健康教育の実践報告 富岡市立富岡小学校 Ⅰ 「わくわく健康生活活動」の実践 本校の健康教育は、学校教育目標「基本的な 生活習慣と学習習慣を身につけ、何事にも意欲 的に取り組む児童の育成」を受け、健康教育目 標を「生活習慣を見直し、自ら心と体の健康づ くりに努める児童の育成」とし、「富小三健志 勇気くん・元気くん・本気くん」を健康教育のイ メージキャラクターにし、規則正しい健康生活 を目指した『わくわく健康生活活動』を展開し ている。 この活動は、平成19・20年度「子どもの生活 習慣病予防対策事業」で群馬県教育委員会・群 馬県医師会の指定を受け、基本的な生活習慣の 振り返りと定着を図って「子どもの生活習慣病 予防」に取り組んでいるものである。 引き続き、21 年度は重点課題「『勇気・元気・ 本気』があふれる児童の育成」として、「家庭・ 地域との連携ですすめるわくわく健康生活活 動」を全教育活動を通して行っている。本校の 健康教育は、子どもたちのもつ「良さ」や「違 い」を大切にしながら、家庭や地域の連携を図 って、基本的な生活習慣の定着と改善を図る活動である。 1 活動のねらい ①全教育活動を通して、自らの生活を振り返りながら自らの基本的生活習慣を確立していき、自らの 健康的な生活を考えて実践していく子ども、家庭、地域づくりを目指す。 ②各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間や諸行事を通して、健康の大切さを実感しつつ、よ りよく生活しようとする意欲や自己の健康問題解決への思考力、よりよい生き方を選択する判断力 どの資質や能力を育てる。 ③家庭や地域との連携を図った児童主体の活動を通して、基本的生活習慣を見直し、よりよい生活を 自ら作り上げていく態度を育てる。 ④子どもの意識や態度の変容を図り、自らの健康を自ら管理する能力の育成を図る。 -1- な 2 計画と実践 (1)計画について配慮したこと 学校における全教育課程を通しての健康教育の充実のためには、 学校行事との関連を図った。「子ども主体」の学校行事を実現させ ために、児童のやる気を引き出しながら、内容、計画、活動などを 考案させ、教師が支えながら積極的に『わくわく健康生活活動』に 関われるように配慮した。特に集会活動「富小三健志わくわく体操 集会」は、「楽しく運動しよう」のねらいのもとに、親しみやすい 富小のオリジナル体操 「富小三健志 わくわく体操」にするため に、考案段階から児童を参画させた。活動について話し合い、集会や運動会・持久走大会の準備体操に 取り入れた。全児童がどのように「わくわく健康生活活動」に関われるかを考える中で、個々の「良さ」 や「違い」を大切にし、自己実現を果たすよ うにした。 (2)具 体 的 な 実 践 ( 富 小 三 健 志 活 動 「 わ く わ く 健 康 生 活 活 動 」 ) ①勇気くん活動(勇気をもつ行動) 「みんななかよく」をモットーに集会活動や遊びの中で全児童がなかよく・楽しく・わ く わ く し た 生 活 を し て い る 。 具 体 的 な 行 動 は 、困 っ た こ と は 「 ち ょ っ と き い て 」 と い う 富 小 三 健 志 に 相 談 す る と い う ポ ス ト 形 式 の「 勇 気 く ん の ピ ア・サ ポ ー ト 活 動 」で「 心 の 健 康 」 への支援も行っている。 ②元気くん活動(元気があふれる活動) 本来の指導の姿である「元気」があふ れる健康的な生活を送れるよう、支援している。元気くん活動は、児童 主体の活動である。具体的な活動には、「楽しく運動してほしい」とい うねらいから、「富小三健志 わくわく体操」を考案し、集会や体育時 にわくわく体操をし、楽しく運動に親しんでいる。また、学習時の姿勢 の悪さから「元気くんのよい姿勢ものさし」を作成し、目と机や本との 距 離 を 3 0c m 以 上 空 け て 背 筋 を 伸 ば す 「 姿 勢 の び 太 く ん 」 へ の 努 力 も し ている。長期休業を健康に過ごすため、「元気くんカード」で健康的な 生 活 を 送 れ る よ う 支 援 し 、「 元 気 く ん で 賞 」で 賞 賛 し て い る 。目 の た め に 、遠 く を 見 る 習 慣 を つ け る「 富 小 三健志 あ い ボ ー ド 」も 設 置 し た り 、目 の 体 操 も 考 案 し て 実 践 し て い る 。 ③本気くん活動(本気を出す学習) 児童の側にたった指導の工夫や 外 部 講 師 に よ る 授 業を展開し、児童のもつ「本気を引き出す授業 や活動を重視し、「もっと知りたい」「なぜ?」「どうして?」とい う意欲を高め、本気の取り組みを支えている。具体的な学習は、体育 -2- の保健領域や学級活動、児童保健委員会活動で身近な健康問題を解決したいという児童の 思いや願いのもとから、「本気くん学習」を実践している。 (3 )家 庭 や 地 域 と の か か わ り 本校は、開かれた学校を目指し、家庭 や地域と連携を図りながらさまざま行事や活動をさかんに取り入 れている。特に、保護者・地域人材にボランティアを募り、朝の 読み聞かせ活動や総合的な学習の時間や技能教科などの支援をし て も ら う 等 、児 童 と の 交 流 を 深 め 、心 の 育 成 に 努 め て い る 。「 み ど り の じ ゅ う た ん」(芝生)を校庭に張り、地球温暖化防止の目的などから、緑 化活動も推進し、年2回の校庭開放で「お父さんと積極的に遊ぶ 日」を設け、さかんに活動している。また、学校医や学校栄養士 の専門的な出前授業や県教委指導主事による講演会を実施し、日 常生活への実践化を図った。 Ⅱ「歯ッピー・歯つらつ・歯ッスル」歯科保健活動の実践 歯科保健活動は、「歯ッピー・歯つらつ・歯ッスル」をス ロ ー ガ ン に 活 動 し て い る 。 特 に 、 P TA 保 健 委 員 会 の お 母 さ ん 方が外部講師になって行う「歯みがき歯歯(母)隊 による 歯みがき指導」は、平成2年から継続実施している伝統行事 で 、2 1 年 度 で 2 0 回 め に な る 。こ の 指 導 は 毎 年 、学 習 内 容 を 検 討・修正して児童のニーズに応えられるよう努めている。指 導の当初、子どもたちの健康を第一に願う母親の思いと家庭 の保護者との連携なくしては歯や口腔の健康増進が望めない という現状から開始され、長年継続して行っている本校の特 色ある活動である。 1 活動のねらい 群馬県の「学校教育指針」では、健やかな心と体をはぐくむ「体づくり」を推進している のを受け、学校内外の連携を指導の重点に家庭や地域の協力を得ながら、歯科保健指導に あたる。 2 計画と実践 (1)計 画 に つ い て 配 慮 し た こ と 児 童 の 健 康 課 題 を 解 決 す る た め に 、問 題 解 決 的 な 学 習 や 体 験 的な学習を取り入れるよう努めた。また、家庭や地域との連携を 図ることで、子どもの実態を把握できる、学校歯科医の先生方と の連絡調整が密にできることを配慮しながら、実践を進めた。 -3- (2)具 体 的 な 実 践 ①給食後の「歯みがき体操」と「歯みがき歯歯隊による歯みがき指導」 「食べたらみがく」という生活習慣の定着のため、給食後に歯みがきを行っている。こ れ は 、 各 ク ラ ス で 「 歯 み が き 体 操 」 の 音 楽 を か け 、 24 カ 所 の ポ イ ン ト か ら 正 し い 歯 み が き を 身 に つ け る も の で あ る 。「 歯 み が き 歯 歯 隊 の 歯 み が き 指 導 は 、発 達 段 階 に 応 じ た 指 導 で 、 PTA保健委員会のお母さん方が外部講師となり、全学年の指導にあたっている。この指 導を楽しみにしている児童が多い。指導内容は、次のとおりである。 ○1学年・・・手作りの紙芝居「歯の王様」を使い、鏡で6才臼歯の観察をさせ、6才臼 歯のみがき方を中心に学習する。 ○2学年・・・群馬県立自然史博物館との連携を図り、動物の頭骨標本や歯のレプリカを 見せ、草食動物・肉食動物・雑食動物の歯は食べ物によって形が変わることを知らせ考え る。 ○3学年・・・「咀嚼力判定ガム」を使って、噛む力からよくかんで食べることの大切さ を伝え、噛むことへの意欲を高めさせる。 ○4学年・・・「口腔内細菌テスト」を使って、その結果から自分の口の中のむし歯にな りやすさの状態を理解させる。 ○ 5 学 年・・・「 果 汁 グ ミ 」を 使 っ て 咀 嚼 の 回 数 か ら 唾 液 の 分 泌 に つ い て 理 解 を 深 め さ せ 、 体験させる。 ○6学年・・・「糸ようじ」の使い方を知らせ、体験させることで歯周疾患予防へ意欲を 高める。 ○特別支援学級・・・自分の歯や口腔にあったブラシングをする。 ②「富小 歯の日」の活動 毎月、「8のつく日」は歯に関する健康相談やブラシング指 導をうけられる「歯の日」とし、保健室で対応している。 ③「元気くんカード」「本気くんカード」の実践 長 期 休 業 中 に は 、基 本 的 な 生 活 習慣を見直せる「元気くんカー ド」「本気くんカード」を設け、このカードを家庭の協力のもと に生活を振り返り自己評価したものを「元気くんで賞」「本気く んで賞」として賞賛した。健康的な生活ができていない児童や生 活の振り返りができていない児童には支援を行えるようにし、問 題解決へ結び付けられるようにした。 -4- ④「学校保健委員会」の活動 年 2 回の学校保健委員会において、児童の 健 康 問 題 を 取 り 上 げ て 、生 活 習 慣 の 見 直 し に つ い て 家 庭 や 地 域 と 連 携 し て 取 り 組 ん だ 。歯 科 保 健 の テ ー マ「 よ く か ん で 食 べ よ う 」と し 、生 活 習 慣 の ア ン ケ ー ト 結 果 発 表 、咀 嚼 力 判 定 と か む 回 数 に つ い て 、か み か み お や つ 作 り と か み か み チ ャ レ ン ジ な ど 、咀 嚼 力 を 判 定 し た り「 よ く 噛 む こ と に つ い て 」学 校 歯 科 医 の 講 話 を 聞 き 、よ く か む こ と を 生 活 の 中で実践するようにした。 Ⅲ 成果と課題 ○家庭や地域と連携した健康推進活動は、少しずつである が、自分たちの健康問題から家庭や地域と ともに解決するという広がりがみられ、その活動に親子で楽しく真剣に取り組むことができた。 ○自分の健康生活を見つめて振り返ることを通して、 自分の体を大切にし、健康な生活を送ろうと る意識や意欲が高まり、楽しく実践しつつある。 ○歯科保健目標を達成するため、学校医歯科医との連携を密にし、児童が自分の歯や口の健 康 状態を知り、自分の歯に合った歯みがきをするようになった。その中で、その成果が徐々に現れてき て いる。家庭との連携や家庭への啓発で家族ぐるみの生活行動に変わりつつある。 ◎児童の主体的な取り組みが定着していくよう、子どが育つ場である学校と家庭・地域のさらなる連携 を深めていきたい。 Ⅳ 表彰関係 ○日本歯科医師会会長賞 ○群馬県よい歯の学校 ○ 21 世 紀 健 康 推 進 学 校 優 秀 賞 ○群馬県よい歯の学級(3 年 3 組) ○群馬県健康推進学校(大規模校)優秀賞 ○群馬県特色ある学校 -5-
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