平成25年度 民間社会福祉事業所の人材確保

・現員数
・不足人数
・募集方法
・希望する制度
・離職の状況
・研修・育成の状況
・問題点と対応
<平成 25 年度民間社会福祉事業所の人材確保に関する調査報告書(概要版>
県内民間社会福祉事業所 1,081 カ所に聞きました
各事業所はどのような状況の中で人材確保に努めているのでしょうか。
調査票のデータ集計と抱えている問題点、要望から分析しました。
(対象:1,343 カ所、回答:1,081 カ所、回答率:80.5%)
○ 全体職員のうち正規が 6 割を占め、正規の 8 割、非正規の 9 割が女性である。
○ 職種別人数では、正規・非正規ともに介護職がおよそ 4 割を占めている。
○ 職員の高齢化が進んでいる。(50 歳以上:平成 24 年度 34.0%→25 年度 38.7%)
-1-
○
職種別では、「介護」
「看護」「訪問介護」が多く、割合では「セラピスト」「訪問」
「看護」が高くなっている。
○ 事業所種別ごとでは、
「通所」
「特養」
「訪問」が多く、割合では「訪問」が特に高く
なっている。
-2-
○ 不足している事業所数では「通所」
「訪問」が特に多く、割合では「老健」が特に高
くなっている。
その他で効果あり:ナースセンター 4、シルバー人材センター 3、紹介会社 2、母子家庭支援センター 2、自立支援センター 2、
近隣 2、ボランティア、新聞折込、掲示物、元職員
○ 随時募集では、
「ハローワーク」が 9 割以上の事業所で利用されており、うち「効果
あり」の割合は「人材派遣会社」とともにおよそ 6 割となっている。
-3-
その他で効果あり:家族 3、保護者 3、ナースセンター 2、紹介会社 2、シルバー人材センター、合同採用試験、
介護労働安定センター
○ 次年度の募集では、
「学校関係」が 7 割と特に多く、
「効果あり」の割合は「職員・
知人」
「学校関係」の順に高くなっている。
○ 希望する制度やしくみでは、
「求職者情報」が最も多く 67.8%(606 カ所)で希望があ
り、次いで「潜在有資格者の掘り起し」51.8%(463 カ所)、
「職場説明会」が 36.2%(324
カ所)の順となっている。
○ 特に、有資格者の求職者情報のニーズが高い。
-4-
○ 職種別の離職者数では「介護職」が正規・非正規の合計で 1,000 人以上と特に多く
なっている。離職率では非正規が「訪問」
「看護」
「相談」の順に高くなっている。正
規では「看護」
「栄養士」が 1 割以上となっている。
○ 事業所種別の離職者数では「通所」の非正規が 334 人と特に多く、次いで「保育所」
「特養」の順となっている。離職率では「小規模」の非正規が唯一 2 割を超えており、
正規では「グループホーム」
「小規模」「訪問」「療養型」が 1 割以上となっている。
-5-
○
規模別の離職者数では、正規が「50~100 人」で最も多く、非正規では「10~20
人」が最も多くなっている。離職率では、非正規の「5 人未満」が唯一 2 割以上とな
っている。正規の「10~20 人」が 1 割以上となっている。
○ 勤続年数別の離職者数では「1 年未満」が正規・非正規ともに最も多く、離職率も
最も高くなっている。次いで「1~3 年未満」となっており、この2区分の合計で離職
者全体人数の、正規が 53.8%、非正規が 65.6%をそれぞれ占めている。
-6-
○ 全体の離職理由としては、
「身体不良」が特に多く、次いで「仕事についていけない」
「人間関係」の順となっている。
○ 「仕事についていけない」の内容は、「本人の適性」がおよそ 65%を占めている。
○ 勤続年数別の離職理由としては、「仕事についていけない」が「1 年未満」の合計
人数のおよそ 2 割を占めているが、
「1~3 年」では 5%を下回り、年数を重ねるごと
に少なくなっている。
「身体不良」は全ての年数区分で 1 割を超えている。
-7-
○ 職種別の研修派遣日数は正規が多く、「その他」を除き「相談・支援員」
「介護職」
が特に多くなっている。1人あたりの年間平均日数では、
「介護支援専門員」「相談・
支援員」
「保育職」の順に多くなっている。
○ 「確保できない」
「中堅職員の不足」がともに全事業所の 3 割を超えている。次い
で「募集方法」が同じく 2 割を超えており、中堅職員となる前に離職となってしまっ
ていること、さらに効果的な募集方法が手探りの状況が見て取れる。
-8-
○ 対応策の要望先については、「国」が 36.1%と特に多く、次いで「県」「市町村」
がほぼ 15%の順に多くなっている。
○ 対応策の要望内容の内訳ついては、
「処遇・報酬・加算」が 33.9%と特に多く、次
いで「募集・掘りおこし」が 23.2%となっている。
○ 対応策の内容別の要望先では、「処遇・報酬・加算」は「国」が特に多く、次いで
「市町村」
「県」の順となっている。
○ 「募集・掘りおこし」は「ハローワーク」が特に多く、次いで「福祉人材センター」
「養成校」の順となっている。
○「施策・対策」は「市町村」が多く、次いで「県」「国」の順となっている。
○「教育・資格」は「養成校」が多く、次いで「県」「市町村」の順となっている。
-9-
【人材確保の問題点:その他 自由記述】
「確保できない・不足」
(54 件)
・土曜日勤務、夜勤、時間外サービス対応者の不足(7 件)
、
・経験者、指導者の確保が困難(6 件)
「離職」
(15 件)
・一番多い離職理由としては、人間関係に問題が発生して辞めることもある。(6 件)
・慢性的な人材不足で採用基準を満たしていなくても採用せざるを得ない。その結果
として、技術、知識に付いていけずに辞めてしまうケースも少なくない。
「研修・定着・指導」
(26 件)
・研修に参加・派遣するためには、職員の法定定数、代休、有給等を考慮する必要が
あり、なかなか人材に余裕がない。
・介護職場でのスタッフ同士のコミュニケーションは、絆のあるあたたかいものでな
いといけないので、メンタルケアの支援をお願いしたい。
「資質・態度」
(9 件)
・一般常識、マナーに欠ける若い職員が多く、研修等をいくらやってもその場限りで
身に付かない。
(長続きしない、問題を起こす)(3 件)
「賃金・処遇改善」(7 件)
・正社員・嘱託・臨時職員などの働き方に対する報酬への不満が大きい。(正社員、嘱
託になれない現実)
「経営・運営・収入」
(7 件)
・福祉事業所の増加に伴い、訪問入浴の利用者の重度化があり、手がかかるために入
浴時間も長くなっている。他のサービスは介護度により報酬が変わるのに、単価が
同じなのはおかしい。
・介護報酬が引き下げられて経営が一段と厳しくなっており、昇給原資の確保が毎年
困難になっている。
「勤務体制・職場環境」
(8 件)
・夜勤業務と家庭が両立できないと、夜勤の無いデイサービスなどへ転職してしまう。
(4 件)
・平成 24 年 4 月からの法改正により、人員配置が厳しくなり、利用者の利用時間も長
くなって、業務がきつく、一日の業務量も増えている。
「派遣・紹介業者」(7 件)
・人材紹介会社を通すので紹介料が高く、経営を圧迫する。
(5 件)
「職員の高齢化」
(7 件)
・20 代の若手職員の確保ができない一方、高齢で元気に働く職員が増えている。
(6 件)
- 10 -
【人材確保の対応策:各方面への意見や要望 自由記述】
「国」(202 事業所、257 件)
○
介護報酬をアップしてほしい。仕事への意欲を維持できるように、賃金が支払え
るための報酬の見直しをしてほしい。(38 件)
○
介護人材の不足についてもっと危機感をもって対策を講じてほしい。
(7 件)
「県」(101 事業所、108 件)
○
現在の求職者にはもちろん、小中高生にもっと魅力ある仕事、人のためにできる
仕事ということを伝える必要がある。ただ、
「人の役に立ちたい」という思いだけで
は長続きしない。県民に介護の状況をもっと知ってもらう機会をつくってほしい。
○
福祉職は他の職種に比べ、賃金の水準が低い為、求職者に熱意があっても定着し
ない。(特に男性の場合家族を養えない。)全体的な賃金の底上げを国から指示して
もらうと共に安定した財源確保を保障、支援して欲しい。又、県・市町村単位での
職員のスキルアップ及びモチベーションアップの為の研修を実施して欲しい。経営
する側の研修(福祉経営ノウハウ、意識改善等)も実施して欲しい。
「市町村」
(92 事業所、104 件)
○
市の福祉計画(高齢、障害にかかわらず)で、福祉人材がどのくらい必要で何人
充足されているかなどを考えていくべき。事業所の計画を立てても働く人の見通し
ができていないのではないか。
○
事業所の地元での雇用を考えると、市町村での人材活用があるので人材バンク等
の活用を事業所と市町村で進める制度を設けてほしい。
「ハローワーク」
(82 事業所、86 件)
○
紹介される人は元々他の職業に就いていた方が多く、介護が簡単に就職できると
考えている。紹介する際も介護の厳しさを伝えてほしい。
○
介護職は将来性のあるもので、なくてはならないものというアピールをもっとし
て欲しい。
「健康・福祉人材センター」
(37 事業所、38 件)
○
ホームページ「福祉のお仕事」に求人登録をしているが、登録の手間が煩雑で、
面接まで行った人もいない。求職者一覧は定期的に送られてくるが、就職意欲のあ
る方なのか?きめ細かい対応をしてほしい。
○
職場説明会では大規模施設への就職希望者が多く、同じスタートラインに立てて
ないと感じた。規模別の説明会を実施してほしい。
「養成校」
(71 事業所、74 件)
○
途中採用したいとき、卒業生の中で職を探している方がいるか尋ねたが「把握し
ていない」との返事でした。間近の卒業生の把握をしてもらえると助かります。
○
専門的な知識だけでなく、コミュニケーション能力や一般常識、社会性を身に付
けるよう指導してほしい。
「職能団体」
(32 事業所、34 件)
○
潜在有資格者の掘り起し、社会的位置づけ、役割をアピールしてほしい。
○
資格制度は技術面だけでなく、仕事に対する心構えや考え方の面を成長させる側
面がほしい。
「経営者団体」
(20 事業所、20 件)
- 11 -
○
職員の雇用体系をもっと見直し、職員がすばらしい職業に携わっていることが誇
らしく思えるようにしていただくことにより、離職率が低くなっていくのではと思
います。
○
経営者、職場ごとの会はあるが、事務担当者の会はなく、求人、給与等の人材確
保の情報交換の場がほしい。
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平成25年度
民間社会福祉事業所の人材確保に関する調査
報告書(概要版)
発行日
平成26年6月
発行者
社会福祉法人 富山県社会福祉協議会
富山県健康・福祉人材センター
(無料職業紹介許可番号16-ムー010005)
〒930-0094 富山市安住町5番21号
富山県総合福祉会館(サンシップとやま)2階
TEL:076-432-6156 FAX:076-432-6532 - 13 -