琉球大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻

琉球大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻(教職大学院)の設置について 1. 設置の概要 設置予定年月:平成 28 年4月(正式決定は平成 28 年度予算成立後)
研究科・課程・専攻名
学位名
教育学研究科
専門職学位課程
教職修士(専門職)
高度教職実践専攻
学生定員
入学定員 14 名
収容定員 28 名
専任教員
14 名
2. 設置の趣旨・必要性の概要 (1)趣旨・必要性 ① 教員には「普遍的(不易な)資質能力」と「これからの時代で特に求
められる(流行の)資質能力」の高度化が求められている。
② 知識習得型の学力観から獲得した知識を活用しながら思考力・判断
力・表現力等の育成を目指す学力観への転換と沖縄県の教育課題—「学
習指導(学力問題)」
、
「生徒指導」、
「組織運営」—に対応するためには、
受け身の姿勢ではなく、自らが積極的に何らかの課題に向かい、探究
し、そこから得た知見を児童生徒の学びへと還元し、新しい学びを展
開できる力=実践的指導力の修得が求められている。
③ 学校教育が複雑化・多様化する課題に、独りではなく協働して解決で
きる人材を育成する必要がある。
④ 学校教育現場や教育行政との協働に基づいて、学校課題に即した学校
マネジメント、教科指導、生徒指導、学級経営などについて、より高
度な実践的指導力を身に付けることが教職大学院に強く求められ、教
職大学院で養成された人材が課題解決の核となることが期待される。
(2)育成する人材像 学習指導場面、生徒指導場面、組織運営場面という沖縄県の課題に関
わる各場面において合理的かつ反省的に考えて問題解決ができる人材
を育成する。
合理的かつ反省的に考えて問題解決ができる=対症療法的な定型化された対応や独
りよがりな対応だけではなく、問題や課題を自ら捉え、深め、解決策を策定し、行動
を起こし、その結果を振り返り、次の思考や行動につなげる力
Ø
学習指導:教材について背景まで含めて論理的に理解し、児童生徒の既習
の定着度合いだけでなく、素朴概念や子どもなりの論理まで含めて客観的
かつ共感的に理解し、指導する力 Ø
生徒指導:生じた問題や児童生徒の現状について、表面的に理解するので
はなく、多面的な視点をもって客観的かつ共感的に理解し、これまで経験
的に身につけてきた対処法のみならず、多様な方法を考え、その中からよ
りよい方法を選択し実行する力 Ø
組織運営:いきあたりばったりではなく(先を見通して)、客観的かつ共
感的に、丁寧に問題を理解し、幅広く解決策を探索、実行結果を注意深く
反省的に振り返ることで、よりよく意思決定できる(学習・教員)集団を
動かす力
[具体的には]
○新しい学びの指導に長け、将来のリーダー候補となる初任教員
○学習支援力や生徒理解力に長けた中堅教員
○職場内外の人間関係調整や企画力に長けた教員
を養成 3. 特色 (1)教育課程の特色 ① 沖縄県は教職大学院に多様な人材の育成を求めていることから、
本教職大学院ではコースを設定せず、院生の志望動機や伸ばした
い(伸ばすべき)資質能力に応じたきめ細やかな対応がしやすい
履修指導(カリキュラムモデルを提示しつつも院生と調整して履
修科目を決定する)をとる。
② 協同的な課題解決準備の場となる学生控室を準備し、共通科目群
は全員が同一科目を履修する。共通科目や課題研究では、教職大
学院担当教員も参画し、院生と教員による協働、協議の場を学び
の場に意識的に取り入れる。
③ ただ単に最新の、高度専門化した知見を修得させるのではなく、
院生となる現職教員自らの実践を振り返り、実践そのものの良い
部分を伸ばし、時代に応じた改善や深化・進化を促す支援をする。
④ 教職経験者は自らの学び(成功体験や失敗体験)を自らの学びに
還元するだけでなく、教職経験の浅い者や学卒院生へ伝承する。
⑤ 教職経験の浅い者や学卒院生は、大学時代に学んだ「次世代型教
材・教具を用いた教育実践」をまだ知らない(大学時代には学べ
なかった)教職経験者に伝えるとともに、学校教育というものに
対する固定観念がないこと(特に受益者たる児童生徒の感覚に近
いこと)を武器に、柔軟な発想から学校教育の在り方を見直し、
ともすれば視野が狭くなっている教職経験者に新たな視点から教
育を見る力を誘う。
(2)琉球大学と沖縄県教育委員会の密接な連絡体制の確立 ① 沖縄県教育委員会との人事交流により 2 名の教員が教育学部附属
教育実践総合センターに派遣され、実務家教員(兼担)として教
職大学院の授業、院生指導と運営、沖縄県教育委員会との連絡調
整を行う。
② 教育内容も含めた教職大学院の運営全般に関し、琉球大学と沖縄
県教育委員会等が定期的に意見交換を行う場として「教職大学院
連携推進会議」を設置し、年に2回開催する。
③ 学生の実習等を行う連携協力校の関係者等と教職大学院との連
絡・調整の場として「連携協力校等連絡協議会」を設置し、年に
3回程度開催する。
(3)就学環境の整備 ①
教職大学院専用教室(2室)
②
疑似職員室的な雰囲気の学生控室
③
授業料の減免制度
1.
長期履修制度:職業を有する社会人(現職教員)は申請に基
づき大学が審査し、原則として 2 年間の授業料で最長 4 年間
の計画的な就学が認められる
2.
学長のリーダーシップによる経営判断により平成 33 年度まで
の入学生には特別な授業料の減免措置を準備
④
沖縄県公立学校教員候補者選考試験合格者=大学院修了まで採用
候補者名簿登載延長
(4)取得できる教員免許 すでに対応する 1 種免許状を取得している者は、教職大学院を修了
することにより以下の専修免許状の取得資格を得るものとする(教職
課程認定申請中のため変更の可能性有)。 •
小学校教諭専修免許状
•
中学校教諭専修免許状(全教科)
•
高等学校教諭専修免許状(全教科)
•
幼稚園教諭専修免許状
•
養護教諭専修免許状
•
栄養教諭専修免許状
4. 出願資格 教育職員免許法による幼稚園、小学校、中学校もしくは高等学校の教諭、
養護教諭もしくは栄養教諭の免許状を有し(取得見込みの者を含む)
、次の
(1)~(8)のいずれかに該当する者 (1) 大学を卒業した者、又は大学院入学前年度末までに大学を卒業見込み
の者 (2) 学校教育法第 104 条第4項の規定により、大学評価・学位授与機構か
ら学士の学位を授与された者(大学院入学前年度末までに授与される
見込みの者を含む) (3) 外国において、学校教育における 16 年の課程を修了した者(大学院
入学前年度末までに修了見込みの者を含む) (4) 外国の学校が行う通信教育における授業科目を日本において履修す
ることにより当該国の学校教育における 16 年の課程を修了した者(大
学院入学前年度末までに修了見込みの者を含む) (5) 文部科学大臣の指定した者(昭和 28 年文部省告示第5号参照) ※ これには、「教育職員免許法による小学校、中学校、高等学校もし
くは幼稚園の教諭もしくは養護教諭の専修免許状又は一種免許状
を有する者で 22 歳に達したもの」も含まれる。 (6) 専修学校の専門課程(修業年限が4年以上であることその他の文部科
学大臣が定める基準を満たすものに限る。)で文部科学大臣が別に指定
するものを文部科学大臣が定める日以後に修了した者 (7) 本研究科で事前に行う資格審査で、下記の①または②のいずれかに該
当すると認められた者 ① 日本の大学に3年以上在学した者で、所定の単位を優れた成績を
もって修得したものと本研究科が認めた者 ② 外国の学校教育における15年の課程を修了したもので、所定の
単位を優れた成績をもって修得したものと本研究科が認めた者 (8) 本研究科が行う個別の入学資格審査によって大学を卒業した者と同
等以上の学力があると認めた者で、満 22 歳に達した者、又は大学院入
学年度始(4月1日)までに満 22 歳に達する者 5. その他 l
教職大学院は平成 27 年8月時点で、27 大学(国立 21 大学、私立6大
学)、22 都道府県で設置されている。今般、本学と同様に平成 28 年度
開設に向けて教職大学院は設置申請した大学は 18 大学で、沖縄県では
本学教職大学院が初の設置となる。 l
教職大学院設置に伴い、大学院教育学研究科修士課程の入学定員を 35
名から 21 名とする予定。