心理学実験1:心理学研究法概説

実験1概論(加藤):1
2015/10/07,14
九州大学・教育学部(教育心理学系)
心理学実験1:心理学研究法概説
加 藤 和 生
資料: http://www.hes.kyushu-u.ac.jp/~kaz/lec/exp1/15_exp1_handout.pdf (注意:10 月9 日午後 5 時に削除する)
科学とは?
科学のめざすところは,①ある現象がどういうものであるかを記述するとともに,②どういう条件下で生起する
かの条件や原因の特定化をすることである.言い換えると,明確に定義された対象が,明確に特定化された条
件と手続きにより,再現できるような知識を蓄積することをねらっている.
この知識は,「科学的知識」と呼ぶことができよう.さらに,こうした手続きを通して現象を捉え,事実として認定
していく認識様式やそれを一つのパラダイムとして捉える考え方を「科学的認識論」と呼ぶこともできよう.
科学的研究の目標
それでは「科学的」であるとはどういうことか.
科学の目指すこと:
・実証可能な形での現象記述:
・説明・理解:どういう現象がどのように起こるか(What & How)の解明,現象の起こる原因とメカニズム(機序)の
特定化
・予想:得られた知見(データ)に基づき,理論を構成し,それにより予想する.
・制御:人間の生活に役立てるために,その知識を利用して対象を制御したり利用したりしようとする.
「科学的である」ためには,つぎの条件を満たす必要がある:
・現象の生起する条件・手続きの限定:
(どういう状況下で,どういう手続きを行えば,問題の現象が作り出せる,あるいは観察できるということ)
・追試可能性:誰が行っても,その特定化された条件を設定し同じ手続きで実験するならば,同じ現象を生み出
すことが出来る・あるいは観察できなければならない.
=>こうして出来た知識体系(あるいは法則)は,環境や人に関わるとき利用できる確かな知識とみなすことが
出来る.これにより,現象の予想や制御を可能にしてくれる.
(自然科学は,こうした形で確かな知識を構築し,それが産業技術開発につながった.)
心理科学、科学としての心理学(Psychological Science, Psychology as a science)とは?
心理学とは,一般に「心と行動の科学」と呼ばれている.
どんな心理学があるか:
基礎心理学:神経、生物,認知(感覚・知覚、学習・思考),発達,人格,社会,異常、集団,環境、文化
応用心理学:教育,組織・産業,環境,臨床,犯罪、医療,政治、経済、。。。。。。(宇宙?)
心理学的研究の目標
心理学は,次の方程式に見られるように,「個体と外的・状況的刺激の二つの関数として行動がどのように変わ
るかの関数関係を調べ,そこに規則性(法則)を見つけようとする科学」である.
心理学的法則性は,次の方程式で表される:
B=f(0,S) Behavior = function(Organism, Stimulus)
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B(行動)とは,従属変数(dependent variables)
これは関心のある現象(例:知覚,学習の程度,推論,記憶量,判断,知能,自己評価感情,情動の強さや種
類,評価,価値,集団行動,摂食行動,など)
f()の中の要素とは,独立変数(independent variables)
個体変数:性,年齢,
刺激(環境)変数:提示刺激,状況,課題,時間,あるいは実権者が興味のある条件
注:
変数:一定範囲内で数値を取りうるものに対して与えた記号(⇔定数)
独立変数:研究者が意図的に操作する要因(実験変数),あるいはある現象(従属変数)の原因となっていると
想定される要因(研究場面では,研究者が問題としている現象の原因と想定している要因)
従属変数:独立変数の変化に伴って変化する要因(研究場面では,研究者が問題としている現象)
どのように研究するのか?
研究とは,仮説検証過程の繰り返しである.
まず関心のある問題・現象を特定化し,なぜそれがおこるのか,その原因を考える.それにもとづき仮説をた
て,それをもっとも適切に検証する方法を考える.その方法を具体化し,実験・調査を行う.その結果,自分の仮
説が支持されるかどうかを検証する.
もし支持していれば,さらになぜそうなのかを深く検討する.もし支持されていないならば,その原因を突き止
める必要がある.その場合,実験・調査の仕方(対象選定,材料,実施の仕方)に問題などがあるとするならば,
それを改善し,最も適切な方法や測定方法を考案して,再度実験・調査を行う.一方,仮説,問題設定の仕方に
問題などがあるとするならば,自分の考えを再度吟味し,より適切な問題・仮説設定を行い,実験・調査を行う必
要がある.
以上のループを繰り返しながら,問題の本質に迫っていこうとすることが研究の過程といえる.
研究をするには,多くの場合次のような順序で行われる.
①問題の発見(問題意識の特定) ②問題の明確化・限定・具体化(Research Question の作成)
③仮説構成
④仮説を実験・調査可能な形に翻訳
⑤予備実験・調査
⑥実験・調査
⑦結果の分析
⑧論文作成
⑨問題の反省と次の研究の計画
研究をする上で何よりも大切なものは:
・問題意識,こだわり,強い関心,問題発見能力――本当におもしろいと思えるかどうか.(特に,人間への関
心)
・根気――自分のこだわりを解明しようとするしつこさ,頑張り
問題を概念化することは,非常にしんどい作業.いかにあきらめず問題にチャレンジし続けるか.
曖昧さ・不明慮さと対峙し,それに執念深く付き合う忍耐(曖昧さへの耐性)
・論理的思考力・批判的思考力(常に「なぜか」「どうして」と問う姿勢,常に「本当かな」と疑う姿勢,小さな曖昧さ
も見つけだし,それを明確化し概念化していこうとする思考力)
・体力――研究は,持続戦
研究の手順
具体的にそれぞれの側面を検討する.
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1.問題の発見,研究課題の着想
問題(Research Question)とは何か.
どのようにしたら問題を見つけられるか.
・問題意識を持つ.
2つの問題発見法:
(1) 自分のいろいろの「こだわり」
(2) 研究論文や本から自分に関心のもてる問題を取り上げる.
2.問題の明確化と限定
・問題の概念化と整理
自分なりの考えやこだわり,解明したい現象を言葉にしてみる.
研究するとき考えるべきこと
・研究意義:なぜそれを研究をするのか.なぜ面白いのか.
・どのような仮説が立つのか.
・分かった結果は,どういう意味があるか,どういうことを解明することに役立つか
面白い研究,大切な研究とは
・数少ない変数で,多くの現象を説明できる
・常識と相反する現象
研究をはじめる前にすべきこと:
・すでに関心の問題について,何が分かっているかいろいろのソースから調べる.
文献レビューをする.
すでに関心テーマにおいてどのようなことが分かっているかを調べ,整理する.
問題点を明確にする(何がされていて,何がされていないのか.)
⇒文献検索には,PsycLit のいう APA からでているデータベースを使う.
・自分の研究対象をどこまで含めるかを十分検討する.
・すべての研究は,お金と時間がかかる.そのため,どの程度の研究をするかを予め決めておく必要がある.
3.仮説構成
仮説とは,「2変数以上の間に想定する関係についての命題」である.
例えば,因果関係がある.正(負)の相関関係がある.
・多くの観察から仮説を帰納する――多くの心理学の研究はこれに依拠する.
(我々が日常推論をするとき用いている論拠のほとんどは,こうした仮説である.ただし,科学的検証に基づい
ていないことが多いが.)
・いくつかの原理から演繹して仮説を立てる.
仮説の例:
「日本人は集団主義者であるとすると,自分の目標よりも集団の目標を大切にするだろう.」
「三つ子の魂は,100まで」
「同じヘマをするのでも,優秀な人がしたときの方が,普通の人がしたときよりも,好感を持たれる」
「特に好きでない物でも,何度も見ていると好きになるものだ」(Mere Exposure Effect)
「自分の大好きなお母さんに似ている人には,つい好意を持ってしまう.」(転移)
「未完の仕事は,完了した仕事よりも,よく覚えている」(ザイガニック効果)
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「人間は、サルから進化した」
4.仮説を実験・調査可能な形に翻訳
仮説ができたら,それを実験・調査に乗る形に置き換える作業が必要である.
実際,多くの問題や仮説を出すことはできるが,なかなか検証できる形に翻訳することは困難.
・仮説を立てたら,それを研究法に翻訳する.
「翻訳する」とは,測定したい対象を「操作的に定義」する.
「操作的定義」とは,ある操作により測定したい対象を定義することである.
「操作」とは,実験手続き,測定尺度(テスト),特定の行動出現頻度を数えることなど.
例:不安を不安尺度で得られた点とする.この場合,妥当性や信頼性を持つことが確定されている尺度(テス
ト)の得点で不安の程度や傾向を定義している.知能を知能テストの得点とする場合も同じである.
5.予備実験・調査
・予備実験をする
関心テーマに関して,予め少数名に面接や観察を行い,問題点やどの要因に焦点を定めるかを決める.
6.心理測定と研究法
a.心理測定法(psychometrics, psychological measurement)
関心対象や現象を取り出すためには,何らかの外的な表出を取り扱う必要がある.さらにそうした表出を何ら
かの形で測定する必要がある.心理現象を測定することに関わる諸問題の理論や技法に関する分野が心理測
定法(学)という.
測度の性質(尺度・測度を開発する際常に考慮しなければならない特性)
「測定」とは,仮説を具体的な行動や反応に翻訳しなおし,それに数量を振り当てること.
(例,身長,体重,好み,態度,などの高低,強弱,多少といいた量に置き換える)
あなたは,自分のことをどのくらい好きですか.
全く好きでない 1---------2---------3---------4---------5 非常に好きだ
測定する尺度・測度には,次の性質を伴っていることが重要である:
・信頼性(測定の安定性:一貫して同じ結果が得られるかどうか,測度間の内的整合性はあるか.誰がはかって
も同じようにはかれるか.)
・妥当性(測定していると研究者が主張するものが,本当にはかれているかどうか.)
内容妥当性(例:期末試験)
構成概念妥当性,基準関連妥当性,表面的妥当性(face validity)
判別妥当性と併存的妥当性,予測的妥当性(例:入試,入社試験)
データの種類
自分の扱うデータの種類に注意する.種類により,使える統計技法が異なる.
量的データの方がより多くの情報量をもち,いろいろの分析法がありますので,できればそちらの方を使うデ
ザインを考えることをすすめます.ただ,研究対象によっては,できないこともあります.
・質的データ(categorical data, discrete data)―――>ノンパラメトリック検定法
例:性別,学年,地域,国,社会的階層
・量的データ(quantitative data, continuous data)――>パラメトリック検定法
例:テストの得点など(数量が連続しているもの)
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測度・指標の種類
測度(measure)・指標(index, indicator)とは,測定しようとする構成概念に関係すると想定できるもので,何らか
の形で取り出し,数量化できるものなら何でも測度として利用できる.ただし,上で述べた妥当性と信頼性を保
証することが必要である.
①標準化された尺度(standardized scale)=⇒心理テスト法(診断目的に作られたテスト)
(知能テスト,人格テスト,職業適性検査,など多数の作られている)
②行動的指標
行動的指標(予め決めておいた特定の行動の出現頻度,持続時間,など)
③認知的・言語的指標
評定法(SD法にようる評定)
課題上の遂行成績(数学のテストなど)
④行動観察記録,面接の逐語録(ビデオやテープによる記録)
これは,理論的あるいは経験的に作り出されたコード系に基づき,coding をする.
⑤生理学的指標 (心拍,筋電図,唾液の分泌,など)
⑥神経科学的指標 (fMRI、PET、など)
b.研究法
大きく分けて,観察法,調査法(面接調査法),実験法の3つの方法を区別できる.
研究法は,研究の深まりのレベルに応じて,またその目的に応じて選ぶ必要がある.どの方法が他の方法より
も優れているというのではない.
だたし,取り出したいものの明確度に応じて,観察法,質問紙調査法(面接調査法),実験法の順に用いる.
①観察法は,基本的に仮説発見的な段階の研究法である.多くのデータがえられるが,問題をとらえるだけの
観察力と理論を持っていない場合には,混乱するだけで何も取り出すことができない.
②調査法の利点は,より多くの変数間の関係を理解できる.問題点としては,①意識的レベルのものしか捉えら
れないことがある.また,言葉により誤差が生じる可能性がある.これらの問題は,研究者が研究対象を深く分析
しいろいろな側面を質問に盛り込むこと,また誰が読んでも分かるような質問項目を作ることで,より質の高いデ
ータを得ることができる.②多くの場合相関的研究となりがち.
面接調査法は,質問紙を使いながら対面(あるいは電話)で情報を収集する方法で,相手の理解を確認しな
がら必要な情報を収集できる.ただし,個人面接になるので,あまりプライベートなことは応えてもらえない可能
性がたかい.また実施にお金と時間がかかる.なお,面接法には,構造化されたものから,観察法に近い非構
造化面接がある.後者は,大まかな問いをだして,自由に応えてもらう方法である.
③実験法は,研究者が関心のある2・3の変数間の関係を,コントロールした状況下で調べることができ,さらに
因果関係を取り出すことが出来るという利点がある.しかし,逆に本来介在していると思われる多くの重要な要因
を無視することになり,必ずしも生態的妥当性(ecological validity)をあるかどうかは分からない.よって,この点
を注意する必要がある.
相関(correlational)研究と実験(experimental)研究の違い
相関研究
相関研究の利点は,2つ以上の変数を同時に調べることができる.相関研究は,実験のできない現象(例:タ
バコと死亡年齢の関係)を取り扱うことができる.一方,相関研究は,因果性を問題とできない.なぜなら,相関
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は2つ以上の変数の関係の有無・程度・方向しか示せないからだ.
注意:よって,相関係数から因果関係を論じることはできない.例えば,ストレスが本当の原因で,ストレスが喫
煙量と死亡年齢を規定する第3の変数であるからかもしれないからだ.
実験法
他の変数を統制し,関心ある変数だけを操作するので,操作による変化を見ることにより,因果的効果を捉え
ることができる.しかし,多くの変数を同時に調べることはできない.
(例:「喫煙量と死亡年齢」に負の相関があったとする.その場合,喫煙量が増えれば増えるほど,死亡年齢は早
くなる.つまり,逆相関があることになる.しかし,そこには因果性がるかどうかは,この段階では言えない.なぜ
ならば,喫煙をする人は,飲酒をするし,心理的にストレスが高い人であるかもしれない.このように,早く死ぬこ
とに寄与している変数は他にも沢山あり,喫煙が原因で死亡を早めたかどうか分からないのである.
ただ,これを,ネズミで実験的に証明することができる.例えば,喫煙の量,飲酒量など死亡に最も影響すると
想定される要因を実験変数としてくみ,実験してみると,どの条件のネズミがもっとも早く死ぬか,さらに統計的
手法を駆使すれば,どの変数がどの程度死亡に寄与しているかを解析することができる.この場合,実際に独
立変数を操作し,他の変数を等しくしているので(つまり,生後何ヶ月のネズミで,同じ条件で育てる),因果性を
明確にとらえることができると言えるのだ.)
a. 観察法(observational)――実態調査,仮説発見の試み
・行動観察法
・非構造的観察と構造的観察
・質的分析(qualitative analysis)
・フィールドワーク(人類学的方法)
b. 調査法(survey, questionnaire)――複雑な要因の相関関係の探求法
・質問紙法
・面接調査法
・電話調査
・非構造的面接と構造的面接(臨床面接は,治療のためのもの)
c. 実験法(experiments)――因果性の探求法
・実験デザイン(要因計画):
例,3(提示回数:0,5,10)×3(処理水準:構造処理,意味処理)の要因計画
上は,2変数3水準のデザイン,2変数は独立変数
従属変数は,例えば,記憶量とすることができる.
仮説:再生量は,提示回数と処理水準の深さ(意味処理)との関数として高くなる.
・実験群と統制群
統制群は,実験群が受ける処遇(treatment)を全く受けない群である.この群は,関心のある変数の影響の全
くない状態におかれたとき,用いられた課題でどの程度の成績を出すかを調べるための基準値を出すための
群である.
d. 測定に関連する問題
Demand Characteristics(要求特性,実験者期待効果?)とその対応方法
実験者が何を調べようとしているか,どういう結果を期待しているかが被験者に分かった場合,被験者がそれ
に合わせて遂行することがあることが知られている.この現象をいう.
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ピグマリオン効果(halo effect):教師が,ある生徒に対して,有能であるという(一方的な)信念を持って関わると
き,そうでないときに比べて,成績が上昇するという現象.
これに対する対処法としては,実験実施者に被験者をどの条件に振り分けているか,あるいはどういう仮説の
もとに実験を行っているかを教えないで行う方法が採られる.
・被験者の無作為割当(random assignment),無作為抽出(random sampling)
実験条件に被験者を振る分ける際,調査被験者を選出する場合,出来るだけランダム(無作為)に抽出するこ
と.これにより分析するときの統計原理に振り分けが従うということを保証する.言い換えると,統計法の原理を利
用してデータ解析が可能となる.
7.結果の分析――ここは統計の時間と個別の実験で実地の経験をもつこと
・分析法は,必ず予め考えておく(データを取ってから分析法を考えようと思ってはいけない!)
・記述統計と推論統計
・仮説との対応した分析をする必要がある.
8.論文作成
①問題・仮説の設定(なぜこの研究をするのか,意義や新しさは何か)
②方法(他の人が後で追試できるために必要な情報を盛り込む)
③結果(仮説との関連でどのような分析をし,どのような結果を得たのか.
図表を上手に使う.)
④考察(主な結果の要約,得られた結果をどのように説明するのか.どの理論が使えるか.
・予想に反した結果があったかどうか,あったとすればそれをどう説明するのか.
・どの結果は,従来の研究とどう違うのか,何がどう新しいと言えるのか.
・結果の一般化の問題(外部妥当性・内部妥当性の問題)
・本研究の限界と問題点,今後の課題は何か.
9.問題の反省と次の研究の計画
論文を各過程でふつう幾つも新しい研究課題がみつから.それを具体化し,研究をどんどん深化させる.
その他の問題点
1.倫理の問題
・倫理委員会からの承認(少なくとも、投稿を考える論文では、この審査が必要)
・同意(informed consent),事後説明(debriefing),参加の選択権,匿名性の厳守
問い合わせ先の明示,結果の開示
日本心理学会 倫理規定(および APA の規定)
社団法人日本心理学会 倫理規程 (第 2 版 PDF:1.22MB) (http://www.psych.or.jp/publication/rinri_kitei.html)
2.九大の授業等でデータを収集する場合の申し合わせ
「重要: 必ず、指導教員に相談し、相手の教員にデータ収集の許可の依頼をしてもらうこと」
(自分で、勝手にしないこと!!)
3.研究者の研究結果の報告・公開
著者,データの再利用
・日本心理学会 「執筆・投稿の手びき」(2005 年版の'修正版)
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http://www.psych.or.jp/publication/inst.html
(心理学研究やJapanese Psychological Research に論文を投稿しようとする人のために投稿論文の書き方を詳しく解説した冊子)
4.研究倫理の問題
a.研究者(個人)としての倫理配慮(ethics)
・被験者・回答者への配慮(人権)
b.研究者(個人)としての倫理(integrity)の問題
・盗作(plagiarism)
・剽窃(ひょうせつ、falsification)
・捏造(fabrication)
⇒「なぜ、いけないのか?」
関連資料: (「研究倫理」, 「research ethics」を keyword にして検索すること!!)
・研究倫理 2_3_年次_v.03 [1](九州大学基幹教育院編)
http://www.hes.kyushu-u.ac.jp/~kaz/lec/ethics/研究倫理2_3_年次_v03[1].pdf
・Research ethics & Compliance at the University of Michigan
http://research-compliance.umich.edu/
その他、早稲田大学、Indiana University など、検索すると出てくる。
--------------------------------------------------------------------------------課 題 (レポート提出)
1.以下のことを、A4 で2ページ程度にまとめること
①今回の講義を聞いての感想および疑問点など
②心理学の研究となる「自分のこだわり・問題意識(Research Questions)」
(それにもとづき,研究仮説を2つ作る。2つは相互に関連している必要はない。
それぞれ、なぜそれを問題にしたいのか、面白いと思うのかを説明すること。)
提出先: 助教室の提出ようボックス(心理学実験1ボックス)
(加藤和生©1996-2015, 許可なく使用・複写・転送等を禁ずる)
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参考図書,役に立つ図書などの紹介
Tips:
①自分が読みやすそうだと思う本を見つけ、それを何度も読むこと。そして、詳細にとらわれず、まず大きな枠を理解すること。次は、データをとり、自分
でいじる中で、どういうものかを体験的に理解する。その上で、もっと理解したくなるなら、再度、統計や研究法の本を再度じっくり読む。それを繰り返す
こと。
②現在、いろいろな本が出版されているので、keyword で検索し、自分になった本を探すことを薦める。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
心理学研究法の講座物
大山 正監修 A5判・各巻約280頁[全6巻]誠信書房
心理学研究法1 感覚・知覚, 村上郁也編著
心理学研究法2 認知 箱田裕司編著
心理学研究法3 学習・動機・情動 廣中直行編
心理学研究法4 発達 山口真美・金沢創編著
心理学研究法5 社会 岡 隆編著
心理学研究法6 計量・数理 宮埜壽夫・杉澤武俊編著
心理測定法
Shaughnessy, J. J. & Zechmeister, E. B. (1994). Research methods in psychology (4th Ed.). New York: McGraw-Hill Companies. Inc.
Nunnally, J. C. & Bernstein, I. H. (1994). Psychometric theory (3rd ed.). New York: McGraw-Hill Companies. Inc.
統計に関する図書
森 他.心理学統計のガイドブック.(以前の九大での心理統計の教科書)
統計関係の読みやすい解説書 <===おすすめ図書!!
大村 平.(1980).統計解析のはなし.東京:日科技連出版.
大村 平.(1984).実験計画と分散分析のはなし.東京:日科技連出版.
大村 平.(1985).多変量解析のはなし.東京:日科技連出版.
大村 平.(1985).評価と数量化のはなし.東京:日科技連出版.
その他に,同じ大村平の数学シリーズには全12巻(同じ出版社)
確率のはなし,統計のはなし,微積分のはなし(上・下)
関数のはなし,方程式のはなし,数のはなし,など
海保 博之(編著).(19??).心理教育データの解析法10講(基礎編・応用編).福村出版社
渡辺 洋(編著).(1988).心理教育データの多変量解析入門(基礎編・応用編).福村出版社
佐伯 ゆたか・松原 望(編).(2000).実践としての統計学.東京:東京大学出版会.
心理学統計の教科書・名著
Howell, D. C. (1987). Statistical Methods for Psychology (2nd ed.). Boston: Duxbury Press.
Kuehl, R. O. (1994). Statistical principles of research design and analysis (2nd ed.). Belmont, Cal.: Duxbury Press.
Kirk, R. E. (1982). Experimental Design (2nd ed.). Brooks/Cole Publishing Company.
Winer, B. J. (1971). Statistical principles in experimental design (2nd ed.). New York: McGraw-Hill Companies. Inc. (The 3rd edition has
been published already, probably in 1992 or 94)
Sage Publications, The international Professional Publishers
Quantitative applications in the social sciences, A Sage University Paper Series.
これは,アメリカの大学でよく使われる教科書で,それぞれの領域の専門家が数学を使わずに非常にわかりやすく原理を説明してい
る本である.どれも100ページ以内の読みやすいもの.例えば,
1. Analysis of variance
3. Causal modeling (多分日本語訳がでている)
4. tests of significance
23. research design
17. reliability and validity assessment
などなど,心理統計でよく用いられる基礎概念の説明,推計統計,上級の多変量解析などを解説.
心理測定尺度週
堀・山本(編),心理測定尺度集1〜5,サイエンス社
(加藤和生©1996-2015, 許可なく使用・複写・転送等を禁ずる)