no.3HP - 高知県立牧野植物園

展示・報告会のお知らせ
『すみれ・たんぽぽ展』
【会期】平成 28 年2月 22 日(土)
∼5月 29 日(日)
【場所】高知県立牧野植物園 / 展示館 企画展示室
これまで当園が進めてきた研究活動の柱の一つであるボランティアと協働
した調査研究活動の成果を報告します。身近な植物であるスミレとタンポポ
を題材に、知っているつもりの植物にあるなぞや意外さなどを通じて植物に
より親しむためのきっかけをつくり、また花のつくりや生態などを紹介し、
キバナノコマノツメ
本調査終了!ご協力ありがとうございました
植物学の基礎も学べます。
西日本 19 府県が一斉に参加するタンポポ調査・
務局として多々至らぬ点もございましたが、皆さまの
西日本 2015 の調査が5月末で終了しました。高
おかげを持ちまして無事に調査を終了することができ
知県の調査では 199 名の方々が参加され、県内各
ました。今回のタンポポ調査を通して、身の回りの自
【日時】平成 28 年3月 26 日(土)10:30∼12:00 地から 4,172 個のサンプルが集まりました。2014
然に目を向けるよい機会と経験になれば幸いです。
【場所】高知県立牧野植物園 / 本館 映像ホール 年の予備調査と合わせると、281 名の参加、集まっ
調査で確認されたタンポポは 13 種類。在来種 10
たサンプルは 7,663 個でした。多くの皆さまにご
種類(このうち国内からの移入と思われるもの 3 種
協力をいただき、誠にありがとうございました。
類)、外来種2種類、在来総苞型外来種1種類です(次
今回の調査では、保育園児から 80 代の方まで、
ページ参照)。
老若男女問わず多くの方にご参加いただきまし
今後データを解析し、調査結果をまとめていき、調
た。自宅やお勤め先の周辺など、身近な場所で採
査の様子、高知県に生育するタンポポの標本やタンポ
集してくださった方やグループで計画的に動いて
ポ分布図を来年 2 月 22 日からすみれ・たんぽぽ展で
調査された方、中にはお一人で 3,174 個のサンプ
展示する予定です。3 月 26 日には報告会も開催。楽
ルを採集し、そのフットワークと観察眼で新たな
しみにしていてください。西日本全体の調査結果は3
産地を次々と見つけられた方など、皆さんそれぞ
月末に公表される予定です。
『タンポポ調査 2015 報告会』
2014・2015 年の調査活動の成果の報告をします。皆さんが集めたサンプルか
らどのような結果が出たのか,是非ご聴講ください。
シハイスミレ
調査にご協力くださった方々・団体(五十音順、敬称略)
青木佳子、浅川幸子、英保迪惠、池内由美子、池田十三生、市村須受子、市村聖子、出口昭代、伊藤千恵、稲垣典年、
猪野律、今井幸一、上野守幸、魚澤伊佐子、氏原典子、榎弘實、大泉宏明、大倉浩典、岡崎鈴、岡崎美津恵、
岡
裕子、小笠原彰子、岡田猛、岡林すみれ、小川佳子、奥宮鈴子、小谷安屋子、鏡征、加島祐二、片岡孝明、
加野岡理恵、鎌倉寧々、上岡明代、川村起久子、川村恒介、川村近子、北添修、北村健身、木村宏、国久真希、
れ自分に合った調査スタイルで動かれました。事
久保慶子、久保祐希、久保祐介、栗原妙子、黒津光世、古賀桂子、古賀陽斗、小松冴、齊木美穂、酒井隆昌、
坂本恵子、佐賀康男、笹岡宗生、佐々木英男、佐々木康子、佐竹光子、佐田博子、澤本結希乃、島崎和子、嶋田友久、
島村奨平、清水謙次郎、下村憲一郎、下村公水、下元秀美、白石淑貴、白石志津、新谷直子、新谷宗義、瀬尾明宏、
関田泰子、高田和子、高橋朋子、高橋裕子、高橋眞起、竹内清治、竹内久宣、竹内日菜、竹田洋子、田城松幸、
田城光子、田中一利、田中伸幸、田辺美苗、谷口椋哉、谷サダ子、田村邦雄、田村満香、近森政一郎、辻恵子、
辻美希、筒井あみ、筒井寿美子、筒井徳和、都築雍子、常川敦央、土居実里、藤堂二三子、豊田光信、中澤裕、
中嶋実里、中野かのん、中平勝也、中平謙一、中屋則夫、中山徹、仁井田由里、西岡潤、西岡ミツ子、西村愛、
西村範子、新田文江、奴田原藻子、根木勢介、野中典子、萩野善久、長谷川章、濱田紀子、樋口留美、廣内富美、
廣岡エリカ、廣瀬眞智、廣田明日香、副田謙二、福原宏、藤澤信子、古谷眞二、細川公子、細川敏水、堀内和美、
前田純子、前田矩仁子、前田綾子、前田智子、眞田井高也、又川和男、町田久仁子、松井宏光、松岡瑞季、松田久司、
松田史乃、松本昌子、松本孝、三谷明莉、宮
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貞子、宮本恵子、村田恵理子、百田正夫、森岡みつき、
森崎司、森幸子、森繁、森智恵子、安井三佳、谷地森秀二、矢野愛子、矢野啓介、矢野じゅんや、
山岡重隆、山
順一、山崎淑子、山崎裕子、山下幸利、山本大祐、山本愛、山本君恵、
2
横飛 ( ほか 3 名 )、横山好史、横山美穂、依光忠宏、渡辺加寿、渡辺美佐、
高知大学教育学部生活科指導法受講生、梼原高校、NTT 西日本(西日本電信電話株式会社)
高知県タンポポ調査実行委員会 / 委員長:鴻上泰、事務局:田邉由紀・藤川和美・坂本彰・和食敦子
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2015 調査結果速報
したが、ヤマザトタンポポが四万十町(旧窪
川町)で確認されました。ツクシタンポポの
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分布域や生育環境については、愛媛県との合
同調査を行ったほか檮原町在住の調査員さん
が独自に踏査され、檮原町から津野町にかけ
ての高標高域の草原や落葉広葉樹林内に分布
している実態がほぼ明らかになりました。こ
れも年度末に詳細な報告ができると思いま
す。
在来二倍体種のうちカンサイタンポポは前
回の調査で確認されていた東洋町、安芸市、
日高村で確認されず、今回新たに佐川町、黒
潮町で確認されました。これらの生育地はい
ずれも規模が小さいことから、草刈りや周囲
の草本類の繁茂といった調査時における生育
地の状況によって、確認されたりされなかっ
たりしていることも考えられます。また、シ
ナノタンポポが高知市で確認されましたが、
生育地の状況から人為的な移入と考えられま
す。
皆さんから提出いただいたサンプルをもと
に現時点の状況で速報としてまとめました。
今後、詳細な解析に加えサンプルを提出して
いただいた皆さんに聞き取りをさせていただ
く場合がありますので、引き続きご協力をよ
ろしくお願いいたします。
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表1.高知県 2014・2015 年調査結果
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皆さんから送っていいただいたサンプルを
同定し、市町村別・種別に集計した段階での
速報です。詳細な分析結果については年度末
になる予定です。
シロバナタンポポ、セイヨウタンポポは県
下のすべての市町村で確認されました。アカ
ミタンポポは馬路村、本山町、大川村、土佐町、
三原村の5町村で確認されませんでした。面
白いことに、この5町村は前回2010年の
調査でも確認されていません。アカミタンポ
ポは分布の変動の小さい植物かもしれません。
一方、分布で大きな変動があったのは「在来
総苞型外来種」です。前回調査では、16市
町村で確認されていませんでしたが、今回確
認できなかったのは馬路村だけでした。なお、
馬路村は前回調査で確認されていますので、
在来種のような総苞外片を持った外来種は県
下全域に広く分布している状態になったと考
えられます。今回、重点調査の対象にしたこ
とによって、調査の精度が向上したという要
素もありますが、在来総苞型外来種が急速に
広がっていることが考えられます。
今回高知県では、①シロバナタンポポの分布
の動向 ②キバナシロタンポポの分布域・個体
群の大きさの把握 ③クシバタンポポの分布域
の把握 ④ツクシタンポポの分布域の把握 ⑤
ヤマザトタンポポ・キビシロタンポポの分布
域の把握 ⑥在来総苞型外来種の分布域の把
握という高知県独自に6つの重点調査項目を
設定して調査を行いました。
シロバナタンポポの分布の動向については
今後詳細なデータの解析を行う予定です。キ
バナシロタンポポについては18市町村で確
認されました。そのうち今回新しく確認され
た越知町越知では、集団のサイズが大きく県
下で最大の広がりを持っていると考えられま
す。
愛媛県における分布状況から愛媛県に接する
高知県側でも確認される可能性が高いと思わ
れていたクシバタンポポ、ヤマザトタンポポ、
キビシロタンポポについては、残念ながら想
定した地域で新たな分布は確認されませんで
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文・写真 / 坂本彰