1月の病害虫発生予想と防除のポイント

1月の病害虫発生予想と防除のポイント
鹿児島県経済連・肥料農薬課
鹿児島県病害虫防除所から発表された病害虫発生予報第 10 号(1 月)を基に,防除のポイントを下
記に取りまとめましたので,防除指導の参考にしてください。
Ⅰ.野菜
作物・病害虫
キュウリ
べ と 病
発生量は平年比較,発生予想の下段(根拠)の(+)は多発要因,
(-)は少発要因を示す
発 生 予 想
やや少
12 月の発生:少
発生ほ場率:低い(-)
12 月の気象予報
降水量:多い(+)
うどんこ病
やや少
12 月の発生:やや少
発生ほ場率:やや低い
(-)
褐 斑 病
並
12 月の発生:並
発生ほ場率:並
ピーマン
斑 点 病
やや多
12 月の発生:並
発生ほ場率:並
進展製病斑あり(+)
多発生ほ場あり(+)
防 除 の ポ イ ン ト
(べ と 病)
①多発すると防除は困難になるので,初期防除を徹底する。
②多湿条件で発生しやすいので,ハウス内の通風換気を十分に
行う。
③肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので,適正な肥培管
理に努める。
④発病葉は早めに除去し,ハウス外に持ち出して処分する。
⑤既発生圃場では,リドミル MZ,フェスティバル M,ランマン,
ブリザードなどでローテーション防除し,未発生圃場ではダ
コニール,ベフドーなどで予防を行う。
(うどんこ病)
①多発すると防除は困難になるので,初期防除に努める。
②発病葉は早めに除去し,ハウス外に持ち出して処分する。
②薬剤は下位葉や葉裏によくかかるよう散布する。
③防除はアミスターオプティ,カスミンボルドー,ジーファイ
ン,トリフミン,モレスタン,ラリーなど作用性の異なる薬剤
によりローテーション防除する
(褐 斑 病)
①多発すると防除は困難になるので,初期防除に努める。
②多湿条件で発生しやすいので,ハウス内の通風換気を十分に
行う。
③肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので,適正な肥培管
理に努める。特に,茎葉が繁茂する生育中~後期に多発する
傾向がある。
④発病葉は早めに除去し,ハウス外に持ち出して処分する。
⑤アミスター,カンタス,ゲッター,セイビアー,フルピカ,
ベルクートなどでローテーション防除する。
(防除薬剤は「24 農薬使用の手引き(野菜編)
」
:P.62~65 参照)
(斑点病)
①多発すると防除は困難になるので,初期防除に努める。
②多湿条件で発生するので,ハウス内の通風換気を図る。
③発病葉は持ち出して処分し,菌密度の低下を図る。
④成り疲れなどによる草勢低下により発生しやすいので,適正
野菜(続き)
作物・病害虫
発 生 予 想
ピーマン
斑 点 病
イチゴ
うどんこ病
な肥培管理に努める。
⑤防除はアミスターオプティ,カスミンボルドー,ダコニール,
ドーシャス F,ラリーなど作用性の異なる薬剤によりローテ
ーション防除する
(防除薬剤は「24 農薬使用の手引き(野菜編)
」
:P.156~158
参照)
やや少
12 月の発生:やや少
発生ほ場率:やや低い
(-)
ハダニ類
防 除 の ポ イ ン ト
並
11 月の発生:やや多
発生ほ場率:高い(+)
発生程度:低い(-)
施設野菜共通
アザミウマ類
やや多
(キュウリ,ピー
12 月の発生:やや多
マン,イチゴ)
キュウリ:並
ピーマン:やや多
イチゴ:やや多
①本病は初め新葉の裏面から発生することが多いので,早期発
見に努め,初期防除を徹底する。
②発病葉は伝染源になるので摘葉して,施設外に持ち出して処
分する。
③発病を認めたら,治療効果のある薬剤を7日おきに散布する。
④窒素肥料の過多や葉が混み合うと多発しやすくなるので,適
切な栽培管理を行う。
⑤薬剤は葉裏に十分かかるように散布する。防除効果を高める
ためには展着剤を活用する。
⑥薬剤防除はストロビー,ダイマジン,パンチョTF,フルピカ,
モレスタン,カリグリーンなど作用性の異なる薬剤でローテー
ション防除するが,薬剤感受性の低下がみられるところもある
ので,散布後の効果を確認する。
(ハダニ類)
①葉裏をよく観察して早期発見に努める。
②下葉や寄生葉は摘葉し,ほ場外に持ち出し処分する。
③薬剤の防除効果を高めるため,下葉かきを行ってから葉裏に
よくかかるように散布する。
④カブリダニ等の天敵を用いる場合は,天敵への影響の少ない
薬剤を考慮した体系防除を行う。
⑤薬剤によってはミツバチに影響があるので,薬剤選定に注意
する(農薬使用の手引き参照)
(防除薬剤は「24 農薬使用の手引き(野菜編)
」
:P.169~174
参照)
(アザミウマ類)
①きゅうり,ピーマンではミナミキイロアザミウマ,イチゴで
はヒラズハナアザミウマが主な寄生種である。
②キュウリではキュウリ黄化えそ病の病原ウイルスを媒介する
ので,生育初期からの防除が必要である。
③入口等のハウス開口部から侵入することが多いので,青色粘
着トラップを設置し,早期発見・初期防除に努める。
④本中はピーマン,イチゴでは花や新芽の中,キュウリでは葉裏
など薬剤のかかりにくい場所に生息するので,薬剤散布は丁
野菜(続き)
作物・病害虫
発 生 予 想
施設野菜共通
アザミウマ類
(キュウリ,ピー
マン,イチゴ)
コナジラミ類
やや少
(キュウリ,メロ
12 月の発生:やや少
ン,トマト,ミニ
キュウリ:やや少
トマト,ピーマ
ピーマン:やや少
ン,イチゴ,施設
トマト:やや少
サヤインゲン)
イチゴ:やや少
サヤインゲン:並
エンドウ類
ハモグリバエ 少
12 月の発生:少
類
(ナモグリバエ
発生ほ場率:低い(-)
が発生の主体)
1月の気象予報
気温:低い(-)
降水量:多い(-)
アザミウマ類
並
(ハナアザミウ
12 月の発生:並
マが発生の主体) 発生ほ場率:並
1月の気象予報
気温:低い(-)
降水量:多い(-)
防 除 の ポ イ ン ト
寧におこなう。
⑤ピーマンのミナミキイロアザミウマは薬剤感受性が低下し
ているので,薬剤の選定に注意する。
⑥スワルスキーカブリダニなどの天敵を放飼しているほ場で
は,天敵に影響のない薬剤を選択する。
⑦防除薬剤はアルバリン/スタークル,アドマイヤー,ベストガ
ード,マラバッサ,アファーム,スピノエースなどをローテ
ーション使用する。
(コナジラミ類)
①タバココナジラミは,トマト類に黄化葉巻病,ウリ類に退緑
黄化病の病原ウイルスを媒介する。
②サヤインゲンでは莢の白化症,トマト,ミニトマトでは着色
異常果の原因になるので,生育初期から防除の徹底が必要で
ある。
③施設の開口部には必ず防虫網を設置する(サイド 0.8mm 目合
い以下,谷部1mm 目合い以下)
。
④黄色粘着トラップを設置し,早期発見と初期防除に努める。
⑤ウイルス病の発病株は伝染源になるので,疑わしい株も含め
て見つけしだい除去し,ハウス外に持ち出して埋設処分ある
いはビニール袋に入れて処分する。
⑥薬剤抵抗性の強いバイオタイプ Q がナス,ピーマン,トマト,
ミニトマト,キュウリ,サヤインゲン等では発生している。
これにはアファーム,スタークル/アルバリン,ベストガード,
サンマイト,コロマイト,スピノエース,モスピラン等の効
果が高いので,登録を確認して使用する。
(ハモグリバエ類)
①多発してからの防除は困難なので,発生初期からの防除に努
める。
②多発ほ場では5~7日おきに連続散布し,徹底した防除を行
う。
④薬剤のはパダンSG水溶剤,ハチハチフロアブル,合成ピレ
スロイド剤などでローテーション防除する。
(アザミウマ類)
①本虫は花弁の奥や若莢など薬剤のかかりにくい場所に生息す
るので,薬剤散布は丁寧に行う。
②同一系統薬剤の連用を避け,作用性の異なる薬剤とのローテ
ーション散布を行う。
(防除薬剤は「24 農薬使用の手引き(野菜編)
」
: P.249~250
(サヤエンドウ)
,p256~257(実エンドウ)参照
Ⅱ.花き(キク)
病 害 虫
発生量は平年比較,発生予想の下段(根拠)の(+)は多発要因,
(-)は少発要因を示す
発 生 予 想
黒斑病・褐斑 奄美(露地)
:多
奄美
病
12 月の発生:多
1月の気象予報
降水量:多い(+)
アザミウマ類
県本土(施設)
:
やや多
奄美(露地)
:
やや多
県本土
12 月の発生:多,
発生ほ場率:高い(+)
1 月の気象予報
気温:低い(-)
奄 美
12 月の発生:やや多,
発生ほ場率:高い(+)
1月の気象予報
気温:低い(-)
降水量:多い(-)
防 除 の ポ イ ン ト
(黒斑病・褐斑病)
①通風,採光と排水対策に努め,かん水は土が跳ね上がら
ないようにする。
②発病葉は伝染源となるので早めに摘み取り,適正に処分
する。
③肥料切れや窒素過多は発病を助長する。
④病原菌は被害部で越年するので,母株の予防散布を行う。
(アザミウマ類)
①キクえそ病(TSWV)とキク茎えそ病(CSNV)を媒介する
ので,圃場への侵入防止と初期防除に努める。
②母株や苗の導入に際しては,アザミウマ類の寄生やウイ
ルスの感染に細心の注意を払う。
③青色粘着シートを設置し,発生消長と発生種を把握して,
防除の目安にする。
④種によって薬剤の効果が異なるので注意する。
⑤施設では,開口部に目合い1mm 以下の防虫網を張って侵
入を防ぐ。
⑥同一系統薬剤の連用を避け,作用性の異なる薬剤のロー
テーション散布を行う。
(防除薬剤は「24 農薬使用の手引き(普通作物・花き編)
P.121~125(キク)参照)