行い、体重減少を心がけて下さい。
日常生活での注意点
手術した側の腕での採血・点滴・血圧測定を避ける
太らない
傷に注意する
爪の手入れ・深爪に注意する
虫刺されに注意する
ガーデニングは手袋・長そでを使用
水仕事をする時は手袋を使用
日焼けを防ぐ
衣類は皮膚への刺激の少なく、締め付けないものを選ぶ
適度に運動する
「スキンケア方法」
リンパ浮腫の初期症状
・腕がおもだるい
・手術側の肩がこったり、張る
・臥床時、背中の片方が盛り上がっているように感じる
・脇の下に物がはさまっているように感じる
・手術側の衣服の袖口や腕時計・指輪がきつい、または痕が残る
・腕がなんとなく太く、改善しない
・腕の血管が反対に比べて見えにくい
こんな時は
どうしたら
良いの??
1.皮膚の汚れをシャワーやかけ湯でよく流す
2.タオルやスポンジで洗浄剤を十分泡立てる
3.柔らかいタオルや手で洗浄剤の泡をつける
4.皮膚に余計な石鹸分が残らないよう、十分に洗い流す
5.ゴシゴシこすらずに優しく洗う
6.保湿クリームを塗る
腕や手に傷ができたり、怪我をしたり、虫に刺されたリしたら
患部を「スキンケア方法」に従って清潔にし、必要に応じて消毒や虫刺され用の薬を塗りましょう。
患部の腫れが強くなったり、熱を持ったりしないか、観察して下さい。患部の腫れや発熱があれば早めに受診を!!
“重たい物を持たなければならない”“子どもを抱かなければならない”
途中で休憩しながら行って下さい。夜は腕の下に枕を置いて腕を高くして寝て下さい。
ご心配なことがあれば、
主治医、看護師に
いつでもご相談下さい。
仕事や趣味などで腕を使うことは問題ありません。
翌日、『腕に疲れが残る』場合は、その運動は少し負担である可能性があります。「運動・作業を控える」
「運動・作業中の休憩を増やす」など工夫してみましょう。