Ti系酸化物表面の欠陥誘起電子状態 [長塚]

Ti系酸化物表面の欠陥誘起電子状態
Introduction
背景
Ti系酸化物の表面欠陥
光触媒,燃料電池,ガスセンサーとしての応用
Surface Vo
バンドギャップ中に準位を形成
酸素欠損
電子状態変化
表面と分子の相互作用
最表面
サブサーフェス
酸化物表面の欠陥
電子状態や分子との相互作用が変化
伝導帯
Ti
O
欠陥誘起準位
Tiint
格子間チタン
本研究の目的
表面欠陥を生成し,
電子状態変化を調べる
Ti系酸化物表面の原子構造と電子状態の
関係を明らかにする
価電子帯
Subsurface Vo
Experimental
試料
Rutile型TiO2(110)
Anatase型TiO2(101)
SrTiO3 (001)
He Ⅰ: hν=21.22 eV
固体表面に紫外線を照射し,光電効果により飛び出してくる
電子のエネルギー分布を測定
⇒物質の価電子状態
紫外光電子分光(UPS)
電子衝撃脱離(ESD)
電子線照射による内殻正孔励起
⇒最表面の酸素欠を生成
反発
Ti4+ - O2-
UHVアニール
Ti4+ - O+
3
Vacuum
Level
超高真空でサンプルを加熱し,
酸素欠陥を生成
1
O 2p
2
O 2s
UPSの原理
Ti 3p
Rutile TiO2 (110) surface
UPS 装置図
Anatase TiO2 (101) surface
No defect
25s
60s
85s
110s
加熱によりルチル型へ転移
ESDにより酸素欠損生成
バンドギャップ内EF下0.8 eVに新たなピーク
EF下1.2 eVと2.3 eVに新たなピーク
LEEDパターンは存在
欠陥量に対して表面双極子による仕事
関数変化はほぼ変化なし
酸素分子曝露により欠陥誘起ピーク減少
Ti 3d軌道に電子をドープ
一部は消えずに残る
酸素欠損と格子間Tiが存在
ESD at 300 K
140 Kのものと比べて
1.2 eVのピークのみが減少
0
EF下1.2 eVに新たなピーク
LEEDパターンは存在
Ti 3d軌道に電子をドープ
ESD: 1.8 x 10-18 cm2でVo飽和
伝導帯の底がEFより深くなった.
導電性層の形成
電子親和力の変化が大きい
Δ = 0.03eV, Δ = 0.17eV
最表面に何らかの欠陥を生成
ESD at 140K
ESD at 300K
Clean at 140K
Clean at 300K
1000
500
0
4.0
3.0
2.0
1.0
Binding Energy [eV]
0.0
300
欠陥表面,50eV
欠陥表面
250
Intensity[a.u.]
清浄表面: バンドベンディングのみ
欠陥表面では,3.0 eVに新たなピーク
ESDにより酸素欠損生成
3.0 2.0 1.0 0.0
Binding Enargy [eV]
1500
⇒ 最表面とサブサーフェスVo
はどちらも1.2 eVに寄与
50 eVの電子線照射
4.0
1
2000
電子親和力のみが変化(0.1 eV程度)
加熱により表面が再構成
2
500
1.2 eV: サブサーフェス酸素欠損
2.3 eV: 酸素欠損とは異なる欠陥
ESD at 140 K
室温と同様の変化 (1.2 eV + 2.3 eV)
SrTiO3 (001) surface
1000
Intensity[a.u.]
UHVアニールにより欠損を生成
Intensity[a.u.]
1500
200
150
100
50
0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
Binding Energy [eV]
Conclusion
酸素欠損は表面のTiに電子を供与し,表面を金属化
欠陥誘起準位の結合エネルギーの違いは,格子の対称性によるもの
欠陥準位に酸素欠損と格子間チタンが寄与
アナターゼ型では,欠陥によってエネルギー準位が違う
Institute of Industrial Science / The University of Tokyo / Fukutani Laboratory
Naoki Nagatsuka