溶血連鎖球菌A,B,C,G群 の薬剤感受性 ことにA群 の段 階的多剤耐性化

98
感染症学雑誌
溶 血 連 鎖 球 菌A,B,C,G群
こ とにA群
第51巻
第3号
の薬 剤感 受 性
の段 階 的 多 剤 耐 性 化 と菌 型
に よ る耐 性 化 パ ター ンの 相 違 に つ い て
狸紅 熱 研 究 会(会 長 ・
・中 溝 保 三)
神 奈 川 県 衛 生 研 究 所 ・WHO連
宮 本
泰
浅井 良夫
Key words:
1966-71年
滝沢金次郎
実 方
剛
つ いて は 既 に報 告 を 行 つ た.そ の一 部 患 者 株A群
634株 の6抗 生 剤 に対 す るMIC値
られ た がMacrolide系
の 流行 の最 盛 期 に一 致 してTC耐
性の
分 布 度 数 は本
耐 性化 が認 め
致 した.そ
か し71年 を 境 に
して 同年 よ り72年 にか け て,Fig.1に
示 す 如 く,
Macrolide系 抗 生 剤 に対 す る耐 性 化 が 急 速 に 進 展
した.既
1964年4型
急 速 な 出現 が 始 まつ た の と同 じ く,今 回 のMacrolide耐 性 の 出現 は12型 の 急 速 な進 出 の時 点 に 一
抗生 剤 のJMとEMは
な お感 受 性 を 維 持 して いた.し
松島 章喜
中 塚
繁
HemolyticStreptococcus,Acquisitionof Multiple Antibiotic Resistance
まで の 溶 血 連鎖 球 菌 の薬 剤 感 受 性 に
誌1)に も報 じた 如 く,TCとCPは
鎖 球 菌 国 内 リ フ ァ レ ン ス ・セ ン タ ー
して これ と平 行 してTCお
性 化 率 の急 速 な上 昇 も再 び 開始 され た.こ の新 ら
しい転 換 の時 期 を と らえ て,国 内 の連 鎖 球 菌 の薬
剤 耐性 の傾 向を 集 計 し,注 目す べ き2,3の
重要
な新 知 見 を得 た ので 報 告 す る.
材料 と方 法
報1)の 流 行菌 型 の ヒス トグ ラ ムが 示 す
使 用 菌 株 と培 地:Table1の26施
Fig. 1 Increase of percentage resistance to antibiotics of hemolytic streptococci in Japan from
1966 to 1974.
よびCP耐
海 道 よ り南 は兵 庫,島
学,衛
研,小
設 す なわ ち北
根 に い た る 間 の 病 院,大
学 校,保
育 園 な どで 収 集 され,ま
た は 当所 の調 査 対 象 とな つ た患者 株843株(狸
熱 とそ の 他 の 溶 連菌 感 染症)と,健
紅
康 保 菌 者(小
学 校 と 保 育 園)の 株510株 総 計1,353株(Al群
1,176株)で,こ
の うち 最 下 欄 の45株 の み は例 外
的 に隣 国 台 湾 の株 で あ る.Table2の
如 く年 度 別
に一 定 数 の株 を採 用 した が,各 年 度 の 菌 型 の 検 出
頻 度 を考 慮 して各 菌 型 の株 数 を 選 択 採 用 した 。
培 地 の選 択 は前 回 実 施 した 予 備 試 験 の結 果 と化
学 療 法 学 会MIC測
準 拠 し,Heart
定 法 改 訂 委 員 会 の 標 準 法2)に
Infusion Agar Eiken(HIと
略
記)を 採 用.ま た 前 回 は ウ マ脱 線 維 血 液 を4%に
加 えた 血 液 寒 天 培 地 を用 いた が,血 液 を 除 い て も
MIC値
は 変 らな い こ とが 判 明 した ので 上 記 の 標
準 培 地 を使 用 した.
昭 和52年3月20日
Table
1.
99
Number
institution
and
of
by
strains
adopted
mycin(MDM),Lyncomycin(LCM),Cephalexin
by
year
(CEX),Penicillin-G(PC-G),Aminobenzyl-penicillin(AB-Pc)以
上.各
を 耐 性MIC値
抗 生 剤 共25μ9/ml以
上
と した 。
実験成績
A群1,176株
す.Tableの
のMIC値
抗 生 剤 別 のMICの
(ピ ー ク)の
度 耐 性 傾 向 を示 し
どで は左 端
Fig. 2.
CEX
H.C.•cHealth
Schl.•cPrimary
Public
Health
度 感 受 性 を 維 持 し て い る.CEXも
高 度 感 受 性 域 に あ る.こ
(104コ)を
よ りMIC値
れに
of MIC of PC-G, AB-PC, and
to 1,353 strains
of hemolytic
streptococci.
Institute.
接 種 お18時間 培 養 の 菌
希 釈 液(106コ)の1白
金耳
多 目的 タ イ ピ ン グ ・ ア パ ラ ー ツD型
使 用 抗 生 剤 とMIC測
示 す.こ
P.H.I.•c
器 具 を 用 い て 接 種 した.
採 用 し,改
Distribution
布 をFig.2に
そ
れ らPC
Center.
school.
接 種 用 菌 液 と 菌 量:HIに
液(108コ)の100倍
示 す.TCとCPで
て い る の に 反 し て,PC-G,AB-PCな
系 抗 生 剤 のMIC分
Prim.
各
分 布 に お け る最 大 の検 出頻 度
百 分 率(%)を
の 値0.78μ9は
Hosp.•cHospital.
示
弧 の 中)は
は こ れ が 右 端 に 近 く偏 在 し,高
に 近 く,高
Note:
の 分 布 をTable2に
数 字 で 各 行 の 下 段(括
対 してMacrolide(Mac)系4抗
JM,MDMお
定 法:下
記 の10抗 生 剤 を
訂 標 準 法 に 則 り倍 数 希 釈 寒 天 平 板 法 に
を 測 定 した.抗
生 剤 はTetracycline
(TC),Chloramphenicol(CP),Erythromycin(EM),
01eandomycin(OL),Josamycin(JM),Mydeca-
よ びLCMで
性 域(>100μ9)の
生 剤EM,OL,
は 感 受性 域 と高 度 耐
両 域 に 明 確 に 分 れ て 分 布 し,
そ の 中 間 耐 性 の 株 は 数 株 に す ぎ な い.ま
た これ ら
5抗 生 剤 の 高 度 耐 性 株 検 出 率 は 極 め て 近 接 し33.7
(EM)∼38.1%(OL)の
ら の 分 布 をFig.3に
問 に 分 布 す る.こ
示 す.
れ
100
感 染 症学 雑 誌
第51巻
第3号
昭 和52年3月20日
101
Table 3. Distribution of the number of hemolytic streptococcus strains of Groups B , C, and G according
to drug-susceptibilty as expressed by MIC(in
1972-74)
Note:
The
number
of strains
adopted
were as follows:
The figure in parenthesis
indicates
distribution
curve of each drug.
A群 以 外 のB,C,G群
Table3に
のMIC分
the maximum
83 in Group B, 30 in Group C , and 64 in Group G.
number of strains corresponding to the peaks of MIC
布度数 を
の薬 剤 耐 性 は一 般 的 に類 似 の傾 向 を示 す こ とが 判
示 す .百 分 率 の ピ ー クの代 りに度 数 の
つ て い る の で今 回 は 特 に 別 個 に 集 計 を 行 わ な か つ
最 大値 を 太 い 括 弧 で示 した.A群
の場 合 と異 り,
TC以 外 で はす べ て 感 受 性 域 に分 布 す る点 が特 徴
た が,患 者 株 の方 にMacの>100μ9の
的 でMacも
性 化 が 顕 著 で あつ た.そ
感 受 性 で あ る.ま たB群 は 他 に比 べ
て感 受 性 が や や 低 い傾 向が み られ た.
次 に 患 者 株(843株)と
健 康 保 菌 者 株(510株)
検 出頻 度
が健 康 保 菌 者 株 群 に比 べ て 明 らか に高 率 を 占 め耐
の た め 感 受 性 域 のMIC
め分 布 度数 が少 な く耐 性 域 の み に み られ る一 峰 性
の分 布 曲線 が類 推 され た.こ れ に反 して健 康 保 菌
感 染 症学 雑 誌
102
Fig. 3.
第51巻
Distribution of MIC of EM, MDM, JM, and OL to 1,353 strains of hemolytic streptococci.
Table 4.
Number of strains showing drug-resistance patterns by type and group(in
1972-74)
第3号
103
昭 和52年3月20日
Table 5. Annual change of the number of drug-resistant strains presenting each of the four
major resistance patterns by type in 1972-74
者 株 群 で はMacの
み な らず,TCとCPに
おいて
も二 峰 性 の 分 布 曲 線 が 類 推 さ れ た 点 が 特 徴 的 で あ
次 に 全 被 検 株1,353の
(73%)が
菌 型 別,群
別 にTable4に
類 はTableの
示 した.パ
れ らを
タ ー ンの種
如 く11種 類 に 分 類 され,頻
度 の順
に な らべ る と,Tc・cP・EM・oL・JM・MDM・LCM
7剤 耐 性427株,TC単
剤 耐 性243株,そ
Mac.単
の 他 と な り,以 上 の3種
株(80%)が
に 含 ま れ る.こ
耐 性 パ タ ー ン に 編 入 さ れ る.次
の122株,4型
の 順 位 で,そ
Table5に
の90株.6型
の26株,1型
の 他 の 型 は1桁
主 要 な4つ
た
存 在 した.
の3年
型 別 に み る と4型
独 耐 性 で あ り,し
は大
か も50,
如 く漸 減 して い る の に 対 し て,12型
は こ
間 に 全 菌 型 中 の 検 出 率 の 上 昇 に 呼 応 して
耐 性 率 も91%(175/192),97%(202/257),99%
如 く漸 増 し,こ
と急 上 昇 し て い る.同
TC/CP耐
と に7剤
中942
まで
の う ち422
耐 性株 は
の 件 数 に す ぎ な い.
の耐 性 パ タ ー ンの年 次 別
のTCお
よび
なわ ち この
耐 性 化 に よ る と こ ろ が 大 き い.こ
の
3年 間 にTC,CP,Mac.お
よ びLCMの
の 抗 生 剤 に 対 し てFig.1に
示 す 如 く耐 性 化 が 急
すべて
速 に 進 行 した.
考
位 が3型
の23株
一 期 間 に12型
性 は 共 に 減 少 して い る.す
上 昇 率 は7剤
耐 性 で あ る が そ の 過 半 数632株
が 現 在 の 流 行 菌 型12型
株 が7剤
類 の中
の み に つ い て 菌 型 別 に み る と1,176株
間 に68.9
26%(49/192),74%(154/208),85%(219/257)
独 耐 性 は19株,ま
独 耐 性 は 例 外 的 に1株
21,13の
(255/257)の
独 耐 性278株,TC・CP2
に 大 部 分 が 含 ま れ る.CP単
上 昇 し て い る.菌
部 分 が 各 年 共TC単
う ち の 全 耐 性 株988株
示 す 耐 性 パ タ ー ンに つ い て,そ
の 耐 性 率 は こ の3年
%(264/383),79.1%(280/354),90.6%(398/
439)と
る.
A群
推 移 を 示 し た.A群
Fig.1か
察
ら 判 る よ う に10抗 生 剤 の う ち 最 初 に 耐
性 が 発 現 し た の はTCで
あ り,筆 者 らが 報 告 した
1964年 頃 を ピ ー ク と す る4型
の大流行の最盛期に
104
感 染 症学 雑 誌
一 致 して4型 を 中心 とす るTC耐
性 化 が 急 速 に進
第3号
て12型 の み は 同 じ,3年 間 に急 速 に そ の過 半 数66.7
行 し,そ れ よ りや や 遅 れ て,丁 度4型 か ら12型 へ
%(422/632)が7剤
流 行 波 の 交 代 が お こつ た1966-67年
ほ とん ど独 占 した.す
にか け て,今
第51巻
耐性 を獲 得 し,Mac.耐
性を
なわ ち3年 間 のMac.耐
度 は12型 のTC耐 性 化 が急 速 に進 行 した.そ の後
一 時4型 の激 域 に よ るTC耐 性 率 の下 降 が み られ
性 全 菌 株 数448株
た が12型 の漸 増 に 支 持 され て そ の 後 も上 昇 を続 け
い が過 去 の主 要 流 行 菌 型 の一 つ に数 え られ て きた
74年 に90%に
22型 に は 耐性 株 が1株
け てCPの
達 した.次 い で1969年 よ り70年 に か
耐 性 化 が 始 まつ た.こ れ は1株 を 除 き
す べ てTC耐
性 菌 がCP耐
中437株,97.5%が12型
のみ で
独 占 され て い る.順 位 は 低 くまた 被お
検 株 数 も少 な
しか得 られ なか つ た こ と も
特 異 的 で あ る.こ の よ うに 各種 耐 性 パ タ ー ンの生
性 化 され た 形 の2重 耐
成 発 現 に は 菌 型 に よ り難 易 の 序 列 が あ る こ とが 判
性 の発 現 で あつ た.菌 型 は再 び12型 が 大 多 数 を 占
明 し,し た が つ て 菌 型 と薬 剤 の 種 類 の 如 何 に よつ
め6型 が少 数 存 在 した.こ
て も耐 性 化 の機 構 も異 な るで あ ろ うこ とが 推 測 さ
経 緯 でMac.は
こま で が前 回 の報 告 の
幸 い 感 受性 な い し6.25μ9以 下 の
中 等 度 耐性 を 保 つ て い た.Fig.1の
示 す ごとく
Mac.耐 性 化 はTC,CP共
に そ の耐 性 率 が や や 低
れ る.
溶 連 菌 の薬 剤 耐 性 発 現機 構 に 関す る研 究 は新 鮮
分 離 患 者 株 に つ い て,わ れ わ れ の協 力 の下 に,生
下 した71年 か ら翌72年 に か け て 急 速 に 高 ま り,74
方,紺 野,藤 井4)らに よつ て 初 め て 実 施 され,A
年 まで上 昇 の 一 途 を続 け,74年
耐性
群 溶 連 菌 の こ とに抗 生 剤 耐性 株 の 多 くが 溶 原 菌 で
菌 に対 して は期
あつ て テ ンペ レー トフ ァー ジ を宿 す こ と,そ して
Mac.耐
性 を担 うPlasmidが
耐性菌 か ら感受性
現 在52.2%の
率 に達 し,本 剤 の効 果 はA群12型
待 し難 くな つ た.菌 型 の側 か らみ る と70-73年 は
12型 の検 出率 の 上 昇 と4型 の 下 降 の 時 期 に一 致
し,こ のMac.耐
菌 へ これ らの フ ァー ジ に よつ て導 入 され る こ とが
性 化 は12型 の 耐 性 化 に よ り達 成
管 内 の実 験 か ら立 証 され た.も つ と も感 受 性 株 の
され た こ とが既 報1)の ヒス トグ ラ ム との照 合 か ら
明 らか で あ る.そ の 耐 性 パ タ ー ン の内 容 を 分 析 す
うち で,耐 性 株 由来 のmitomycin誘
発 テ ンペ レ
ー トフ ァー ジ の感 染 を うけ て 溶 菌 に ま で い た る
る とTC.CP耐
recipientの 株 は 極 め て 少 く,多 数 の 株 の中 か ら彼
性 上 にMac.お
よびLCM耐
性
化 が 行 わ れ た 形 の7剤 耐 性 で あつ た,Mac.単
独
らが 見 出 し得 た2株 は いつ れ も12型 で あつ た.こ
耐 性 が 例 外 的 に1株28型 に存 在 した他 に は4型 に
TCな い しTC,CPとMac.の3な
い し4剤 耐
の2株 を用 い て得 られ た 被 導 入 体 の耐 性 パ タ ー ン
性 が 計4株
して現 れ て お り,わ れ わ れ のTable4の
とUTに7剤
耐 性 が5株 存 在 す る に
す ぎな か つ た.わ が 国 で初 め てMac.耐
を報 告 した 御 簾 納3)ら の菌 も70-71年
性菌分離
の菌 で あつ
はTable6の
如 くMac.とCPが
近 似性 を 示 す.し
か し 一 点 異 な る 成 績 はTC耐
る.す な わ ちTC含
菌 型 に よる耐 性 化 パ タ ー ンの相 異 をTable4に
つ い て 観 察 して み る と,新 流 行 菌 型3型 は 明 らか
cloneはTC単
にTCお
の存 在 を想 定 して,そ
独 耐 性 な い しTC・CP2重
性 に と どま り,そ れ 以 上 の多 剤 耐 性 は1株
耐
も検 出
成績 と
性 の み は切 りは な され,単 独 に誘 導 され た 点 で あ
た.
よびCP単
必 らず リン ク
有 平 板 上 に現 れ た選 択 さ れ た
独 耐 性 の もの の み で あ つ た.こ の
現 象 の 説 明 に は そ れ ぞ れ 異 な る2種 類 のplasmid
れ らが 別 個 にphageに
よ
り持 ち こ まれ た と仮 定 す る.こ の 仮 説 は わ れ わ れ
され て い ない.こ れ は3型 が 流 行 菌 型 と して の年
の疫 学 成 績(Table4)と
も矛 盾 は しな い.す な
数 が 短 いた め と も考 え られ る.し か し既 に流 行 年
わ ちTC単
数 が10年 以上 を経 た4型 が 同様 に そ の ほ とん どが
TC単 独 耐 性 に と ど ま り,多 剤 耐 性 は90株 中6株
次 い で第2位
に す ぎな い事 実 か ら,菌 型 に よる耐 性 化 パ タ ー ン
昇 は そ の全 被 検株 数 の変 動(192,208,257)
の 相 異 が 明 らか に な つ た.以 上 の2つ の型 に反 し
に比 べ て 極 め て 顕 著 で,49,154,219の
独 耐性 株 が241株
もあ り,7剤
耐性 に
を 占 め て い るか らで あ る.他 方 表5
の年 次 別 推 移 か ら12型 の7剤 耐 性 株 数 の年 次 的 上
如く
105
昭 和52年3月20日
Table 6. Transduction
of TC, CP, Mac, LCM
donor strains to recipient TK-4958.*
and CLM
resistance
with phage
lysates
from
MOI: Multiplicity of phage infection.
* Data afforded by the courtesy of Drs. Ubukata, Konno, and Fujii.(4).
急 上 昇 を 示 して 同 じ12型 の 他 の 主 要 耐 性 パ タ ー
ンで あ るTCお
よびTC/CP耐
性 株 数 が それ ぞ れ
が 導 入 され て 最 初 の7剤 耐 性 菌 が 出現 した とみ
Tableの
関 係 に あ るた め そ れ 以 後 は 相 伴 つ て 行 動(持 ち 込
如 く61,26,20お
よび51,18,15の
よう
る.一 旦 導 入 され た この2つ のplasmidは
に逆 に 減 少 を 示 して い るの と 極 め て 対 蹠 的 で あ
まれ る)す る と 考 え れ ば 誘 導実 験 でdonorか
る.以 上 の一 連 の数 字 は12型 の7剤 耐 性 がTC単
recipientへ(TC耐
独,TC/CP二
者 が分 離 せ ず にCP/Mac.の
重 耐 性 を 経 て3段 階 式 に 獲 得 され
が説 明 され る.疫
た 機 構 を 暗 示 して い る.
更 に また,こ
の段 階 式 耐 性 獲 得 の 各 段 階 の 間 に
性plasmidと
近親
ら
は 異 な り)両
形 で導 入 され た こ と
学 的 に もFig.1か
出現 か ら5年 以上 を経 過 してCP耐
らTC耐
性
性 の急 上 昇 を
は耐 性 獲 得 に要 す る 時 間 の差 が 存 在 した こ と も
Fig.1の 横 軸 の上 に お い て,そ れ ぞ れ の 曲線 が 急
み るの に 反 して,僅 か そ の2年 後 に既 にMac.耐
上 昇 を 開始 した初 年 度 の相 互 の間 隔(年 数)の 差
す なわ ち12型 に よ り独 占 され て い る7剤 耐 性 株 は
と して顕 著 に示 され て い る.
性 率 が 上 昇 し,両 者 の近 親 関 係 を 裏 付 け て い る.
phageの
以 上 のわ れ わ れ の疫 学 成 績 な らび に前 記 の耐 性
担 う3種 類 のplasmidesの3重
感染に よ
り段 階 式 耐 性 化 の過 程 を 経 て最 初 に発 生 した と想
誘 導 実 験 の成 績 を 説 明 す るた め の仮 説 か ら,TC
定 さ れ る が,こ のphage感i染
を 含 む7剤 耐 性 株 の発 生 機 構 を 考 え る と次 の よ う
入 に は難 易 の差 な い し序 列 が あ り,Fig.1に
に な る.フ ァー ジの1次 感 染 に よ り生 じたTC単
れ る抗生 剤 の種 類 に よる耐 性 菌 出現 年 数 の遅 速 の
独 耐 性 菌 に2次 感 染 が お こ り,CP耐
差 は この ちが い を反 映 して い る もの と思 わ れ る.
が 持 ち こ まれ,更
性Plasmid
に3次 感 染 に よ りMac.耐
性
な い しplasmidi尊
みら
過 去 に み られ た4型 か ら12型 へ の流 行 波 の交 代
106
感染症学雑誌
急 象 もMac.耐
性 化 に 関 す る両 菌型 の 異 な る性 質
に よつ て 初 め て そ の 原 因 が説 明 され 得 る よ うに 思
第51巻
第3号
蹠 的 で あつ た.ま た4型 は6株 を除 き84株 全 株 が
TC単 独 耐 性 で,こ れ も極 め て特 異 で あ る.ま た
3型 は6株 を 除 き116株 全 株 がTC/CP2剤
わ れ る.
最 後 に型 別 法 の如 何 に よつ て以上 の成 績 が 変 り
で4型
と明 らか に 異 な りCP耐
耐性
性 に な り易 い.3
得 るか との疑 問,す な わ ちM型 別 法 で は 異 な る成
型 は 流 行 の 期 間 が まだ 新 しい が 流 行 の 期 間 が 長 か
績 が 得 られ な いか との疑 問 に対 して は,わ れ わ れ
つ た4型 に つ い て は これ がCPに
のT型 別 血 清 は類 属 凝 集 を完 全 に吸 収 除 去 した 因
性 に な り難 い菌 型 と考 え られ る.こ の よ うに 抗 生
子 血 清5)で あ つ て,現 在 の 日本 の 出現 菌 型 に 関 す
物 質 の種 類 に よ り耐 性 化 に は難 易 の差 な い し序 列
る 限 り,極 少 数 の型 別 不 能 株 を除 け ば,完 全 にM
が あ る こ と,そ れ が菌 型 の ち が い に よ る もの で あ
型 別 成 績 と一 致 を示 す こ とが狸 紅 熱 研 究 会 に おけ
る こ と,す な わ ち菌 型 に よ り耐 性 化 パ ター ン も異
る 比較 実 験 で 証 明 され て い るの で,そ の恐 れ は な
な る こ とが始 めて 明 らか に な つ た.
い こ とが 明 らか で あ る.
総
1)1972-74年
6)生
括
方,紺 野,藤 井4)らのphageに
溶 連 菌 株1,353株(内A群1,176株)の10種
類抗
れ た.す
なわ ち12型 の 示 した 多 剤 耐 性 化 はTC耐
性,TC/CP2剤
MDMな
しか も この1次,2次
生 剤 お よびLCMに
は感受
両範 囲 にMIC
分 布 域 が分 れ2峰 が 形 成 され た.TCに
は感 受 性
域 か ら 高 度 耐 性 域 に わ た り幅 広 く 分 布(53%が
100μ9),CPに
は 感 受性 域 か ら 耐 性 域 に 比 較 的
せ ま い分 布(58%が25-50μ9)を
よ る耐 性
比 較 で,耐 性 化 機 構 に関 して近 似 した 所 見 が 得 ら
生 剤 に 対 す る感 受 性 を 調 査 した.そ の 結 果PC,
AB-Pc,cExに
は全 株 感 受 性,EM,oL,JM,
性 な い し高 度 耐 性(33∼38%)の
も耐
誘 導 実 験 の成 績 と今 回 のわ れ わ れ の疫 学 的 成 績 の
の 間 に 全 国26施 設 で収 集 さ れ た
ど のMac.抗
もMac.に
示 した.
染)に
耐 性 を 経 て 恐 ら く3次 誘 導(感
よ り最 初 のMac.耐
性 が 出 現 した もの で,
誘 導 に は時 間 を要 した が,
3次 誘 導 は比 較 的 急 速 に進 展 した と推 測 され る.
す なわ ち12型 の示 した3段 階 式 多剤 耐性 化 の 各 段
階 に は遅 速 の差 が あ つ た.こ
の こ とがFig.1の
抗 生 剤 別 の耐 性 率 の経 年 変 化 曲線 の相 互 間 の 隔 り
の上 に も反 映 され て い る し,生
方 らの 実 験 で,
2)被 検 株 数 が少 な い がB,C,G群
はPC,
AB-PC,CEXの
他 にMac.感
受 性 も完 全 に保 た
TC耐
れ て い た.3群
け られ て い る.
7)過 去 に お い て4型 か ら12型 へ 流 行 波 の交 代
の うち で はB群 の感 受 性 が最 も低
か つ た.
3)患
者 株 と健 康 保菌 者 株 の比 較 で はMac.以
外 で は大 差 な く,Mac.に
対 して は患 者株 の 方 が
Mac.が
性 が 分 離 して 別 個 に誘 導 され,ま たCPと
随拌 して誘 導 され た 事 実 に よつ て も裏 付
が お こつ た 原 因 は 今 まで全 く不 明 で あつ た が,両
菌 型 のMac.耐
性 化 の顕 著 な ちが い に よつ て 説 明
高 耐 性 域 へ 偏 つ て分 布 し感 受 性 域 の 峰 が 顕 著 で な
され 得 る よ うに なつ た.4型
か つ た.
Mac.は
4)出
現 した 耐 性 パ タ ー ンは11種 類 を 数 え た が
Tc/cP/EM/oL/JM/MDM/LcMの7剤
耐性が最
も多 く(427株 り,次 にTC単
TC/CP耐
性(243株),CP耐
独 耐 性(278株),
性(19株)そ
の他
の 流行 に 対 して は
今 後 も充 分 に 効果 が保 証 され る.
8)Mac.単
独 耐 性 株 は例 外 的 に1株 の み しか
得 られ なか つ た 事 実 か ら,本 剤 が溶 連 菌 に対 して
は それ のみ で はin
vivoで 耐 性 を誘 導 し難 い薬 剤
とな り,始 め の3者 のみ で 全 耐 性 株 数(988)の
(耐 性 非 誘 導 型)で あ る こ と,先 導 的 役 割 を 担 う
TCな い しCPの 使 用 規 制 に よ りMac.耐
性 率の
96%を
減 少 を期 待 し得 る こ と,な どが 明 らか に なつ た.
5)こ
占 め た.
の7剤 耐 性 パ タ ー ンの5株 を 除 き422株
全 株 が12型 に よ り独 占 され,TC,TC/CPな
どの
パ タ ー ンが 種 々 の菌 型 で 占 め られ る の と著 し く対
9)わ
れ わ れ のT型 別 血 清 は 類 属 凝 集 を完 全 に
吸収 除 去 した 因子 血 清 で あ り,狸 紅 熱 研 究 会 に お
け るM型 別 法 との比 較 実 験 で,日 本 に おけ るM型
昭 和52年3月20日
107
別法 との比較 実 験 で,日 本 に お け る 出現 菌 型 に 関
文
す る限 り両法 の 成績 の 一致 が既 に証 明 され て い る
の で,以
上 の 成 績 は 型 別 法 の如 何 に 左 右 され な
宮本
2)
松 島 章 喜:
感 染 症 学 雑 誌, 49, 86-93,
1975.
MIC測
定 法 改 訂 委 員 会(会
長 小 酒 井 望):
い.
泰,
滝 沢 金 次 郎 , 浅 井 良 夫,
Chemotherapy,
10)表 現 型 と して の 単独 な い し多剤 耐 性 の研 究
3)
型 別 に行 わ れ る必 要 が あ る.
of Hemolytic
Acquisition
Streptococci
of Multiple
Resistance
Resistance
高 様 武 夫,
22 , 1126-1129,
1974.
平 山
顕, 吉 田 律 子: 感 染 症 学
80-82,
1972.
K., M. Konno and R. Fujii:
The
Journal of Antibiotics, 28: 681-688, 1975.
5) Takizawa, K., S. Akiyama and Y. Miyamoto:
Japan. J. Microbiol., 14: 269-277,
1970.
伝 学 的 レベル の 研 究 が,溶 連 菌 に お い て は,各 菌
Sensitivity
46,
4) Ubukata,
の た め に は 将 来抽 出 した プラ ズ ミ ドに よる細 菌 遺
Drug
御 簾 納 孝 次 郎,
雑 誌,
に は 耐 性 化 機 構 の 微 細 な 解 析 が 必 要 に な る が,そ
献
1)
of the Groups
of Group
Acquisition
Pattern
A,B,C,
A Strains
and
G:
and Difference
Its Stepweise
in
by Type
by
Scarlet Fever Study Group(Yasuzo NAKAMIZO)
Yasushi MIYAMOTO, Kinjiro TAKIZAWA, Akiyoshi MATSUSHIMA,
Yoshio ASAI, Takeshi SANEKATA and
Shigeru NAKATSUKA
Kanagawa Prefectural Public Health Laboratory, WHO National Streptococcus
Reference Center
The drug sensitivity to 10 antibiotics of the 1,353 strains of hemolytic streptococci consisting of
843 patient strains and 510 healthy-carrier strains(1,176
strains of which were from Group A) which
were collected in 1972-74 at 26 institutions scattersring throughout
the study.
the country were subjected to
All the strains were found sensitive to PC, AB-PC, and CEX in contrast to Macrolide anti-
biotics such as EM, JM, OL and MDM together with LCM to which they were either sensitive or partly
(33-38%) highly resistant and thus two peaks of the MIC distribution curve for each of Macrolides
were depicted. The MIC of TC distributed widely ranging from sensitive area to highly resistant area
(53% belonged to 100 tig) whereas in case of CP the distribution was within a relatively narrow range
and 58% fell into 25-50 t/g.
Though the strain number was small, the sensitivity of the Groups B,C, and G to Macrolides was
still retained.
Among these three Groups Group B was least sensitive.
Regarding the resistance pattern, 11 patterns appeared, of which sevenfold resistance such as TC/
CP/EM/OL/JM/MDM/LCM
occupied the first rank(427
strains), followed by TC single-resistance
(278 strains), TC/CP double-resistance(243 strains), CP single-resistance(19 strains) and other minors
in this order. The total number of strains up to the third rank from the first one occupied 96% of the
whole number of resistant strains examined.
The 422 strains showing sevenfold-resistant pattern, with the exception of 5 untypable strains, fell
into type 12. This was a marked contrast to the other patterns such as TC, CP, or TC/CP which covered
感 染 症学 雑 誌
108
a variety of types.
第51巻
第3号
Type 4 was siso outstanding in such context that all the 84 strains, with exception of
6 strains, were TC single-resistant.
Further, type 3 was apparently differed from type 4 and showed
TC/CP double resistance suggesting liability to the acquisition of CP-resistance.
Since type 3 is an
newly appeared epidemic type, any decisive conclusion can hardly be drawn about its resistance
character, but type 4 has a long history of epidemic and therefore it can be mentioned that this type
bears some barriers to the resistance acquisition to CP and Macrolides. Thus it was made clear for
thefirst time that there exist some differences or orders among types in the liability of resistance
acquisition to each of the antibiotics, i.e., the resistance pattern may differ according to type.
A similar finding relevant
to resistance acquisition of type 12 was obtained
epidemiological data and the experimental results on resistance transduction
formed by Ubukata, Konno, and Fujii(J.
between our
by bacteriophage
per-
Antibiotics. 28, 681, 1975). Our data, as shown in *Table 5,
suggested that the sevenfold resistance was initially accomplished by three-step acquisition of type-12
strains through TC-single and then TC/CP-double resistance.
Furthermore a difference in rapidity of
the resistance acquisition between the three steps was noted which was reflected by the time-lag between
the year intervals, as can be postulated from those on the abscissa in Fig. 1, in whidh the steap upheaval
of the percentage resistance started.
This relative time-lag of the second-step resistance acquisition to
the third one might be explained by the results of transduction
experiment performed by them in
which the transduction of TC-single resistance was, without exception, brought about independently
and separately from other antibiotic resistance, whereas CP- and Macrolide resistance were transduced
concomitantly.
The causative factor of the alteration of the "epidemic wave" from type 4 to type 12 occurring
in the past has not been made clear up to now, however it may also be explained by the marked difference in resistance acquisition of these two types to CP and Macrolides.
From the finding that the number of Macrolide-single resistant strain detected was exceptionally
only one, it became clear that Macrolide was a drug nearly non-inducible of the drug-resistance to
streptococcus in vivo, and that the restriction of the use of TC and/or CP which played the preinducing
role would lead to a decline of the incidence percentage
of Macrolideresistance.
The comparative studies between T- and M-typing conducted beforehand in the Study Group of
Scarlet Fever produced complete agreement of the results as far as the types appearing in Japan were
concerned, since the T-typing sera used were the set of factor sera prepared by us which completely
excluded the "agglutination complexes"(Japan.
J. Microbiol. 14, 269, 1970). Consequently the survey
results obtained above might not be changed if M-typing method were employed.
As a future aspect of the studies on single- and multiple-resistance in terms of phenotype, the studies
on the level of bacterial genetics using extracted plasmids are to be launched in each type for the precise
analysis of the mechanisms of resistance acquisition of the organisms.