5 1年 文字の式 暗号文を解読しよう 1 教材のねらい ・文字の式を使った暗号文を作ることを通して、文字式の四則計算への意欲の育成と、数式活用 能力の向上をはかる。 2 魅力的な課題・扱い 課題 下の表に、文字の項の係数と数の項の係数を当てはめて文字を決めます。 例) ① 2x+1→ち ; −4x →る ;−6a+2→ん ② 6(x−1)−3(x−1)+1=3x−2→ ぞ;( ③ −6 ん 1 3 1 x− 2 − 4 3 x+ 3 2 )を使ったら、『゛』をつける。 =−x+1→ぴ ;分数を使ったら、『゜』をつける。 −5 −4 −3 −2 −1 +1 +2 +3 +4 +5 わ ら り る れ ろ や ま み む め も は ひ ふ へ ほ な に ぬ ね の さ し す せ そ か き く け こ あ い う え お を ゆ よ た ち つ て と 文字の項 数の項 +2 +1 0 −1 −2 1.上の図をもとにして、①∼④の言葉をつないで暗号文を解こう。 ①4(x+1)ー(x+3) ···「じ」 ③ −2x−1−4x+3 ···「ん」 ②5x+6−8x−4 3 ④ 5 x+ 5 4 − 8 5 ···「や」 x− 5 4 ···「ぷ」 答え・・・「ジャンプ」になります。 2.上の図を参考にして、自分の暗号を作り解きあおう。 ・この課題では、暗号文にあった計算問題を生徒自身が作ることによって、意欲的に取り組みなが ら数式処理能力を高めることができる。 ・お互いの作った問題を交換し解きあうことによって、授業のなかで生徒同士の関わり合いを深める ことが出来る。 3 数学的な価値・意義 ( 1 ) 生徒は自然に、計算結果を吟味するようになる。 文字の項の係数と数の項の係数の組み合わせを利用して言葉を当てはめていくので、生徒は計 算練習だけでなく計算結果の吟味も行おうとする。 ( 2 ) 生徒一人一人が自分なりの暗号(問題)を作ることができる。 生徒の習熟度に合わせて、暗号の字数や( )の有無・分数の導入などの難易度を設定する ことができ、生徒一人一人が自分なりの暗号を作ることができる。 ( 3 ) 学習活動のなかで生徒同士のかかわり合いを生むことができる。 生徒が作った問題を解き合うことによって、正誤の確認や互いの教え合いなど、生徒同士が関 わりあう場面を設定することができる。 4 指導計画 ・数量を文字で表すこと・・・2時間 ・文 字 の 式 を 書 く と き の 約 束 ・・・3時間 ・式 ・・・2時間 ・式 の 計 ・・・5時間(本時 5/5 ) ・・・2時間 ・ま と め の 値 ・関係を表す式 算 ・・・1時間 5 本時案 ア 主眼 ・文字式の計算を用いて暗号文の作成や解読を行う活動によって、数式の処理能力を高めるとと もに、意欲的に文字式を計算しようとする態度を育てる。 ・自作の問題を解きあう活動のなかで、互いの良さを認めあったり、教え合ったりすることがで きる。 イ 授業の過程 学 習 活 動 ①暗号文の仕組みを聞く 指 導 上 の 留 意 点 ・具体例を参考にし、図示しながら、暗号文の仕組みを 説明する ②文字の式を計算して、暗号文を 解読する ・計算にとまどう生徒に対しては教師が個別指導したり 友達に聞きにいかせたりするなどで対応する ・早くできた生徒に対しては、自分の暗号を作り始める ように指示する ③暗号文の確認をする ・計算が早くできた生徒に対しては、計算結果と暗号文 の確認をさせる ④自分の暗号文を作る ・暗号文を作らせる前に再度、暗号文を作る手順を確認 する ・暗号文がうまく作れない生徒に対しては、暗号の文字 数を少なくしたり、問題の式の例を示して簡単なもの にさせるなどの助言を与える ・早くできた生徒に対しては()を使った式や分数を導 入させるなどして難易度を上げさせる ⑤友達同士で交換し合って、暗号 文を解き合う ・早くできた者同士で交換しあうようにして自由な雰囲 気で学習を進められるように配慮する ・わからないところを教え合うことや問題の作り方など で友達の良さを見つけるようにあらかじめ指導してお く ・とまどっている生徒に対しては教師が個別に指導する ⑥まとめを聞く ・生徒の活動の様子に対する評価や授業のねらいなど を説明する 6 考察 生徒の感想には「難しかったけれど、楽しかった。」「式をつくるのに苦労したけれど、結構 楽しかった。」という意見が多かった。教材にゲ−ム的な要素が含まれていることや、暗号完成 のためには自分が問題をつくらなければ始まらないことなどから、苦労しながらも意欲的に取り 組んだ。また、問題を解きあう過程で、互いに文字の式の解き方を説明しあったりアドバイスし たりする場面が多く見られた。 ただ、学習意欲があっても計算能力がともなわない生徒や難しい問題をわざと避ける生徒(濁 音『が,ぎ,ぐ・・など』や半濁音『ぱ、ぴ,ぷ・・・など』を使わない)も見られたので、指 導の工夫や励ましをもっと細やかにすべきだったように思う。 また、計算の答えを五十音表へ当てはめるやり方は座標の考え方が必要なため抵抗のある生徒 がおり、指導案での学習活動①②にもっと細やかな配慮が必要だったように思う。 分数の式をつくるコツを理解が早い生徒に考えさせることも意欲を高めることにつながると考 えている。 (生徒の感想) 学習を終えての生徒の感想から次のようなことがわかった。 ・生徒の意欲的な学習を促すうえで、生徒自らが問題をつくる学習活動は有効であること。 ・授業のなかで生徒同士の関わり合いをうむ学習活動によって、生徒はのびのびと学習を進める ことができること。
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