第92号 - Biglobe

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ふくしま
2015.4.23
復興支援フォーラムニュース
No.92
(URL http://www5a.biglobe.ne.jp/~tkonno/FK-forum.html)
<事務連絡先> 今野順夫([email protected])
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福島県双葉郡の小中学校の「ふるさと創造学」~避難校に広がる実践の試み~
2015年4月23日
中村秀夫(ジャーナリスト)
【はじめに】
東京電力福島第1原発事故から4年。避難校で総合学習「ふるさと学習」が広がっている。原
発をかかえる双葉郡8町村の教育長は、策定した「教育復興ビジョン」の柱に位置づけ、2014年
度から呼称あらため「ふるさと創造学」の本格的実践をよびかけた。2015年は、4月開校の「ふた
ば未来学園高校」での実践も始まる。小学校、中学校、高校、大学をつらぬき、地域とともにあ
る教育の営み、新しい学習の模索が本格的に展開される。
【1】避難4年、学校はいま…
小中35校が避難先で開校
県内小学校の25%がなお「授業に一部困難あり」
【2】双葉郡の「ふるさと学習」=「ふるさと創造学」
2012年以降、
「ふるさと学習」が各校でさまざまに取り組まれてきた。
(1) 浪江町の浪江小学校、津島小学校、浪江中学校 (二本松市で開校)
(2) 葛尾村の葛尾小学校、葛尾中学校 (三春町で開校)
(3) 川内村の川内小学校
(自校に帰還)
(4) 富岡町の富岡第一小学校、富岡第二小学校 (三春町で開校)
(5) 楢葉町の楢葉南小学校、楢葉北小学校、楢葉中学校 (いわき市で開校)
(6) 双葉町の双葉南小学校、双葉北小学校、双葉中学校 (いわき市で開校)
(7) 大熊町の熊野小学校、大野小学校、大熊中学校 (会津若松市で開校)
(8) 広野町の広野小学校、広野中学校 (自校に帰還)
【3】双葉郡以外でも
(1)飯舘村の3小学校(草野、飯樋、臼石。川俣町で開校)
、飯舘中学校(福島市飯野町で開校)
(2)飯舘村にある県立相馬農業高校飯舘校 (福島市で開校)
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【4】学習は、子どもに希望をもたらし、子どもは住民の希望になっている
(1) 子どもたちが救われている
(2) 子どもたちが住民に希望をもたらしている
(3) 学校への信頼を高めている
【5】調べ、ふれ、発信し、提言する学習
(1) 子どもが発信者になっている
(2) 子どもが進路、生き方を考えるきっかけになっている
(3) アンケート、インタビューで住民の思いと願いを知り、切実さ・複雑さを肌で知る
(4) 調べるだけでなく提言
【6】学習としての実践
(1)マニュアルはどこにもなかった
(2) 道徳ではなく学習。帰還促進運動ではなく学習。イベントではなく学習。
(3)学校の教育の見直しにつながる
【7】二重のふるさと
くらしていた元の地域、避難5年目いまくらしている地域―二つのふるさとなのか
2つを教育計画に位置づける学校もある
地元の子と避難している子が共同してワークショップをする活動もある
【8】高校
新設のふたば未来学園高校ではじまる「ふるさと創造学」
【9】大学
2年目にはいる福島大学の特修プログラム「ふくしま未来学」が、小中高での
学習を発展させる
【10】双葉郡の教育復興ビジョンに「ふるさと創造学」を位置づけ提唱
【11】子どもの権利条約を教育復興に生かす
―「双葉子ども未来会議」を11回開催
【12】基本には、原発「安全神話」への教育者の反省と決意がある
【13】学習の意味はなにか
―ユネスコの学習権宣言「学習とは、自分の世界を読み取り歴史をつづる権利です」
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第 89回 ふ く し ま 復 興 支 援 フ ォ ー ラ ム で の ご 意 見 等
4月8日、第89回ふくしま復興支援フォーラムを開催しました。
熊坂義裕氏(社会的包摂サポートセンター代表理事)から「よりそいホットライン1千400万件
のアクセス分析が示す被災地の今と日本の今」をテーマに報告がなされました。
年度当初の忙しい時期ですが、30人が参加し、活発な質疑応答がなされましたが、文書でのご
意見等は以下の通りです。
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★ 「よりそいホットライン」が国の制度となることが求められている実状がリアルに分かり
ました。茨城に避難して暮らしている方の孤立化が心配です。「本当に困っている人」へのアウ
トリーチを広範なネットワークを作ることを通じて進めていきたい、と思います。本日は有難う
ございました。また機会があれば参加させていただきます。(T.M)
★ だいぶ内容豊かな内容であった。一回だけで終わらせるのは惜しい。(S.I)
★
熊坂義裕さんのいつわりのない真摯な実践とお話しぶりに、あらためて感動しました。
(K.S)
★ 今日の報告について、初めて知りました。様々な場で、活動されている人から、これから
も、教えて頂きたいと思います。(T.S)
★ 私も避難者の相談員をしていました。その中で感じたことは、難しい問題ほど、震災前か
らもともとあった課題であることが多い、ということです。そして精神障がい者等、家族でも対
応が難しく、社会的に対応する場も乏しいという現実も知りました。自分の知らない、見えない
のか、見ていないのか、見ようとしていないのか、厳しい生活をしている人々がたくさんいて、
その中から、自力で抜け出すのも難しい人々であることも知りました。そんな中で、よりそいホ
ットラインのスタッフの方と知りあう機会があり、私が受けた相談について、相談し、うまくつ
ながって大変助けられたことがあります。相談窓口同士の連携交流も大切なのかもしれません。
ありがとうございます。(H.S)
★ 東日本大震災、原発事故をめぐって、医者、教育者、社会的包摂サポートセンター代表理
事として、被災者の身に寄りそって多面的な諸活動に真摯に取組み、科学者としての社会的責任
を果たしていることに頭の下がる思いで、感銘しながら講演を聞き、学ぶべき点が多く、多忙な
中を講演して下さったことに感謝します。核災害の現状をどう受けとめ、核災害・放射能被害に
どう立ち向かうべきか、その基本的考え方に共感します。「なぜ福島県民は、もっと声を上げな
いのだろうか、なぜ被害者である県民は加害者である東京電力や原発政策を推し進めた国や県に
言うべきことを言い、もっと怒らないのだろうか」という思いがすべての原点であるということ
に同感で、今後の諸活動に生かしたいと思います。(K.A)
★ 1,400万件という大変な数のアクセスがあったこと、それを受けたよりそいホットラインの
活動には大変感動しました。これから長い期間必要とされる活動だと思いました。ありがとうご
ざいました。(J.M)
★ 貴重なお話しありがとうございました。日本中、非常に悩みを抱えているということがた
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くさんあって、でも根源的悩みは出てこない、出てこないから無いのでない。出てくる条件づく
りをいかにしていくのかの話、やっと理解できました。話が多岐にわたり、消化できませんでし
たが、本当にありがとうございました。(K.S)
★ 広範囲にわたるお話し、有難うございました。(M.T)
★ この4月から「よりそいホットライン」の業務に初めて従事して。今日初めて先生から講演
を拝聴いたしまして、先生が本当に多面的な面から、ご努力してらして、これから益々、この電
話相談が果たしている役割、重要性を強く感じました。これからももっともっとこの相談業務が
充実していくためには、やはり予算的な裏付けが必要だと思いますので、それも含めて今後努力
していただければと強く思いました。(F.K)
★ よりそいホットラインには、表面には出てこないような本来の悩みが集まっている事がわ
かった。365日、24時間、いつでも相談できるのがとても良いと思った。(K.S)
★ 復興から取り残されるマイノリティ。被災者の小さな声を、行政や政策に取り込む、入り
込めるような回路が失われる実情を、この電話相談が示していると思えた。(Y.T)
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【予告】第91回フォーラム
2015年5月14日(木)18:30~20:30
「生協組合員(住民)目線での被ばく調査について」
報告者:野中 俊吉
氏(生活協同組合コープふくしま専務理事)
会 場:福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」視聴覚室
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【予告】第92回フォーラム
2015年5月28日(木)18:30~20:30
「県内商工業の復興の現状と課題 ~営業損害賠償問題にも触れて~」
報告者:佐藤 敏文
氏(福島県商工会連合会広域指導課長)
会 場:福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」大活動室1
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【予告】第93回フォーラム
2015年6月11日(木)18:30~20:30
「原発事故被災地における復興まちづくり計画」
報告者:間野 博 氏(県立広島大学名誉教授
・うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員/都市計画)
会 場:福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」大活動室1
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【予告】第94回フォーラム
2015年6月25日(木)18:30~20:30
「県内水産業の現状と課題」
報告者:遠藤 和則
氏(相馬双葉漁業協同組合総務部長)
会 場:福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」大活動室1
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