式 辞 野山の木々も、艶(あで)やかに色づき、秋の深まりを感じる頃となり

式 辞
野山の木々も、艶(あで)やかに色づき、秋の深まりを感じる頃となりました。
本日、この佳き日に、衆議院議員、平口 洋(ひらぐち ひろし)様をはじめ、多くの御来賓の方々の
御臨席を賜り、広島県立廿日市高等学校、創立百周年記念式典を、かくも盛大に挙行できますことは、
この上ない慶びであります。心からお礼申し上げます。
さて、本校の歴史を顧みますと、本校は、主に木材加工の技術を身に付けた、産業の担い手を育成
するという、時代の要請を受け、大正四年四月二日、現在の場所に程近い、桂公園の西側、桜尾の地
に、佐伯郡立工業徒弟学校として、開校しました。
大正十二年に、県立に移管された後(のち)も、開校当初の理念に基づく教育が展開され、建築や家
具の製造など、産業の発展に寄与する人材を育成してきました。
時は昭和へと移り、工業教育のニーズが高まる中、生徒数が増え、敷地の拡張、校舎や設備の充
実が必要となり、昭和十三年に、廿日市町から広大(こうだい)な土地の寄付を受け、現在の場所へ校
舎を移転しました。
第二次世界大戦後、新しい学校制度の下で、昭和二十三年に定時制課程、並びに分校が設置され
ました。
翌年(よくとし)、昭和二十四年には、全日制課程に普通科、生活科が設置され、校名が広島県廿日
市高等学校と改称されました。女子の生徒が入学し、男女共学になったのも、この頃からです。
その後、工業の学科の近隣校への統合や分校の独立、更に、家政科の廃止などの再編を経て、現
在は全日制課程、定時制課程のそれぞれに普通科を設置する単科校となっています。
この百年の間に、二万八千人を超える、多くの有為な人材を輩出し、卒業生は、広島県内はもとより、
国内外の各方面で活躍しておられます。
広島東洋カープの主力選手として球団を初優勝に導き「ミスター赤ヘル」と称され、多くの野球ファン
に夢と希望を与え、現在は解説者として、ご活躍の山本浩二実行委員長も、その一人であることは、周
知のことと思います。
創立百周年に当たり、開校以来、名実ともに、県西部の中心となる学校として、存在を示してきた、
本校の歴史を顧みて、改めて実感するのは、地域から寄せられる期待と、先人が残された功績の大き
さです。
こうした歴史と伝統が引き継がれてきたのも、多くの方々に支えられながら、歴代の校長先生方をは
じめ、諸先生方が、本校の校訓である「忠実服業」「堅忍不抜」の教えを繋ぎつつ、「豊かな知性の涵養」
「高い道徳性の確立」「逞しい実践力の体得」という教育方針の下(もと)、高潔にして円満な人格の育
成に努めてこられたからに他ならず、揺るぎない教育の基盤を築いてくださいましたことに、敬意を表し、
感謝を申し上げる次第であります。
もとより、こうした教えは現在も、脈々と受け継がれており、ここ数年を振り返ると、学習面では、平成
二十四年度から、県教育委員会の主要施策である学力向上対策事業において、トップリーダーハイス
クールに指定され、また、これからの新しい教育をめざす、広島版「学びの変革」アクションプラン元年
に当たる、今年度は、探究コアスクールに指定されるなど、県内の高等学校を牽引する役割を任され
ています。
部活動に目を転じると、全日制課程では、ボート部、ジャグリング同好会の全国大会出場をはじめ、
バスケットボール部、ソフトボール部、テニス部、水泳部の中国大会出場、吹奏楽部のコンクールでの
金賞受賞、美術部のコンテスト上位入選、定時制課程では、陸上競技部、バドミントン部、柔道部の全
国大会出場、園芸部の廿日市市「緑のカーテン」コンテストでの最優秀賞受賞など、多くの素晴らしい
結果を出しています。
このように、まさしく、本校が掲げている「質の高い文武両道」を実現すべく、教育活動を展開してい
るところです。
生徒諸君、廿高は、これまでもそうであったように、未来永劫、広島県西部の拠点となる高等学校と
して、あり続けなければならない学校であり、諸君の今日(きょう)の学び、頑張りが、十年先、五十年
先、百年先の礎(いしずえ)となります。
私は折に触れ、校是である「礼節」「勤勉」「協同」を引用し、自らの在り方生き方に責任を持ち、努力
を惜しまず自己実現をめざし、他者とともに新たな価値を創造できる人物たれ、と伝えています。
そのことを、この、輝かしい歴史と伝統のある、廿高に入学してきた、諸君に課せられたミッションで
あると受け止め、現状に甘んじることなく、更に理想を高く掲げて、勉学に、部活動に励み、次なる百年
に向けて、新たなステージの土台を築き、後輩にバトンを引き継いでくれることと期待しています。
最後になりますが、今後とも、教職員一同、これからの変化の激しい社会を生き抜くことのできる資
質・能力を備えた、真(まこと)のトップリーダーとなる人材を育成すべく、教育に尽力して参ります。
御来賓の皆様をはじめ、関係者の皆様には、これまで本校に賜りましたご厚情に、心よりお礼申し
上げますとともに、今後も変わらぬご支援をいただきますことを、お願い申し上げ、式辞といたします。
平成二十七年十一月二十一日
広島県立廿日市高等学校長 川端一弘