1.胆道ステント - 日本IVR学会

2007 日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:鉾立博文,他
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胆道 IVR:PTCD から stent,砕石まで
1.胆道ステント
JA 北海道厚生連 旭川厚生病院 放射線科
鉾立博文,齋藤博哉,武内周平,竹井俊樹,高邑明夫
はじめに
悪性胆道狭窄・閉塞に対してメタリックステント
(Metallic stent:MS)が臨床応用されてから 20 年近く
経過し経皮的∼内視鏡的留置において広く普及してい
る。近年,多くの MS が開発され covered type のもの
も導入されているが,その使用にあたっては,各々
の MS の特徴や閉塞部位などを十分考慮する必要があ
1)
る 。本稿では,MS の適応・留置手技の実際・成績・
術後管理・合併症を中心に述べる。
2. MS 留置部位のマーキング
総胆管病変については狭窄部近位端レベルで皮膚も
しくは覆布上に注射針・鉗子などを置く(図 1a)
。左
右肝管合流部については体表のマークだけでは呼吸
や挿入したワイヤー・ステントデリバリーシステムに
より胆管が伸展偏位してずれが生じたり,手技中の造
影剤流出により狭窄部が不明瞭になったりするので,
marking かつ safety wire を左右橋渡しで留置しておく
(図 2)。
適応について
使用器材
1. MS の適応症例
・手術不能の悪性胆道狭窄症例
・手術適応だが超高齢,合併疾患などの high risk で,
MS 留置∼外瘻チューブ抜去により PS の改善が期待
できる症例
2. MS の適応外症例
・末期癌状態や敗血症などで全身状態が著しく不良な
症例
・胆道外瘻術∼内外瘻術を施行しても十分に減黄され
ない症例(肝実質性黄疸や肝内胆管末梢側に高度に
浸潤しており多区域ドレナージを施行しても効果の
乏しい症例)
・Vater 乳頭部より肛門側の消化管に閉塞がある症例
1. ガイドワイヤー
狭窄部突破・適切な胆管分枝選択・十二指腸への誘
導などにはアングル型親水性ガイドワイヤー(0.035inch:
Radifocus)を使用し,ステント留置時にはスプリン
グ 型 硬 性 ガ イ ド ワ イ ヤ ー(0.035inch Uchida/Amplatz
extrastiff wire)
を使用する。
2. 誘導カテーテル
適切な胆管や十二指腸への誘導がガイドワイヤーだ
けでは困難な場合があり,その際はアングルのつい
たトルクの伝わりやすい固めのカテーテル(Jadkins:
2)
7Fr)
を使用したり ,
狭窄や分岐の状況に応じてカテー
3)
テルを形成したものを用いる ことで方向性の安定や
pushability の増強が得られ目的の部位への誘導が可能
となる。
3. ステントの選択
総胆管病変では主に径 8 ∼ 10 ㎜の Covered type のも
のを選択することが多い。胆嚢管や後区域合流部に
重なる場合は廃液孔のあるタイプを選択する。肝門
部胆管病変では multi-stenting となるため径 6 ∼ 8 ㎜の
Uncovered type を選択する。この領域では胆管の分岐
準備
1. MS 留置前の胆道造影
可能な限り 3 方向以上の撮影を実施し,狭窄部の上
端・下端∼病変存在部の正確な位置・閉塞長の確認を
すると同時に総胆管下部の病変では十二指腸内腔まで
の距離を把握する。
表 1 本邦で市販されている主な胆道ステントの特徴
ステント
Spiral-Z
Wallstent
SMART
ZA-stent
LUMINEXX
JO-stent
ZILVER
材質
ステンレス鋼
コバルト合金
ナイチノール
ナイチノール
ナイチノール
ナイチノール
ナイチノール
拡張形態
自己拡張
自己拡張
形状記憶
形状記憶
形状記憶
自己拡張
自己拡張
柔軟性
良
優良
優良
優良
優良
良
優良
視認性
優良
良
普通
良
普通
良
良
拡張力
良
良
良
普通
良
良
良
短縮
無
有
無
無
有
無
無
(91)91
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形態が急峻なことも多くステントの追従性や視認性の
良いものを選択する。本邦で市販されている主な胆道
ステントの特徴を付記する(表 1)
。
留置手技の実際
1. 総胆管病変
狭窄部上流側のマーキングを目安にステント位置を
調節するが,中下部胆管病変であっても上流側はなる
べく左右管合流部近傍まで位置するように留置する。
というのも,中部胆管は解剖学的にその支持力が弱い
ため過度の屈曲(kinking)による早期の閉塞の risk が
あるためである(図 3)。十二指腸側の位置調整の注意
点として,Vater 乳頭部までの距離が十分にあれば胆
管内に留置することで逆行性胆管炎の予防にもなる。
Vater 乳頭部までの距離が十分にない場合は膵管口の
過度の圧迫をさけるため,十二指腸内腔にステント遠
位端を空置することになるが,十二指腸対側壁に接触
したり食物残渣が付着しにくくするために,十二指腸
内腔に突出する部分の長さは 1 ㎝程度にとどめておく
ことが重要である。また,リリース前のステント遠位
端が十二指腸へ出ていると思っても胆管が伸展された
だけで意外と十二指腸内腔まで達していないこともあ
るので,ステントをリリースする直前に十二指腸内腔
へ達しているかをシステム側管からの造影にて確認す
ることも重要である(図 1c)
。ステント遠位端が十二
指腸に位置しているのが確認されたら,やや肛門側奥
の方からステントをゆっくりリリースさせシステム全
体を引きながらステント近位端の位置を微調整してい
く。ステントのリリース直後は内筒の抜去に難渋する
症例もあるが,ガイドワイヤーの先端を十二指腸球部
側へ誘導することで総胆管の屈曲形態が変化しスムー
ズに抜去されることがある。もしくはステントが若干
でも拡張するまで時間をおけば容易に抜去できるよう
になる。ステント留置後は腹痛やアミラーゼの推移に
注意する。
2. 肝門部病変
アプローチルートとしては multi access でも single
access でも可能であるが症例に応じその治療方針や
a b
c d
図 1 80 歳代 男性。総胆管癌
a : 胆道造影にて総胆管狭窄部上縁
レベルの覆布上に注射針を用い
てマーキングしている
b : 腫瘍領域にステントのカバー部
分が十分含まれるように位置を
調節する
c : ステント遠位からの造影にて先
端が十二指腸内腔に位置するの
を確認した
d : カバードステント(GORE biliary
stent : 廃液孔有)留置後の造影
にて patency 良好となった
92(92)
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a b c
図 2 70 歳代 男性。大腸癌肝リンパ節転移
a : 胆道造影にて中部総胆管に狭窄がみられる
b : 左右肝管合流部のマーキングとしてガイドワイヤーを橋渡しで挿入している
c : カバードステント(Covered Wallstent)
の上端をマーキングワイヤーぎりぎりにあわせて留置した
a
b
c d e
図 3 60 歳代 女性。膵癌
a : 胆道造影にて総胆管中下
部の完全閉塞がみられる
b : カバードステント(GORE
biliar y stent:廃液孔有)
を十二指腸へ空置した
c : ステント留置 1 週後の胆
道造影にて中部総胆管の
著明な屈曲(kinking)が
見られた
d : kink による早期閉塞を予
防するためベアーステン
ト(ZILVER)を上流側へ
追加留置した
e : kink は改善され総胆管の
形状はスムーズとなった
(93)93
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胆管分岐形態・屈曲状況などを考慮して選択する。
Multi-stenting の留置形態は partial stent in stent を基本
とし 3 次分枝レベルで side to end を組み合わせること
となる。Side by side は胆管の過拡張,門脈閉塞などの
合併症の問題もあり原則禁忌である。左右肝管合流部
の留置に際しては Y 字型・T 字型のいずれかの形態にな
るが(図 4)
,われわれは T 字型留置を選択することが
多いのでその手技を紹介する(図 5)
。まず,safety wire
として穿刺側から総胆管に十分ガイドワイヤーを挿入
しておく(図 5b)
。Seeking catheter とラジフォーカス
を用いて左右肝管に橋渡しになるように穿刺側から対
側末梢まで十分にガイドワイヤーを挿入する(図 5c)。
親水性のワイヤーのままだと滑りすぎてステントデリ
バリーシステム挿入の際にはねて dislocation を生じる
危険性があるためスプリング型のワイヤーに交換する。
また,左右肝管の屈曲が高度であれば(図 5d)硬性の
タイプに交換しておくと左右肝管の屈曲部が直線化
され(図 5e)ステント挿入が容易となる(図 5f)
。左右
肝管に適確にステントを留置するためには,やや奥め
からステントのリリースを開始し,開き始めの時点で
手前に引きながら微調整することが重要である。その
後,総胆管へ留置してあった safety wire を抜き,ステ
ント内腔から再度総胆管へワイヤーを挿入しなおす。
最初に左右橋渡しに留置したステント(first stent)の
総胆管上部の位置を多方向から透視で確認し,重なり
すぎず,かつ隙間ができないように総胆管側にステン
ト(second stent)システムを挿入する。尚,総胆管狭
窄が強固な場合や first stent 内腔からステントデリバ
リーを通過させるのが困難な場合はバルーンカテーテ
ルによる pre-dilatation を施行することもある。前述の
手技と同様に,ひとたびステントをリリースし始める
と留置位置の調節はシステムを引くことでしかできな
くなるので,ステント遠位端をわずかにリリースした
状態で微調整して留置位置を決定し全体をリリースさ
。
せる(図 5g)
成績
一般的な経皮的ステント留置術の成績は手技的には
概ね良好と考えられるが,対象疾患のほとんどが進行
4)
癌であるためその閉塞率が問題となる(表 2) 。その原
因の多くは腫瘍の増大(tumor in-overgrowth)であり,
腫瘍に対する併用療法が重要となってくる。我々は以
前から肝門部胆管癌に対して放射線治療を併用し良好
5)
な成績を得ている(表 3) 。また,2004 年以降の症例
では動注化学療法や全身化学療法も併用して更なる治
6)
療成績の向上を目指している 。
non-coveredとcovered stent の成績の違いについては,
内視鏡的 MS 留置における無作為比較試験の結果が報
7)
告され covered MS の有用性が明らかにされている 。
しかしながら,経皮的 MS 留置に関しては JIVROSG(荒
井班・稲葉班)による無作為比較試験で観察期間 6 ヵ
月においては有意差がないとの結果が得られており,
予後の短い総胆管病変の症例では uncovered MS 留置
も許容されるであろう。
表 2 胆道ステント留置術の成績
4)
手技的成功率
75 ∼ 100%
外瘻チューブ抜去率
88 ∼ 100%
累積開存率: 6 ヵ月:68 ∼ 91% 12 ヵ月:55 ∼ 76%
閉塞率
13 ∼ 43%(中央値 4 ∼ 13 ヵ月)
閉塞原因:
1)腫瘍増大 tumor in-overgrowth
10 ∼ 37%
2)Sludge, debris, stone
2 ∼ 14%
3)Unknown, others
1 ∼ 8%
a b
図4
Partial stent in
stentの留置形態
a : Y 字型
b : T 字型
94(94)
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a b c
d e f
g h
図 5 70 歳代 女性。胆嚢癌
a : 肝門部から中部総胆管まで狭窄が見られる
b : 狭窄部から十二指腸までガイドワイヤーを貫
通させている
c : 同ルートから seeking catheter とラジフォー
カスガイドワイヤーにて左肝管から外側区域
枝へ貫通させている
d : 左右肝管の合流角度が急峻であるためカテー
テルはそのままでガイドワイヤーをスプリン
グ型硬性のものへ交換する
e : 硬性ワイヤーの挿入で左右肝管の角度が伸展
されステントデリバリーシステムの挿入は容
易となった
f : ベアーステント(ZILVER)が左右肝管橋渡し
で留置された
g : 十二指腸まで挿入されていたワイヤーを引き
抜き再度ステント内腔から総胆管更に十二指
腸まで挿入してベアーステント(ZILVER)が
追加留置された
h: 肝門部から総胆管の狭窄部は改善され
patency 良好となった
(95)95
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表 3 肝門部胆管癌に対する治療法別の生存曲線
(1988 ∼ 2006 年:旭川厚生病院放射線科)
2. 後期合併症
(留置後 30 日以降)
Tumor ingrowth や overgrowth による再閉塞が第一
に問題となる。黄疸の再燃に対し PTCD が必要となる
が原疾患の進行による全身状態や予後を考慮して判断
する。胆泥や結石形成,ステントの変形など複数の要
因が関与していることが多く洗浄や結石破砕・ステント
除去あるいは stnet in stent などで対処するが難渋する
例も見られる。予防策としては適切な径の flexibility の
良好な MS を選択して胆管壁との密着性を高める留置
を心がける。その他,ステントの逸脱,十二指腸に空
置したステントによる潰瘍形成などが報告されている。
おわりに
*:RT 群 vs. 非 RT 群の比較では有意差あり
(p = 0.033)
術後管理
MS 留置後はバルーンチューブもしくは PTCS チュー
ブを留置し,1 週後に再造影を施行する。MS 内の良
好な造影剤流出を確認できればその時点で外瘻チュー
ブを抜去する。十二指腸空置症例では MS 留置数日以
内に外瘻チューブをクランプして食物残渣の逆流によ
る閉塞や逆行性胆管炎を防止する。このように,MS
留置直後にチューブを抜去せず翌週の再造影で確認す
ることで reactive obstruction や rebound obstruction に
8)
よる急性閉塞 や予期せぬ早期の胆管の kinking(図 3)
に対する対処が可能となる。また,症例によっては
PTCD から MS 留置までの期間が短く瘻孔が完成して
いない場合も有り,MS 留置後 1 週間のチューブ留置
で瘻孔が完成され胆汁性腹膜炎の予防にもなる。
合併症
1. 早期合併症(留置後 30 日以内)
前述の急性閉塞については留置後 1 ∼ 2 週の早期に
MS が再閉塞する(rapid obstruction)症例が存在する
8)
ことが明らかにされている 。対策としてまず再閉塞
部を含めて PTCD チューブを留置し外瘻の維持・洗
浄で改善することが多いが,MS の追加留置(stent in
stent)が必要な場合もある。その他 5%前後で胆嚢炎・
胆管炎・肝膿瘍・膵炎が報告されている。抗生物質の
投与などの対症療法で改善する場合が多いが MS と胆
嚢管の位置やドレナージ不領域の有無などを注意深く
確認する。Vater 乳頭部に Covered stent を留意する場
合,膵炎の合併を予防するために乳頭切開術を施行す
9)
る場合もある 。更に頻度は低いが胆道出血も報告さ
れており,門脈からの出血では一時的なチューブ拡張
による圧迫止血で対処し,動脈性の出血では動脈塞栓
10)
術が必要な場合もある 。
96(96)
胆道ステントの経皮的留置に際しては,ステント留
置前の詳細な病変部位の把握および留置のシュミレー
ションが重要である。悪性腫瘍に対しては可能な限り
併用療法を追加することで生存期間,開存期間とも有
意に延長し,胆道狭窄の改善により MS 挿入がよりス
ムーズに行えるようになる。更には併用療法によりMS
留置をせずに外瘻チューブが抜去可能な症例も経験す
るようになってきている。MS 留置が回避されればそれ
に伴う合併症も回避され QOL 向上につながるであろう。
【文献】
1)古市欣也,吉岡哲也,阪口 浩,他:IVR の進歩
と集学的治療の現状.画像診断 26 : 577 - 584, 2006.
2)齋藤博哉:Interventional Radiologyのコツ.PTBD・
胆管ステント . 臨床放射線 51 : 1511 - 1524, 2006.
3)西田博利:内瘻化.IVR 会誌 19 : 427 - 430, 2004.
4)山 本 孝 信: 胆 道 狭 窄 に 対 す る ス テ ン ト 留 置 術.
Informed consent のための治療成績と合併症の頻
度,第 23 回日本 Metallic Stents & Grafts 研究会特
別企画.p10 - 14, 2005.
5)Takamura A, Saito H, Kamada T, et al : Intraluminal
low-dose-rate 192Ir brachytherapy combined with
external beam radiotherapy and biliary stenting for
unresectable extrahepatic bile duct carcinoma. Int J
radiat Oncol Biol Phys 57 : 1357 - 1365, 2003.
6)武内周平,齋藤博哉,鉾立博文,他:肝門部胆管癌
に対する放射線治療と動注化学療法.胆と膵 28 :
341 - 346, 2007.
7)Isayama H, Komatsu Y, Tsujino T, et al : A prospective
randomized study of“covered”versus“uncovered”
diamond stents for the management of distal malignant
biliary obstruction. Gut 53 : 729 - 734, 2004.
8)齋藤博哉:Expandable metallic stent の胆道系への
臨床応用に関する研究∼第 1 編初期成績∼.日医
放会誌 52 : 762 - 773, 1992.
9)齋藤博哉:胆道ステント留置術.IVR 会誌 19 : 422 426, 2004.
10)齋藤博哉:胆管閉塞(閉塞性黄疸)ならびに胆道出
血に対する IVR.救急医学 28 : 1292 - 1296, 2004.
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胆道 IVR:PTCD から stent,砕石まで
2.IVR による胆道結石治療
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 放射線科
熊野玲子,高橋美緒,寺本りょう子,上條 謙,船窪正勝,山内栄五郎
はじめに
IVR による胆道結石治療は,胆道系の IVR を行って
いる IVR 医であれば,それほど難しい手技ではない。
各施設で様々な方法で行われているかと思われるが,
ここでは,我々の施設で行っている方法を中心に,様々
な症例を交えてまとめてみた。
適応
IVR による砕石術の適応としては,
①高齢,全身状態悪化など様々な理由で手術が出来な
い時,又は患者自身による手術拒否時。
②胆石と胆管結石の治療をしたいが,総胆管切石術な
しで,胆嚢摘出術だけで終わらせたい時。
③胆摘後であるため,再度開腹しないで終わらせたい時。
などである。
上記記載の適応は内視鏡的治療と同じであり,緊急
で PTBD が挿入されていない限り,通常は内視鏡的治
療が第一選択と思われる。しかし,IVR による砕石術
の最も良い適応は,上記の理由の他に,下記のような
内視鏡的に困難な場合である。
①総胆管が十二指腸憩室又は憩室近傍開口:ERCP・
EST(endoscopic sphincterotomy)
が困難な場合。
②巨大結石:巨大結石を砕石するデバイスが無い場合。
③ 多 発 結 石: 何 度 も Vater 乳 頭 を 通 過 す る た め,
図1
ENBD が挿入困難となる可能性が高い場合。
④肝内胆管結石:結石まで到達したり,総胆管まで引
きずり出すのが困難な場合。
⑤胆管空腸術後などの手術後:解剖学的に内視鏡的ア
プローチが困難な場合。
これらの症例は内視鏡的にも困難なだけではなく,
外科的にもリスクが高いため,IVR 治療の非常に良い
適応と考えられる。
機材・器具
砕石の方法は,石の大きさでだいたい 3 つに分け,
それにより使用する機材・器具を使い分けている。
(1)1 ㎝以下の石:Vater 乳頭を通過するため,Vater 拡
張用 balloon(POWERFLEX)
(図1a)で Vater 乳頭を拡
張してから,13 または 20 ㎜排石用バルーンカテー
テル(Selecon MP balloon catheter, Clinical Supply
Corp.)
(図 1b)
を使い十二指腸へ押し出す。
(2)1 ∼ 2 ㎝大きさの石:Lithotripsy Basket Catheter
(LBC)
(XEMEX Corp. Japan)
(図 2)により,Vater 乳
頭を通過可能な直径 1 ㎝以下の大きさに砕石してか
ら排石用バルーンで押し出す。
(3)2 ㎝以上の結石:LBC で把持する事が難しいので,
細径胆道鏡(図 3a)で観察しながら Electrohydraulic
Lithotriptor(EHL)電気水圧衝撃波破砕装置(図 3b)
a b
a : Vater 乳頭 拡張用 balloon(POWERFLEX, Cordis 社製)
b : 排石用バルーンカテーテル(Selecon MP balloon catheter, Clinical Supply Corp.)
:総胆管から十二
指腸に結石を押し出す時に使用。
(97)97
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を用いて破砕後,排石用バルーンで押し出す。
また,石の大きさとは別に PTGBD ルートより砕石
する場合には,胆嚢から胆嚢管を経由して,総胆管ま
でガイドワイヤーで探り,sheath を挿入しなくてはな
らないため,ガイドワイヤーで探るときに,ルート保
持するために,胆道バルーンチューブ(Create Medic
Corp.)
(図 4)を使用している。
択する。穿孔の危険性があるので 12 ㎜以上は使用せ
ず,通常 8 ∼ 10 ㎜径のバルーンで拡張を行う。
④通常は直径 13 ㎜の排石用バルーンで押し出す
(図 5c)
。
この時,バルーン径が総胆管径よりも小さいと,石
手技の実際とコツ
結石が 1 ㎝以下の最も基本的な症例
手技の手順としては,
①シースを先に挿入してしまうと,空気や血腫などで
正確な石の数,大きさが把握出来ないことがあるの
で,必ず最初に胆道造影を行い石の数,大きさを確
認しておく(図 5a)
。
②ルートを保持するために,7Fr. シースを通常挿入す
るようにしている。
③ 8 ㎜×4 ㎝のバルーンで Vater 乳頭を拡張する(図5b)
。
この時のバルーン径の選択は,患者の体格や最初の
造影時の十二指腸への造影剤の流れ具合によって選
図 4 胆道バルーンチューブ
(Create Medic Corp.)
図2
a : Lithotripsy Basket Catheter(LBC)
(XEMEX Corp., Japan)
b : 結石に見たてたおかきを LBC で把持しているところ。
c : 結石に見たてたおかきを破砕したところ。
図3
98(98)
a b c
a b
a : 細径胆道鏡
(オリンパス社製)
b : Electrohydraulic lithotriptor(EHL)
(アムコ社製)
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は肝門部の方へすり抜けてしまうため,バルーン径
の大きなもの(20 ㎜)を用いたりする。
⑤排石後の Vater 乳頭は少なからず浮腫を起こしてい
るため,たとえ 100%排石が出来たと思っても,外
瘻ドレナージとしておく。このことは PTGBD 経路
からの砕石においても同様で,必ず外瘻ドレナージ
チューブを総胆管から胆嚢にかけて留置し,ドレナー
ジが総胆管,胆嚢の両方に効くようにする。数日後,
残存結石がないことを造影で確認し(図 5d)
,クラン
プ後,抜去する。
結石が1㎝以上2㎝以下程度の大きさの結石の場合
(図6)
Vater 乳 頭 を バ ル ー ン で 拡 張 し た 後,Lithotripsy
Basket Catheter
(LBC)
で結石を1㎝以下に砕いてから,
十二指腸へ押し出す。この時,大切なことは,LBC で
結石を把持したと思ったら,デバイス全体を結石と一
緒に胆管内で動かし,胆管粘膜を挟んで無いことを確
認してから破砕する事である。これを怠ると,総胆管
a b
c d
図5
a:
b:
c:
d:
最初の胆道造影 総胆管下端に直径 8 ㎜大の結石を認める
(白矢頭)。
Vater 乳頭 拡張用 balloon(POWERFLEX)
直径 8 ㎜で Vater 乳頭部を拡張しているところ。
直径 13 ㎜の排石用バルーンカテーテル
(白矢印)
で結石(白矢頭)
を十二指腸へ押し出しているところ。
外瘻ドレナージカテーテルを置いておき,後日確認造影をし,残存結石の無い事を確認しているところ。
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粘膜損傷の原因となることがある。
結石が 2 ㎝以上の巨大結石症例の場合(図 7)
LBC で把持する事が難しいため,細径胆道鏡で観察
しながら,EHL プローブで破砕する必要がある。この
場合,細径胆道鏡を挿入するために,シースは10Fr. を
使用する。細径胆道鏡できれいな視野を確保するため
に,Y 字コネクターを使用して加圧バックで絶えず胆
管内に生理食塩水を流しておく(500 ㎖ /1 ∼ 2hr ぐらい
の流量)こともポイントである。導電率の関係から生理
食塩水よりも蒸留水を勧める人もいるが,我々の経験
図6
100(100)
から生理食塩水で十分であり,これが問題となったこ
とはない。手技のコツとして,大きな結石は中心から
トンネルを掘るように砕石していくと,トンネル内で
衝撃波が何回も反射し増強するため,一気に多数の破
片に破砕されやすくなり,早く排石することが出来る。
その他に EHL が活躍する症例
Vater 乳頭が憩室や傍憩室部に開口している場合があ
る。憩室部は通常より壁が弱いため,拡張は直径 6 ∼
8 ㎜までのバルーンにとどめるようにする。1 ㎝以下の
結石だからといって排石用バルーンで無理に押し出す
a b
a : 胆摘後で直径 15 ㎜大の総胆管結石を認める。
c d
b : Lithotripsy Basket Catheter(LBC)
で結石を把持したところ。
c : Lithotripsy Basket Catheter(LBC)で破砕した結石(白矢頭)を排石用バルーンカテーテル
(白矢印)
で十二指腸へ押し出しているところ。
d : PTCD 造影により残石のないことを確認しているところ。
2007 日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:熊野玲子,他
技術教育セミナー / 胆道 IVR:PTCD から stent,砕石まで
と穿孔の危険があるので,結石はできるだけ EHL や
LBCで細かく砕石してから十二指腸へ押し出すように
している。
PTGBD のルートから排石
PTGBD のルートから排石を行うことも可能である。
急性胆嚢炎で PTGBD を施行し,造影をしてみたら総
胆管結石も見つかることがよくある(図 8a)。患者の病
態により胆摘を予定しない場合でも,総胆管結石はで
きれば排石しておいた方が良い。胆摘するにしても,前
もって総胆管結石は排石しておいた方が合理的である
ため,我々の施設では既に入っている PTGBD から排石
を行っている。手順としては,PTGBD チューブを胆道
バルーンチューブ(Create Medic Corp.)にかえて,抜
けないように保持した状態で,ガイドワイヤーで総胆
管までのルートをさぐり(図 8b)
,シースを挿入する。
その後は,上記記載通り,結石の大きさにより砕石法
を選ぶ。症例によっては,胆嚢管の径が細かったり,
胆嚢管が非常に長かったりするために,ガイドワイ
ヤーで総胆管まで探るのが困難な症例もある。IVR に
熟練した医師がいればマイクロガイドワイヤーを使う
ことでほとんどの場合問題なく行えるが,そうでなけ
れば余り無理せず EST に変更したり,胆摘予定患者
であれば後述する腹腔鏡下胆嚢摘出術中に排石する方
a c
b d
図7
a : 著明に拡張した総胆管内に 70 × 35 ㎜大の巨大結石を認める。
b : 細径胆道鏡からEHLプローブを挿入し,
下方から破砕しているところ。適宜排石用バルー
ンで十二指腸へ押し出すようにする。
c : 細径胆道鏡で結石をみながら,EHL probe(*)
により破砕しているところ。
d : PTCD 造影により残石のないことを確認しているところ。
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法に切り替えたりすることも大切である。砕石後は胆
嚢内および総胆管内がドレナージされるように胆嚢か
ら総胆管までの距離に穴を開けたカテーテルを留置し
(図 8c),総胆管内圧が十分に減圧されるようにする。
後日確認造影を施行する。
挿入側とは反対側に残った結石はガイドワイヤーを進
めて排石用バルーンで引きずり出してから,空腸側へ
押し出すことで排石可能である
(図 9b)。
腹腔鏡下胆嚢摘出術中の砕石術
最後に我々の施設では,腹腔鏡下胆嚢摘出術中に
IVR 医が砕石を行う事がある。適応としては,胆石と
総胆管結石の両方がある場合で,術前に胆管炎や胆嚢
炎をおこして PTBD や PTGBD など砕石可能ルートが
挿入されていない症例である。また,結石の数は数個
で,かつ大きさはバルーンでおとせる直径 1 ㎝程度ま
でのものとしている。これは術中に確実に排石するた
めである。通常は,総胆管結石は術前に内視鏡的な方
法で排石するのが標準的な手順かと思われるが,全
身麻酔下の術中に排石が可能であれば,患者さんの
肉体的負担がかなり軽減される。Morino らによると,
胆管空腸吻合術後の砕石術
IVR の砕石術が最も効力を発揮するのは,胆管空腸
吻合術後の肝内胆管結石(図 9a)である。内視鏡的なア
プローチも手術も非常に困難であり,唯一の治療法と
言っても過言ではない。手順としては,PTBD を挿入
し,胆管空腸吻合部を Vater 乳頭と同様に拡張し,結
石の大きさに応じて破砕する。ただ,肝内胆管は総胆
管より細いため,Lithotripsy Basket Catheter(LBC)を
操作するのは意外と難しく,多くの場合は EHL プロー
ブで破砕し,排石用バルーンで押し出している。PTBD
a b
c
図8
a : 急性胆嚢炎で PTGBD 挿入後の胆道造影で
総胆管結石を認める。
b : 胆 道 バ ル ー ン チ ュ ー ブ(Create Medic
Corp.)を留置し,ガイドワイヤーで十二
指腸まで探ったところ。
c : 排石後は胆嚢から総胆管までの距離に穴
を開けたカテーテルを留置し十分に減圧
ドレナージが効くようにする。その後,
数日して確認造影を行う。
102(102)
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a b
c
図9
a : 肝内結石症のため胆管空腸吻合術後,肝内胆管内に
は様々の大きさの結石が再発充満している。
b : EHL で破砕しバルーンで押し出した後,対側に残っ
た結石にはガイドワイヤーを進めてバルーンで引き
ずり出してから,空腸へ押し出すようにする。
c : PTCD 造影により残石のないことを確認していると
ころ。チューブ先端の陰影欠損(白矢印)は残石では
なくチューブ先端のバルーンによるもの。
術中に EST を施行する事で一期的に治療を行う方法
(laparoendoscopic rendezvous technique)
で,苦痛を軽
減でき,且つ入院期間も短縮され,経済的にも良い方
1)
法であるとしている 。また,EST と EPBD(endoscopic
papillary balloon dilatation)で合併症を比較した文献は
いろいろあるが,EST の施行程度や,EPBDで使用する
バルーンの大きさの程度により合併症の程度は様々で
2,3)
あり,一概にどちらが安全とは言えないようである 。
我々は,乳頭機能温存が可能で内視鏡も必要無い経胆
嚢管バルーン拡張法で十分であると考えている。
手順としては,まず外科医が,全身麻酔下,腹腔鏡
下で,胆嚢管を露出し一部に切開を入れて造影する。
結石が確認されたら IVR 医と交代して,胆嚢管の切開
部からシースを挿入し,通常通り排石を行う(図 10)。
手技のコツは,気腹されているため,シースは通常よ
り長い 35 ㎝のものを使用する。また,最後に減圧の
ため内瘻化カテーテル(通常のピッグテールカテーテ
ルを切断して短くしたもの)を留置することもコツで
ある(図 11a)。これは,Vater 乳頭の浮腫により一過
性に閉塞が生じ,術後胆管内圧が上昇することによる
胆嚢管断端部からの胆汁漏が生じたり,膵炎が生じる
ことがあるためである。このカテーテルは,食事を開
始すれば自然と脱落する
(図 11b)。
また,経胆嚢管経由での砕石術
(PTGBD からの砕石
や,腹腔鏡下胆嚢摘出術中の砕石)
で難しいのが,胆嚢
管合流部よりも上流へ結石が移動してしまった場合であ
る。これは,胆嚢管合流部が下方に位置していればい
るほど起こりうる現象であり,この結石をシースよりも
下流へおびき出すにはちょっとしたコツが必要である。
まず,シースをぎりぎりまで引き,総胆管をフリー
にする
(図 12b)
。
その後,排石用バルーンをシースぎりぎりの位置で
総胆管径ぴったりに膨らませ(図 12c),バルーンを急
速に下流へ押し込む(図 12d)と,それにより生じる陰
圧で結石が総胆管下部へ落ちてくる。後は,排石用バ
ルーンを収縮(図 12e)させ,結石とそっと位置を入れ
替えた後,押し出せばよい
(図 12f)
。
合併症
合併症としては,膵炎,胆管炎,胆管出血,穿孔,
などが考えられるが,ほとんどが,乳頭部への乱暴な
操作によるものと思われる。我々も軽度のアミラーゼ
の上昇を経験したことはあるが,急性膵炎として治療
を必要とした経験はない。おそらく,砕石後は必ず総
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a b
c d
図 10
a : 全身麻酔下,腹腔鏡下で
胆嚢切開し,そこからの
造影で結石を確認してい
るところ。
b : Vater 乳頭を拡張してい
るところ。
c : 排石用バルーン(矢印)で
結石(矢頭)を押し出して
いるところ。
d : 最後にバルーンを総胆管
下端にウエッジさせて
シースから造影し,残石
のないことを確認してい
るところ。
図 11
a b
a : 内瘻化カテーテル
(通常のカテーテルを切断して短くしたもの)を留置した
(白矢印)
術直後の腹部X線写真。
b : 数日後,カテーテルは腸管内に脱落している。その後,便とともに排泄された。
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a b c
d e f
図 12 経胆嚢管経由での砕石中,結石が胆嚢管合流部より上流へ逃げてしまった場合の手技のコツ
a : シースより肝門部に結石が移動してしまっている。
b : シースをぎりぎりまで引き,総胆管をフリーにする。
c : 排石用バルーンをシースぎりぎりの位置で総胆管径ぴったりに膨らませる。
d : バルーンを急速に総胆管下部へ押し込み,それにより生じる陰圧で結石が下方へ落ちてくる。
e : 排石用バルーンを収縮させ,結石と位置をそっと入れ替える。
f : 再度,排石用バルーンにで結石を十二指腸内へ押し出す。
胆管内圧減圧を行っていることから,大事には至らな
かったものと思われる。
また,術中の砕石では 12 例中 1 例で,Vater 乳頭浮
腫により総胆管内圧が上昇し胆嚢管断端部の胆汁漏が
おきたが,手術時に留置した肝床部ドレナージにより
大事にはいたらなかった。この症例は初期の症例で,
まだ内瘻チューブを留置していなかったために,総胆
管内圧が上昇し,胆汁漏を来たしたと考えられた。こ
れ以降,内瘻化チューブを留置するようにしている。
さいごに
胆道結石の治療は様々な選択肢があるが,どういう
治療を選択するかは,患者側の状況(病態や希望など)
による選択だけではなく,医療側(施設)による選択,
つまり外科医・内視鏡医・IVR 医の関係や技術の違い
によって選択されるのが現実であろう。つまり開腹法
はどの施設でも,大概可能であろうが,患者側の病態
に問題がなければ,腹腔鏡下胆管結石切石術に熟練し
た外科医がいる施設は,外科医による治療が第一選択
になるであろうし,EST(endoscopic sphincterotomy)
や EPBD(endoscopic papillary balloon dilatation)に熟
練した内視鏡医がいる施設は,それが第一選択になる
であろう。
ここで治療の選択肢として,IVR を加えることが出
来れば,患者の病態に合った,より負担の少ない治療
法を,多くの治療法から選択することが可能になると
思われる。
【文献】
1)Morino M, Baracchi F, Miglietta C, et al : Preoperative
endoscopic sphincterotomy versus laparoendoscopic
rendezvous in patients with gallbladder and bile duct
stones. Ann Surg 244 : 889 - 893 ; discussion 893 - 896,
2006.
2)Yao LQ, Zhang YQ, Zhou PH, et al : Endoscopic
sphincterotomy or papillar y balloon dilatation for
choledocholithiasis. General Hepatobiliary Pancreat
Dis Int 1 : 101 - 105, 2002.
3)Watanabe H, Yoneda M, Tominaga K, et al :
Comparison between endoscopic papillary balloon
dilatation and endoscopic sphincterotomy for
the treatment of common bile duct stones. J
Gastroenterol 42 : 56 - 62, 2007.
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