第2学年4・5・6組保健体育科学習指導案 好き 普通 嫌い

第2学年4・5・6組保健体育科学習指導案
日 時 平成 27 年 1 月 28 日(水)
場 所 大谷場中学校
授業者 千葉 啓太
1
単元名
「武道」
(剣道)
2
運動の特性
(1)一般的特性
剣道は、竹刀を使って、基本となる技や得意技を用いて相手と攻防を展開しながら、互いに「有効打
突」を目指して相手の構えを崩し、勝敗を競い合う運動である。また、剣道は、
「礼に始まり礼に終わ
る」と言われているように、特に礼儀作法を重んじ、厳格に執り行うものであり、武技、武術などから
発生した我が国固有の文化であり、積極的に取り組むことで、伝統的な考え方を理解し、相手を尊重す
る態度を育成することができる運動である。
(2)生徒から見た特性
剣道は竹刀を使って相手と攻防を展開する中で有効打を奪う運動であるため、いかに体と竹刀の操作
を調和させるかがポイントとなりそこに楽しさや喜びを味わうことのできる運動である。また、力が弱
くても、技や間合いなどを工夫することによって、一層の攻防の楽しさや喜びを感じることのできる運
動である。しかし、その反面、打突を受けたときに多少の痛みを感じることから、苦手と感じる生徒が
いる。また、仲間に「痛い思いをさせたくない」という心境から思い切った打突に踏み込めない生徒も
いる。相手を尊重しながら互いに全力で取り組むことに難しさのある運動でもある。
3
生徒の実態(省略 アンケート結果のみ掲載)
アンケート(運動有能感をみるアンケート)
①剣道の授業は好きですか(%)
②剣道に自信はありますか(%)
60
40
20
0
好き 普通 嫌い
1
③剣道に対してどんなイメージをもっているか
・礼儀正しい
・気持ちが引き締まる
・動きが複雑で難しい
・痛い
・打つのが楽しい
・大きい声
・かっこいい
・汗をかきながら戦う
④剣道の授業でこうなると楽しいと思うことは何か
・試合でうまく1本がとれるようにしたい
・真剣に取り組みながら盛り上がりたい
・正しい動きを覚えたい
・苦手意識をなくす
・お互いに教え合う
・グループを作ってやる
⑤剣道の授業でこうなると嫌だと思うことは何か
・打たれるばかりで何もできない
・(授業が)よく分からないままどんどん進む
・基本的なことばかりで試合をしない ・仲間同士で協力しない ・痛い
4
教師の指導観
生徒間、生徒と教師間の言語活動を通した学び合いによって、集団で高め合える授業を展開していく。
また、困っていることや分からないことを解決していけるように配慮する。運動能力の劣る生徒には、
ゆっくりとした動作で「形」を言語化し、体得できるようにする。運動能力の優れた生徒や理解力の高
い生徒には、グループ活動の中で相手に親身にアドバイスする姿勢を身に付けさせたい。そして、安心
して活動に取り組めるような声援のある、雰囲気のよい授業を目指していく。
単元の構成としては、まず防具の着脱を正しく、短時間で行わせ、技能の習得に多くの時間をかける
ようにする。そして、基礎・基本の徹底を図りながら応用的な技能を身に付けさせたい。前半部分では、
発声や足さばき、手の内、正面からの面打ちなど、剣道の基本がすべて含まれていると言われる「切り
返し」を学ばせ、身に付けさせたい。後半部分では、自由練習の中で打突には機会があることを理解で
きるようにする。そして、技には自ら仕掛ける技と、打ってきたものに対して応じる技があることを理
解できるようにし、相手の動きや状態、心理面の動きを読む楽しさ、奥の深さを体感させたい。
2
5
教科研究委員会の研究テーマとのかかわり
平成26年度 教科研究委員会研究主題
「学ぶ楽しさを味わわせ学習意欲を高める授業の創造」
~「身に付けさせたい力」を明確にした言語活動の工夫~
<体育、保健体育科>
研究テーマ
「言語活動を通した学び合いによって、技能を高めることができる授業づくり」
技能を高めるためには「意欲的に学習すること」
「自己の課題を把握し、解決に向けた練習をすること」
が大切であると考える。仲間と交流を深めることで、互いに主体的に学習を進めることができるようにな
ると予想される。また、アドバイスを交換することで、自己の課題を理解し、課題解決に向けた学習に取
り組むことができるようになると期待できる。豊かな言語活動を通して、結果として「技能」を高めるこ
とができる授業を展開していく。
課題解決の視点
①技能を高めるための言語活動場面
○「運動のコツ」の言語化
・
「運動のコツ」を習得できる言葉の共有化
【例】
面…相手の面が見えるまで大きく振りかぶって!
小手…相手の右小手が見えるまで振りかぶって!
胴…相手全体が見えるまで大きく振りかぶって!
○ペアやグループでの学び合いの時間の確保
<運動後の振り返り場面での技能にかかわる言葉掛けの内容の共有>
【例】
「正中線を通す!」
「残心を意識!」
<約束練習、自由練習、試合後のペア・グループでの話合い>
※「一本の基準」など、感覚を伴った慣れが必要な場面での確認
【例】
「打突部位に当たっていなかった!もっと背筋を伸ばして!」
「とても大きな声が出ていて、充実した気勢があった!」
○思い切って発声することができる雰囲気づくり
<発声を取り入れたウォーミングアップの工夫>
・竹刀を用いた体操、素振り、切り返し
<剣道部の生徒を師匠として、声出しを真似しよう!>
・
「気・剣・体」の「気」の表現の充実…大きな声、強い踏み込み
○生徒間、教師から生徒への言葉掛けの充実
3
②言語活動を豊かにするための学習資料
○言葉掛けの種類(声の種類)の分類
指示の声「声を出して!元気よく!」
確認の声「構えたとき、つるは上を向くんだったよね」
励ましの声「がんばれ!平常心!」
○技能を高めるために知識を深めることができる資料の掲示
<「剣道の教え」の掲示>
練習場面
克己心
千鍛万錬
交剣知愛
至誠一貫
試合場面
先手必勝
動静一如
平常心
四戒
不撓不屈
三省
<「昇級審査の基準」の掲示>
③言語活動を豊かにするための教師行動
○学習カードへのコメントを記入する際の指導と評価の一体化
○言語活動と運動量の確保のバランスの取れた授業展開
6
単元の目標
(1)伝統的な行動や相手を尊重する態度を身に付け、互いに助け合い教え合って学習できるようにすると
ともに、練習する場の安全を確かめるなど健康・安全に留意して練習や試合ができるようにする。
【関心・意欲・態度】
(2)自己の能力に応じた課題を見付け、練習の方法を工夫することができるようにする。
【思考・判断】
(3)基本打突を用いて打ったり受けたりするなどの攻防を展開できるようにする。
【技能】
(4)用いる竹刀や防具の名称、技の名称や練習の仕方、礼法と正しい打突について理解できるようにす
る。
7
【知識・理解】
単元の評価規準(学習活動に即した評価規準)
運動や健康・安全への
運動や健康・安全に
関心・意欲・態度
ついての思考・判断
①剣道の学習に積極的に取り
①技を身に付けるための
組もうとしている。
②相手を尊重し、伝統的な行
動の仕方を守ろうとしてい
る。
③仲間と協力し、教え合った
り励まし合ったりしようと
している。
④練習場所の安全や自他の健
康に留意している。
運動の行い方を工夫し
ている。
②基本となる技の攻防の
仕方から、自己に適し
た攻防の仕方を選んで
いる。
運動や健康・安全に
運動の技能
① 基本動作、基本とな
名称、技の名称が正
② 「切り返し」を正確
しく理解でき、練習
に行うことができ
の中で使えている。
る。
③ 基本となる技を用
③仲間に対し、技術的な
たりするなど攻防
課題や有効な練習方法
を展開することが
について助言してい
できる。
4
①竹刀の部位や防具の
る技ができる。
いて、打ったり受け
る。
ついての知識・理解
②基本的動作や正しい
礼法や授業の約束が
理解できている。
8
単元の計画(10時間扱い)本時は○
(1) 学習過程
時間
ね
1
3
4
5
6
8
○
7
9
10
<はじめ>
<なか1>
<なか2>
<まとめ>
ねらい1
ねらい2-①
ねらい2-②
ねらい3
・剣道の特性や学習のねら ・相手の動きに応じた基本
・基本となる技を用いて、 ・技能を生か
い、伝統的な行動の仕方
的動作を身に付け、安全
打ったり受けたりする
した攻防を
を理解する。
に練習ができる。
など攻防を展開する。
楽しむ。
ら
い
2
・学習内容の見通しをもつ。 ・
「切り返し」を正確に行
・基本動作、基本となる技
・単元を振り
う。
返り、まと
を身に付ける。
1 集合 整列 出欠確認
2
オリエンテーション
・特性、単元目標の確認
3
学習の進め方
・班編成と役割分担
学
・防具の扱い方、使用上
習
の約束を理解する。
過
4
礼法・作法
程
5
基本動作
めをする。
健康観察 黙想 挨拶
準備運動 本時の内容
2 基本となる技
・小手打ち・面打ち
・胴打ち
・打たせ方、受け方
3 切り返し
4
しかけ技
・二段の技
5
既習技の復習
応じ技
・抜き技
足さばき、素振り
6
ねらいの確認
6
防具の着脱
約束練習
自由練習
6
簡易試合
(付け方・まとめ方)
7 集合、整理運動、反省とまとめ、次回の説明、あいさつ、片付け
関
①②
③
思
①
②
③
技
①
②
③
①
②
知
④
5
(2)学習と指導・評価
段階
学習のねらい・学習活動
指導・評価(指導○ 評価規準◆)
評価方法
ねらい①
・剣道の特性や学習のねらい、伝統的な
行動の仕方を理解する。
・学習内容の見通しをもつ。
・基本動作、基本となる技を身に付ける。
1 集合 整列 出欠確認
健康観察
黙想 あいさつ
準備運動
○準備運動は、体育委員の号令で一斉に行
・体育委員の号令で一斉に行う。
わせ、各動作を正確に行わせる。
本時の学習内容とねらいの確認
2 オリエンテーション
○単元の目標や、剣道と特性や学習の進め
・単元目標、剣道の特性、ねらいを知
る。
ている。
3 学習の進め方
○お互いに高め合う仲間として、相手を尊
を理解する。
分
重する礼儀作法を指導する。
4 礼法・作法
◆相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守
・座礼、正座、黙想、座礼、掲げ刀、
3
学習カード
方、活動場所の安全について指導する。
・防具、竹刀の扱い方、使用上の約束
50
【関①】
観察
○防具、竹刀の安全管理、安全な活動の仕
・班編成と役割分担
め
×
◆剣道の学習に積極的に取り組もうとし
・学習カードの記入方法を知る。
は
じ
方について理解させる。
ろうとしている。
観察
【関②】
帯刀、立礼
・防具の扱い方、使用上の約束を理
解する。
5 基本動作
○基本動作の打ち方、打たせ方を正しく行
・姿勢、呼吸、構えと目付け
わせることを通して、剣道の特性につい
・構え方と納め方、足さばき
て体験させる。
・素振り、掛け声、間合い
◆技を身に付けるための運動の行い方を
・基本の打ち方及び打たせ方
工夫している。
・打突部と打突部位の確認
る。
6 防具の着脱(付け方・まとめ方)
整理運動
学習カード
○打ち方と打たせ方の大切さを理解させ
・残心
7
【思①】
観察
自己評価
相互評価
◆基本動作、基本となる技を身に付けるこ
教
とができる。
師からの評価 次時の確認
6
【技①】
観察
ねらい2-①
・相手の動きに応じた基本的動作を身
に付け、安全に練習ができる。
・
「切り返し」を正確に行う。
1 はじめと同じ
○用具の準備は協力して安全に行わせる。
2 基本となる技
○道具の安全に留意する。
・小手、面、胴打ちの打ち方と打たせ方
な
・意欲を高めるための打突
か
・気剣体一致の定着を目指す打突
1
言語活動:運動のコツの言語化
50
言語活動:思い切って発声することが
分
◆協力して準備をしようとしている。
【関③】
○基本動作や基本の打ち方について理解
させる。
学習カード
観察
学習カード
○基本動作の練習は毎回継続して行う。
◆基本となる技の攻防の仕方から、自己に
観察
適した攻防の仕方を選んでいる。
できる雰囲気づくり
【思②】
×
3
観察
3 切り返し
◆竹刀の部位や防具の名称、技の名称が正
・切り返しの練習
観察
しく理解でき練習の中で使えている。
【知①】
○大きな掛け声とともに打たせる。
○「切り返し」の発声や足さばき、面打ち
の方法を理解させる。
◆「切り返し」の流れがつかめている。
観察
【技②】
ねらい2-②
・基本となる技を用いて、打ったり、
受けたりする攻防を展開する。
4
しかけ技
○なか②のしかけ技の練習は、一斉指導で
・二段の技(小手―面、面―胴)
な
5
応じ技
行う。
○しかけ技は、相手が動作を起こす前に自
か
・応じ技の中の抜き技
分から打突する技であることを、理解で
2
(面抜き胴、小手抜き面)
きるようにする。
○なか②の応じ技の練習は、グループごと
50
分
×
3
言語活動:ペアやグループでの学び合
6いの時間
約束練習
の課題に取り組ませる。
◆仲間に対し、技術的な課題や有効な練習
自由練習
・審判法を確認
言語活動:生徒間、教師から生徒への
方法について助言している。 【思③】
観察
学習カード
○審判法の確認をする。
○自由練習では、一本をとるために打ち切
ることを目指す。
言葉掛けの充実
◆基本となる技を用いて、打ったり受けた
りするなど攻防を展開することができる。
【技③】
7
観察
ねらい3
・技能を生かした攻防を楽しむ。
ま
と
め
50
1~5 なか1・2と同じ
○簡易試合の方法について理解させる。
6 簡易試合
(ポイント制)
・ポイント制による試合
○身に付けた技を積極的に使って、楽しく
7 学習のまとめ
練習や攻防の展開ができるよう助言す
る。
分
○役割分担をし、自主的に試合運営を行わ
×
せる。
1
◆練習場所の安全や自他の健康に留意し
ている。
観察
【関④】
○学習カードを用い、学習のまとめを行わ
せる。
9
本時の学習と指導( 8/10時 )
(1)ねらい
①仲間と協力し、教え合ったり励まし合ったりしようとしている。
【 関・意・態 】
②仲間に対し、技術的な課題や有効な練習方法について助言している。
【 思・判 】
③基本となる技を用いて、打ったり受けたりするなどの攻防を展開することができる。
(2)準備
防具 竹刀
【 技 】
手ぬぐい デジタルタイマー
(3)展開
段階
学習内容・活動
○指導上の留意点(指導○ 評価規準◆)
1 整列 垂・胴を付ける
○集合の前に胴と垂を付けて集合する。
2 出欠確認・健康観察
○出欠席者の確認、体調不良、見学者の確認をする。
※竹刀の点検
○各運動の動きを正確に行わせる。
導
3 黙想・あいさつ
○大きな声を出させ、元気よく行わせる。
入
4 準備運動
○あいさつを整然と行わせる。
10
・足さばき運動1分×4
分
・竹刀を使ったストレッチ
○一つ一つの動きを大きく行わせる。大きな発声も
意識させる。
・素振り
5 本時のねらいと課題の確認
○本時のねらいや学習の流れを理解させる。
約束練習で身に付けた技能を自由練習で生かそう!
[面と小手の装着]
展
6 気剣体の一致の定着を目指す打突
開
・正面打ち
30
・小手打ち
分
・右胴打ち
○6・7は通しで行う。
・切り返しの練習
○竹刀を大きく振り上げること、打突部位、発声を
意識させて行わせる。
8
7 相手の動きに応じた攻防の約束練習
しかけ技
しかけ技
・相手が技を起こす前に自分から積極的に
≪二段の技のポイント≫
しかけて相手の隙をつくり、すかさず打突
小手→面…最初の小手打ちから、右足を素早く踏
する。
み込んで面を打つ。
○小手→面
面→胴 …最初の面打ちから竹刀を返し、大きく
○面→胴
踏み込んで右胴を打つ。
応じ技
応じ技
・相手がしかけてきた打突に対して応じる
≪抜き技のポイント≫
技
・面抜き胴…面打ちに対して、斜め右前に体をさば
○抜き技
きながらすれ違いざまに右胴を打つ。
・面抜き胴
小手抜き面…小手打ちを左後方に下がって抜き、相
・小手抜き面
手の剣先が下がったところを踏み込ん
8 自由練習
で正面を打つ。
≪自由練習の行い方≫
展
①中心で立礼をして、お互いが構える。
開
②「始め」の宣告で自由練習を開始する。
○約束練習はグループで協力し行う。
30
③決められた時間になったら「やめ」の宣告を
◆仲間と協力し、教え合ったり励まし合ったりしよ
分
し、自由練習を終了する。
うとしている。
【関】
④中心で竹刀を納め、互いに礼をして退場す
る。
≪判定≫
○審判法の確認をする。
・審判が一本と判断できる場合、手を挙げ
○一本の判定は自信をもってはっきりと行う。
る。
※言語活動
○基本となる技を用いて、攻防させる。
試合後に分かち合いをする。
◆基本となる技を用いて、打ったり受けたりする攻
・仲間のよい点
防を展開することができる。
「積極的に攻めていた」
【技】
「気勢が充実していた」
・よりよくなるためのアドバイス
○一本の判定については公正な態度がとれるよう助
「間合いが近いからもっと離れたほう
言する。
がよい」
「姿勢が崩れているから、もっと背筋を
伸ばすとよい」
展
開
30
分
・自由練習は1分で行い、20秒で次の入れ
替えを行う。
○自由練習後に、仲間同士で助言し、よい点や改善
・打突部位を間違えたり、他の組とぶつかっ
点についてアドバイスできるように指示する。
たりしたときは、会釈してから再開する。 ◆仲間に対し、技術的な課題や有効な練習方法につ
・一本取られたら、すぐに立礼して再開す
いて助言している。
る。
9
【思】
9 整理運動・反省
○正確に行わせる。
整
10 集合・整列・健康観察
○すばやく集合させる。
理
11 本時のまとめ
○本時の努力を称賛し、次時への意欲をもたせる。
10
12 あいさつ・片付け
○次時への課題を明確にさせる。
分
○全員で協力して、安全にかつ迅速に片付けさせる。
10