旅客自動車運送事業に係る安全体制の整備を求める意見書 本年1月15日午前1時55分頃、長野県北佐久郡軽井沢町の入山 峠 付 近 で 、定 員 4 5 人 の 大 型 観 光 バ ス が ガ ー ド レ ー ル を な ぎ 倒 し 、道 路 わ き に 転 落 す る 事 故 が 起 き た 。多 く の 方 が 死 傷 さ れ 、心 か ら 哀 悼 の 意 を 表するものである。 この事故の背景には、国の規制緩和でバス事業への算入が免許制か ら 許 可 制 に な る な ど 、業 界 の 飽 和 、格 安 バ ス 需 要 の 急 増 に よ る 運 転 手 不 足 、可 処 分 所 得 の 低 い 層 を 中 心 と し て 、格 安 バ ス に 対 す る ニ ー ズ の 存 在 と 運 賃 値 下 げ 競 争 、ド ラ イ バ ー に 対 す る 教 育・経 験 の 不 足 、長 距 離 を 一 人 で 運 転 す る こ と に 対 す る 過 労 な ど 、労 働 者 の 労 働 環 境 、「発 注 側 」た る 企 画 会 社 が 「下 請 け 」た る 運 行 会 社 に 安 価 に 委 託 す る 構 図 、 バ ス 車 体 の 安全対策や構造上の問題など、様々な要因があると思われる。 よ っ て 、本 議 会 は 旅 客 自 動 車 運 送 事 業 に つ い て 、そ の 輸 送 の 安 全 性 を 確 保 し 、利 用 者・乗 務 員 の 安 全 を 守 る た め 、下 記 の 事 項 に つ い て 強 く 要 請する。 記 1 . バス事業への参入時・更新時の審査をより慎重かつ厳格に行うこと。 2 . 運転手不足及び運転手高齢化問題について、必要な対策を講ずること。 3 . 各事業所に対し、コンプライアンス徹底の指導を行うこと。 4 . 各自動車メーカーに対し、バス車体の安全性向上を依頼すること。 5 . 現行昼間500㎞、夜間400㎞となっている一人での運転上限の見直し を検討すること。 6 . 労働者の過労について、その実態を調査し、所用の対策を講ずること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年3月22日 鳥取県東伯郡琴浦町議会 【提出先】 衆議院議長 大島 理森 殿 参議院議長 山崎 正昭 殿 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿 国土交通大臣 石井 啓一 殿 精神障がい者の交通運賃割引制度の適用を求める意見書 厚生労働省は、平成16年の精神保健福祉の改革ビジョンにおい て 「入 院 医 療 か ら 地 域 生 活 中 心 へ 」と い う 基 本 方 針 を 提 示 し て き た 。 こ の方針により、これまで入院治療が中心であった精神障がい者の行動 範囲や生活領域は拡大することとなり、公共交通機関の利用が不可欠 となってきた。 しかしながら精神障がい者の所得水準はきわめて低く、この交通費 負担は精神障がい者本人の社会参加の機会を制限することとなり、さ らに生活を支援している家族にも負担がかかっている。 一 方 、障 が い 者 の 交 通 運 賃 割 引 に つ い て 、身 体 障 が い 者 の 外 部 障 が い 者 は 昭 和 2 5 年 、内 部 障 が い 者 は 平 成 2 年 、知 的 障 が い 者 は 平 成 3 年 よ り 実 施 さ れ て い る が 、精 神 障 が い 者 の 場 合 は 、そ の 公 共 交 通 機 関 利 用 の ニーズは他障害と何ら変わるものではないにもかかわらず、未だJR 等の交通運賃割引制度から除外されたままになっている。 さらに、平成18年10月より精神障害者保健福祉手帳にも原則と して他障害と同様に写真を添付することとなったため本人確認も可能 になり、現在では精神障がい者を交通運賃割引制度の対象から除外す る根拠もなくなったと思われる。 平成26年2月に日本は国連障害者権利条約の締結国となり、平成 28年4月には障害者差別解消法が施行される。 国 連 障 害 者 権 利 条 約 第 4 条 は 「障 害 者 に 対 す る 差 別 と な る 既 存 の 法 律 、規 則 、慣 習 及 び 慣 行 を 修 正 し 、又 は 廃 止 す る た め の す べ て の 適 当 な 措 置 を と る こ と 」「 こ の 条 約 と 両 立 し な い い か な る 行 為 又 は 慣 行 も 差 し 控 え る こ と 」第 2 0 条 で は 「 障 害 者 自 身 が 自 ら 選 択 す る 方 法 で 自 ら 選 択 す る 時 に 、か つ 、負 担 し や す い 費 用 で 移 動 す る こ と を 容 易 に す る こ と 」 を 明 文 化 し 、 障 害 者 差 別 解 消 法 第 1 条 も 「こ の 法 律 は 、 障 害 者 基 本 法 の 基 本 的 な 理 念 に の っ と り 、す べ て の 障 害 者 が 、障 害 者 で な い 者 と 等 し く 、 基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳に ふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由 とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業 者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めるこ と に よ り 、障 害 を 理 由 と す る 差 別 の 解 消 を 推 進 し 、も っ て す べ て の 国 民 が 、障 害 の 有 無 に よ っ て 分 け 隔 て ら れ る こ と な く 、相 互 に 人 格 と 個 性 を 尊 重 し あ い な が ら 共 生 す る 社 会 の 実 現 に 資 す る こ と を 目 的 と す る 」と 定めている。 こ の よ う に 、国 連 障 害 者 権 利 条 約 の 締 結 、障 害 者 差 別 解 消 法 も 施 行 さ れ る 中 で 、精 神 障 が い 者 を 福 祉 制 度 の 対 象 か ら 除 外 す る こ と は 、日 本 国 憲 法 、障 害 者 基 本 法 、障 害 者 差 別 解 消 法 の 理 念・条 文 に 照 ら し て も 不 合 理であり、このような状態が今後も続くようであれば精神障がい者の 社会参加と平等への切実な願いは潰えてしまうのは明白である。 よって、本議会は下記の事項について強く要請する。 記 1.精神障がい者に、他障害同等の交通運賃割引制度を適用するこ と。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年3月22日 鳥取県東伯郡琴浦町議会 【提出先】 衆議院議長 大島 理森 殿 参議院議長 山崎 正昭 殿 国土交通大臣 石井 啓一 殿 厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿 総務大臣 高市 早苗 殿 地域からの経済好循環の実現に向け、最低賃金の 改善と中小企業支援策の拡充を求める意見書 労 働 者 の 4 割 が 非 正 規 雇 用 、4 人 に 1 人 が 年 収 2 0 0 万 円 以 下 の ワ ー キ ン グ・プ ア と な り 、平 均 賃 金 は 2 0 0 0 年 に 比 べ 1 5 % も 目 減 り し て い る 。世 界 に も 例 の な い 賃 金 の 下 落 が 、消 費 低 迷 、生 産 縮 小 、雇 用 破 壊 と 貧 困 の 拡 大 を 招 い て お り 、 政 府 が 「賃 上 げ に よ る 経 済 の 好 循 環 」を 目 指すことは理論的には正しい。 2 0 1 5 年 の 地 域 別 最 低 賃 金 は 、最 高 の 東 京 で 時 給 9 0 7 円 、鳥 取 県 は最も低い693円に過ぎず、フルタイムで働いても年収120万~ 1 5 0 万 円 で は 、人 間 ら し い ま と も な 暮 ら し は で き な い 。ま た 地 域 間 格 差 も 大 き く 、本 県 と 東 京 で は 、同 じ 仕 事 を し て も 時 給 で 2 1 4 円 も 格 差 があるため、若い労働者の県外流出を招いてしまっている。 安 倍 首 相 は 、 昨 年 1 1 月 の 経 済 財 政 諮 問 会 議 で 「最 低 賃 金 を 毎 年 3 % 程 度 引 き 上 げ て 、 加 重 平 均 で 1 ,0 0 0 円 を め ざ す 」と 述 べ 、「 G D P に ふ さ わ し い 最 低 賃 金 に す る 」と し て 、現 在 の 最 低 賃 金 の 水 準 の 低 さ を 認 め た 。し か し 、2 0 1 0 年 の 雇 用 戦 略 対 話 で は「 で き る 限 り 早 期 に 全 国 最 低 8 0 0 円 を 確 保 し 、景 気 状 況 に 配 慮 し つ つ 、2 0 2 0 年 ま で に 全 国 平 均 1 ,0 0 0 円 を 目 指 す 」と し た「 政 労 使 合 意 」が 成 立 し て い る 。 「毎 年 3 % 程 度 」で は 、雇 用 戦 略 対 話 で の 合 意 を 先 延 ば し し 、格 差 と 貧 困 の 解消を遅らせるだけである。 世界各国の制度と比較すると、日本の最低賃金は低水準と地域格差 が 特 異 点 で あ り 、先 進 諸 国 の グ ロ ー バ ル・ス タ ン ダ ー ド 近 づ け る た め に は 、最 低 賃 金 の 地 域 間 格 差 の 是 正・全 国 一 律 へ の 改 正 と 金 額 の 大 幅 な 引 き上げが必要である。 “ 最 低 賃 金 1 ,0 0 0 円 以 上 ” は 、中 小 企 業 に は 支 払 い が 困 難 と の 意 見 も あ る が 、欧 州 の 先 進 諸 国 の 最 低 賃 金 は 、購 買 力 平 価 換 算 で 時 間 額 1 ,0 0 0 円 以 上 、 月 額 約 2 0 万 円 以 上 が 普 通 で あ る 。 高い水準の最低賃金が労働者の生活と労働力の質、消費購買力を確保 し つ つ 、地 域 経 済 と 中 小 企 業 を 支 え る 経 済 を 成 り 立 た せ て い る 。そ の た めに、政府が率先して大規模な中小企業支援策を講じて最低賃金引き 上 げ を 支 え て い る 。日 本 で も 、中 小 企 業 へ の 支 援 策 を 拡 充 し な が ら 、最 低賃金を 引き上 げ る必要が ある。生 活できる 水準の 最 低賃金を 確立し 、 そ れ を 基 軸 と し て 生 活 保 護 基 準 、年 金 、農 民 の 自 家 労 賃 、下 請 け 単 価 、 家 内 工 賃 、税 金 の 課 税 最 低 限 度 額 等 を 整 備 す れ ば 、誰 も が 安 心 し て 暮 ら せ、不況に強い社会をつくることができる。 よって、本議会は下記の事項について強く要請する。 記 1.政府は、ワーキング・プアをなくすため、最低賃金を引き上げ ること。 2.政府は、全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小さ せるための施策を進めること。 3.政府は、中小企業への支援策を拡充すること。中小企業負担を 軽減するための直接支援として、中小企業とそこで働く労働者の 社会保険料負担や税の減免制度を実現すること。 4.政府は、中小企業に対する代金の買い叩きや支払い遅延等をな く す た め 、 中小企業憲章をふまえて、中小企業基本法、下請二法、独占禁 止法を改正すること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年3月22日 鳥取県東伯郡琴浦町議会 【提出先】 衆議院議長 大島 理森 殿 参議院議長 山崎 正昭 殿 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿 厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿
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