大阪府済生会 中津病院

HEALTHCARE
大阪府済生会 中津病院
VMware のソリューションで50 近くの院内システムを
統合した次世代インフラ基盤を構築。医療サービス向上を
支えるワークスタイル変革の素地も確立
課題
「無料低額診
1916 年の開院より済生会設立時の精神である「施薬救療」に則り、
• 乱立する部門システムにより院内のサー
療事業」を行い、医療費の減額や医療の無料提供に努める大阪府済生会中津病院。
バスペースが逼迫
• 各部門の医療従事者が兼任でサーバ管
理を行っており、本来重要な医療業務に
注力できない状況が発生
• ライセンスやセキュリティ管理においても、
院内におけるポリシーの統一が困難
ソリューション
VMware vCloud Suite を活用し、電子
カルテシステム、
部門システムを含め、
50 近
くにもなる院内のほぼすべてのシステムを
仮想化して統合し、省スペース化、設備コス
トの削減、サーバ運用の管理負荷軽減を実
現。同時に、VMware Horizon によるデ
スクトップ仮想化で、
医療従事者のワークス
タイルの変革に向けた素地を確立
導入効果
• HA 機を含む 16 台の物理サーバに集約
し、大幅な省スペース化を実現
• 物理基盤の採用と比較して、ハードウェア、
電気代、保守料などのコストを抑制
• 各部門の兼任担当者がサーバ運用の負
荷から解放され、本来の医療業務に注力
することが可能に
• 医療サービス向上に直結する医療従事
者のワークスタイルの変革の素地を構築
導入環境
• VMware vCloud Suite
Enterprise Edition
• VMware Horizon Enterprise
Edition
• VMware プロフェッショナルサービス
同院では、医療機関に求められるセキュリティを担保しつつ、IT を活用した医療サー
ビスの向上、効率化を図ることを目的に VMware のソリューションを導入。
VMware vCloud Suite を使って 50 近くの院内システムを仮想基盤上で統合す
ることで、運用負荷とコストの低減を図るとともに、VMware Horizon によって医
療従事者のワークスタイルを変革する“10 年先を見据えた” 次世代インフラ基盤
を実現しました。
50 近くもの院内システムの乱立により
運用負荷の増大、
スペースの不足が課題に
社会福祉法人恩賜財団済生会の全国 79 病院
の中では 3 番目、大阪にある済生会 8 病院の
中では最初に設立され、2016 年に 100 周年を
迎える大阪府済生会中津病院
(以下、中津病
院)
。同院は都市型総合病院として、急性期医
療から回復期リハビリテーションまで幅広い
医療を行い、さらに訪問看護など退院後の在
宅支援部門も備えています。また、病院、診療
所の機能分担が進む中、地域の 「 かかりつけ
医 」との連携による患者の「 紹介 」、
「 逆紹介 」
を推進してきた同院は、平成 26 年 11 月、大阪
府より地域医療支援病院として認定を受けて
います。
医療サービスを支える IT の役割がますます
重要になる中、同院にとって大きな課題となっ
ていたのが、院内の部門ごとに構築されたシ
ステム群の運用管理負担とコストの増大でし
た。医療情報部 IT 推進課 課長の西本祝福氏
は、次のように話します。
「電子カルテシステムの導入に伴い、院内では
50 近くものシステムが稼働しています。検査
部門には各検査システムが、放射線部門には
RIS などの放射線関連システムが、さらに薬剤
部門には調剤システムなどがありますが、それ
ぞれは部門ごとに独自に管理運用されている
状態です。こうしたシステムの管理は各部門
の医療従事者が兼務していたため、本来の医
療業務に注力できない状況も発生していまし
た。またハードウェアやソフトウェア、さらにセ
キュリティ製品の調達も部門単位で行われて
いたため、物理サーバが年々増加するだけで
なく、
ライセンスの重複といった無駄や院内の
設置スペースが確保できないといった問題も
生じていました。さらに、医療機関として求め
られるセキュリティポリシーの統一という面で
も課題がありました」
これらに加え、同院は地域医療を支える都市
型総合病院として、10 年先を見据えた医療
サービスのあるべき姿の実現、そのための医
療従事者のワークスタイルの変革も課題とし
て捉えていました。そこで浮上したのが、仮想
化ソリューションを全面的に採用し、次世代
の統合インフラ基盤を構築して、これらの問
題に対応するというプランでした。
2012 年、院内のすべてのシステムを仮想化基
盤上で統合できるソリューションの選定に着手
した同院が、最終的に採用したのが VMware
vCloud Suite Enterprise Edition と
VMware Horizon Enterprise Edition でした。
「部分的なサーバの仮想化ではメリットも半減
することから、すべてのシステムを仮想化でき
る統合基盤として、VMware の圧倒的な導入
実績を評価しました。その後スタートした導入
プロジェクトは、
各部門から選出したプロジェク
トメンバーの尽力によって、2014 年 11月から次
世代の統合インフラ基盤が無事稼働するに至
りました」
(西本氏)
院内のシステムを仮想集約。省スペース
化と同時に設備投資コストも抑制
今回のプロジェクトでは、電子カルテシステム
ほか 50 近くのすべてのシステムが、VMware
の統合基盤上に集約されています。部門シス
テムは、部門ごとに個別に望むシステムを選ば
せているのも、中津病院としての進め方の特
徴です。また、同時に BYOD などに対応でき
るようデスクトップ仮想化環境(VDI)
も同基
盤に実装され、クライアント端末の仮想化が
実現されました。この構築には、VMware の
コンサルティングサービスが全面的に支援し
ています。
新たな統合基盤の導入は、省スペース化、
コス
ト削減、運用負荷の軽減、
さらに将来を見据え
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大阪府済生会 中津病院
医療情報部 IT 推進課 課長
西本 祝福 氏
「VMware のソリューションを活用し
た次世代インフラ基盤によって、大幅
な省スペース化、物理環境と比較して
ハードウェア、電気代、保守料のコス
ト削減が実現したことに加え、医療従
事者のワークスタイルの変革の素地
が確立したことには、医療サービス向
上に向けた大きな可能性を感じてい
ます」
カスタマープロフィール
全国の済生会 79 病院の中では 3 番目、大阪
にある済生会 8 病院の中では最初に設立され、
2016 年には 100 周年を迎える。開院当初から
済生会設立時の精神である
「施薬救療」
に則り、
医療費の減額や医療の無料提供に努め、
都市
型総合病院として幅広い医療を行っている。
た医療従事者のワークスタイルの変革への第
一歩という意味で、中津病院に着実な成果を
もたらしつつあります。
ように話します。
医療サービス向上に直結する
ワークスタイルの変革の素地
最後に、西本氏は今回のプロジェクトを総括
して、以下のように締めくくりました。
「今回の
仮想化統合基盤によって実現される管理負荷
の軽減や医療従事者のワークスタイルの変革
は、最終的にはすべてが医療サービスの品質
向上に直結するものです。済生会の設立の精
神 を 未 来 に 受 け 継 ぐ た め に も 、今 後 も
VMware のソリューションの発展に期待して
おります」
「これまでは電子カルテを参照できるパソコン
には専用のソフトウェアが必要であったため、
西本氏は
「仮想化によって、
外部から紹介されて入院した患者さんの容体
HA 機を含め、16 台
などについて、紹介元のドクターがその状況
の物理サーバ上にすべてのシステムを集約す
を把握することは不可能でした。しかし、VDI
ることでラックが 4 本となり、
大幅な省スペース
化が実現しました。また仮想化による統合基
によって今後は物理端末に依存せず、どこか
盤を採用せず、物理環境を継続運用した場合
らでも迅速に患者さんの容体が確認できるよ
と比較して、
ハードウェア、消費電力、保守料な
うになります。また、医師が在宅時に担当する
どを含めたコスト軽減につながっていると思い
患者さんの容体が急変した場合、これまでは
ます。さらに、各部門の担当者がこれまでのよ
電話での確認か、実際に病院に赴く以外に容
うなサーバ管理作業から解放され、本来の医
体を確認する手段がありませんでした。VDI
療業務に注力できるようになったことも大きな
を活用すれば、医師が自宅の端末から電子カ
メリットだと感じています」
と話します。
ルテにアクセスし、適切に指示ができるように
なると期待しています。さらに、読影を行う放
また、今回のプロジェクトで構築された VDI
射線科医のような女性が多い専門職において
環境は、近い将来における医療従事者のワー
は、育休を取得するのではなく、自宅から VDI
クスタイルの変革に向けた重要な素地として、
を活用することで在宅勤務が可能になると考
「大きな可能性を感じている」
と西本氏は高く
えています。ダイバーシティという観点でも、
評価しています。
VDI は大きな可能性を秘めています」
仮想化統合基盤の導入によって、まず運用負
荷の軽減、コスト削減といった効果を享受し
た中津病院では、今後のシステム活用につい
てもビジョンを膨らませています。特に医療
従事者のワークスタイルの変革というテーマ
では、すでにいくつかのプランが浮上していま
す。西本氏は、今後のプランであるとしながら
も、VDI を活用した今後の展開について次の
電子カルテシステム
部門システム
管理系システム
仮想デスクトップ
VMware vSphere
・・・
仮想デスクトップアクセス
院外
(医師宅・他の医療機関)
部門システムベンダー
院内
図:済生会中津病院の次世代統合インフラ基盤のイメージ
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