必 修ラス パ

必 修ラス パ
国試の辞典の会
第 109 回国試対策
*正誤情報、発行後の法令改正、最新統計、診療ガイドライン関連の情報につきましては、
弊社ウェブサイト http://www.rdcnet.jp/(国試の鉄人の会で検索)にてお知らせいたします。
*本書の内容の一部あるいは全部を、無断で(複写機などいかなる方法によっても)複写・複製・転載
すると、著作権および出版権侵害となることがありますので、ご注意ください。
最後に確認!
歯科医師国家試験対策
★もうすぐ歯科医師国家試験!でも何を確認すれば…?
歯科医師国家試験のための勉強は過去問を解く!おそらくこれが正解です。でも、同じ問題はほ
とんど出題されません。この問題、あの過去問と似ているけど、問われていることが何か違うなぁ
と思うことがほとんどだと思います。つまり、過去問の内容の周囲をどれだけ埋めていくことがで
きるか!これが合否の分かれ目だと思います。
ならばどう対策すればいいのか?教科書をみるというのがベストなのかもしれません。でも、そ
んな時間がない…。そしてやみくもにアレコレと手を出して、ほとんど身になっていない状態で本
番に臨んで、悲惨な結果になる…。なんてことにならないよう、効率のよい勉強をすることが合格
のカギとなります。
★ラストスパートに、この一冊
いうまでもないことですが、歯科医師国家試験対策では近年の問題の流れを読むことが重要なポ
イントとなります。で、近年の流れを読み取ることができますか?どの範囲から問題が出題される
かは試験問題を開いてみないと誰にもわかりません。ただ、この範囲から問題が出題されるとした
らこんな問題が出題されそうだなぁという 感 は必要だと思います。じゃあ、感 がないヒトはどう
したらいいの?その答えは、感 のあるヒトに聞けばいいんです!この本は過去の出題内容を分析し、
頻度の高い項目、近年の流れを読み、出題されそうな項目を厳選して歯科医師国家試験の出題バラ
ンスに沿って取り上げてあります。左のページに確認事項、右のページに正文集という形に基本的
にはなっているので、ラストスパートの時期に知識の確認に使ってください。
★編集にあたり
近年の歯科医師国家試験は資格試験ではなく選抜試験です。領域別の合格基準や必要最低点が設
けられ、すべての教科を平均的に正解できないといけない試験になりました。つまり、得意な教科
があるのは武器になりますが、不得意な教科があると非常に不利になります。不得意な教科をほか
のヒトと同じレベルにもっていけるか!そこがポイントです。この本は難しいことには基本的には
触れていません。これだけは最低限知っておいたほうがいいよ!というところが書いてあります。
一生懸命勉強してきた知識の最終確認の本として使ってもらえるといいかなぁと思っています。
★最後に…
自分の勉強してきたことに自信をもって、精一杯試験に立ち向かってきてください。あきらめな
ければ必ずいいことがあると思います。最後まで頑張ってください。みなさんの合格を心からお祈
りしております。
2015 年 5 月
ラ・スパ編集委員会
目
01
必
修
次
······················································ 1.患者の人権、医の倫理
1
8.病歴聴取
2.インフォームドコンセント
9.根拠に基づいた医療〈EBM〉
3.臨床試験・治験と倫理
10.バイタルサイン
4.医療事故
11.心肺蘇生法国際ガイドライン(G2010)
5.院内感染対策
12.チーム歯科医療
6.診療記録・診療情報
13.歯学史、一般教養
7.医療面接
14.英単語
02
解
剖
······················································
15.頭蓋骨
23.顎関節
16.頭蓋底
24.口
17.筋
25.舌
18.三叉神経
26.唾液腺
19.脳神経
27.筋膜隙
20.外頸動脈
28.咽
頭
21.顎動脈
29.喉
頭
43
蓋
22.頸部のリンパ節
03
組織・発生
···············································
30.顔面の発生
36.歯の構造
31.口腔の発生
37.歯の形態異常
32.歯の発生
38.歯周組織
33.歯の発育表
39.上
34.乳歯・幼若永久歯の特徴
40.接着装置
35.永久歯の特徴
41.細胞の基本構造
04
生
理
皮
······················································
42.神経組織
48.血液凝固
43.自律神経系
49.ホルモン
44.ストレス
50.咀嚼・嘔吐
45.感
51.発声・構音
覚
46.筋の収縮
47.顎反射
52.脱
83
水
113
05
生
化
······················································
143
53.三大栄養素
62.マトリックスメタロプロテアーゼ
54.ビタミン、ミネラル
63.血清カルシウム濃度の調節
55.染色体
64.骨の改造現象
56.核
65.骨吸収の仕組み
酸
57.DNA の複製
66.骨代謝疾患
58.遺伝子工学
67.炎症反応の経過
59.細胞外マトリックス
68.アラキドン酸カスケード
(線維成分)
60.非コラーゲン性タンパク質
69.唾
液
70.ペリクル、プラーク
61.細胞外マトリックス
(可溶性基質)
06
微生物
······················································
71.微生物
78.真
72.感染経路
79.ウイルス
73.消毒、滅菌
80.肝炎ウイルス
74.グラム陽性球菌
81.プリオン病、ワクチン
75.グラム陽性桿菌
82.食中毒
76.グラム陰性菌
83.化学療法薬〈抗菌薬〉
187
菌
77. スピロヘータ、マイコプラズマ、
クラミジア、リケッチア
07
免
疫
······················································
84.免疫担当細胞
87.補
85.細胞性免疫、体液性免疫
88.アレルギー
86.免疫グロブリン
89.自己免疫疾患
08
病
理
体
······················································
90.退行性病変
94.疼
痛
91.修復と再生
95.腫
瘍
92.循環障害
96.染色法
93.炎
09
薬
215
229
症
理
97.薬物療法
······················································
98.薬物動態
245
105.薬物の相互作用
99.薬物の用量
100.カテコールアミン受容体
106.薬物の副作用
101.アセチルコリン受容体
107.抗炎症薬、抗悪性腫瘍薬
102.ヒスタミン、GABA、オピオイド、
108.止血薬、抗凝固薬
ドパミン、セロトニン受容体
109.薬物の管理
110.薬物臨床試験
103.薬物の反復投与
104.薬物の併用
10
歯科理工
···················································
111.応力―ひずみ曲線
120.埋没材
112.材料の性質
121.合
113.生体材料
122.チタン
114.切削・研磨器材
123.歯科用ろう
115.ハイドロコロイド印象材
124.鋳造欠陥
116.ゴム質印象材
125.歯科用セメント
117.非弾性印象材
126.陶
118.模型材
127.義歯用材料
269
金
材
119.ワックス
11
放射線物理
···············································
311
128.放射線
135.エックス線撮影法
129.エックス線装置
136.口外法エックス線撮影法
130.線量単位
137.パノラマエックス線写真
131.エックス線画像の形成
138.デジタルエックス線撮影装置
132.フイルム
139.エックス線 CT、磁気共鳴撮像法〈MRI〉
133.放射線防護
140.超音波検査、造影撮影法、核医学検査法
134.放射線による影響
141.読影所見
12
衛生・社会歯科
········································
142.歯科医師法
143.医療法
144.歯科衛生士法、
歯科技工士法、医師法
149.救急・災害時の
歯科保健医療対策
150.法歯学
151.社会保障
145.医薬品、医療機器等の品質、有効性
152.医療保険
及び安全性の確保等に関する法律
153.介護保険
146.医療関係職種
154.国際保健
147.地域保健法
155.健康増進法
148.地域包括ケアシステム
156.健康日本 21
347
157.禁煙支援
167.疫
158.歯科口腔保健の
168.スクリーニング
推進に関する法律
学
169.リスクの大きさを表す尺度
159.母子保健法
170.人口静態統計
160.健やか親子 21
171.人口動態統計
161.学校保健安全法
172.保健統計
162.労働安全衛生法
173.平成 23 年歯科疾患実態調査
163.高齢者の医療の確保に
174.国民健康・栄養調査
175.食育基本法
関する法律
164.日常生活動作〈ADL〉
176.食事摂取基準
165.障害者保健福祉
177.国民栄養と食品保健
166.精神保健
178.環境保健
13
口腔衛生・予防歯科
·································
179.バイオフィルム
185.歯科疾患の疫学的指標
180.齲蝕の予防・管理
186.口腔に関する疾患
181.齲蝕活動性試験
187.口腔清掃
182.フッ化物
188.歯磨剤
183.歯周疾患の予防・管理
189.代用甘味料
184.口
14
455
臭
小児歯科
···················································
190.小児の成長・発育
198.既製乳歯冠
191.小児の特徴
199.小児の歯内療法
192.原始反射
200.小児の外傷
193.頭蓋骨の成長・発育
201.咬合誘導
194.歯の成長・発育
202.保隙装置
195.口腔習癖
203.小児疾患
196.小児の歯科的対応
204.障害児歯科
491
197.小児の保存療法
15
歯科矯正
···················································
523
205.正常咬合
211.固
206.不正咬合の分類
212.矯正力と生体の反応
定
207.不正咬合の特徴
213.矯正装置
208.セファロ分析
214.舌側弧線装置の製作過程
209.機能分析
215.矯正治療
210.模型分析
216.保
定
16
保存修復
···················································
551
217.歯質欠損
222.コンポジットレジン修復
218.齲蝕の診察法
223.歯面処理
219.窩洞形態
224.グラスアイオノマーセメント修復
220.修復の前処置
225.間接修復法
221.裏層材、仮封材
226.象牙質知覚過敏症
17
歯内療法
···················································
227.歯髄疾患の診査法
233.外科的歯内療法
228.歯髄炎
234.偶発症
229.根尖性歯周炎
235.漂白法
230.根管治療
236.歯根の病的吸収
231.根管充塡
237.歯内−歯周疾患
573
232.根管治療に用いる薬剤
18
歯周病
······················································
595
238.歯周疾患の分類
242.歯周基本治療
239.歯周疾患の原因
243.歯周外科処置
240.歯肉の形態異常と骨欠損
244.根分岐部病変
241.歯周疾患の診査
245.SPT(supportive periodontal therapy)
19
口腔外科
···················································
246.口唇・口蓋裂
256.前癌病変
247.顎変形症
257.悪性腫瘍
248.外
258.顎関節疾患
傷
249.歯の外傷
259.唾液腺疾患
250.炎症に対する処置
260.神経性疾患
251.口腔粘膜疾患
261.血液疾患
252.嚢
262.感染症
胞
253.歯原性腫瘍
263.抜
254.良性腫瘍
264.小手術
255.骨の腫瘍および骨関連疾患、
265.症候群
エプーリス
歯
617
20
歯科麻酔
···················································
687
266.局所麻酔
269.全身麻酔
267.歯科治療時の偶発症
270.全身麻酔時の周術期管理
268.鎮静法
21
補綴用語集
···············································
707
271.補綴用語集
22
クラウンブリッジ
·····································
729
272.支台歯形成
278.ブリッジ
273.支台築造
279.ポンティック
274.各種被覆冠
280.ろう付け
275.印象採得
281.クラウン・ブリッジの試適と装着
276.顆路咬合器
282.クラウン・ブリッジにおける不快事項
277.各種被覆冠の製作手順
23
部分床義歯
···············································
749
283.欠損様式
287.部分床義歯の製作
284.部分床義歯の構成要素
288.サベイング
285.クラスプ
289.特殊な義歯
286.大連結子
290.部分床義歯における不快事項
24
全部床義歯
···············································
771
291.下顎位
297.咬合器の顆路調節
292.咬合様式
298.人工歯排列
293.下顎運動
299.蠟義歯試適
294.解剖学的ランドマーク
300.咬合調整
295.筋圧形成
301.全部床義歯における不快事項
296.顎間関係の記録
25
インプラント義歯
302.インプラント義歯
303.インプラント義歯の診査
·····································
304.インプラント手術
791
26
高齢者歯科
···············································
304.全身の加齢変化
306.高齢者の栄養状態
305.口腔内の加齢変化
307.高齢者の口腔ケア
27
摂食嚥下
308.嚥
···················································
799
811
311.摂食・嚥下機能障害の精密検査
下
309.摂食・嚥下機能障害の原因
312.摂食・嚥下機能障害の訓練
310.摂食・嚥下機能障害の
313.摂食・嚥下機能障害への歯科的対応
スクリーニングテスト
28
全身解剖
···················································
314.循環器系
318.呼吸器系
315.神経系
319.感覚器系
316.消化器系
320.妊
831
娠
317.泌尿器系
29
医科系
······················································
321.主要な全身疾患
323.採
322.心電図
324.基準値
30
器
具
325.歯科用器具
853
血
······················································
869
1.患者の人権、医の倫理
(1)患者の人権と医療
医療倫理の4原則は、自律尊重、無危害、善行、正義(公正)である。
基本的人権の不可侵
「日本国憲法」第 11 条
生存権、国の社会的使命
「日本国憲法」第 25 条
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障す
る基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国
民に与えられる。
・すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
・国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上
および増進に努めなければならない。
(2)ニュルンベルグ綱領、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言、ヒポクラテスの誓い、
シドニー宣言
ジュネーブ宣言よりも前に発表されたもので、その内容はヘルシンキ宣言の基
ニュルンベルグ綱領
礎となるものである。研究目的の医療行為を行うにあたり厳守すべき基本原則
である。
世界医師総会で採択された医の倫理宣言であり、
「医師の奉仕宣言」や「医の倫
ジュネーブ宣言
理規定」と表現される。人類への奉仕、患者の非差別、良心と尊厳をもった医
業、患者の秘密の尊重などが述べられている。
ヘルシンキ宣言
ヒトを対象とした医学研究の倫理指針である。現在の日本の医薬品の治験実施
基準となっている GCP(Good Clinical Practice)の基となっている。
患者の自己決定権について述べられている。一般診療におけるインフォームド
リスボン宣言
コンセントの重要性を述べている。医師および医療従事者または医療組織はこ
の権利を認識し、擁護していくうえで共同の責任を担っている。
ヒポクラテスの誓い
シドニー宣言
医師の倫理・任務などについてのギリシア神への宣誓文である。ジュネーブ宣
言の基礎となるものである。
臓器移植における死の判定に関する声明である。臓器移植という新たな医療技
術の開発により、改めて死を定義付ける必要が生じた。
(3)守秘義務、プライバシーの尊重
守秘義務「刑法」
正当な理由がないのに業務上取り扱ったことについて知り得た患者の秘密を漏
らしてはいけない。
高度情報通信社会の進展に伴い、個人情報の利用が著しく拡大したため、個人
個人情報の保護に
情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することが目的である。個
関する法律
人情報は、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであり、
その適正な取扱いが図られなければならない。
-2-
(4)診療録開示
・生存中の個人を特定できる情報を個人情報といい、その適正な取り扱いについては「個人情報の
・患者の同意を得ずに開示できるのは、裁判所の捜査令状や文章提出命令などがある。また、
「医療
ただし、医療においては厚生労働省のガイドラインに従って、一定の条件下で開示を拒むことが
できる。
①開示することで第三者の利益を害する場合
②開示することで患者本人の心身状況を害する恐れがある場合
・死者の情報に関しては法律の適応外であるが、医療においては生存者に準じて遺族に開示するよ
うに努める。
正文集
□ニュルンベルグ綱領ではヒトを対象とする医学研究の倫理原則が謳われている。
□ニュルンベルグ綱領の内容はヘルシンキ宣言の基礎となっている。
□ジュネーブ宣言では医の倫理が規定されている。
□ジュネーブ宣言は人道的目標に向けての医師の奉仕宣言である。
□ジュネーブ宣言は世界医師会が行った最初の提言である。
□ジュネーブ宣言は「現代版ヒポクラテスの誓い」といわれる。
□ジュネーブ宣言には「患者の健康を第一の関心事とする」と謳われている。
□ジュネーブ宣言には「私は良心と尊厳をもって私の専門職を実践する」と謳われている。
□ヘルシンキ宣言は医の倫理が規定されている。
□ヘルシンキ宣言はヒトを対象とした医学研究の倫理指針である。
□ヘルシンキ宣言は GCP(Good Clinical Practice)のもととなっている。
□リスボン宣言は患者の自己決定権について謳われている。
□リスボン宣言は患者の権利を尊重したインフォームドコンセントの必要性を謳っている。
□リスボン宣言は患者が担当医を選択できると謳っている。
□リスボン宣言には「すべての人は差別なしに適切な医療を受ける権利を有する」と謳われている。
□ヒポクラテスの誓いは医師の倫理・任務などについてのギリシア神への宣誓文である。
□ヒポクラテスの誓いには「どんな不正や加害をも目的としない」と記されている。
□シドニー宣言は死に関する声明である。
□シドニー宣言は死の判定基準に関する基本指針を示したものである。
□歯科医師の守秘義務は刑法に規定されている。
□正当な理由がないのに業務上取り扱ったことについて知り得た患者の秘密を漏らしてはいけない。
□個人情報の保護に関する法律は個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することが目
的である。
□診療情報開示の目的は患者の権利擁護である。
-3-
修
法」や「健康保険法」で規定がある場合である。
・原則として患者本人への開示義務がある。
01
必
保護に関する法律」で定められている。
59.細胞外マトリックス(線維成分)
(1)細胞外マトリックス
各種の結合組織の特徴は、細胞成分だけでなく、細胞外マトリックスを構成している成分の物理化
学的性状がその組織の特性を示す大きな要因となる。
細
未分化間葉細胞と分化した線維芽細胞、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細
胞
胞、象牙芽細胞など
線維成分
細胞外マトリックス
可溶性基質
コラーゲン(膠原線維)、エラスチン(弾性線維)
複合糖質(プロテオグリカン、糖タンパク質)
、リン脂質、
接着性糖タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン)
05
生
(2)コラーゲンとエラスチンの比較
エラスチン
・コラーゲンとともに結合組織を形成している線維性
である。
タンパク質である。
・皮膚、靱帯、腱、骨、軟骨、歯などの主要な線維成
・組織の伸縮に関係している。
分である。
・血管壁や靭帯などには多量に含まれているが、皮膚
や腱にはあまり含まれていない。
・グリシン含量が全アミノ酸の約 1/3 を占める。
・グリシン含量が全アミノ酸の約 1/3 を占める。
・プロリンが多い。
・プロリンが多い。
・Gly-X-Y の繰り返し構造をとる。
・Gly-X-Gly-X-Gly の規則的配列がある。
大部分のプロリンは X の位置に、ヒドロキシプロリ ・ヒドロキシプロリン含量はコラーゲンに比べて著し
ンは Y の位置にくる。
く低い。
・ほかのタンパク質にはほとんど存在しない、ヒドロ
・ヒドロキシリシンはまったく含まない。
キシプロリンとヒドロキシリシンを含む。
・アラニンとバリンが多く両者で約 1/3 を占める。
・ロイシン、イソロイシンなども多い。
(3)コラーゲン分子の型
(注)エナメル質にはコラーゲンは含まれない。
型
組織分布
Ⅰ
皮膚、歯槽骨、歯根膜、歯肉、象牙質、セメント質、腱、筋膜など、ほとんどの組織
Ⅱ
軟骨、脊索、硝子体
Ⅲ
Ⅰ型コラーゲンと共存
Ⅳ
基底膜
Ⅴ
Ⅰ型コラーゲンと共存、成熟軟骨
Ⅹ
肥大軟骨層
- 157 -
化
コラーゲン
・生体タンパク質の約 1/3 を占める線維性タンパク質
(4)コラーゲンの生合成過程
・リボソーム上でのプロトコラーゲン(プロα鎖)の生合成
・プロリンおよびリシンの水酸化
この水酸化反応にはアスコルビン酸(ビタミン C)を必要とする。
・ヒドロキシリシンのグリコシル化
この反応にはガラクトシルトランスフェラーゼやグルコシルトランスフェラーゼなどの酵素が関与して
いる。
・3 本鎖ヘリックスの形成
・プロコラーゲン分子の細胞内移送と細胞外への分泌
・プロペプチドの分解
・コラーゲン線維と架橋結合
正文集
□コラーゲンは生体タンパク質の約 1/3 を占める。
□コラーゲンのアミノ酸組成は Gly-X-Y の繰り返し構造をとる。
□コラーゲンはグリシン含量が全アミノ酸の約 1/3 を占める。
□コラーゲンはプロリンが多く含まれる。
□コラーゲンにはヒドロキシプロリンとヒドロキシリシンとが含まれる。
□エラスチンはコラーゲンとともに結合組織を形成している線維性タンパク質である。
□エラスチンはグリシン含量が全アミノ酸の約 1/3 を占める。
□エラスチンはプロリンが多く含まれる。
□エラスチンのヒドロキシプロリン含量はコラーゲンに比べて著しく低い。
□エラスチンはヒドロキシリシンをまったく含まない。
□エラスチンはアラニンとバリンが多く両者で約 1/3 を占める。
□弾性線維はエラスチンが主成分である。
□弾性線維は膠原線維と共に存在する。
□象牙質にはⅠ型コラーゲンが存在する。
□セメント質にはⅠ型コラーゲンが存在する。
□骨にはⅠ型コラーゲンが存在する。
□軟骨にはⅡ型コラーゲンが存在する。
□象牙質にはⅢ型コラーゲンが存在する。
□セメント質にはⅢ型コラーゲンが存在する。
□基底膜にはⅣ型コラーゲンが存在する。
□肥大軟骨層にはⅩ型コラーゲンが存在する。
□エナメル質にはコラーゲンが存在しない。
□コラーゲン合成過程でリシンやプロリンの水酸化にはビタミン C が必要である。
□コラーゲンのヒドロキシリシンのグリコシル化にはグルコシルトランスフェラーゼが関与している。
□コラーゲンのヒドロキシリシンのグリコシル化にはガラクトシルトランスフェラーゼが関与している。
- 158 -
156.健康日本 21
(1)21 世紀における第2次国民健康づくり運動「健康日本 21」(第2次)
21 世紀の我が国において⯸子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣および社会環境の改善
概 要
を通じて、子どもから高齢者まですべての国民が共に支え合いながら希望や生きがいをもち、ライフ
ステージに応じて、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が
持続可能なものとなるよう、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な事項を示し、平
成 25 年度から平成 34 年度までの「21 世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本 21(第
二次)
)」を推進するものである。
・健康寿命の延伸と健康格差の縮小
・生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD の予防)
・がん:がん検診の受診率の向上
・循環器疾患:高血圧の改善、脂質異常症の減少
・糖尿病:血糖値の適正な管理、治療中断者の減少、合併症の減少
課
・COPD〈慢性閉塞性肺疾患〉
:COPD の認知度の向上
・社会生活を営むために必要な機能の維持および向上
題
・健康を支え、守るための社会環境の整備
・喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の整備
・栄養、食生活
・身体活動、運動
・休 養
・飲 酒
・喫 煙
・歯、口腔の健康
目標は、健全な口腔機能を生涯にわたり維持することができるよう、疾病予防の観点から、歯周病予
防、う蝕予防および歯の喪失防止に加え、口腔機能の維持および向上などについて設定する。
目標の達成に向けて、国は、歯科口腔保健に関する知識などの普及啓発や「8020 運動」の更なる推
進などに取り組む。
項
目
歯・口腔の健康
現 状
目 標
73.4%
80%
80 歳で 20 歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加
25.0%
50%
60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加
60.2%
70%
40 歳で喪失歯のない者の割合の増加
54.1%
75%
20 歳代における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少
31.7%
25%
40 歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少
37.3%
25%
60 歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少
54.7%
45%
6都道府
23 都道
口腔機能の維持・向上(60 歳代における咀嚼良好者の割合の増加)
歯の喪失防止
歯周病を有する
者の割合の減少
乳幼児・学齢期
3歳児でう蝕がない者の割合が 80%以上である都道府県の増加
のう蝕のない者
の増加
12 歳児の1人平均う歯数が 1.0 歯未満である都道府県の増加
過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加
- 392 -
県
府県
7都道府
28 都道
県
府県
34.1%
65%
(2)健康日本 21(第1次)の「歯の健康」の最終評価の概要
80 歳で 20 歯以上、60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する人の割合、過去1年間
歯の喪失防止
に定期的な歯石除去や歯面清掃を受けた人の割合、過去1年間に定期的な歯科検診
を受けた人の割合は、いずれも目標値に達した。
概 要
幼児期の
齲蝕予防
フッ化物歯面塗布を受けたことのある幼児の割合は目標値に達し、齲歯のない幼児
の割合は改善がみられた。間食として甘味食品・飲料を頻回飲食する習慣のある幼
児の割合は、大きな変化はみられなかった。
学齢期の
12 歳児における1人平均齲歯数、フッ化物配合歯磨剤を使用している人の割合、
齲蝕予防
過去1年間に個別的な歯口清掃指導を受けた人の割合は改善がみられた。
成人期の
歯周病予防
進行した歯周炎を有する人の割合(40、50 歳)は目標値に達し、歯間部清掃用器
具の使用する人の割合、喫煙が及ぼす健康影響(歯周病)について知っている人の
割合は改善がみられた。
・指標の大半は改善され、そのうち半数が目標値に達したが、その達成状況については地域差も認め
られており、また高齢化の進展に伴い咀嚼機能の重要性が一層高まっていることなどから、引き続き
今後の課題
ライフステージに応じた適切な齲蝕・歯周病予防などの「歯の健康」づくりを進めていくことが必要
である。
・今後の高齢化を考慮して、健全な食生活など生活の質の向上にも寄与するために、咀嚼機能の維持・
改善を図っていくことが一層重要となっていることから、こうした機能面などに着目して評価の在り
方を検討する必要がある。
・小児の永久歯齲蝕予防については、地域の特性に応じて、フッ化物歯面塗布、フッ化物配合歯磨剤、
フッ化物による洗口などの応用やシーラントの活用などを含めて総合的に推進していくことが必要
である。
正文集
□健康日本 21(第 2 次)の目標は国民の健康寿命の延伸である。
□健康日本 21(第 2 次)の目標は健康格差の縮小である。
□健康日本 21(第 2 次)の目標は社会生活を営むために必要な機能の維持および向上である。
□健康日本 21(第 2 次)の課題で歯科の項目はライフステージ別に目標が設定されている。
□健康日本 21(第 2 次)の歯科項目で 80 歳における 20 歯以上の自分の歯を有する者の割合の目標値
は 50%以上である。
□健康日本 21(第1次)では 80 歳で 20 歯以上の自分の歯を有する人の割合は目標値に達した。
□健康日本 21(第1次)では 60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する人の割合は目標値に達した。
□健康日本 21(第2次)に記載されている Non Communicable Disease〈NCD〉に含まれるのはがん、
糖尿病、慢性閉塞性肺疾患である。
- 393 -
衛生・社会歯科
□健康日本 21(第 2 次)の基本方針は第一次予防の重視である。
12
214.舌側弧線装置の製作過程
(1)バンドの口腔内への装着
バンド装着のための歯間分離
第一大臼歯にバンド装着
(2)印象採得
印象採得
印象面へのバンド装着
(3)模型製作
パラフィンワックスを流す
バンドに維持装置(ST ロック)をろう着
15
歯科矯正
- 545 -
(4)主線の屈曲
0.9mm 線で主線を屈曲
(5)主線と維持装置の脚部のろう着
主線と維持装置をろう着
(6)補助弾線の自在ろう着、屈曲
補助弾線(0.5mm 線)の自在ろう着
- 546 -
313.摂食・嚥下機能障害への歯科的対応
(1)口蓋閉鎖床
口蓋形成術で、顎の発育を考慮して1回目の手術時には軟口蓋のみを閉鎖し、口蓋前方部を閉鎖し
ない方法(two-stage operation)のときや口蓋形成術後、口蓋に瘻孔が残存した症例に対して製作す
る。瘻孔閉鎖術を行うまでの期間に使用する。開鼻声を改善させ、正しい発音法を獲得することが目
的だが、食物の鼻への逆流を防ぐためにも有効である。
(2)舌接触補助床〈Palatal Augmentation Prosthesis:PAP〉
切除や運動障害を原因とした著しい舌の機能低下により舌と硬・軟口蓋の接触が得られない患者に
対して用いる「上顎義歯の口蓋部を肥厚させた形態の装置」、または「口蓋部分を覆う装置」。上顎に
歯の欠損がある義歯装着者に対しては、義歯の床を舌機能低下に応じて肥厚させて製作し、上顎に歯
の欠損がない患者に対しては、口蓋部分を被覆する床を舌機能低下に応じて肥厚させて製作する。口
蓋の形態を変えることで舌の機能低下を補い、摂食・嚥下障害や構音(発音)障害の改善を促す。摂
食・嚥下障害に対する効果としては、頭頸部癌術後患者において PAP を装着することにより、食塊の
送り込みを容易にする効果や、嚥下効率の改善に効果があることが文献的に示され、VF 所見として、
食塊の口腔通過時間の短縮や咽頭通過時間の短縮が報告されている。また、舌と PAP の接触が得られ
ることにより、舌運動を賦活化させ、アンカー機能により舌根後方運動が増強されることも報告され
ている。
27
摂食嚥下
- 829 -
(3)軟口蓋挙上装置〈Palatal Lift Prosthesis:PLP〉、スピーチエイド
軟口蓋挙上装置は、軟口蓋の運動障害による鼻腔閉鎖不全が認められる患者に対して用いられる装
置であり、床の口蓋部後縁より軟口蓋挙上子を延長して製作する。軟口蓋挙上子により機械的に軟口
蓋を挙上させて、構音時、嚥下時の鼻咽腔の閉鎖を図る。本装置の目的は構音機能の回復にあると考
えられてきたが、最近では、挙上子の形態を工夫することによって嚥下機能の改善も同時に図れるこ
とが報告されている。ただし、発音時とは異なる嚥下時の軟口蓋運動を妨げないように、装置を調整
することが必要な場合もある。本装置の装着は即時的効果をもつ。その長期装着による効果も報告さ
れており、軟口蓋挙上子の刺激が知覚を賦活する可能性もある。
正文集
□舌接触補助床の使用により構音障害や摂食・嚥下障害が改善する。
□舌亜全摘術後の構音障害は舌接触補助床を用いたリハビリテーションが有効である。
□脳血管障害による摂食・嚥下障害は舌接触補助床を用いたリハビリテーションが有効である。
□舌接触補助床の使用により食塊の口腔通過時間の短縮がみられる。
□舌接触補助床の使用により食塊の咽頭通過時間の短縮がみられる。
□スピーチエイドは鼻咽腔閉鎖機能不全の患者に用いる装置である。
□軟口蓋挙上装置は鼻咽腔閉鎖機能不全の患者に用いる装置である。
□軟口蓋挙上装置の目的は構音機能の回復である。
□発語明瞭度検査の結果はパラタルリフトの使用により改善される。
□ブローイング検査の結果はパラタルリフトの使用により改善される。
- 830 -