実験的面接での応答の長さに及ぼす質問の流れの効果

奈良教育大学紀要 第40巻第1号(人文・社会)平成3年
Nara Univ. Educ. Vol. 40, No. 1 (Cult. & Soc.).1991
実験的面接での応答の長さに及ぼす質問の流れの効果
玉 瀬 耕 治・鳥 巣 佳 子*・井 川 純**
(奈良教育大学心理学教室)
(平成3年4月30日受理)
カウンセリングや面接などの会話において、質問は欠くことのできないものである。質問を行
わずに面接を行うことはおそらく不可能であろう。質問は、相手に発言を促し、相手から何らか
の情報を得ようとする時、聴き手の側からの発言として用いられるものである。質問は一見単純
に見えるが、実際にはきわめて複雑で、その機能や構造について解明することはそれほど容易な
ことではない(Hargie, Saunders, & Dickson, 1987)c 本研究は、カウンセリングの1つの技法と
しての質問技法について、その基礎的資料を提供するために行われた。質問に関する従来の研究
は、学校、法廷、心理療法、医療、雇用、矯正、報道、調査、経営、日常生活などのさまざまな
分野で行われてきている(Dillon, 1990)。これらの質問研究を通覧すると、ある分野で有効であ
る質問が、他の分野では必ずしも有効ではないことがわかる。カウンセリングにおいては、カウ
ンセリングに固有の質問研究というものが必要であるといえる。
質問の分類にはさまざまな方法があるが、ここでは3つ分類法について述べておこう。 1つは
直接質問と間接質問である(Dillon, 1990)。前者は質問の形式を整えているものであり、後者は
質問の形式を整えていないが質問の意味が隠されているものである。 "それはどういうことなん
だろう"ということによって、 =それはどういうことですが'と尋ねるのと同じ意味をもたせよ
うとする場合がある。カウンセリングにおいてもしばしばこのような間接質問が行われている。
次に、想起質問と処理質問があげられる(Hargie,et al., 1987)。これは認知水準によって質問を
分類しようとするものであり、想起質問はより低次の、処理質問はより高次の認知過程を含む質
問として分類されている。 =あなたはどこで生まれましたが'のように単に何らかの情報を想起
させようとするものは想起質問として分類され、=あなたにはどんな長所がありますが'のように、
答えを導くのに情報の分析、比較、判断、評価、解釈などの処理を必要とするものは処理質問と
して分類される。この分類は、教室場面での質問を分類するのによく用いられている。カウンセ
リングにおいても、情報収集を目的とする場合は想起質問を多用し、クライエントを主体として
面接を発展、深化させようとする場合は処理質問を用いることになるであろう。
質問の第3の分類法は、開かれた質問と閉ざされた質問に分けるものである(Hargie,etal.,
1987;Ivey,&Authier,1978)c この分類法はカウンセリングの分野ではもっともよく用いられて
いるものであり、これまでにわれわれも若干の研究を行ってきた(玉瀬・田中, 1988;Tamase&
Tanaka, 1988)。開かれた質問とは、応答者がどのようにでも自分で自由に答えることのできる
ような質問であり、閉ざされた質問とは限られた特定の短い答えしかできないような質問である。
"もう少し詳しく話してくれませんか"は開かれた質問であり、"今朝はご飯を食べてきましたか"
は閉ざされた質問である Tamase and Tanaka (1988)は面接者が開かれた質問を用いた場合の
* 現在ソフトウェア・リサーチ・アソシエイツ株式会社勤務
* *現在安田火災海上勤務
199
200
玉 瀬 耕 治・鳥 巣 佳 子・井 川 純
方が閉ざされた質問を用いた場合よりも実際に応答時間および応答音節数が長くなり、応答する
までの応答潜時もより長くなることを示している。
ところで、開かれた質問と閉ざされた質問はカウンセリングや面接においては、どのような流
れで行われているであろうか。あるカウンセラーは開かれた質問を多く用い、別のあるカウンセ
ラーは閉ざされた質問をより多く用いている(Hill,1989)c いずれにしても、面接の中で開かれ
た質問をしたり、閉ざされた質問をしたりするはずである。このような質問の形式の変化が応答
の長さや質に影響することはないのだろうか。このことに関連してHargieetal. (1987)は質問
の流れに関する4つの型を分類している。すなわち、 ①じょうご型、 ②逆じょうご型、 ③トンネ
ル型、および(り不定型である。
じょうご型とは、面接の初期段階では開かれた質問を多用し、次第に閉ざされた質問へと進む
ものである。例えば、 =どんなことを話したいのですか?''=この前お会いしてからどうしていま
したか?"などで始まり、クライエントが話し始めると、次第に閉ざされた質問によって話題を
限定する方向に進むようなものである。カウンセ.)ング面接では、もっとも一般的な進め方であ
るといえる。病院の受付でも、初めに=どうなさいました?"と開かれた質問で尋ね、ある程度
患者の状態がわかると、 =熱は何度ぐらいですか?" =これまでにも同じようなことがありました
か?'‥`食欲はありますが'など必要事項を確認するための閉ざされた質問をする。逆じょうご
型は、ピラミッド型とも呼ばれているが、面接の初期には閉ざされた質問を多用し、次第に開か
れた質問へと進めていくものである。この型は進路相談などで用いられることがある。例えば、
=模擬試験では何点ぐらいとれましたか?''=今やってみたいと思っている職業があるのですか?"
など、学業成績、興味、性格その他について、クライエントの現状把握に必要な具体的事項を閉
ざされた質問を用いて尋ね、ある程度の予備知識を得た上で、 =あなたはどうして医者になりた
いのですか?"のように進める場合である。トンネル型とは閉ざされた質問のみが使用される場
合である。世論調査や生活保護のケースワーカーによる面接などで、事実関係の確認のみに重き
がおかれている場合にこのような型の質問が行われる。不定型とは不規則に開かれた質問と閉ざ
された質問が用いられる場合である。不定形の質問法は、上記の3つの規則的な質問法に比べて、
応答者を混乱させる可能性があるといわれている。不定型は、米国の法廷などで、被疑者を意図
的に混乱に陥れようとする場合に用いられることがある(Kestler, 1982)c以上の4つの型の他に、
開かれた質問のみを行なう場合も考えられる。開かれた質問は答えが限定されていないので、応
答者が思いのままに答えることができ、その意味で面接者から応答者に面接の主導権が移される
ことになる。カウンセリング面接ではこのような質問法がとられている場合も多いといえる
(ivey, 1983, pp.42-44)c
本研究では、実験室場面での統制された条件の下で、先の質問が後の質問にどのように影響す
るのかを応答の量的分析によって検討する。実験1ではHargieetal. (1987)の質問の流れに関
する分類を参考にして、 ①開かれた質問ばかりを行う場合、 ②連続的な開かれた質問の後で閉ざ
された質問を行う場合、 ③連続的な閉ざされた質問の後で開かれた質問を行う場合、および④閉
ざされた質問ばかりを行う場合を設定し、最終質問における応答がどのようにことなるかを調べ
る。さらに、実験2では、開かれた質問のみを行う場合に、先の質問の数および先の質問と後の
質問の内容的な関連性によって、最終質問での応答がどのようにことなるかを調べる。
実験的面接での質問の流れ
201
実 験1
本実験では、実験者からあらかじめ決められた4つの質問が行われ、参加者はそれに対して1
つずつ応答するように求められた。質問の流れに関して4つの条件が設けられた。すなわち、 4
つとも開かれた質問が行われる場合(30-0群)、最初の3つは開かれた質問で、最後の質問
のみが閉ざされた質問である場合(30-C群)、最初の3つは閉ざされた質問で、最後の質問
のみが開かれた質問である場合(3 C-0群)、および4つとも閉ざされた質問が行われる場合
(3C-C群)である。
方 法
参加者 大学生64名(男女同数)が実験に参加した。彼らは、実験者(心理学専攻の女子学生)
とは初対面であるか、または知ってはいるが話をしたことがないという規準で選ばれた。彼らは、
30-0群、 30-C群、 3C-0群、および3C-C群の4群にそれぞれ16名(男女同数)ず
つ割り当てられた。
材料 玉瀬・田中(1988)の開かれた質問40項目、閉ざされた質問40項目の中から、応答の長
さと話題の領域を考慮して質問項目を選択した。選ばれた項目は、一般の大学生にとって考えや
すい内容であることも考慮されている。表1は実験1で使用した質問項目を示したものである。
この表で分かるように、同一の内容が2つの開かれた質問(What形式とCould形式)と1つの
閉ざされた質問の形式で尋ねられている。 1人の参加者には、ことなる内容の4つの質問が、実
験条件に従って、開かれた質問または閉ざされた質問のいずれかの形式で尋ねられた。質問の流
れに関して、 3 0-0群では、 What-Could-What-Could (またはCould-What-Could-What)の順、
3 0-C群では、開かれた質問について、 What-Could-What またはCould-What-Could)の順、
3C-0群では、第4間がCould (またはWhat の順に提示された。 3C-C群については、
提示順序を偶数項目同士(2と4)または奇数項目同士(1と3)入れ替えたものを用意した。
さらに4群とも、順序効果を相殺するため全体の順序を全く逆にした2通りのリストを作成した。
表1 実験1で使用された質問項目
友達とつきあう時に気を使うのはどんなことですか(Open-What)
友達とつきあう時に気を使うようなことについて話してくれませんか。 (Open-Could)
友達とつきあう時に気を使うことがありますか。 (Closed)
今興味や関心をいだいているのはどんなことですか。 (Open-What)
今興味や関心をいだいていることについて話してくれませんか。 (Open-Could)
今興味や関心をいだいていることがありますか。 (Closed)
現在の生活で不安に思っているのはどんなことですか(Open-What)
現在の生活で不安に思っていることについて話してくれませんか(Open-Could)
現在の生活で不安に思っていることがありますか。 (Closed)
自分の性格で好きなのはどんなところですか(Open-What)
自分の性格で好きなところについて話してくれませんか(Open-Could)
自分の性格で好きなところがありますか。 (Closed)
202
玉 瀬 耕 治・鳥 巣 佳 子・井 川 純
手続き 実験は実験者によって面接室で個別に行われた。参加者は、面接室に案内され、ソファ
に実験者と90度の角度になるように着席し、次のように教示された0 "これから私からあなたに
4つの質問をします。私は質問した後はあなたの答えを促したり妨害したりするようなことは何
もしません。どんなことをお答えになっても、黙って無表情に聞いていますので、あなたはそれ
ぞれの質問に対して思うとおりに、そして、できるだけ明確に答えて下さい。その答えに対して
正解とか間違いはありませんし、あなたのプライバシーは厳守されますので安心して話して下さ
KM
その後、質問に対する応答を録音することについて了解を得たうえで、実験者は質問を行った。
順序の異なる2つのリストの割り当ては、各群でそれぞれ同数になるようにした。教示の中に示
されているように、実験者からの言葉やうなずきなどの実験変数以外の要因による促進効果を最
少限にするため、実験者は参加者に対して体の正面を向け、視線は参加者の胸元あたりに固定し
た。実験者が質問してから参加者が応答し終るまでのすべてが、カセットテープレコーダーによ
り録音された。各質問に対して、明らかに応答が終わったと思われる時点から4、 5秒後に、次
の質問が行われた。 1つの質問に対する応答は最大2分で打ち切られた。 4項目の質問が終わっ
た後、参加者からの内省報告が求められた。その際の教示は、次のとおりであった。 …私はあな
たが答える時、最初にお断わりしたように、意識してあなたがおっしゃたことに反応せずに聞い
ていました。質問に答える時に、私がそういう態度をとっているために各々の質問に対して答え
やすかったとか、答えにくかったという印象があれば教えてもらえますか。"参加者の応答に応
じて、さらに、 "なぜそう思ったのですか。"と尋ねた。
結 果
録音された参加者の仝応答について、録音を再生し、参加者が応答し始めてから話し終わるま
での応答時間と、実験者の質問が終わって参加者が応答を始めるまでの応答潜時をストノブ
ウオッチで測定した。測定はそれぞれ2度行い、その平均値を使用した。応答を始める前の間投
詞は応答潜時に入れ、応答中の間投詞は応答時間に入れた。応答の逐語記録を作成し、それに基
づいて応答音節数を算出した。質問への問い直しは応答として採りあげなかった。質問の自発的
な繰り返しや応答の繰り返し、言い直しは、すべて応答として採りあげた。表2は各群の応答時
間、応答音節数、および応答潜時についてまとめたものである。
応答時間 第1間から第3閉まではどの群でも同一の質問形式が用いられている。いずれの群
においでも試行による変化は有意でなかったので、第1間から第3間までの平均と第4間につい
て検討した.まず、 4群の第1-3間の平均値について分散分析を行ったところ、 F (3,69 17.45、 ♪<.Olで有意であった。さらに多重比較を行ったところ、隣接する群間では、 30-0
群と30-C群、および3C-0群と3C-C群の間には有意差がなく、 30-C群と3C-0
群の間で有意差がみられた((-4.09、 d/-60、 p<.01)c これは開かれた質問を行った場合の方
が閉ざされた質問を行った場合よりも応答時間が長くなることを示している。次に、繰り返し要
因を含む4 × 2の分散分析を行ったところ、群の主効果のみが有意となった(F-12.42、d/-3,60、
♪<.01)c この結果は、 30-0群(18.48)と30-C群16.13)の間には差がなく、 30C群と3C-0群(8.62)および3C-0群と3C-C群(1.90)の間で有意差があることを示
している(それぞれ、 (-2.49、 (-2.23、いずれもdf-60、 /><.05)。ここで、群と試行の交互
作用はみられなかったが、群内誤差項を用いたt検定の結果、 3 C-0群についてのみ試行問で
実験的面接での質問の流れ
203
表2 各群の応答時間、応答音節数、および応答潜時の平均と標準偏差
応答時間 応答音節数 応答潜時
秤
第1-3間 第4間 第1-3間 第4問 第1-3間 第4問
亡 D
n
O
n
n
r T
n
C f t
m
O I
m
C M
h
t D
I M
^ O <X> <T> LO CNl
N ^ o O
∫β z.e 1.04 11.92 4.41
N
5β 5.49 1A 24.23 27.43
3C-C M 2.48 1.31 10.79 6.63
よ D ^ C O
∫β 10.08 16.02 36.59 71.54
3C-0 M 5.85 11.38 24.06 42.75
CO (N) CN]
SD 6.27 16.09 28.86 74.51
30-C 〟 15.81 16.44 56.29 67.69
l-n CO <-i i-i i- O N N
30-0 〃 16.96 20.00 63.88 91.19
N
有意差がみられるといえる(t-2.14、 d/-60、 /><.05)c さらに第4間について分散分析を行っ
たところ、F (3,60) -6.92、p<.01で有意であった。これは、 30-0群と3C-C群、およ
び3 0-C群と3 C-C群の間で有意差がみられ(それぞれ(-4.28、 (-3.46、いずれもdf-60、
♪<.Ol)、その他の群間では差がみられないことを示している。
これらの結果でもっとも注E]すべき点は、開かれた質問から閉ざされた質問に移行した場合
(30-C群)は閉ざされた質問を続けた場合(3C-C群)に比べて応答時間がより長くなっ
ていることである。すなわち、先行する質問が開かれた質問である場合には、その後に行われる
閉ざされた質問への応答は引き延ばされる傾向があるといえる。一方、閉ざされた質問から開か
れた質問に移行した場合(3C-0群)は、開かれた質問を続けた場合(30-0群)と応答時
間はあまり変わらない。
応答音節数 応答音節数については応答時間と同様の結果が得られている。すなわち、 4群の
第1-3間の平均値については30-0群と30-C群の値の方が3C-0群と3C-C群の値
よりも有意に高く、開かれた質問の方が閉ざされた質問に対するよりも応答音節数が多かったと
いえる。また、第4間については30-0群と3C-C群、および30-C群と3C-C群の間
で有意差がみられ、その他の群間では差がみられなかった。なお、応答時間と応答音節数につい
ては各群の標準偏差がかなりことなるので、分散をより等質なものにするため,基礎資料を開平
変換した値 /*+1 についても検定を行った。その結果、全体としてはほぼ同じ結果が得ら
れたが、開平変換を行った場合の方が有意な差が検出されやすくなり、新たに次の点について有
意差が認められた。応答時間に関しては、第4間において、 3C-0群と3C-C群の間に有意
差が認められたU-3.77、 df-60、 /><-OD。また、応答音節数に関しては、第4間において、
30-0群と3C-0群の問U-2.48、 df-60、 /><.05)、および3C-0群と3C-C群の間
U-3.42、 df-60、 p<.Ol)に有意差が認められた。
これらの結果は、 3C-0群が3C-C群よりは第4間での応答がより長いが、 30-0群に
比べるとそれよりも短い傾向があることを示している。すなわち、上記の応答時間での結果に加
えて、先行する閉ざされた質問によって、後続する開かれた質問への応答がより短縮される傾向
があることを示唆している。
204
玉 瀬 耕 治・鳥 巣 佳 子・井 川 純
応答潜時 応答潜時については、4群の第1 -3間の平均値について分散分析を行ったところ、
群間の差は有意ではなかった。さらに、繰り返しの要因を含む4×2の分散分析を行ったところ、
交互作用のみが有意となった(F-3.33、 d/-3.60、 /><.05)。これは、 3 C-0畔においてのみ
第4問で潜時が有意に長くなっていることを示している(t-2.22、 df-60、 f<.05)c第4問の
各群間には、有意な差は認められていない。これらの結果は、 3 C-0群の場合は、先行質問か
ら後続質問へ移行した際に、明らかに潜時が長くなっており、先行質問の影響を受けていないと
言えるが、 3 0-C群の場合は、移行による潜時の変化が見られず、先行質問の影響を受けてい
る可能性があるといえる。しかし、第4間での群差が有意でないので、断定的なことはいえない。
内省報告 実験後の内省報告について分類してみると、実験者が参加者の応答に対して無反応
であったことについて=答えやすかっだ'と答えた者は29名、 =答えにくかっだ'と答えた者は
35名であった。答えやすかったと答えた者のうち、 20名は無反応であることを=最初にことわっ
ていたので実験者の態度は気にならなかっだ'としており、 5名は"質問内容が不快でなかった
ので気にならなかっだ'と答えていた。残りの4名はいずれも3C-C群の参加者で、 =はいか
いいえで答えることができたから"と答えていた。一方、答えにくかったと答えた者では、 15名
が"何も言ってもらえないので、本当に聞いてくれているのかどうか不安だっだ'としており、
12名が、うなずいたり、コメントを加えたりして=もっと具体的に聞いてほしかっだ'と答えて
いた。残りの8名は2人だけで話しているので=恥ずかしかっだ'と答えていた(これはすべて
>])'・主
考 察
応答時間および応答音節数について共通する主な結果は、開かれた質問から閉ざされた質問に
移行した場合は閉ざされた質問を続けた場合に比べて最後の閉ざされた質問に対する応答がより
長くなっていることである。さらに開平変換した値での付加的分析から、閉ざされた質問から開
かれた質問に移行した場合についても、開かれた質問を続けた場合に比べて最後の開かれた質問
に対する応答がより短くなる傾向があるといえる。
本実験における30-C群はHargieらのじょうご型に相当する。初めにいくつかの開かれた
質問を行い、その後で閉ざされた質問を行う場合である。カウンセリングの初期の段階では、こ
のようなじょうご型の質問が行われるのが普通である。このような質問の流れの場合、クライエ
ントは開かれた質問によって話の主導権を握り、自分の思い通りに会話を進めることができる。
従って、途中で"はい"または"いいえ"で答えられるような閉ざされた質問が入ってきても、
一応、"はい"または"いいえ"と答えた上で、さらに自発的に発言しやすくなっているといえる。
3C-0群はHargieらの逆じょうご型に相当する。この場合は30-C群の場合とは逆に、先
に閉ざされた質問が続けられ、その後で開かれた質問が行われるので、短く答える構えが形成さ
れてしまっている。従って、開かれた質問を続けた場合ほどの情報を得ることは期待できない。
ただし、先の質問の影響は、 30-C群の場合に比べると弱いので、著しく発言が少なくなると
はいえない。
これらのことは、経験的には納得できることであるが、筆者らの知るかぎりではこれまでに実
証的に示されたことはないと思われる。本実験は条件統制を重視しているため、結果をカウンセ
リングの領域にあてはめるのにはかなりの隔たりがあるといえる。内省報告に見られるように、
半数以上の参加者は質問に答えにくかったと報告している。このことの最大の原因は、かかわり
実験的面接での質問の流れ
205
行動(Ivey,1983)を用いていないことによると考えられる。開かれた質問と閉ざされた質問の
いずれの形式においても、かかわり行動が応答を促進することは玉瀬(1990)によって実証され
ており、かかわり行動を用いることによって、実際のカウンセリング場面に一歩近づけることが
できよう。質問の内容についても、より実践的な内容に変えることが必要である。本実験では、
友人、興味、日常生活、および性格に関する質問を用いているが、さらに話題を絞って質問すれ
ば、より実践的なものとなるであろう。本実験では、前後の質問の関連性の影響を避けるために
個々の質問の話題を変えている。実験2において質問の関連性の問題は取り上げられる。
実 験 2
実験1では、先の質問が後の質問への応答の長さに影響することが実証された。実験2では、
応答の自由度がより大きい開かれた質問のみを用いて、さらに質問の流れの問題を検討する。こ
こでは、特に質問内容の関連性について検討する。経験的には、内容的に関連があるほど、応答
は長くなると予想されるが果たしてどうであろうか。また、実験1では連続する4つの質問が行
われたが、質問の数の影響はあるのであろうか。このことを検討するため、実験2では質問を合
計2間だけ行う場合と5問行う場合を比較し、内容的関連性との交互作用の有無についても検討
する。
方 法
参加者 大学生60名(男子16名、女子44名)が実験に参加した。彼らは、関連性有2間群、関
連性無2閉群、関連性有5間群、および関連性無5間群の4群にそれぞれ15名(男女同比率)ず
つ割り当てられた。
材料 Tamase (1989)の質問項目を参考にして、小学校から大学にいたるまでの間のごく一
般的な話題について、友人関係に絞って尋ねたもの(関連性有群)と、食べ物、性格、趣味など
無関連な話題について尋ねたもの(関連性無群)を各5間ずつ作成した。質問の形式は、すべて
開かれた質問とした。酎麦の2間は、いずれも大学生になってからのことを尋ねており、最終質
問(5問目)は、関連性有群、関連性無群ともに同一の質問とした。関連性有の場合も関連性無
の場合も、 2間群では最後の2間だけを尋ねた。表3は、実験2で使用した質問項目を示したも
のである。
手続き 実験は実験者によって実験室で個別に行われた。実験状況および教示は、実験1とほ
ぼ同じであった。ただし、実験者は参加者と向かい合って座り、特別に意識した無表情や無反応
にならないように、通常の会話と変わりのない態度で参加者と応対した。 2間群では、表3に示
された質問項目のうちの最後の2問のみを尋ね、5間群では1番目から順に5つの質問を行った。
参加者の同意を得て、参加者のすべての応答をカセットテープレコーダーに録音した。
結 果
録音された参加者の全応答のうち、関連性有群、関連性無群ともに、 2間群では全応答を、 5
間群では第1間目、第4間目、および第5関目の応答を再生し、応答時間および応答潜時をストッ
プウオッチで測定した。また、これらの応答の逐語記録を作成し、応答音節数を算出した。表4
は各群の第1関目、第4間日(2間群では1間目となる)、および第5関目(2間群では2間目)
206
玉 瀬 耕 治・鳥 巣 佳 子・井 川
純
表3 実験2で使用された質問項目
関連性有群用
1.小学校低学年の頃は、どんな友達と遊んでいましたか。
2.中学校の頃、友人とけんかをした後は、どんなことを考えましたか。
3.高校生の頃、友人とよく出かけた場所はどんなところですか。
4.大学生になって、それまでの友人と以前ほど会えなくなったと思いますが、そのこ
とについてどう思いますか。
5.大学生になって、友人のタイプは、それまでと比べてどのように変わりましたか。
関連性無群用
1.小学生の頃、あなたの一番好きな食べ物はどんなものでしたか。
2.中学生の頃、自分の性格が嫌になった時、あなたはどんなことを考えましたか。
3.高校生の頃、あなたは自分の趣味にどのくらい時間をかけていましたか。
4.次に、大学生になってからのことについてお尋ねします。あなたの意見が両親の意
見とあわない時、あなたはどんな気持ちになりますか。
5.大学生になって、友人のタイプは、それまでと比べてどのように変わりましたか。
註: 2問群では最後の2間のみを使用した。
表4 各群の応答時間、応答音節数、および応答潜時の平均と標準偏差
1問目 4問目(l悶g) 5間目(2関目)
M
SD
M
24
0 3
3
I ^t
M
SD
18.66 7.19
SD
21.01 13.74
oo
14.55 18.77
10.49 10.48
15.05 10.70
20.44 11.42
12.66 14.ll
13.49 11.24
101.20 49.79
106.27 71.60
51.00 46.63
50.07 42.98
78.40 54.29
90.20 54.72
62.60 45.69
60.40 41.19
c o
0
tt
1
U
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O C- CO <iO
I
^ to cvi -^
i.LTf il川】
関連性有2問
関連性無2間
関連性有5問 9.27 7.28
関連性無5問 4.28 4.14
応答音節数
関連性有2間
関連性無2間
関連性有5問 49.40
関連性無5間 13.73
応答潜時
関連性有2間
関連性無2間
関連性有5間 5.42
関連性無5問 5.19
における応答時間、応答音節数、および応答潜時についてまとめたものである。
応答時間 2間群と5間群では質問の数がことなるので、まず関連性有2間群と関連性無2間
群について2 × 2の分散分析を行った。その結果、主効果および交互作用はいずれも有意にはな
らなかった。 5間群について2×3の分散分析を行ったところ、試行の主効果のみが有意となっ
実験的面接での質問の流れ
207
た(F-ll.39、 d/-2,56、 P<.Ol)。これは表4から分かるように、試行とともに応答時間が長
くなっていることを示している。次に、第5間目について、 4群の応答時間を比較するため2×
2の分散分析を行ったoその結果、関連性の有無の主効果のみが有意となり(F-7.69、 df-¥,56,
l<.Ol)、関連性有群の方が関連性無群よりも応答時間がより長いことが明らかにされた。
応答音節数 まず関連性有2間群と関連性無2間群について2 × 2の分散分析を行った。その
結果、関連性の有無の主効果が有無となり(F-7.91、 df-1,28、 p<.Ol)、関連性有群の方が関
連性無群よりも応答音節数がより多いことが示された。 5間群について2×3の分散分析を行っ
たところ、関連性の有無の主効果(F-4.71、df-¥,28、/><.05)、および試行の主効果(F-14.58、
d/-2,56、 pK.Ol)が有意となった。これらの結果は、関連性有群の方が関連性無群よりも応答
音節数がより多く、また試行とともに応答音節数は増えていることを示している。次に、第5間
目について2×2の分散分析を行ったところ、応答時間と同様に、関連性の有無の主効果のみが
有意となり(F-l 、 df-1,56、 /サ<.01)、関連性有群の方が関連性無群よりも応答音節数がよ
り多いことが明らかにされた。
応答潜時 応答潜時についても、上記と同様に3つの分散分析を行ったが、いずれにおいても
有意な結果は得られなかった。
考 察
質問内容の関連性については、応答時間でも応答音節数でも、関連性がある場合の方が関連性
がない場合よりも明らかに応答が長くなることが実証された。質間数については、 5間群におい
て試行とともに応答が長くなることが示されているが、最終質問で質間数の効果が現われていな
いので、断定的なことはいえない。
本実験では、関連性有群では友人関係に関する質問を行い、関連性無群では個々に関連性のな
い質問を行った。ただし、小学校時代から大学までの時間的な流れはどちらの群の質問にも含ま
れている。質問の時間的な流れを設けたのは、 Tamase (1989)の内省的発達カウンセリングの
質問状況に近づけようとしたためである。実際のカウンセリングにおける質問の関連性は、本実
験におけるものよりも、さらに文脈的な関連性が強いと考えられる。本実験のように話題そのも
のが変化するのではなく、 1つの話題が続く中でいくつかの質問が行われる場合も多いと思われ
る。本実験の結果から、カウンセラーができるだけクライエントに発言させようと意図する場合
には、限られた話題について、開かれた質問を繰り返せばよいといえる。また、クライエントの
発言を制限したい場合は、できるだけこのような状況を避けることである。本実験においては、
1つのリストしか用いられなかったが、複数のリストを用いて個々の質問固有の効果を除去する
ことも必要であろう。このような意味から、本実験の結果は、十分な条件統制ができているとは
いえないが、関連性の効果は明瞭に示されているので、今後の研究を方向づける有力な資料とな
りうるものと考えられる。
全 体 的 考 察
カウンセリングや面接をどのように進めるかは、聴き手の側がどのような意図をもってその面
接に臨むかにかかっている。その方向を決定づけるもっとも有力なものの1つは質問である。
Ivey (1991)の提唱する認知発達的面接法やTamase (1989)の内省的発達カウンセリングでは、
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質問の仕方そのものが重要な意味をもってくる。質問の形式を開かれた質問にするか閉ざされた
質問にするかは、話し手の話をどの程度長く聴こうとするのかによって変えられるべきである。
少なくとも開かれた質問を続ければ応答は必然的に長くなり、閉ざされた質問をすれば応答が短
くなるという事実をふまえて質問をすべきである。質問の流れの影響について本研究の結果を当
てはめれば、たとえ閉ざされた質問をしても、その前に開かれた質問が繰り返されておれば、そ
の応答は引き延ばされ、また逆に、たとえ開かれた質問をしても、その前に閉ざされた質問が続
けられておれば、その応答は短縮される傾向があるといえる。また、関連のある話題に関する質
問を続ければ、それだけで応答は長くなりやすいことにも注意すべきである。
勿論、本研究の結果は、実験的に統制された面接での、いわば非現実的な場面で得られた、し
かも応答の長さのみに関する結果にすぎない。実際の面接における会話には、会話の内容的要因、
雰囲気的要因、 2者の対人関係的要因など、さまざまな要因が関与することは言うまでもない。
したがって、本研究の結果が、そのまま実際のカウンセリング場面に適用できると考えることは
適当ではない。本研究は、カウンセリングにおける質問研究への1つの足がかりを示すものであ
る。われわれの意図は、このような統制された条件で、一定の傾向を確認し、次の段階では実際
場面に一歩近付けた実験を計画し、再度得られた傾向を検証することにある。例えば、 2人ずつ
の参加者に聴き手と話し手の役割を与え、一定の話題について、いくつかの異なる意図のもとに
聴き手から質問をさせた場合に、聴き手は実際に開かれた質問と閉ざされた質問を本研究で得ら
れたような方向で使い分けるであろうか。このような、疑似面接場面について質問に関する分析
を行うことによって、実際の面接により近い資料を得ることができると考えられる。さらに最終
的には、 Hill (1989)が行っているような実際の臨床場面の分析を行うことが必要である。しか
し、初めから実際の事例の分析を試みても、扱うべき要因が多すぎて、適切な分析を行うことは
極めて困難である。また、われわれの現状では、実際に分析するのに適当な事例を兄いだすのも
容易ではない。 Hill 私信)も述べているように、質問技法に関してはなお基礎的、実証的資料
が不足しており、本研究のような基礎的研究の必要性が指摘されている。
本研究では、応答の量的側面に焦点を当てているが、応答の内容についての分析も必要である。
Hill (1986 は、カウンセラーの応答様式と同時にクライエントの応答様式についても分類して
いる。彼女の分類によれば、クライエントの言語的応答は、単純な応答、要求、記述、経験、探
索、洞察、計画の議論、沈黙、その他の9種類に分類されている。開かれた質問または閉ざされ
た質問によって、これらの応答のうち、どの応答がどれだけ引き出せるかという問題についても
今後の研究が期待される。
Ivey (1991)の認知発達的面接法においては、質問はきわめて重要な役割を演じている。なぜ
ならば、それは発達水準に応じて質問を行い、注意深く、意図的、組織的に質問を配列すること
によって、会話におけるクライエントの発達水準の変容を図ろうとするものであるからである。
彼はすでに抑うつ患者や虐待児童に関する実証的研究を報告している(Ivey, & Ivey, 1990; Rigazio-DiGilio, & Ivey, 1990)cカウンセリング研究においてどのような発達論を展開するかは、現在、
研究者の間でもっとも関心の高い問題である(Lyddon, 1990; Van Hesteren, 1990)c それに関連
して、それぞれの理論に沿って研究を進めていく際に、そこで用いられる質問自体が持つ固有の
傾向について、さらに研究を深めておくことは意義のあることと思われる。
実験的面接での質問の流れ
209
要 約
大学生を参加者として、質問の流れに関する2つの実験が報告された。実験1では、 4つの開
かれた質問が行われる場合(30-0群)、最初の3つは開かれた質問で、最後の質問のみが閉
ざされた質問である場合(30-C群)、最初の3つは閉ざされた質問で、最後の質問のみが開
かれた質問である場合(3C-0群)、および4つとも閉ざされた質問が行われる場合(3CC群)が比較された。その結果、応答時間および応答音節数に関して、開かれた質問から閉ざさ
れた質問に移行した場合は、閉ざされた質問を続けた場合に比べて最後の閉ざされた質問に対す
る応答がより長くなることが明らかにされた。逆に、閉ざされた質問から開かれた質問に移行し
た場合は、開かれた質問を続けた場合に比べて最後の開かれた質問に対する応答がより短くなる
傾向が見られた。実験2では、開かれた質問のみを用いて、質問内容の関連性の効果が調べられ
た。質問を2間続けた場合と5間続けた場合について,質問内容に関連性がある場合とない場合
が比較された。その結果、応答時間および応答音節数に関して、質問が2問行われた場合でも5
間行われた場合でも、質問に関連怪がある場合の方が関連性がない場合よりも応答が長くなるこ
とが明らかにされた。これらの結果に基づいて、カウンセリングにおける質問の効果的使用に関
する問題が議論された。また、本研究の限界と今後行われるべき研究の方向が示唆された。
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211
Effect of the Questioning Sequence on the Response Length
in an Experimental Interview
Koii TAMASE, Keiko TORISU and Jun IKAWA
(Department of Psychology, Nara University of Education, Nara 630, Japan )
(Received April, 30, 1991)
The purpose of this study was to explore effects of the questioning sequence on the response
length to the question in an experimental interview. Experiment 1 was designed to compare the response length to the last question which was asked after the different sequence of continuous
question: an open question after three open questions (30-0), an open question after three
closed questions (3C-0), a closed question after three open questions (30-C), and a closed
question after three closed questions (3C- C). The participants were 64 male and female undergraduates who were assigned to one of the four groups balancing in sex and number. The questions were selected from the pooled list of 40 open and 40 closed questions which were prepared
for the experimental research on questioning. As for the open question, only "What" and "Could
you" type questions were used. The experimenter who was senior in psychology major asked the
four questions in order in an interviewing setting and the participant answered the question one
by one. Every response was taperecorded and it was transcribed 】ater. The measure of response
length was the responding time and the number of syllables which were responded to. The main
result of Eperiment 1 was that the response was lengthened when the closed question was asked
after the continuous open questions, while the response tended to be shortened when the open
question was asked after the continuous closed questions. Experiment 2 was conducted in a similar
experimental setting employing 60 male and female undergraduates. Effects of the number of questions and the relatedness of questions were examined, using only open questions. The response
length to the last question after one or four related questions and one or four unrelated questions
was compared. The main result was that the response to the question which was asked after the
related question was lengthened more than after the unrelated question regardless of the number
of preceding questions. On the bases of these i-eSuits the effective use of open and closed questions
in counseling or interviewing was discussed.