自分たちの時代のクルマ

今 回の開 催で目に付 いた
のが360度ビューのシステ
ム 展 示 。この 技 術 は いま
は 車 庫入れ 用で 使われて
いるが、2020 年に実 用化
される高速 道 路で の自動
運転に使われるはず。
05
06
もうひとつはサイドミラー
のかわりになるサイドカメ
ラ。現 在 の 法 律 で は使 え
ないが2017年に法改正が
あるらしい。映している画
角 は もっと 広 い の で、用
途は後 方確 認 以外も使え
そう。
07
08
痛 G 世 代 のクル マ 好 きに知って て ほしい 。
自分たちの時代のクルマ
技
術
は
進
化
す
る
方
向
に
し
か
進
め
な
09
い
10
だ か ら こ そ 、ク ル マ は ド ン ド ン 変 わ っ て い く
人 とくる ま の テ クノロ ジ ー 展 2 0 1 5 で 見 る 最 新 技 術
text&photo:Masayuki Fukada/深田昌之(CAMERO) 取材協力:人とくるまのテクノロジー展2015 http://expo.jsae.or.jp
01
02
す
べてのクルマ趣味はジャンルごとに中
心となる世代があり、痛車はすべての
クルマ趣味のなかでも年齢層はいちばん低い。
それだけに選ぶクルマも比較的新しいクル
マが多いのだが、それは正解といえるだろう。
03
04
01_ 追加メーターのメーカーとして有名なDefiは、国内外の自動車メーカーに純正メーターを納入する日本精機の一部
門。それだから別格のクオリティを持っているのだ。02_EV自動車もあったが、これは参考出品のEV飛行機。さまざま
なジャンルの乗り物が展示されている。03_これは日本精機が収めている最新の純正メーター。今後はヘッドアップディ
スプレイが流行ってきそう。04_各車の小型モビリティも展示され、試乗も可能だった。最近のチャリ=車道の流れだ
と、このようなカタチの乗り物に乗ってもらったほうが危なくないかも。
50
いまの時代、クルマ趣味の古参がなかなか
そしてその世代の感性と実力で、時代のクル
第一線から退かないので、その世代の意見や
マを作りあげてほしい。
好みがある部分で常識になっているが、世代
そうは言っても今のクルマは以前と比べる
が違うならそれを踏襲する必要はない。とは
と非常に高度な電子制御入りなので、簡単に
いっても対立しろということでなく「それは
いじれないのも事実。だけど、高度な制御が
それ」と認めるが「こっちはこっち」でいい
あるならそれを生かせばいい。それにその技
という意味だ。
術は自分たちの時代のものなのだから、ドヤ
そもそもいまの古参も、その前の古参とは
顔でその優れた部分を語っていいと思う。
違う常識のクルマ遊びをしてきたはずで、そ
というわけで、次世代のクルマの最先端技
れはいつの時代も繰り返すこと。 術を知ってもらうために取材してきた。最新
で、古参の好きな車種とは、自分が若い頃、
技術てんこ盛りの「人とくるまのテクノロジー
同期で活躍していたクルマというケースが多
展2015」
そこで見かけたこれからのクルマ
い。ならば痛車乗りの世代も「自分たちの時
に搭載されるはずの技術をここでチェックし
代のクルマ」をもっと知って、もっと乗って、
てほしい。
05_これはコンチネンタルの電動マスターバック。負圧を使わないのでABS作動時は従来品より素早い動作が可能で、制
動性能が向上。06_これは車間通信ユニット、自動運転や追尾運転のための装置。コンチネンタルは自動運転をすでに
かなり完成させている。07,08_これは三菱電機の自動ブレーキ用カメラとレーダーの解説。レーダーを使うと見えてない
障害物もかなり前から検知している。09_ スバルのアイサイトのつぎのバージョンは自動運転用の「フューチャーアイサイ
ト」360度センシングとV2Xという通信技術を使う。V2Xはホンダも力を入れている技術。10_ベリオ製のウォッシャー機
能を組みこんだワイパー本体。フロントガラスに付く、自動ブレーキ用ユニット前面をキレイに保つため。カメラ前が汚れ
ていると検知性能が低下するのでその対策品。
11
12
13
11_ 指紋、手のひらの静脈、瞳など、人体の特徴を読み取る技術をクルマに取り入れた設備のデモ。これを使うと個人
が特定できるので、例えばETCやガソリン給油などがカードなどなしで決済可能になる。12_ 完全自動運転の実現には
ビッグデータを活用するネット環境とその通信技術、セキュリティなどの完備も求められる。13_ 大きなデータを扱うよ
うになると車載ネットワークも大容量、高速化が要求される。そういう技術も展示。
51
自分たちの時代のクルマ
人 とくる ま の テ ク ノ ロ ジ ー 展 2 0 1 5
会 場 で 見 か け た
気 に な る ハ イ テ ク
人とくるまのテクノロジー展は自動車関連業者
向けのトレードショーだが、一般人も入場可能。
技術の多くはクルマになってしまうと奥に隠れて
しまうだけに、こういう機会を通じて、クルマの
すごさをもっと知ろう。
11
12
ハ イ テ ク 制 御 で コ ー ナリン グ 革 命
TCSとトラクションコントロール。ERSは加速度やバンク角の情報に基づいて、最
適なサスセッティングに調整する機能。UBSはブレーキ前後配分をバンク角に応
じて調整、挙動を安定化させるもの。SCSはタイヤのスライドに応じて出力を自動
で調整。ライダーのアクセル操作を補助する機能。LIFとは加速時のフロントタイ
ヤの接地状況を感知して不要なウイリーを防止する機能。これらは市販車のYZFR1Mに採用されている。
02
レガシィに採用された技術。低速時は開口して
いるバンパーグリルのシャッターを車速が出る
と閉めて、風をきれいに流し、空力を向上させ
るもの。こちらもAGSというが、これはオートグ
リルシャッターのAGS。
11_アルトRSやアルトラパンに使われるAGS。クラッチがあるふつうのMTに、電動油
圧アクチュエーターを組み合わせて自動変速をする。AT免許で乗れる。12_ステップ
ワゴンに搭載された1.5V TECターボ。小さい排気量+過給器はこれからのひとつの
流れ。過給機の効率アップと動かすための抵抗を減らすことが進むだろう。
01
13
01_ 上に書いた制御を行うため
に、バイクには各種センサーが
付けられていて、写真にあるよ
うな動きを計測しているのだ。
02_それを行うECU。センサーの
数も多く、その取り付け法もシ
ビアなので、専用機材がないと
整備は難しいだろう。
クラッシュテストのあの人形も最新鋭
対 向 車 だ け 照らさ
ないハイビーム
前方カメラが全走車や対向車を認識
するとヘッドライトの配光パターンを
自動で制御。対向車などに眩しさを
与えないライト照射ができるように
なる。そのための装置がLEDアレイ式
ADBというライトユニット。
磁 力 を 使 っ た
デ ザ イ ン ペ イ ント
クラッシュテスト用ダミーも
年々進 化 。衝 撃をコンマ何
秒の次元で計測しするが、そ
れが人体に近い「受け方」で
あることが重要。10 0 0万円
以上の価格なので使い捨て
ではない。日本で製 造する
はジャスティ社のみ。
03
04
フレーク状にした磁性顔料を含む塗
料で塗装後、デザインカットされた磁
石シートを上から被せることで、磁性
フレークが傾けられて模様を作る塗
装。関西ペイントが開発して、それを
ホンダが進化させている。
07
14
15
将来のメーターは液晶にパネルにソフト上でデザインされたものが主
流になる。各種情報を状況に応じてクローズアップ表示をしたり、簡易
ナビを表示したり、スマホと連動なども可能。
16
13_トヨタのMIRAIも展示。水素と酸素を
化学反 応を利用して電気を生み出すFC
スタックを搭載したクルマ。水素の持つ
エネルギーの8 0%以 上を取り出せる効
率の良さ。14_スペインのApplusIDIDAと
いうエンジニア企 業 が展 示していたE V
カー。4モーター搭載で30 0㎞/hオーバ
ー。15_これはイギリスの企業が展示した
燃料電池スクーター。
08
17
05
06
03_ベリオの電動スーパーチャージャー。従来のスーチャーはクランクから駆動を得ていたの
でロスが多かったが、モーター駆動なら負担も減る。04_こちらは電動ウォーターポンプ。最
近はとにかくエンジンの負担を減らすための技術開発が盛んだ。05_水冷式インタークーラ
ーを組みこんだインマニ。パイピングが短いのでターボラグがない。すでに日産、メルセデス
ベンツ、ワーゲンなどに沙仕様。06_これはプリウス用バッテリーに組まれるDC-DCコンバー
ター。走行用の電気をほかの電装品に回すために必要な機能。
52
09
10
07_ 脳の血流を可視化するウェアラブル光トポグラフィという装置。脳がリラックスしているか
緊張状態かということから、色んな制御と結びつけることができるかもしれない。08_鉄板を
薄くしたあとディンプル的に加工することで強度を出す技術。軽くて強い。09_ボルトに対して
わずかにネジの角度を変えることで緩み止めするナット。ワッシャーが不要になる。10_これは
トヨタのMIRAIに搭載しているFCスタックに空気を送るコンプレッサー。ふつうの展示会で
は見られない面白いパーツだ。
これはイギリス企業が展示してたFCスタック。燃
料電池はトラックやバスなどと相性のいい技術な
ので、大型車を中心に増えていくかも。
16_ヘッドアップディスプレイのデモ画面。この機能も一気に普及しそう
だ。17_ボッシュが進める48Vハイブリッド。60Vを超える電池を搭載す
る場合は隔壁が必要になるが48Vは不要。内燃機クルマも手直しでハ
イブリッド化できる。
オーディオに関してはスマホと連動させる技術が
非常に多かった。これはもう確実に来ます。おサ
イフ機能付きだとETCカード代わりになるかも。
53