荒木 彩恵子先生: シェーグレン症候群と神経障害のウソ、ホント?

荒木 彩恵子先生: J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011; 82: 798-802.
シェーグレン症候群と神経障害のウソ、ホント?
Peripheral neuropathies in Sjogren syndrome: a new reappraisal.
【背景】シェーグレン症候群に関連した末梢神経障害の有病率の報告は、2%∼60%と幅広く、本当は多い
のか、少ないのか、はっきりしないのが実情である。そこで、今回は、神経障害について、電気生理学的検
査を含めて、正確に診断し、その陽性率を検討した結果が、今話題のギリシャから報告されました。
【方法】原発性シェーグレン症候群(pSS)患者 509 名に対し、神経障害性の症状や徴候を有する患者を抽
出し、神経内科専門医の再評価、および、電気生理学的な検査を行い、pSS 関連の神経障害の有病率を
検討するとともに、関連自己抗体の有無について検討しました。
【結果】pSS 患者 509 名中、症状・徴候を有する患者は 44 名であったが、再評価により、19 名は他の疾患と
診断、さらに 15 名が電気生理学的に以上を認めず、pSS 関連の末梢神経障害は 9 名(1.8%)の陽性率で
した。全例、軸索型であり、5 例が感覚性、4 例が感覚運動性ニューロパシーでした。pSS 関連神経障害患
者の多くは、pSS の腺外症状(血管炎や紫斑など)を有していましたが、特異的な血清自己抗体は認められ
ませんでした。
【結論】このように、シェーグレン症候群に関連した末梢神経障害頻度は 2%未満と、多いとは言えないよう
ですが、神経障害を有する場合は、やや腺外症状などの問題を抱える患者さんが多いようです。それより
も、ギリシャの行く末が気になります。。
(文責 阿比留)