カルテル案件の リスクに対して 日本企業がとるべき対応

2015 年 4月、
「カルテル案件の理解及びそのリスク管理:コンプライアンスレビューから規制当局調査や集団訴
可能な限り下げる必要があるが、
実
eディスカバリー全体の効率化と
ケーションをとることによって、
晶氏は﹁そのようなときこそ経済
ティング東京事務所代表の石垣浩
NERAエコノミックコンサル
分析が有用﹂
と話す。
﹁米国司法省はVOCを包括的
に特定しようとする傾向があるの
者へのインタビューや電子メール
は罰金額の最小化を図るべく、
関係
額
︵
VOC︶
Volume
of
Commerce
を特定する作業が行われる。
企業側
テルの影響を受けたとされる取引
金 額 を 算 定 す る 際 に は 、当 該 カ ル
カルテル案件で米国司法省が罰
した場合、
司法省が認定したVOC
さらに、
クラスアクションに発展
特定が可能となります﹂︵石垣氏︶
OCに含めるべきではない取引の
な調査・経済分析を実施すること
企 業 行 動 や 市 場 に つ い て は 、詳 細
ルテルの効果があれば起こり得る
で注意しなければなりません。カ
の分析を行い、
影響があったと考え
以上の損害賠償を原告から求めら
NERAエコノミックコンサルティング
東京事務所代表・ヴァイスプレジデント
eディスカバリーの効率化
によるコスト軽減
米国における訴訟・調査対応に
お い て 常 に 悩 ま さ れ る の は 、膨 大
な費用と時間を要するeディスカ
バリー対応だろう。同分野でさま
ざまなソリューションを提供して
いるエピックシステムズ社の中島
大 輔 氏 は 、過 去 の 経 験 か ら 、﹁ 企 業
が最も留意すべきポイントはレ
﹁eディスカバリーは、
処理デー
ビューの効率化です﹂
と語る。
自動車部品カルテルに関する反
タの容量によってコストが変動す
月の段階で既に
トラスト法違反事件をめぐって
は 、本 年
になります。
このレビューのフェー
デ ー タ の レ ビ ュ ー は 、時 間 制 課 金
ぼ る 。最 近 で は 、日 本 の テ ク ノ ロ
割を占めるといわれてい
ます。ですから、
レビューの前段階
割∼
く の 企 業 に と っ て 、反 ト ラ ス ト 法
でデータをいかに処理・精査でき
と な る ケ ー ス も 頻 発 し て お り 、多
違反が他人事とは言えない問題に
ど非常に大きな民事訴訟リスクを
クラスアクションを提起されるな
額の罰金を科されることに加え、
レ ビ ュ ー ︶は カ ル テ ル 案 件 で も 多
R︵テクノロジー・アシステッド・
の 活 用 が 有 効 で あ り 、同 社 の T A
のデータを処理できる専門ツール
デ ー タ 処 理 の 効 率 化 に は 、大 量
抱えることになるため、あらゆる
くの実績を持つという。
カバリーの重要度はさらに高まっ
﹁最新のテクノロジーを導入す
抑え、
和解金額の大幅な圧縮につな
ていくと予想されます﹂︵木村氏︶
クラスアクションにおいては、
いったんクラス認定がなされてしま
されたクラスアクションがカナダ
いますが、それに加え、
米国で提起
でクラスアクションが活発化して
で は 、反 ト ラ ス ト 法 や P L 法 分 野
事務所の木村久也弁護士は﹁米国
状について、長島・大野・常松法律
クラスアクションを取り巻く現
日本企業の金銭的負担は想像を絶
﹁このような複数訴訟を受けた
訴訟を提起することも珍しくない。
は、
オプトアウトした原告が個別に
ト法のクラスアクションの場合に
ない可能性が出てくるが、
反トラス
額な賠償額を支払わなければなら
大な人数の潜在的原告に対して、
巨
うと、
当該クラスの要件を満たす膨
でも提起されるケースが非常に増
するものになります﹂︵木村氏︶
そのうえで、過去の事例を踏まえ、
担当者はこれまで以上に適切なタ
す ま す 重 要 に な っ て お り 、企 業 の
カルテル案件のリスク管理はま
クラス認定前に有利な条件で和解
イミングで専門家の協力を得るこ
存在する。
﹁米国の他の
民事訴訟と同
様、カルテル案
件においても、
効率的かつ効
とが求められるといえよう。
することの重要性を強調した。
なりません﹂と最近の傾向を紹介。
えている点にも気をつけなければ
クラスアクションで有利な
和解の実現を目指す
がった例があることを指摘した。
求められる。
企業において万全のリスク対応が
が 発 覚 し た 場 合 に は 、当 局 か ら 巨
るかが大切なのです﹂︵中島氏︶
9
なっている。もし違法なカルテル
7
ズがeディスカバリーのコストの
億ドル超にの
上の日本企業が摘発されており、
30
ジー企業が米国司法省の調査対象
罰金の支払総額は
の結果、〝要レビュー〟
と判断された
る 従 量 課 金 制 が 基 本 で す が 、選 別
エピックシステムズ日本支社
グローバルeディスカバリーソリューション
日本統括部長
社以
中島大輔
24
また、クラスアクションでは、ク
ラス認定申立
ての前段階で
オーバーチャー
ジ︵カルテル行
為によって余
分に払わされ
スカバリーも
ある。このよう
%
20
と い わ れ る
じて、平均
経済分析を通
のクラス・ディ
制作/レクシスネクシス・ジャパン企画制作部
なケースでも、
れる可能性も
で推定でき、それによって本来V
られる取引を絞り込んで、
VOCを
罰金額・損害賠償額の
最小化に向けて
可能になります﹂︵中島氏︶
いう大きな成果を達成することが
ベンダーの
るだけではなく、
法律事務所、
クラ
当者が数多く参加した。
際には情報交換の有無や合意の内
視点から解説。企業の法務・コンプライアンスや知財部門などの担
イ ア ン ト 企 業 、e デ ィ ス カ バ リ ー
スカバリーベンダー、エコノミスト、弁護士の 3 名が、各々の専門的
容がハッキリしないことも多い。
訟に至るまで」
と題されたセミナーが開催された(エピックシステムズ社主催)。
者が協力しコミュニ
eディスカバリーの効率化と
クラスアクションのリスク軽減
石垣浩晶
2
2015.8
2015.8
3
3
4
果的なeディス
弁護士
長島・大野・常松法律事務所 パートナー
反トラスト法・不正競争案件について理解しておくべき点を、
eディ
た額︶を数%に
木村久也
カルテル案件 の
リスクに対して
日本企業 がとるべき対応