ぐんぎん Business Report

第147号
(平成27年 9月 2日)
ぐんぎん経営倶楽部事務局
群馬県前橋市元総社町194
TEL:027-254-7315
ぐんぎん Business Report
群馬経済研究所調査レポート:「群馬県内企業における女性管理職登用の動向」
一般財団法人 群馬経済研究所(以下、群馬経済研究所)では、定期的に事業者様・企業経営者様を対象としたアンケート
調査を実施して、地域の経済情勢や産業動向に関する、様々な情報収集や分析、調査・研究を行っています。
今回の「ぐんぎん Business Report」は、群馬経済研究所が7月31日に公表した調査レポート「群馬県内企業における女性管
理職登用の動向」をお届けします。第143号では、「ダイバーシティ経営」のメリットについてお伝えしましたが、女性を含む多様
な人材の活用は、企業経営面でのメリットも大きいと言えそうです。
1.アンケート調査の概要
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実 施 機関
調 査 対象
回 答 社数
調 査 時期
:
:
:
:
群馬経済研究所
県内企業489社
230社(回答率 47.0%)
2015年4月中旬~下旬
製造業
88社
業種別
従業員
数別
建設業 卸・小売業 サービス業
25社
52社
62社
不明
3社
合計
230社
50人以下 51~100人 101~300人 301人以上
52社
89社
54社
29社
不明
6社
合計
230社
※本アンケートでは、「管理職」を、役員を除く部長級・課長級の役職にある者と定義して調査を実施。
2.群馬県内企業の女性管理職の状況について
(1)従業員規模別の女性管理職登用状況
群馬経済研究所のアンケート調査において、
現在の管理職に占める女性の比率(以下、女性
管理職比率)を尋ねたところ、「0%」と回答し
た企業が約60%近くを占めた。
また、「10%未満(0%を除く)」と回答した
企業は21.2%、「10%以上20%未満」と回答し
た企業は14.2%、20%以上の企業は7.1%であっ
た。従業員規模別には、規模の小さい企業ほど、
女性管理職比率0%の企業が多かった。
なお、女性管理職比率の全体平均値は4.4%で、
女性管理職比率の最も高い従業員規模は「101~
300人以下」の企業となった。(図表1)
(2)女性管理職比率の判断
女性管理職比率の判断については、「少な
い」は62.7%を占め、「適正」は36.9%となっ
た。女性管理職比率別にみると、10%未満まで
の企業は、「少ない」が「適正」を上回るが、
10%以上の企業では、「適正」がそれぞれ多く
なっている。(図表2)
女性管理職比率が「少ない」と回答した企業
にその理由を尋ねたところ、「昇進・昇格の要
件を満たす女性が少ないから」(58.1)が最も
多く、「女性が働いている職種・部門が限定的
だから」が続いた。(図表3)
○図表1:従業員規模別にみる女性管理職比率
女性管理職比率
平均値
0%
10%
未満
10~20%
未満
20%
以上
全体(226社)
4.4%
57.5%
21.2%
14.2%
7.1%
従 50人以下(51社)
業 51~100人以下(88社)
員 101~300人以下(52社)
数 301人以上(29社)
4.2%
74.5%
7.8%
9.8%
7.8%
3.7%
62.5%
19.3%
12.5%
5.7%
5.6%
48.1%
23.1%
17.3%
11.5%
2.4%
37.9%
51.7%
10.3%
0.0%
○図表2:女性管理職比率別にみる同比率の判断
多い
全体(225社)
女 0%(128社)
性 5%未満(除.0%)(31社)
管
5~10%未満(16社)
理
職 10~15%未満(24社)
比 15~20%未満(7社)
率 20%以上(15社)
適正
少ない
0.4%
36.9%
62.7%
0.0%
28.9%
71.1%
0.0%
22.6%
77.4%
0.0%
43.8%
56.3%
4.2%
54.2%
41.7%
0.0%
71.4%
28.6%
0.0%
73.3%
26.7%
○図表3:女性管理職が少ない理由
昇進・昇格の要件を満たす女性が少ないから
女性が働いている職種・部門が限定的だから
昇進を望む女性が少ないから
女性の絶対数が少ないから
女性従業員は非正規雇用が多いから
その他
3.女性管理職登用の今後
58.1%
45.6%
33.8%
32.4%
17.6% (複数回答)
13.2%
n=136
(1)今後の女性管理職登用に対する意向
5年程度先の女性管理職比率の方針では、「上昇させていく」(36.6%)との回答が最も多く、「特に考えてい
ない」(34.8%)が僅差で続いた。なお、「低下させていく」とする回答はなかった。(図表4)
(2)女性管理職比率を上昇させていく理由
女性管理職比率を「上昇させていく」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、「有能な人材を活かすた
め」が、約90%と突出した結果となった。以下、差が開くものの、「社会的要請が高まっているから」(39.0%)
や、「女性の管理職比率が低いため」(36.4%)を挙げる企業も比較的多かった。(図表5)
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● 本資料の内容につきましては万全を期しておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に依拠した
ことによりお客さまが被った損害については、群馬銀行は一切責任を負いません。本資料の複写・複製・転載等を禁じます。
第147号
ぐんぎん Business Report
○図表4:今後5年程度先の女性管理職比率
(平成27年 9月 2日)
○図表5:女性管理職比率を上昇させていく理由
有能な人材を活かすため
その他,
6.3%
社会的要請が高まっているから
上昇させ
ていく,
3 6 .6%
特に考え
ていない,
3 4 .8%
88.3%
39.0%
女性の管理職比率が低いため
36.4%
将来の人手不足に対応するため
22.1%
女性従業員が多く、女性管理職が必要だから
18.2%
企業イメージ向上が期待できるから
18.2%
定時退社等、働き方の見直しが期待されるため
7.8%
採用活動で有利になるため
2.6%
その他
1.3%
現状維持,
22.3%
0% 20% 40% 60% 80%100%
4.ご参考資料
(1)群馬県の女性管理職比率の状況について(総務省の国勢調査結果)
総務省の国勢調査によると、会社役員や管理的公務員等を含む「管理的職業従事者(※)」に占める女性の比率
を見ると、2010年時点における群馬県は13.9%と全国平均(14.0%)並みで、都道府県別の順位では26位であった。
○図表6:都道府県別にみる管理的職業従事者に占める女性の比率(2010年)
順位
都道府県
比率
1位
徳島県
17.7%
2位
高知県
16.7%
3位
~
熊本県 ~
16.5% ~
19位
~
栃木県 ~
14.4% ~
26位
~
群馬県
~
13.9% ~
45位
埼玉県
11.5%
46位
長野県
11.4%
47位
岐阜県
11.4%
全国平均
14.0%
(※)総務省の国勢調査における「管理的職業従事者」とは、事業経営方針の決定、経営方針に基づく執行計画の樹立、作業の監督・統
制など、経営体の全般又は課(課相当を含む)以上の内部組織の経営・管理に従事する者をいう。会社役員や議会議員、国・地方
公共団体の各機関に公選された公務員も含まれる。
(2)女性活躍推進の取組みがもたらす効果(内閣府の調査結果)
内閣府男女共同参画局が公表した資料によると、女性役員比率の高い企業は、そうではない企業に比べ、株主資
本利益率などの経営指標が良い傾向があるといった結果が出ている。(図表7)
また、女性の活躍推進のために必要なワークライフバランス(WLB)の環境整備(育児・介護との両立支援や
雇用者が柔軟に働ける制度など)に取り組む企業は、何もしない企業に比べ、正社員1人当たりの生産性が二倍以
上高いといった結果も出ている。(図表8)
こうした調査結果は一例ではあるが、女性活躍推進に積極的に取り組み、成果を上げている企業は、「多様な人
材を活かすマネジメントの能力」や「環境変化に適応するための自己変革力がある」という点で、「中長期的な成
長力のある企業」であると考えられている。
○図表7:女性役員数と経営指標
20.0%
女性役員がゼロ
○図表8:WLBに対する取組みと生産性の関連
女性役員が3人以上
15.0%
15.3%
14.0%
10.0%
5.0%
0.0%
10.4%
7.6%
売上高利益率
ROS
10.5%
6.5%
投下資本利益率
ROIC
株主資本利益率
ROE
WLBに対する取組みのタイプ
生産性(正社員就業時間一時間当りの粗利で、A
型を1とした場合の指数値)
A型
1
B型
C型
2.277 2.54
A型:「法を超える育児介護支援」と「雇用者が柔軟に働ける制度」の
両方の取組み度合いの低い企業。
B型:「法を超える育児介護支援」と「雇用者が柔軟に働ける制度」の
両方の取組み度合いの高い企業。
C型:「育児介護支援」が生産性にどう影響を与えたかについて、人
事担当者の評価により、「成功型」と分類された企業。「成功
型企業」は、人材活用のために取り組むという意識が強く、推
進本部の設置等積極的な取組みを行う企業が多い。
「成功型」以外には、「無影響型」、「失敗型」があり。
※図表7、8いずれも、内閣府男女共同参画局作成の資料をもとに、群馬銀行にて作成。
群馬経済研究所は、地域のシンクタンクとして群馬県内の経済・産業動向、企業経営及び地域開発等に関する調査研究
を行い、産業の振興及び経済社会の健全な発展に寄与することを目的とする調査研究機関です。
群馬経済研究所では有料の会員制度を設け、地域経済に関する調査・研究結果の情報提供サービスを行っております。
ご関心のある方は、右記へお問い合せ下さい。【群馬経済研究所 総務部 TEL:027-289-2322】
資料出所:内閣府、群馬経済研究所
本件に関する相談、詳細に関するお問合せ先:群馬銀行 法人部(岡安)027-254-9314
以上
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● 本資料の内容につきましては万全を期しておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に依拠した
ことによりお客さまが被った損害については、群馬銀行は一切責任を負いません。本資料の複写・複製・転載等を禁じます。