平成27年度 全国トラック交通共済協同組合連合会「交通事故防止に関する体験記」入選作品 優 秀 賞 管理者としての事故防止対策 (兵 庫) 塩谷運輸建設㈱ 三 河 智 成 物流会社において致命的な事故『飲酒事故』と起こりやすい事故『追突事故』根絶へ管理者としての 取組を紹介したいと思います。 毎日の様に放送されている自動車事故。それらを耳にする度に、私は他人事と思わない事にしていま す。それは、いつ我が身に降りかかってもおかしくないからです。特に飲酒による事故は社会的責任が 重く、管理会社も致命的なダメージを受けてしまいます。弊社は創業100年を超える老舗会社です。先 人の方々が築きあげてきた礎と伝統があります。私達もこれらを守り次世代へ繋いでいく責務がありま す。 飲酒運転が問題視されている中で、平成23年に点呼の際のアルコール検知器の使用等が義務化されま した。 弊社もいち早く機器を導入し、傭車先運転手さんまで管理をしましたが、薬・コーヒー・ガム・栄養 ドリンク等を感知してしまう検知器の精度の低さが悩みの種でした。実際に多くの運転手が感知により 待機状態となりました。 ただ、ここで重要なのは、本当に飲酒にあった人の抜け道が出来てしまっている事です。ついつい深 酒をしてしまっても、「風邪気味だから薬を飲んできた」と言い逃れる恐れがあり、根絶はなかなか至 難でした。が、今日の社会のニーズで検知器の精度も格段にあがり、アルコールしか感知しない国交省 推奨の検知器がでました。私は早速に社内稟議をあげ、昨年8月に設置する事ができました。 併せて長距離運行の管理強化を図るべく車輌本体に取り付けるインターロック装置を全車に搭載し ました。このインターロック装置はエンジンの始動都度に呼気測定をするもので、感知するとエンジン がかからない優れものです。これで運行時は一切飲酒できない管理体制が出来上がりました。これらの 機器を導入してからは自社運転手の待機状態は無くなり、傭車先運転手への対応もスムーズになりまし た。これで本当の意味で飲酒運転根絶の管理体制が構築されました。 管理者としての事故防止対策 1/2 一番多い事故・トラブルは追突事故及び急ブレーキによる荷崩れです。追突事故と言えば『オカマ事 故』と何故か軽い感覚になりがちですが、人身事故(死亡事故)もありますし、得意先の積荷を破損し てしまうわけですから信用は失墜してしまいます。これも会社にとって致命的な事故になってしまいま す。弊社は事故時の状況確認もするうえで、ドライブレコーダーを全車に搭載しておりますが、運転手 に事故理由を尋ねると必ずこう答えます。「急に割り込んできた。」私はこう返します。「割り込まれた と感じる車間距離に問題がある。」これは、十分な車間距離をとっていれば、『割り込まれた』という感 覚は起こらず、急ブレーキを踏む必要も無い。 『隣車線から車線変更してきた。』と思うだけという意味 の事です。車間距離は取って取り過ぎはありません。まさに車間距離が安全を示す距離だと思っていま す。 私はドライブレコーダーの映像を事故時の状況確認に活用するよりも、日々の運行状況を確認し、事 故を起こさないための教育に活用しています。 『割り込まれたと感じない車間距離を保とう』これが、私の安全教育の合言葉です。 今日の我々を取り巻く物流環境は大変厳しい状況です。運賃単価の値上げはなかなか応じて貰えない うえに、変動費・固定費の単価は年々上昇しています。その中で安全管理やコンプライアンス遵守に伴 う機器の購入も必要となってきています。 そこで私は『安全運転=運行三費削減』を掲げています。安全運転=低速走行の実施・急加減速等を しない。これにより、燃費向上・修繕費の削減・タイヤ費の削減に繋がります。 『安全なくして生産なし』弊社のお得意様の安全スローガンです。正にどの業界でも共通の言葉だと 思います。安全第一であるから、個々の生命、家族の生命、会社の生命が守られているのです。 より多くの人が同じ気持ちで業務遂行をして貰える様に今後も安全教育活動に注力していきたいと 思っております。 管理者としての事故防止対策 2/2
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