刀剣研磨・外装技術研修会ならびに鍛冶研ぎ研修会開催

平成二十七年度美術刀剣製作技術保存研修会
福島県 冨塚 義久 茨城県 中根利兵衛 東京都 仙波 謙治 東京都 多田 芳徳 東京都 神 早紀 新潟県 小林 英樹 山形県 佐藤 秀明 東京都 神山 貴恵 青森県 二唐奈夫樹 東京都 辺見 瑠美 茨城県 村上 一郎 福岡県 諸富 剛 富山県 要堺 市郎 埼玉県 結城 昭司 岡山県 横田剣太郎 ロシア ロシア ○研修生(一名)
福岡県 出口 雅也 ロシア 茨城県 中根利兵衛 埼玉県 野口 一郎 群馬県 斉藤 悠 大阪府 進藤 貞義 京都府 赤川 裕実 東京都 阿部 光晴 セルゲイ・セメンチェク
□聴講生(八名)
福島県 冨塚 義久 埼玉県 結城 昭司 埼玉県 衛藤 八郎 埼玉県 玉木 之子 東京都 飯山 隆司 埼玉県 上原 恵美 宮崎県 奥原勁士郎 □聴講生(六名)
○研修生(一名) ニコノフ・マキシム 柄前の部(七名)
ニコノフ・マキシム 鍛冶研ぎの部(七名)
刀剣研磨・外装技術研修会ならびに鍛冶研ぎ研修会開催
刀剣研磨・外装技術研 修 会 な ら び に
鍛冶研ぎ研修会は以下の受講生を迎
詳細は以下のとおりで あ り ま す 。
え、本年もつつがなく開催されました。
研磨の部 (二十九名)
岐阜県 各務 弦太 長崎県 湯浅 健吾 ◎特別研修生(三名)
開講式 柴原専務理事
◎特別研修生(三名)
神奈川県 秋山 貢 岡山県 安藤 祐介 東京都 林 義仁 東京都 長岡 靖昌 東京都 黒木 知輝 東京都 宮城 朋幸 白鞘の部(十名)
福島県 塚本 剛之 ◎特別研修生(一名)
大阪府 水野 淳 □聴講生(二名)
東京都 石丸 栄太 茨城県 宮下 輝 ○研修生(二名)
ロシア L.R.スチュワート
岐阜県 吉田 政也 英 国 青森県 細越 敬喜 群馬県 細村 正勝 京都府 赤川 裕実 千葉県 和田 祥一 ○研修生(八名)
長野県 岩村 茂孝 群馬県 柿沼 進一 セルゲイ ・ セ メ ン チ ェ ク
□聴講生(十八名)
29 刀剣美術2015.10(705号)
白銀の部 (十四名)
山形県 上林 真穂 大阪府 野口 裕弘 東京都 武田 典明 ○研修生(四名)
神奈川県 土倉 利夫 東京都 中村 晋也 京都府 太田 崇史 群馬県 柿沼 進一 東京都 石丸 栄太 京都府 上野 宏樹 岐阜県 吉田 政也 □聴講生(十名)
研修会場風景
愛媛県 三島 幹則 石川県 吉田 謙三 廣井 章久 三谷 修史 熊井 徹 吉原 義一 臼木 良彦 東京都 米川 好次 講師は左記の方々でした。
研磨の部
鍛冶研ぎの部
白鞘の部
組・糸巻の要諦」
、白銀の部が「肉置き
基礎技法と道具の修理」
、
柄前の部が
「常
上げます。
ただきました。衷心より厚く御礼申し
な気候のなか、大変熱心なご指導をい
なお本年度の三年間の研修修了者は
および金着せの基礎技法」をそのテー
マに掲げ、
三日間の研修に励みました。
修修了証書が授与されました。
以下の方々で、特別研修修了証書・研
を反映してか、刀剣の国際性と魅力の
◎特別研修修了者
本年の研修会は、昨今の刀剣ブーム
奥深さを再認識いたしました。研修生
奥原勁士郎 武田 典明 セルゲイ・セメンチェク
細越 敬喜 セルゲイ・セメンチェク
L.R.スチュワート
安藤 祐介 塚本 剛之 湯浅 健吾 には本年も外国人の複数参加を得て、
辺 見 瑠 美 研磨の部
道具の再点検の大切さ
研修会参加感想文
研磨の部 鍛冶研ぎの部
その熱心さに他の研修生も刺激を受け
白鞘の部 ○研修修了者
柄前の部
人日本観光通訳協会による両部門の見
研磨の部
ています。もはや恒例となった社団法
羽川 安穂 本研修会は、前半は「刀剣研磨・鍛
学会がありました。外国人の刀剣への
白銀の部
冶研ぎの部」
、後半を
「外装の部」と し
興味は想像以上だそうで、通訳の方々
白鞘の部
て双方とも三日間ずつ行っています。
の刀剣への旺盛な知識欲が、刀剣の海
外への普及に大きく貢献していること
柄前の部
日程は八月二十四日
(月)
から二十六
日
(水)
までを前半とし、二十七日
(木)
を実感しております。
授与がありました。また講師の先生方
白銀の部
から八月二十九日
(土)
までを後半とし
からは、職方としての心構え、特に道
閉講式は、それぞれの部門の最終日
開講式は、各々の初日の午前九時三
具への愛着とその良好な状態の維持へ
ました。今年は猛暑を経てやや暑さも
十分から行われ、柴原勤専務理事が挨
のこだわりなどが講評として話されま
午後二時から行われ、柴原専務理事に
拶し、本研修会は公益財団法人として
した。その道の権威者の方々のお話は、
よる挨拶及び受講証書および修了証書
の重要な事業であること。また、師弟
和らいだなか、刀剣博物館四階講堂で
の絆とその重みを各自鑑み、文化継承
どれも含蓄があり、制作のみならず日
開催されました。
を担っている現場の重要性を認識しな
常の教訓ともなる内容を含んでおり、
私は今年で二回目の参加でした。
がら研修に臨んで欲しいこと、などが
を引き締めさらなる精進を誓うことと
毎年気の引き締まる思いです。一同気
研修会は研磨の部が「仕上げ研ぎ」
、
は「仕上げ研ぎ」でしたので、
先生方、
本年度の刀剣研磨の研修会のテーマ
講師の先生方には、ご多忙と不安定
なりました。
話されました。
鍛 冶 研 ぎ の 部 が「 鍛 冶 研 ぎ の 基 礎 技
法」
、後半の白鞘の部では「搔き入れの
刀剣美術2015.10
(705号)
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先輩方に仕上げに使用す る 道 具 類 や 差
し込み研ぎについて詳し く 御 教 授 い た
だけて、新しい発見の連 続 と な る 貴 重
な研修会となりました。
なかでも、目から鱗だ っ た こ と は 、
研修会記
また吉原先生が、刃肉を落とさず荒
砥の目を落として行くやり方を実際に
見せて下さいましたが、刀身の研ぎ跡
が綺麗に揃っており、今後の目指すべ
き指標を具体的に示していただけたこ
きの原因は刀の肌の荒れ が 主 な 原 因 だ
が必要だということを知 ら ず 、 と っ つ
とから研修会が始まります。
一同が互いに協力して準備を始めるこ
刀剣博物館の四階にある講堂を会場
として開講式が行われたあと、受講生
わたって開催されました。
第四十二回鍛冶研ぎ研修会が、八月
二十四日から二十六日までの三日間に
ることが多く、これら二つの研修会が
鍛冶にとっても非常に有益な内容であ
もあり、またそこで伺うお話が私達刀
りを身近に拝見出来る数少ない機会で
受講生の方々に囲まれて指導されてお
同時に開催されている刀剣研磨の部
では、臼木良彦先生と熊井徹先生が、
研磨の部 臼木講師
鍛冶研ぎの部
しかし、先生方や先輩 方 に お 話 を 伺
と思っておりました。
鍛冶研ぎの部の講師でいらっしゃる
吉原義一先生の前で、七名の刀鍛冶が
とは大変有り難いことでした。
ってみると、磨き棒自体 に 原 因 が あ る
砥石に向かい、各々の課題に取り組む
石 丸 栄 太 ことが分かりました。拡 大 鏡 で 磨 き 棒
ばかりで、とても勉強になりました。
べく、一斉に刀を研ぎ始めます。
磨き棒のお手入れについ て で し た 。 恥
の先端をじっくり観察し て み る と 、 肉
その上、差し込み研ぎの実演を目の
ずかしながら、磨き棒に メ ン テ ナ ン ス
眼では全く見えないよう な 薄 錆 や 小 傷
前で何度も拝見できたことも、今回の
と簡単にできるという熟 練 の 業 に つ い
かったことや、このよう に す れ ば も っ
いたテクニックが実はあ ま り 意 味 が な
ていただいたり、何も疑 わ ず に 行 っ て
材料の良し悪しや推奨品 に つ い て 教 え
様にこころより御礼申し上げます。今
った先生方、先輩方、及び関係者の皆
日本美術刀剣保存協会様、御教授下さ
びと発見の場を下さった公益財団法人
たいと思います。このような貴重な学
を存分に活かして、更に精進して参り
この度の研修会で学んだ多くのこと
ったのは良い反省点となりました。
して、ムラ取りに打ち込む三日間とな
る訳もなく、当初の課題以前の課題と
を取らなければ切っ先の研ぎなど出来
よく刀を透かし眺めてみると鎬地や
平地の重ねにムラがあり、まずはこれ
が、どうしても上手く出来ません。
鍛冶研ぎの部 吉原講師
られました。研ぎ師の方々のお仕事ぶ
などがついており、これ が と っ つ き を
今年の研修会で少しでも上達するべく
生じさせる大きな原因の 一 つ だ と い う
差し込み研ぎの美しさに改めて魅せ
吉原先生にご指導をいただきました。
私自身は、やはり一番難しいと実感
している切っ先部分の研ぎに関して、
られ、化粧研ぎのみならず、差し込み
研修会の大きな収穫の一つでした。
研ぎも積極的に挑戦していこうとする
磨きの作業に入る前に 磨 き 棒 の 状 態
をきちんと確認し、メン テ ナ ン ス す る
砥石の選び方や砥面の作り方などを丁
ことを知り、驚きました 。
重要性を学ぶことができ ま し た 。
原動力となりました。
ても、先生方のアドバイ ス に よ り 知 る
後ともよろしくお願い申し上げます。
また、当たり前に使っ て い た 道 具 や
ことができました。この よ う な 場 が な
寧に教えていただき挑戦してみました
ければ、知ることのでき な か っ た こ と
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閉講式 熊井講師
実感いた
であると
ても有意
ことはと
催される
同時に開
のものではなく、各自が使いやすい道
と、自分の使っているものが絶対必要
角度などがあるのでそれを見つけるこ
や角度は人それぞれ使用しやすい刃の
ていました。それらナイフの刃の形状
せるように刃の形状や角度を調整され
どのナイフも搔き入れする場所に合わ
ナイフなども使用されていましたが、
これらの道具を自分に合うように調整
せん。数多くの鞘作りを経験しつつ、
だけで良い物ができるものではありま
すが、第一人者と同じ道具を持つこと
持つことは職人として必須ではありま
れナイフを作成しました。良い道具を
井先生と同じ寸法の突きノミと搔き入
のできる強みを持っており、早速、廣
年六月に参加させていただいた長船で
絶体絶命、最悪の事態、と言えば今
玉 木 之 子 柄前の部
技の見せどころ
知恵の見せどころ
最後に
しました。
の柄下地制作研修会は、ずっとそんな
してその都度、講師の三谷先生は「大
を行い、良い鞘を作ることのできるよ
丈夫、
直りますから」
と言いながら淡々
具を用意し、手を加えるようにとおっ
来年は、割り鞘の際に使用する道具
と直す手順を説明し、難しいところは
なります
を研修会の初日に皆で作ろうとのこと。
ことの連続だったように思います。そ
是非、来年の研修会も参加したいと思
う努めたいと思います。
取り寸法を測らせてくださったことに
私が自力で出来るところまで何度でも
驚いたことに、それらの道具を手に
加え、三日間の研修中、参加者は自由
います。
しゃられていました。
研ぎの部講師・吉原義一 先 生 、 刀 剣 研
に使用することを許可してくださり、
が、お忙
磨の部講師・臼木良彦先 生 、 熊 井 徹 先
自分の使用している道具との比較をす
しいなかをご指導くださ い ま し た 鍛 冶
生、並びに貴重な研修の 機 会 を 設 け て
廣井先生は、参加者が持参している
リほど棟方にずれ込んであけてしまう
たが、なんと研修前日に目釘穴を二ミ
件で参加するぞと意気込んでおりまし
今度こそは準備万端パーフェクトな条
そうして迎えた今回の柄巻き研修、
補助してくださったものです。
下さった日本美術刀剣保 存 協 会 の 皆 様
白鞘の部 廣井講師
ることのできる貴重な機会をいただき
道具を見ればその人の力量がわかり、
という、長い研修会史上私で二人目と
ました。
細かい工夫の有無から経験がわかると
本当にありがとうござ い ま し た 。
に、感謝と御礼を申し上 げ ま す 。
おっしゃっていたように、参加者の中
なる大失敗をやらかしてしまいました。
職人道具の大切 さ
でも特別研修生のノミの柄の黒ずみ具
白鞘の部
斉 藤 悠 当日朝、もしかしたら「技術発表会
を起こさない工夫を施しているなど、
また、道具箱に突きノミの刃こぼれ
と淡い期待を持ちましたが、
あっさり、
う」と、言ってくださるのではないか
はこれはこれとして巻きに進みましょ
では柄だけ出せばいいのだから、今回
合、大小様々な鉋の数は、白鞘師とし
道具に対しての細かい注意もプロとし
ての年季を物語っていました。
本年度の白鞘専攻の研 修 会 テ ー マ は
廣井先生は、まず自分 の 使 用 し て い
たように、職人道具がメ イ ン で し た 。
ての姿勢を見ることができました。
「搔き入れと道具の基礎」となってい
る道具を研修生・聴講生 に 見 せ て く だ
が、自分の道具を自分で作成すること
自分は野鍛冶の修業中ではあります
ります」とまで言い添えていただいて
と言われ、なおかつ「けど大丈夫、直
「 こ れ は … 穴 を 埋 め る し か な い な ぁ」
さり、その道具を使って 白 鞘 の 搔 き 入
特注の道具に加え、市 販 の 切 り 出 し
れを実演してくださいま し た 。
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だれもが思わず「きれ い で す ね ! 」
文字通り失敗の〝穴埋め 〟 に 専 念 す る
教わっておられるのを横目で見ながら、
訣、巻きながらの菱の整 え 方 、 な ど を
方、留めで左右糸の高さ を そ ろ え る 秘
紙の入れ方、腰の高い目 貫 の 巻 き 込 み
のこよりの扱い方、出し 目 貫 の 際 の 菱
まるまる三日間、先輩方 が 、 蛇 腹 巻 で
しまっては従うほかあり ま せ ん 。 結 局
くてもお客さんの都合で変更せなあか
まうんです。後、こっちに落ち度がな
いに気をつけてても失敗は起こってし
「 長 い こ と 仕 事 を し て い る と、 ど な
だなと、あとから気が付きました。
ならではの体験をさせていただいたの
ものですから、やっぱり自分も研修会
た直し方では、続く作業がずっと楽な
がって先生の豊かな経験に裏付けられ
じ失敗は失敗でも自己流の小細工とち
が、いざ自宅で作業を再開すると同
仕事に関わるということは、さまざま
活きてくると思います。また、刀装の
ただけたことは、今後の仕事に必ずや
方々の作業を見たり、話を聞かせてい
まざまな知識や経験を積んだ参加者の
羽川講師の卓越した技術や知識量は
もちろんのこと、全国から集まったさ
がたくさんあるということです。
技術的にも知識としても知らないこと
じたのは、
自分はまだまだ未熟であり、
ました。しかし、研修会に参加して感
はめになりました。
と賛嘆せずにはおれない よ う な 柄 前 を
な分野の職方との協同作業であると再
とを通して、刀匠、研師、白銀師、鞘
今までも一つの品物を作るのに分業
をすることはありましたが、同業者の
所存です。
白銀の部 羽川講師
師、柄巻師等多くの分野の方々の技術
認識することができました。
んという時もあるんです。
う対処するか? それが職人の知恵の
見せどころです」
を集約し、一つの品物へと昇華させる
公益財団法人日本美術刀剣保存協会の
最後になりましたが、このような素
晴らしい機会を与えてくださいました
加者の皆様にお礼を申し上げます。本
方がほとんどでした。今回鎺を作るこ
最終日、留めの実演を終えてから、
先生はこう言って話を締めくくられま
ことの難しさと面白さをこれまで以上
そういう絶体絶命、最悪の事態にど
作る、技のデパートのよ う な 御 方 か ら
自分は最悪の事態の対処 法 し か 教 わ っ
ていない…とへこみまし た 。
柄前の部 三谷講師
した。
に感じました。
当にありがとうございました。
皆様、ご指導下さった講師の方々、参
研修会に参加して
白銀の部
同じ会場で他の職方の作業を見たり、
話をすることで、お互いの仕事の理解
事をするだけでは得ることができない
ます。
また、来年もよろしくお願いいたし
も進み、自分の仕事への更なる理解と
六月末に備前長船刀剣博物館にて開
催された刀職技能訓練講習会に続き、
経験でした。
太 田 崇 史 今回の外装技術研修会へ初参加させて
課題の発見へと繫がります。一所で仕
いただきました。
皆さんにお見せできるよう修練を積む
今回参加して得た経験、知識をしっ
かりと活かし、更なる成長をした姿を
これまで十年程金属工芸や金属装身
具等の製造、彫金の仕事に携わってき
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