ダイニチ工業(5951)

岡三にいがた
県内企業レーティング情報
ダイニチ工業(5951
東証1部)
2015年12月10日
高付加価値商品の出荷が順調、上期は会社計画を上回って着地
<<アナリストの視点>>
レーティング
強気
16年3月期は、前期で設備投資が一巡し、回収フェーズに移行してい
る。中之口工場の稼働により生産性の向上と利益率の改善が見込ま
れるほか、新規参入した電気ファンヒーターにより事業基盤の強化
が期待できる。また、同社は一貫して国内生産であり、足元高まっ
ている「国産ブランド」のニーズとマッチしている。さらに、メ
ディアに取り上げられることで認知度向上につながり、独自技術で
差別化した商品を提供することで、競争力の維持が期待できる。
(前回:中立 )
目標株価
830 円 (前回: - 円)
株価 =
742
<<レーティングの根拠>>
円 ( 12/07 )
年初来高値 =
838 円 ( 01/29 )
年初来安値 =
703 円 ( 08/25 )
予想PER (単独) = 26.8 倍 (
16/3 )
予想PER (単独) = 25.2 倍 (
17/3 )
実績PBR (単独) = 0.53 倍
予想ROE (単独) =
2.0 %
時価総額
131 億円
発行済株式数
(除く自己株)
17,684 千株
予想配当利回り = 2.96 %
エクイティ情報部
原田 俊介
<<業績推移>> 日本基準
決算期(年/月)
2013/03
2014/03
2015/03
会社
2016/03(予)
弊社前回
弊社今回
弊社前回
2017/03(予)
弊社今回
新製品の投入効果や新規参入した電気ファンヒーターの寄与によ
り、16年3月期は増収増益を見込む。収益構造が変わった過去2年間
の実績PBRは概ね0.5倍~0.6倍で推移しており、新規事業参入や同
業・他業界との連携など今後の成長性を考慮し、実績PBRの上限であ
る0.6倍程度で評価可能とみる。岡三にいがた証券では、レーティン
グを「中立」から「強気」に引き上げ目標株価を830円とする。
<<2016年3月期第2四半期は、会社計画を上回って着地>>
2016年3月期第2四半期は、主力の石油暖房機器及び、加湿器は販売
店への導入期にあたるため売上高は僅少となる。石油暖房機器にお
いては量販店の導入が昨年よりも低調となったことから売上高は前
年同期比4.4%減の45億89百万円となった。
主力の石油暖房機器では、デザイン重視のニーズに応え、ツート
ンカラーの斬新な外観を採用した家庭用石油ファンヒーター・SDRタ
イプを新発売したほか、顧客の要望に即した商品開発を行い、全10
タイプ33機種の商品を発売して冬の需要期に備えている。
また、自社ブランドとしては12年ぶりとなる新製品として電気暖
房市場に新規参入し、脱衣所やキッチンなどスポット暖房の需要に
応え、セラミックファンヒーター2機種を新発売した。
加湿器においては、リビングの大型化やビジネス用ニーズの高ま
りから家庭用としては業界最大となる1800ml/h の加湿量となる新製
品のほか、4タイプ19機種を発売し、販売店への導入を進めた。
売上高
23,252
18,973
17,587
18,500
18,700
18,900
19,500
19,700
営業利益
1,827
384
367
600
630
650
700
730
経常利益
1,813
369
449
660
690
710
760
790
当期純利益
1,150
465
288
450
470
490
520
540
一株純利益
65.03
26.35
16.29
25.45
26.58
27.71
29.41
30.54
一株配当金
22.00
22.00
22.00
22.00
22.00
22.00
22.00
22.00
単位:百万円、一株純利益・配当は円
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
1
岡三にいがた県内企業レーティング情報
ダイニチ工業(5951 東証1部)
利益面では、高付加価値品の出荷が順調に進んだことに加え、経費削減に努めたことで、営業損失は3億
68百万円(前年同期は4億31百万円の損失)、経常利益は3億3百万円(同3億48百万円の損失)、四半期純
損失は1億99百万円(同2億36百万円の損失)と期初の会社計画を上回って着地した。
<<電気ファンヒータ市場に参入>>
セラミックファンヒーター
同社は、8月から電気ファンヒーター市場に参入した。生産は、6月
より加湿器の生産を開始した中之口工場で行い、今秋から商品を投入
している。主力の石油ファンヒーターは国内の人口が減少していく中
で、今後の市場規模の伸び悩みを想定し、既存のビジネスと相乗効果
の高い電気暖房事業に参入することで、事業基盤の強化を図っていく。
初年度の販売目標は7億円を目指しており、量販店への導入も進んでい
ることから、収益寄与が期待できよう。
出所:会社HP
<<共同開発で世界初を商品化>>
8月にカセットコンロメーカー大手の岩谷産業と共同開発した世界初のカセットガス式コードレスファン
ヒーターが発売された。同社は、効率よく燃焼させてファンで温風を送り出す部分の構造設計を手掛け、製
造も行う。同商品は、電源コードが不要であり、停電時や非常時への対策としての需要が見込まれる。
同社の高い技術力に対する認知度は高まっており、今後も同業や異なる業界との連携の可能性もあろう。
<<新製品を含め高付加価値品が好調>>
同社は、下期に向けて新商品を続々と投入している。需要期を前にした
品評会では家電量販店の反応が良好である上、メディア戦略を展開したこ
とが奏功し、テレビ放送で同社の加湿器「RXシリース」等が取り上げられ
たことで、認知度の高まりから家電量販店で棚の確保が進んでいるようだ。
今期は特に、高付加価値商品の出荷が進んでいるほか、「国産ブラン
ド」のニーズが強いようだ。円安の影響から生産の国内回帰の動きが出て
いる中、同社は一貫して国内生産であり、国産ブランドとして他社との差
別化が図られよう。高付加価値商品では、加湿器の「HD」シリーズは1時
間に加湿できる量を最大2倍に引き上げ、戸建て住宅や、事務所、病院を
はじめとする医療機関を取り込む。また、石油ファンヒーターでは最上位
機種「SDR」を発売し、需要を取り込むことで収益寄与が期待できよう。
大容量加湿器「HD」シリーズ
出所:会社HP
<<16年3月期の見通し>
16年3月期は、エルニーニョ現象による暖冬への懸念はあるが、原油価格下落による灯油安が石油暖房機
器への回帰を促し、同社の追い風となる。下期投入の新商品の寄与に加え、新規事業参入で売上高のトッ
プラインを引き上げる。また、これまで倉庫としていた中之口工場では、加湿器と電気ファンヒーターの
生産をスタートしているが、人員は昨年からほぼ変わらず、生産性の向上と利益率の改善が期待できよう。
足元で円安の影響から生産の国内回帰の動きが進んでいるが、
売上高と営業利益推移(百万円)
同社は一貫して国内生産であり、他社との差別化が図られている。25000
同社の業績は3Qに偏重し季節要因に大きく左右されるが、量販店 20000
の向けに高付加価値商品の出荷が順調に進んでいること、石油
15000
ファンヒーター、加湿器ともに、高いシェアを維持していること
10000
から会社計画は達成可能とみる。岡三にいがた証券では、売上高
5000
189億円(前年同期比7.4%増)、営業利益6億50百万円(同
0
77.1%増)、経常利益7億10百万円(同58.1%増)、純利益4億90
百万円(同70.1%増)と前回予想から引き上げる。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
2000
売上高(左軸)
営業利益(右軸)
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
2013年3月期
2014年3月期
2015年3月期
2016年3月期
会社予想
2
岡三にいがた県内企業レーティング情報
レーティングの基準など
強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券
エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を
阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・
サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、
国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま
す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価
達成が妨げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として
の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと
して記載しています。
・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時
(前場・後場)における約定値段を用いています。
・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して
います。
・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい
がた証券が算出しています。
・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額
を用いています。
・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用
いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試
算値を用いる場合があります。
・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連
結会計年度の期首から適用)。
・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成27年5月改訂)
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
岡三にいがた 県内企業ウオッチ38
銘柄コード 5951
東証 1部
エクイティ情報部
金属製品
ダイニチ工業(株)
≪会社概要≫
石油暖房機器メーカー。業務用大型ストーブ、加湿器で首位。16年3月期は、前期で設備投資が一巡し、回収
フェーズに移行している。中之口工場の稼働により生産性の向上と利益率の改善が見込まれるほか、新規参入
した電気ファンヒーターにより事業基盤の強化が期待できる。また、同社は一貫して国内生産であり、足元高
まっている「国産ブランド」のニーズとマッチしている。さらに、メディアに取り上げられることで認知度向
上につながり、独自技術で差別化した商品を提供することで、競争力の維持が期待できる。
≪週足チャート≫
742
現在値
13週移動平均線
26週移動平均線
④
850
12/07 (月/日)現在
円
⑤
800
⑥
⑧
750
③
②
①
⑦
12/12
11/21
10/31
10/10
09/19
08/29
08/08
07/18
06/27
06/06
05/16
04/25
04/04
03/14
02/21
01/31
2
0
1
5
年
01/10
12/20
11/29
11/08
10/18
09/27
09/06
08/16
07/26
07/05
06/14
2
0
1
4
年
05/24
650
月/日
700
〔テク二カルコメント〕
①(14年5月安値694円)、②(10月安値700円)、③(15年8月安値703円)とわずかではあるが下値を
切り上げている。一方、④(15年1月高値838円)、⑤(5月高値805円)、⑥(11月高値760円)と上値を
切り下げており、三角持ち合いを形成している。現状は、11月第2週に13週線を翌週には26週線を上抜け
⑦、11月第3週には13週線が上向きに転じている。26週線とのゴールデンクロスも近そうなことから⑧、
三角持ち合いを上抜け、次の節目となる800円を奪回し年初来高値④を目指す展開も。
〔参考指標〕
年初来高値
838 円
年初来安値
703 円
単元株数
100 株
PER(会社予想) 29.16 倍
PBR(実績)
0.53 倍
ROE(実績)
1.17 %
信用買い残
貸借倍率
22.79 倍
発行済株式数
19,058 千株
32 千株
最低購入代金
74,200 円
配当利回り
時価総額
2.96 %
14,141 百万円
〔業積推移〕
決算期
売上高
経常利益
2014/03
18,973
369
2015/03
17,587
449
2016/03
18,500
660
2016/03 は予想
単位:百万円
税引利益
465
288
450
EPS(円)
26.35
16.29
25.45
配当(円)
22
22
22
データ出所:Astra
〔株主優待情報〕
※株主優待は現在行っておりません。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
4
手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損
失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外
部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです
が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、
過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記
された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される
ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ
リスト・レポートとして審査されたものです。
・ 岡三にいがた証券およびその関係会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品につい
て、自己売買または委託売買取引を行う場合があります。
・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり
ます。
・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」(もしくは目論見書及びそ
の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契
約ください。
・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700 円を
下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242%
(税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払
いいただきます。
・ 本資料は岡三にいがた証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三にいがた証券に帰属し、その目
的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
岡三にいがた証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第169号
加入協会:日本証券業協会
(平成27年5月改訂)