火災に関しては、人為災害の可能性が高く、かつ発生の可能性が高いと考えられます。このよ うな理由により、今回取りあげることにしました。 実際に火災が発生したマンションの管理組合役員さんよりのコメントを一部紹介致します。 1. 夏場であったため、窓を開けたまま外出する家庭が多く、結果的に出火元の隣や上 階の住居は、油を含んだススでの被害が発生した。 2. 消防署の消火活動については、高層マンション(橋本市の高層マンションの大半が三 石台区に集中)の上層階での消火活動は戸建住宅での活動に比べて相当の時間を必 要とする⇒根本的に消火を必要とする場所の高さが高層マンションと戸建住宅では 違う。 3. 初期消火が非常に重要であり、今後各家庭に家庭用消火器を 1~2 個準備したい。 4. 火災の後処理として、共用部分だけでも修理等に多額の費用が発生した。これにつ いては、大半を修繕積立金でまかなうこととなる。これから保険を申請していくが、 他に個人(各戸)の修理費が別途かかる。 (特記: 消火活動の放水により発生した水害はマンション保険の適用外です) 5. 火災直後、留守の住民に連絡を試みるが上手くいかなかった。今後は、緊急時の連 絡先(携帯電話含む)は、全居住者に届け出てもらうようにしたい。 6. 失火法(注 1)が適用になると出火元には基本的に賠償責任が発生しない。(但し、重 過失(注 2)が認められる場合はこの限りではない) このため、自身の家財道具を守るためには動産保険に加入した方が望ましい。 (注 1) 失火の責任に関する法律 : 民法 709 条により他人の権利を侵害したものへの損害賠償を規定 しているが火災の場合はこの法律により、軽過失の場合、損害賠償責任を負わない。 (注 2) 「通常、人にあれこれ言われるまでの注意をしなくても、わずかな注意をしていれば簡単にこ うした結果になることが分かるのに漠然とこれを見過ごしたような注意を欠いた状態」 重過失の例 ■天ぷらでの揚げ物 主婦が天ぷら油を入れた鍋をガスコンロで加熱したままその場を離れた間に引火 ■暖房器具(就寝中) 電気ストーブをつけて布団で横になったところ眠ってしまい布団に火が燃え移って引火 ■寝タバコ 7 以上のコメントからサンロード三石台自主防災会としては、以下のように考えます。 1. 上記の例で明らかなように火災の煙による二次被害を防ぐためと、防犯への備えとして外出 時には窓を閉めていただくようお願いします。 2. 初期消火は、被害の拡大を防ぐために非常に重要です。ここの成否で、被害結果が大きく変 わります。 万一、初期消火に失敗すれば、消防の到着まで消火活動が出来ないに等しい事となります。 結果、事例と同様に煙による被害や放水による被害で、両隣や上下階にまで被害が及ぶこと は避けられなくなります。 以上により、やはり各家庭での消火器の準備は必要と判断します。 3. 上記 2 で初期消火の重要性は述べましたが、場合により、あるいは火災の種類により、限ら れた時間の中では初期消火(消火器の使用など)も難しいものがあると想像できます。 ここで最も重要となるのは、普段から防火に対する意識を持っていただき 『出火してからでは遅い、普段から火災発生に関して細心の注意をはらう』 『壁一枚、天井一枚、床一枚で他の住居とつながっている』 を心がけ、忘れないようお願い致します。 4. 火災の後処理で、金銭的な負担が全住民に生じたことは先に述べましたが、管理組合などで は金銭以外でも人的・時間的な負担が大きかったと推測されます。 いずれにせよ、火災発生で初期消火に失敗すれば甚大な被害が出るのは間違いありません。 繰り返し申し上げますが、各家庭において普段から防火対策を心がけるようにお願いします。 5. 火災を含む災害時には、緊急時の連絡手段の確保が重要になります。個人情報保護の問題 もあるかとは存じますが、今後、みなさんに協力をお願いする事になるかと存じます。 6. 火災保険はもとより、地震保険、動産保険の加入も一考に値すると思われます。 7. 次項の『家庭の防火対策』は、習慣・対策・ポイントを表しています。普段から目につく所(冷蔵 庫など)に貼ってご利用下さい。また、『初期消火』と『避難』についてもよく読んで、理解いただ くようお願い致します。 (特記)火災報知器について 当マンションに付いているものは、熱感知型で煙用ではない。 また、徐々に温度が上がっていくような場合は、反応しない事もある。 (50℃~60℃以上になって反応する) 8 家庭の防火対策 3つの習慣 ① 寝タバコは 絶対止める ② ストーブは 燃えやすいものから離れた位置で使用する ③ ガスコンロ などのそばを離れるときは、必ず火を消す 3つの対策 ① 寝具や衣類からの火災を 防ぐために、防炎製品を使用する ② 火災を小さいうちに 消すために、住宅用消火器を備える ③ お年寄りや身体の不自由な人を 守るために、隣近所の協力体制をつくる 家庭防火の5つのポイント ① 寝タバコやタバコの、投げ捨てはしない ② 天ぷらを揚げるときは、その場を離れない ③ 子供には、マッチやライターで遊ばせない。 ④ 電気器具は正しく使い、たこ足配線はしない。 ⑤ ストーブには、燃えやすいものを近づけない。 9 たばこやたばこの投げ捨てはしない。 寝たばこは絶対やめましょう。 灰皿の中に水を入れておきましょう。 火がついたたばこを灰皿に置きっぱなしにするのはやめましょう。 天ぷらを揚げるときはその場を離れない。 電話や来客があったら、必ず火を止めてからコンロの前を離れましょう。 コンロの周囲には、燃えやすいものを置かないようにしましょう。 消火器を備えておきましょう。 子供には、マッチやライターで遊ばせない。 ライターやマッチは子供の手の届かないところに置きましょう。 子供だけで花火をするのはやめましょう。 電気器具は正しく使い、たこ足配線はしない。 コードが重い家具の下になっていると、内部で断線し、火事の原因となるこ とがあります。 たこ足配線は、テーブルタップなどが加熱し、発火する危険があります。 コードやプラグが古くなり、傷んでいると、ショートすることがあります。 家具でかくれたコンセントは定期的に掃除しましょう。ほこりがたまり火がつ くことがあります。 コンセントを抜くときは、必ずプラグを持ちましょう。 電気器具を通電したまま放置すると思わぬところから出火することがあります ストーブには、燃えやすいものを近づけない。 ストーブの上に洗濯物を干すのはやめましょう。 必ず火を消してから給油しましょう。 10 Fireman of the flame ■火災予防について 初期消火! 火事を発見してから数分間が、小さな火を消せるかどうかの勝負です。 日頃から、どんな場合にはどんな消火方法がもっとも適しているかが覚 えておきましょう。 Q 家の中で火が出たときの消火の心得を教えてください。 必ず自分の逃げ道を確認してから消火しましょう。 無理は禁物 煙や炎にまどわされず、どこが、どのくらい燃えているか確かめて から消火しましょう。 消火器はしっかりと火元めがけて使うことが大切です。水をかける 場合も同じです。 Q 水をかけてはいけないものは? 天ぷら鍋、石油ストーブ、通電中の電気器具などです。天ぷら鍋では油 がはねたり、炎がさらに広がったり、ヤケドをする危険があります。 石油ストーブでは、炎が大きくなっていると水をかけることによって火炎 が急激に広がること もあります。通電中の電気器具では感電する危険 があります。 Q 消火方法は燃えているものによって違うのかしら? 違います。有効な消火器の種類や水のかけ方など平素から考えておき ましょう。 消火器は粉末、強化液などがあります。家庭では、できるだけ「家庭専用 消火器」を備えておくことを進めます。 この「家庭専用消火器」は、一般的には、天ぷら油火災、電気器具やガ ス器具、石油ストーブからの出火など、いずれの場合も使えます。 11 Q 消火器を上手く使えるかしら? 普段から使い方を覚えておくことが大切ですね。火を見てから使用方法 を読んでいては遅すぎます。気が動転すると、いつもならなんでもないこ とも、なかなかうまくいかないものです。 Q 大変!天ぷら鍋から炎が! どうしたらいいでしょう? あわてずに、まずガス栓を閉めて、鍋の前方から炎を押さえつけるよう にフタをします。 絶対に水をかけたり、ぬれた野菜を投げ込んだりしない ように。少量の水分でも、油がとんだり、炎が大きくなって危険です。ま た、すぐにフタをとると、再び燃え出すことがあるので、十分注意してくだ さい。 Q 炎が大きくてフタができません。このままでは火事になってしまう! とにかくガス栓を閉めて消火に 当たりましょう。もしガス栓を閉めるの が無理なら消火を先にします。消火の方法は、消火器を使うか、ぬらして 絞ったシーツを鍋におおうようにかけます。消火器は強化液の家庭専用 消火器が天ぷら油火災に大きな効果があります。 Q 天ぷら火災はなぜ起きる? 天ぷらを揚げるとき、油の温度が上がるまで他の用事をしていたりちょ っとのつもりで鍋のそばを離れている間に火が入り、火事になるケースが 毎年たくさんあります。揚げ物に適した温度は180度です。火をつけてか ら約4~5分でこの温度になります。ところが、このまま放置すると10分 前後で白煙がたちのぼり、異臭がたちこめます。やがて360度ほどにな ると、ボッと燃え上がり、さらに2分ほどすると炎は1mも立ち上がります。 天ぷら油火災は大変消しにくいものですから、十分に注意してください。 12 Fireman of the flame ■火災予防について 避難! 火を消すことばかりに気をとられていると、煙がひどくなって逃げ遅れる ことがあります。日頃から二つの方向の逃げ道を考えておきましょう。 Q 消火をあきらめるのはいつ? 一つの目安としては、 炎が天井に達したときです。 その前でも煙がひどい場合は危険なので、一刻も早く避難してくださ い。 Q 最近の火事では、煙の怖さがよく言われていますね? 火事による煙で毎年多くの人が亡くなっています。これは、火事の際に 発生する有毒な煙を吸い込むと、呼吸ができなくなるばかりでなく、意識 がなくなったり、身体が動かなくなったりして逃げ遅れるからです。 火事になったら煙を吸わないようにして早く避難してください。 Q 煙の進む早さは? 熱せられた煙は、毎秒3~5mで勢いよく上昇し、横への広がりは毎秒 0.5~1mです。煙には一酸化炭素や塩素ガスなどの有毒ガスを含んで いるため、中毒死することもあります。 Q 避難方向の選び方は? 出火場所によって、玄関、裏口、窓、ベランダなどの出口の中から、一 番安全な出口、避難しやすい出口を選ぶようにします。また、このような 避難のための出口に物を置いたりしていては、イザというときに避難がで きないので、ふだんから物を置かないようにしてください。 13 サンロード三石台居住者の 4 割が地震対策を行っておらず、その理由として 「何をすればいいのかわからない(60.6%)」 「忙しくて時間がない(33.3%)」 「準備の手間が面倒(24.2%)」 「お金が掛かりそう(15.2%)」 が順にあげられました。また、地震被災後の対策に関する設問では、 「消火器の設置場所、使用方法」 は 75%以上が認識していた一方で、それ以外の選択肢にある 「避難器具の使い方」 「ガスの復旧方法」「止水栓の止めかた」 等、実践的な事後対応については、最大でも 2 割しか理解していないという結果が得ら れました。 昨年10月1日より気象庁から一般向けの提供が開始された緊急地震速報サービスに 関する設問では、緊急地震速報についての認知は 8 割以上と高く、さらに全体の 9 割以 上が緊急地震速報を活用したいと考えています。 ただし、4 割の住民が地震速報後数秒の間の対応が分からず「不安」や「怖さ」を感じ ると答えています。 Q2「実施している地震対策」について 首都圏のアンケート結果(以後首都圏)と比較すると、 「家具転倒防止」 「防災グッズ・用品の準備」 「避難経路の確認」 は 最大 20%劣っています。反面、 「防災訓練への参加」 「防災マニュアルを読んだ」 「家族で待ち合わせ場所を決めている」 は首都圏を上回っています。 ハード面(器具・備品)の備えが手薄であり、またソフト面(知識・コミュニケーション) は個人的な主観が入りやすいため、実際に被災した場合役立つかに疑問が残ります。 14 Q3「なぜ地震対策をされないのですか」について 「何をすればいいのかわからない」 「忙しくて時間がない」 が非常に多く、地震対策の意識が劣っています。 考えの根底に「大規模な地震に遭遇したことがない」「大規模な地震はこない」がある と思われます。 Q4「今後、どのような対策を行いますか」について 上記結果同様、ハード面(器具・備品)が弱く、ソフト面(知識・コミュニケーション)が 強調される結果となっています。 心理的に、手間の掛かるようなことを避け、 「避難経路の確認」 など手軽(すぐ出来る)ことだけに目がいっていると判断されます。やはり、ここでも 「大規模な地震に遭遇したことがない」 「大規模な地震はこない」 があるようです。 「ご近所づきあいをする」について 地震対策をしている人ほど「ご近所づきあい」を重視しており、反面、対策をしていな い人は「ご近所づきあい」の重要性=共助を理解していない傾向があると思われます。 Q5~8「緊急地震速報」について 住民の約 9 割が知っており、また活用したいと考えています。 ただし、速報は活用すべきと考えているものの 「数秒の間に何をすべきか分からない」 が 4 割と高く、また 「数秒の間に何をすべきか何となく分かっている」 が 4 割あるものの、実際に地震がきた場合に対処できるかに疑問が残ります。 いずれにせよ「緊急地震速報」の精度が求められることと、マンション内で 「緊急地震速報」を発信するシステムが必要になります。 15 Q9「地震被害における対応策…」について 「消火器の設置場所、使用方法を知っている」 は 75%と首都圏に比べると高いものの、反面それ以外の項目については 「避難器具(避難ハッチなど)の使い方を知っている(22%)」 が最高で全般にわたって明らかに劣った結果となっています。 ここでも防災に関する意識の低さが表れており、今後防災組織からの情報の発信及び啓 発の促進が重要と思われます。 Q10「マンションでの地震災害で怖いと思うもの…」について 「マンションの倒壊(90.5%)」 を最高に、大半の項目で首都圏の結果を上回っています。 住民は、地震の怖さを知っている、感じていると判断できます。 防災会は、まず「マンションの倒壊」の意識を払拭することが必要であり、次いで 各項目についての対応を行うべきと思われます。 最後に、今回のアンケートの実施にさいして、住民のみなさんからいただいた 感想・意見・要望を掲載しましたので参考にしてください。 16 1. 各戸に避難器具(避難はしごなど)を設置してほしい 2. 管理人室から緊急時(災害など)の連絡を各戸にできるような対策 → 館内放送など 3. 防災グッズの団体購入のとりまとめ(斡旋等) 4. 近所づきあいが少ないため、助け合いという点が不安 5. ある程度の知識は持っているが、実際の行動となると不安である。そのためには、日頃の 意識が大切だと思うので、繰り返しの情報発信をお願いしたい 6. 役員の方は、防災センターなどの見学で得たことを対策等に生かしてほしい 7. 住民が協力しあって行動できる体制を整えておくべき 8. 各種マニュアルの配布(避難場所・避難梯子の設置場所・避難器具の使い方) 9. 詳しく説明した地震対策の情報がほしい(マニュアル) 10. マンションでの地震対策を全く知らなかった。地震発生の可能性が高いと思うので防災会 発信の情報を読んで知識を高めたい 11. 地震は恐いと判っていながら対策が判らない。マンション独自の対策マニュアルなど があればいい 12. 衣・食・住・医療の確保 13. 今回、知らないことが多いのに気がついた。マンションでの避難訓練の必要を感じた 14. 防災訓練の実施強化 15. 地震発生を前提とした対応策を住民が共有できるように説明会の実施(耐震強度などのハ ード面も含む) 16. マンションおよび区における具体的な防災マニュアルがあれば心強い 17. ライフラインの停止でも水は事前に確保できるのでストックすべき 18. 建物の耐震強度が一番気になる 19. 何も対策を行っていないことが再確認できた。特に集合住宅での防災対策を意識できてい なかったので次回の防災・防火訓練に参加したい 20. 防災(火災)の観点からコンロの IH 化を推進願いたい 21. 実際の震度を体感したい 22. 阪神淡路大震災後の数年は持ち出し品を一まとめにしていたが、日々の事に追われ忘れが ちになっている 23. ベランダからの避難通路の確保(隣との仕切り板付近が重要) 24. 地震発生時にパニックに陥ることが恐い(結局は何の対処もできない) 25. 地震はいつか来るだろうが、どこか人ごとのように感じる自分がいる 26. 下層階ほど甚大な被害の発生が高いと思う 17
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