第50号 3月24日 最終号 刮目相待 更なる成長へ

平成 27 年度 第 3 学期終業式あいさつ
本日をもって 3 学期が終了し、平成 27 年度に行う授業が終わります。ここにいる皆さんは、各学科
の単位を修得し、ホームルーム活動や学校行事、生徒会活動などの特別活動の成果が認められたので、
それぞれ 3 年生、2 年生へと進級することになります。18 日に高校入試の合格発表があり、皆さんの後
輩がまもなく入学してきます。皆さんは先輩として新入生を温かく迎え、よりよい松江農林高校の創造
を図ってほしいと思います。
終業式にあたりこの 1 年の総括として少し話をします。先般学校評議員会を開きました。学校評議員
とは、本校の教育活動に意見をいただいたり、評価をしていただく組織です。5 名の委員で編成されて
いますが当日は 1 名欠席で 4 名の委員の皆さんから意見を聞きました。そこでの評価は、概ね良いもの
で、皆さんが頑張っている姿や学校での取り組みを認めていただいています。この会議の中で、皆さん
や保護者の方々の本校に対する満足度が 90%以上と高い数値であることが話題になりました。安心して
学校生活を送ることができ、自分が成長できたと感じ、良い学校だと感じる生徒が多いということです
が、私はこの 90%を超える数値は、少し高すぎるのではないかと思っています。確かに満足度が高いと
いうことは学校を経営する者にとっては嬉しいのですが、もしその評価が、1 年間の高校生活が、
「楽し
かったと」いうことだけの満足であるとすれば、それで良いのだろうかということです。
私たちの仕事は、皆さんの次の進路に向けて、そして将来の生活に向けて必要な力を付けて送り出す
ことです。最終的には人格の完成を目指すことです。そのためには、高校時代に苦労をしたり、挫折を
味わったり、できそうにないことも泣きながらでも挑戦したりすることがどうしても必要だと思ってい
ます。このような活動や取り組みをとおして結果的に楽しかった、自分の夢を叶えてくれる学校で満足
だと感じてくればいいのですが、たいした苦労もしないで楽しかっただけで、最も成長する時期を終わ
るのは、将来の生き方に大きく影響するものだと私は思っています。
松江農林高校の卒業生は、まじめで素直でとてもいいという評判をよく耳にします。その反面、弱い
ということも聞きます。困難なことに立ち向かう、課題が発生したら逃げずにぶつかっていく・・・そこ
のところが弱いという言葉で表現されるのでしょう。人間は弱い生き物であるとよく言われます。しか
しその弱さは克服することもできます。そのために、部活動をやり、友達と協力しながら様々な行事を
作り上げ、資格取得に挑戦し失敗するなど、自分の意思や思い、生き方とは違う経験をすることも大事
なのだろうと思っています。
例えば、課題研究や学校行事の企画書を考えて先生に出し、見ておくから放課後来てくれる?といわ
れ、放課後再びその先生を訪ねたとします。A 先生は、「ちょっと手直ししてほしいところがあったか
ら直しといたんで、そこを直しといて」といわれたので、直してきたら「これでよし」としました。こ
れに対し B 先生は「こんなんじゃ何をしたいか分からない、もいう一度やり直しなさい」といわれ、ま
た修正して持って行ったら突き返されて、これを何度か繰り返し、ようやく「立派な企画書ができたじ
ゃないか」としました。皆さんにとっては、A 先生が良い先生で、B 先生はめんどくさい先生になるの
かもしれませんが、皆さんが成長するのは明らかに B 先生です。このような、挫折や思い通りにいかな
い経験を克服しながら達成感を味わい、学校の満足度が高いのであればいいのですが、自分の思い通り
にいって、困難なことは誰かが排除してくれて、何の問題もなく生活できたから満足した、というのは
ちょっと違うかなということです。
高校時代は辛くて、先生も私に対してきつかったけど、数年後そのことが社会にでて生きたと感じて
くれたら、その方が私は嬉しいことだと思います。これが鍛えるということです。満足か不満足かは自
分が決めることですし、その基準は人によって違います。しかし、やりたいことだけをやって満足なの
と、困難さを克服しながら満足なのとでは、人間の成長に大きな差が出ると思います。好きなことはど
んどんやってください。ただ、自分にはちょっとと思ったことでもくさらず挑戦し続けること、それが
皆さんの成長につながります。
出典は三国志なのですが、
「男子三日会わざれば刮目して見よ。
」とか、「士別れて三日なれば刮目し
そうたい
かつもくそうたい
て相待すべし。」 、四字熟語で「刮目相待」といわれる言葉があります。日々鍛錬する人がいれば、そ
の人は3日も経つと、技術・知識・人間性などが向上して見違える程成長しているものだと言う意味で
す。刮目は目をこすってよく見るということで、三日も会わなかったら今度会うときはびっくりするく
らい成長していることを表したものです。
明日から春休みです。部活動をはじめ様々な活動をこの期間に行う人が多いと思います。それは、新
学期に向けた準備であり、飛躍のための春休みです。この春休みを有意義に過ごして、新学期刮目して
再会できるよう期待しています。
皆さんがこれまでの松江農林高校のよき伝統を継承し、まじめで素朴だけど、芯が強い生徒として成
長し、校訓である質実剛健のように新学期が迎えることができるようこの春休みを過ごしてください。