ホール・オルガニスト 梅干野安未の オルガン通信 Vol.49 2015.07.15 Les Amis de l’Orgue de Tokorozawa MUSE 本格的な夏の暑さの到来です!夏休みも近づきウキウキしてしまう時期ですね。 所沢ミューズでは、いつでも、35度を超える真夏日でも、ひんやりと快適な温度に管理されています。 ぜひこの夏は素敵な公演を満喫しつつ、ホールへ涼みにいらしてはいかがでしょうか? さて、今回の500円コンサートでは、私、梅干野安未が演奏致します。昨年からこのコンサートのナヴィゲーターを 務めながら、この公演への皆様のニーズや雰囲気をリサーチして参りました。今回は3月のリサイタルとはまたひと味違 ったこだわりの選曲をお届けすべく、代表曲目と一言解説でご紹介します。7月の暑い時期ですが、沢山の皆様のご来場 を心よりお待ちしております! 第1回目 11時開演(未就学児、0歳児から入場可能) J.S.バッハ:トッカータとフーガニ短調 BWV565 ◀誰もが知っているオルガンの名曲! ジブリ・メドレー ◀最後はみんなで「さんぽ」を歌おう♪ L.イェッセル:オモチャの兵隊の行進 ◀なんとCMでお馴染み、キューピー3分クッキングの原曲! みんなで歌おう「幸せなら手をたたこう」 ◀手拍子や足踏みで合いの手を入れよう♪ G.ロッシーニ:「ウィリアム・テル」の序曲より 第2回目 ◀あの有名なオペラの序曲が大迫力のオルガンで聴ける! ほか 14時30分開演(未就学児入場不可の大人のためのプログラム) J.S.バッハ:目覚めよと呼ぶ声あり BWV645 ◀美しいカンタータ作品の、バッハ自身によるオルガン編曲コラール。 S.ラフマニノフ:前奏曲「鐘」◀フィギュアスケート浅田真央選手が前々回のオリンピックで使用した曲をオルガンで! L.ヴィエルヌ: カテドラル(大聖堂) ◀アークホールがパリのノートルダム大聖堂にワープしてしまいそうな作品。 M.デュリュフレ:「来たれ、創り主なる聖霊」のコラール変奏◀聖霊が舞い降りるかの様な圧巻のクライマックス! 6月14日(土)には今年度第一回目のオルガン特別講座が開催されました。 今回は大ホールの舞台上に客席を移し、ミューズの大オルガンを目の前にし て行われました。講師の松居直美先生による「オルガンの歴史や音の出るし くみ」は大学の講義に匹敵する程に詳しく、世界史や宗教学もふまえた多角 的なアプローチからオルガンとの関わりを学びました。後半は客席に移動し て実際にパイプの種類や音色の組み合わせなどを聴いて頂き、解説を受けな がら一つ一つ音色を確認するように進められました。今まで以上に講師陣と の距離も近く、充実の内容だったのではないでしょうか!いらしたお客様も 非常に熱心に耳を傾けて下さり、質問コーナーもまた大盛り上がりとなりました。 第 2 回目は10月18日です。皆様お聞き逃しなく! ほか 先々月に一週間ほどマドレーヌ寺院で演奏するためパリに行ってきました。パリの5月は爽 快で、パリジャン達がテラスで気持ち良さそうにワインを傾ける姿を多く見かけます。リハ ーサルの合間に念願の、今年1月に完成したばかりのコンサートホール、その名も 『 Philharmonie de Paris パ リ の フ ィ ル ハ ー モ ニ ー 』 へと足を運びました。 ヨーロッパではオルガンは主に教会にあり、パリにはサル・プレイエル、シャンゼリゼ劇場 など格調高いホールが沢山ありますが、大オルガンを備えたホールは実はゼロに等しいので す。ようやくパリにオルガンを備えた大規模なホールが建設されるということで、世界中から注目を集めていました。19区は パリ国立音楽院のお隣、ラ・ビエット公園内に、パリ管弦楽団の本拠地として、2400人収容、総工費3億 8,600 万ユーロと 8年の年月を掛けて建設されました。私がパリへ渡った年から建築が始まり、『どうやらパリに大オルガン付きのホールができ るらしい』と聞いていたので、完成した姿をみることができて本当に嬉しく、感慨深い思いでした。 フランスの建築家ジャン・ヌーベル氏によるデザインは斬新そのも ので宇宙船のような近未来の装い、それでいて不思議と周囲の外観 との調和もとれた流石の外観でした(写真左)。ホールの内部も圧 巻で、舞台を囲んで360度ぐるりと渦を巻いた様な設計のもと、 サントリーホールなども手がけた日本が誇る永田音響による素晴 らしい響きが実現されています(写真右)。その日の演目はパーヴ ォ・ヤーヴィ指揮パリ管弦楽団によるドビュッシーの「海」、ムゾ ルグスキーの「展覧会の絵」(ラヴェル編)!オルガンは聴けませ んでしたが、本家本元フランスのエスプリが薫りたつような最高の 演奏会でした。 そして本題のオルガンはというと? ☆オル ガン INFO 見逃してしまう方もいるのでは、と思うほど異質 なデザイン。上右の写真で舞台の後ろ側にうっすらと何本かのパイプが立っている のが見えるでしょうか?実はまだオルガンの本格的なお披露目はされておらず、今 年の10月にその全貌が明らかになるようですが、これがまたじつに斬新なコンセ プトなのです。世界のあらゆるホールのオルガンを弾き尽くしているフランス屈指 のオルガニスト、オリヴィエ・ラトリー氏、ティエリー・エスケシュ氏らが中心と なり、オルガン製作者と議論を重ねて、パリにしか存在しない新しいオルガンを考 案しました。4段鍵盤、約7000本のパイプを、会場の壁の内部ではなく外側に 設置し、見えているパイプ以外は壁で覆うことで『オルガンの存在を隠してしまう』というもの。4 段全てをスウェル・ペダル (音量を調節するペダル)を使って操る事でオーケストラの繊細な音量との掛け合いに対応できる、まさに現代版『交響的なオ ルガン』を作り上げたのです。そして、そのオルガンを作った会社はなんと、所沢ミューズのオルガンを作ったオーストリアの リーガー社(整音師はフランス人)です!10月末のお披露目コンサートでは、オルガン・ソロはもちろん、サン=サーンスの 「交響曲第3番オルガン付き」も演奏されます。世界のコンサートホールに目がない方、もし偶然その時期にパリに行かれる方、 ぜひこの 超 21世紀型コンサートホール・オルガンの響きを聴きにいかれてはいかがですか? 7月29日(水)には所沢市の小中学生48組限定の『夏 休 み ! ミ ュ ー ズ と こ と こ 探 検 ツ ア ー 』が開催されます!毎年人気の企画ですので、お申し込みはお早め に!そして12月23日にはドイツから素晴らしいオルガニストヘルムート・ドイチュ氏をお招きして、クリスマス・オルガン コンサートを開催します!ぜひ今年のクリスマスはオルガンの荘厳な響きに包まれてみませんか♪
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