Moodle 教習所 ムードル‐トライアル大学学長挨拶

Moodle 教習所 ムードル‐トライアル大学学長挨拶
やさしく、 安定した e ラーニングを、 安全に。
■「e ラーニング後進国日本」でよいのでしょうか?
お隣の韓国あたりでは、e ラーニングの普及ぶりは世界的にも先進的であるようです。我が
国も、情報インフラが発達し、良い教材や熱心な教員の方も多く見受けられるわりには、残念
ながら e ラーニング後進国と言われることがあるようです。
これには日本の学校の先生方に、eラーニングへのいくつかの危惧がおありだとすると、そ
れも要因の一つになっているのではと想像されます。私自身をふりかえってみた場合、四つほ
どの危惧があったように思います。
■e ラーニングに求められる課題
第一は、教員サイドにも学習者にも情報処理リテラシーにばらつきがあるので、それを払拭
できるほどに、操作はやさしいか。
第二は、多くの重要な個人情報を含むので、セキュリティーの安全さが十分確保できるか。
第三は、いくつもの大人数クラスの学習者状況を一括管理することもあるので、システムの
稼働が常に安定しているか。
第四に、単なる自習用の自動採点ドリルとしてではなく、授業時間外のクラス内ツールとし
て用いたいので、教材や小課題の告知・回収、クラス全体での討議などを画面上でもできる仕
組みになっているか。
私たちが e ラーニングのしくみとしてムードルを選んだのは、これらの危惧を現状ではもっ
とも高度に解決できるウェアだと認識したからです。
■ ム―ドルの理念
ムードルの安定性能の高さは、世界的な普及ぶりがその証拠だとも言えそうです。また、
多くのすぐれた機能があることも魅力の一つと言われますが、これは公開ソフト(オープンソ
ース)であることで、多くの人智が反映しているからこそでありましょう。そして何よりも、
学習者の視点に立っているらしい点が、世界のさまざまな教育機関で受け入れられている最大
の理由なのかもしれません。
私どもの理解が正しければ、ムードルの設計理念は、教師と学習者とが学びの場に対して、
いわば対等な関係におかれているようです。学びの場そのものとしてのムードルにとって、そ
こに集う教師と学習者とは、まさにロールと呼ばれるとおり、両者は「役割」のちがいとして
とらえられており、その意味で対等に位置付けられていると言えましょう。これは、それぞれ
の「役割」に求められている作業を、それぞれにおいて管理しやすくしてくれることを追求し
た結果だと思います。
私どもの社団では、その設立趣意の出発点には、〈教え〉の環境よりもむしろ、〈学び〉の
環境をどうそろえてあげられるか、という考えがありました。
〈教え〉と〈学び〉との間に何某
かのギャップがあるとすると、双方を橋渡していくことが私どもの使命の根幹だと考えており
ます。ムードルの設計思想は、このような社団の趣意と強く合致するものでありました。
■ムードルの導入と運用ノウハウの蓄積公開
現状日本では、さまざまな支援は実践されているものの、さまざまな機関における学習とい
う場面で、e ラーニングあるいはグループウエア自体の普及が先進国としては十分とは言えず、
したがって、ムードルの普及もそれ相応のものにとどまっているかと思われます。
私どもは、専門のスタッフによってムードルの導入はもちろん、導入後の運用ノウハウを提
供支援することまでを、当社団 電子教科書センター e ラーニング普及支援事業部の公益事業
として位置づけております。そして、蓄積したノウハウを、会員の皆さまに広く公開し共有し
ていくことで、学習者の方々の学びが軽やかに、しかし確実なものになるよう願っております。
社団法人日本学習者協会 会長理事
鈴木泰 (東京大学名誉教授)