アルツハイマー型認知症早期診断 マーカーの開発 (糖鎖修飾異常に着目) 鳥取大学 大学院医学系研究科 研究科保健学専攻 病態解析学分野 教授 浦上 克哉 高齢者が一番なりたくない病気は? 認 知 症 最近の認知症の頻度 65歳以上の10人に1人 鳥取大学知的財産センター成功第1号 確定診断に役立つ診断マーカー 髄液中アミロイドβ蛋白1-42 髄液中リン酸化タウ蛋白 目 的 アルツハイマー病の新規診断マーカーの検索 髄液中で、単独かつより感度・特異度の高いマーカー を検索する WGAに結合する糖タンパク質 WGA : Wheat Germ Agglutinin (小麦胚芽レクチン) (GlcNAc)n, Sialic Acid に特異的に結合する 糖鎖を持つタンパクを特異的に検出できる 高マンノース型 N型糖鎖 糖鎖 (Asn) O型糖鎖 (Ser/Thr) 複合型 混成型 髄液中糖タンパクのWGA結合量 P PS ntr ol co AD D CB co ntr ol co ntr ol DL B co ntr ol AD (レクチンブロット法 による) kDa 160 105 75 50 35 30 25 (a) 約75kDa (b) 31~33kDa (c) 約25kDa 15 3つの糖タンパクが、ADで低値であった。 髄液中のWGA結合タンパク-a p < 0.001 Count (x 104) 7 6 感度: 5 特異度: 73.0% 74.5% 4 3 Cut off: 2 x 104 2 1 non-demented control AD (n=37) (n=45) 各疾患の診断 問診・内科学的診断・神経学的診断・高次機能検査 画像検査(CT, MRI, SPECT) AD CBD PSP DLB : : : : DSM-IVおよびNINCDS-ADRDA Rinne、森松らの診断基準 NINDS-SPSP DLBのコンセンサスガイドライン を満たすもの WGA-binding-a p < 0.001 700 p < 0.001 感度: 88.6% 特異度: 92.3% DLB 600 PSP CBD 500 感度: 84.0% 特異度: 78.2% 400 300 200 DLB PSP CBD PSP 184.5 DLB DLB 100 PSP non-demented control AD タウオパチー (n=32) (n=44) (n=13) 205 WGA結合糖タンパク-a = トランスフェリン 679 a.a. 79kDa の血清糖タンパク質 Tf 1st Ab CSF (-) N-結合型糖鎖を2つもつ AD AD WGA 糖鎖 タンパク タンパクか? 糖鎖か? 髄液中のトランスフェリンタンパク濃度 (μg/ml) non-demented control (n=21) 29.73 + 14.79 タウオパチー (n=9) 25.09 + 7.59 AD (n=20) 26.68 + 8.66 トランスフェリンタンパク量には異常はない。 では、糖鎖の異常ではないか? トランスフェリンの糖鎖構造 tetrasialotransferrin (normal) H2N-Val 1 disialo TyrAsnLysSer disialo 611 Pro-COOH 679 NH2 TyrAsnLysSer asialo 413 SerAsnValThr NH2 SerAsnValThr NH2 TyrAsnLysSer SerAsnValThr TyrAsnLysSer SerAsnValThr N-acetylglucosamine mannose galactose sialic acid トランスフェリンの糖鎖の解析 AD control Tf のCBB染色 0.1μg Tf/ lane Tf のWGA染色 0.1μg Tf/ lane 等電点電気泳動によるTf の糖鎖の解析 4-sialo 3-sialo 2-sialo 1-sialo 0-sialo 1μg Tf/ lane 血清WGA 結合トランスフェリン AD コントロール群 Tf タンパク (0.2μg/ml Tf) WGA結合 Tf (0.2μg/ml Tf) × Density 104 (counts) 3 * Mann-Whitney’s U Test 2 *: p<0.001 1 0 コントロール群 (n=30) AD (n=30) 血清中WGA結合トランスフェリンは アミロイドβ蛋白の変化より先行する * × Density 104 (counts) 3 ** ns Mann-Whitney’s U Test 2 *: p<0.007 **: p<0.001 1 0 コントロール群 (n=30) p‐tau/Aβ p‐tau/Aβ ratio<0.1 AD ratio>0.1 AD (n=14) (n=16) まとめ 1) 髄液中WGA結合トランスフェリン測定がア ルツハイマー型認知症とその他の認知症の鑑 別に役立つ所見が得られた。 2) 血清中WGA結合トランスフェリンの異常 はアルツハイマー型認知症の早期変化を捉え ており、この測定が早期診断に役立つ可能性 が示唆された。 従来技術との比較 髄液あるいは血液中の糖鎖異常を有するトランスフェリンを測定 することにより、アルツハイマー型認知症とその他の認知症を早 期に鑑別でき、米国で国を挙げて支援している18種類の血液中シ グナルマーカーを測定するのに比較して、遥かに容易で・低コスト で施行できる。 想定される用途、業界 病院等医療施設による認知症診断。 医薬品、検査開発に携わる企業 実用化に向けた課題 簡単且つ多数のサンプルを測定できる方法の確立。 企業への期待 アルツハイマー型認知症におけるトランスフェリンの糖鎖 異常を、簡単且つ多数のサンプルを測定できるアッセイ系を 一緒に開発していただける企業を求めています。 本技術に関する知的財産権 ・発明の名称:病の新規診断マーカーの検索 ・出願番号:特願2006-242044 PCT/JP2007/0067428 (WO/2008/029886) ・出願人:国立大学法人 鳥取大学 ・発明者:浦上 克哉 問い合わせ先 鳥取大学 産学・地域連携推進機構 知的財産管理運用部門長・教授 佐々木 茂雄 TEL:0857-31-6000 FAX0857-31-5474 E-mail [email protected]
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