経済産業省商務流通保安グループ商取引監督課 パブリックコメント担当御中 「産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会中間的な論点整理」 に対する意見 [氏名] 一般社団法人 担当:事務局 新経済連盟 小木曽 稔 [住所] 東京都港区赤坂 1-14-5 アークヒルズエグゼクティブタ ワー8 階 N811 [電話番号] 050-5835-0770 [FAX 番号] [電子メールアドレス] [意見] 1.はじめに どのような分野においても、過度な規制は正常なビジネスの発展を阻害するも のであり、規制は、立法事実がある場合に必要最小限度にとどめるべきである。 特に、決済分野において必要以上の規制を行うことは、規制対応コスト増加等 により日本が目指すキャッシュレス決済の拡大にマイナス影響を与える可能性 が高い。新たな規制の導入については、立法事実があり、その規制が問題解決に とって効果的であるかどうか、慎重に議論・検討を行うべきである。 また、国際的な競争のなかで国内事業者だけを規制すると国内企業の競争力を 失わせる可能性がある。国外企業と国内企業の間に不公平が生じないよう留意す べきである。 2.検討の方向性について これまでの議論を見ると、議論の発端となっている消費者の相談・苦情内容の 分析が十分になされておらず、問題の所在についての検証・議論は尽くされてい ない。つまり、立法事実が明確化されていないなか、ごく一部の悪質事業者の存 在を理由に、取引の一部である決済部分のみにフォーカスを当て、取引全体に影 響を及ぼす規制ありきの検討がなされているという印象を受ける。 問題の所在を明確にし、その解決に結びつく施策はなにか、総合的な検討を行 ったうえで、解決に結びつくと判明した対策を講じるべきである。 例えば、2.2.に消費者相談の動向について記載があり、表が掲載されてい るが、これは、すべての消費生活相談について当該取引の支払方法別に件数を出 1 した数字であって、クレジットカードの利用が拡大する中、相談があった取引の 決済方法がたまたまクレジットカードであり、問題の所在とは必ずしも関係のな いものも含まれている数字であることに留意が必要である。 小委員会においてもたびたび各委員から発言があり、本論点整理にも記述があ るとおり、相談・苦情等の内容の分析を通じトラブルの発生状況を把握すること がまずは必要である。それが明らかになっていない状態では、問題の所在を正し く把握することができず、解決方法の検討ができない。 3.決済代行業者の定義について 決済サービス提供事業者の存在は、利用者が幅広い決済方法の中から自らのニ ーズに合うものを選択できるという大きなメリットを生み出し、経済活動の活性 化に寄与し、全体を見ればそのほとんどの取引は正常に行われていると考えられ る。そして、決済サービスは、イノベーションの創出が期待される分野でもある。 規制の必要性や導入による影響などを慎重に議論・検討しないまま拙速に結論を 出せば、日本経済に大きなマイナス影響を及ぼしかねない。 本論点整理には、決済代行業者とは何者であるのか、定義付けが一切なされて いない。いわゆる決済代行業者について一定の類型分けはされているが、どこま でが検討の範囲になっているか不明瞭である。さらに、第2章1.1.には、 「加 盟店の調査・是正を実質に行える PSP」という極めて曖昧な記述があり、既に自 主的な取り組みを行っている「いわゆる」決済代行業者のみを規制の対象にしよ うとしているようにも受け取ることができるが、それでは問題の解決に繋がらな いことは明白である。何らかの規制を検討するにあたっては、問題の所在の把握 をした後、対象となる事業者を明確に定義づけすべきである。 2および上述のような状況であることから、本論点整理のように「アクワイア ラ―及び加盟店の調査・是正を実質的に行える PSP については加盟店の取引等に 係る規定を適用するという構造に改める方向で、具体化の検討を進めるべきであ る」と結論付けることは拙速であると考える。 4.マンスリークリア取引について マンスリークリア取引は、クレジットカード決済に係る取引の多くの割合を占 め、日本における消費活動の根幹を支えていると言っても過言ではない。また、 日本を訪れる外国人にとって最も一般的かつ基本的な決済方法であると考えら れる。そのような状況のなか、問題の所在が把握できていない状態で、 「相談・苦 情のあった取引のうち決済方法がマンスリークリアだった件数の総数が増えた」 ことや、 「悪質事業者が一部存在する」ことだけをもって、全事業者に重大な影響 を及ぼす抗弁の接続を認めることは、正常な取引に与える負の影響があまりにも 2 大きく、反対である。 5.さいごに クレジットカード決済について新たな規制の導入を検討するにあたっては、多 くの事業者が影響を受けることから、幅広い事業者や経済団体から意見を聞く機 会を設けていただきたい。 以上 3
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