平成 26 年度 今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会報告書 目次

平成 26 年度 今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会報告書
目次
はじめに
第1章 今後の在宅就業施策の在り方についての検討
Ⅰ 在宅就業を取り巻く現状について
1 在宅就業者の定義
2 在宅就業者の現状
(1)在宅就業者数
(2)在宅就業者の多様性
3 在宅就業の発注方法の多様性
4 在宅就業者の団体
Ⅱ 在宅就業に関する課題と施策の方向性(総論)
Ⅲ 在宅就業の普及促進
1 在宅就業者の分類に応じた課題
2 在宅就業と雇用労働の連続性
3 能力開発
4 仕事のあっせん・紹介
5 在宅就業者間のネットワーク
Ⅳ 在宅就業の適正な就業条件の整備に関する課題
1 在宅就業者と発注者(又は仲介機関)の契約上のルール
2 3 者構成であることに起因して生じる契約上の課題
3 報酬額の決定に関する仕組み
4 労働時間等に関する規制
5 トラブル時の紛争解決手段
Ⅴ 在宅就業の適正な就業条件の整備に関する施策の方向性
1 家内労働法の適用対象の拡大
2 家内労働法の抜本改正等の立法措置
3 ガイドラインによる対応等
(1)課題に応じた検討
(2)ガイドラインの周知
第2章 未発注企業調査の概要
(1)回答企業の属性
(2)在宅ワーク等の認知度
(3)発注しない理由
(4)今後の発注への可能性、発注のための条件等
(5)在宅ワーカーの活用に期待するメリット
(6)在宅ワーカーの選考、仲介機関への依頼において重視すること
(7)在宅ワークの活用に当たって必要な情報
(8)在宅ワーカーに発注する可能性のある仕事、予算額等
(9)企業の業績と在宅ワークの関係
1
平成 26 年度
今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会報告書
はじめに
今年度の本検討会は、一昨年度、昨年度に引き続き、今後の在宅就業施策
の在り方について検討を行ったものである。
一昨年度は、在宅就業者の就業状況、トラブル、発注方法等の調査を実施
し、その結果や、在宅就業をめぐるこれまでの施策等を整理した。その上で、
今後の在宅就業の在り方を検討するために必要な視点や課題の洗い出し等
を開始した。施策検討に当たって必要な視点として、在宅就業者の定義等の
整理、就業条件・就業環境に係る問題と対応の在り方の検討、施策の方向性・
手法の検討、労働政策全体における在宅就業の位置付け等をあげた。
昨年度は、一昨年度の検討を踏まえ、在宅就業者数、年齢・性別の分布、
従事する業務等、在宅就業の現状を更に把握するための調査を実施した。ま
た、在宅就業施策の対象となる在宅就業者の定義付けを行うとともに、契約
ルール、報酬額、在宅就業者と仲介機関の関係性の検証等を今後の在宅就業
施策に必要な事項として挙げ、これらについてより具体的な検討の必要性を
提言し、方策を実行する形式についても引き続き検討することとした。
今年度は、一昨年度、昨年度の検討を踏まえ、在宅就業のより具体的な現
状や問題事案を把握するため、在宅就業者、仲介機関や有識者からのヒアリ
ングも実施し、現行の在宅就業に係る契約や就業条件等について見直しが必
要な内容の具体的な検討、在宅就業を既存の法律の枠組みに当てはめた場合
の論点整理等を行い、第 1 章に整理した。
また、在宅就業施策の検討に活用するため、未発注企業を中心に、在宅就
業の発注可能性や発注に当たっての課題等に関する調査を実施し、第 2 章に
整理した。
2
第1章
今後の在宅就業施策の在り方についての検討
Ⅰ
在宅就業を取り巻く現状について
1 在宅就業者の定義
本検討会で対象とする在宅就業者は、平成 25 年度「今後の在宅就業施策
の在り方に関する検討会報告書」に記載したとおり、
「事業主から委託を受
けて、報酬を得るために、主として自宅又は自ら選択した場所において情
報成果物の作成又は役務の提供を行う個人であって、同居の親族以外を使
用しないことを常態とするもの」と定義する。
2
在宅就業の現状
(1)在宅就業者数
「在宅ワーカーの人口推計調査(平成 25 年度)
」では、在宅就業者
数は 126 万 4 千人と推計される。また、在宅ワークを始めるための準
備をしている又は近いうちに在宅ワークをしてみたいとする在宅ワ
ーカー予備軍は約 581 万 4 千人と推計されており、現在の就業者を合
わせると、在宅就業の就業市場は 700 万人規模と見込まれる(図1)
。
(図1)推計結果
人口推計値(千人) 15~69 歳に占める比率(%)
在宅ワーカー
1,264
1.6
専業在宅ワーカー
916
1.2
副業在宅ワーカー
348
0.4
在宅ワーカー予備軍
5,814
6.4
在宅ワークを始めるための準備をしている
1,712
2.2
近いうちに在宅ワークをしてみたい
4,101
5.2
21,112
27.0
13,055
16.7
いつかは在宅ワークをしてみたい
家族の状況等の変化によっては、在宅ワークも
考えてみたい
(平成 25 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカー人口推計調査』より作成)
(2)在宅就業者の多様性
在宅就業者の世代をみると、
「在宅ワーカー詳細調査(平成 25 年度)
」
では、50~59 歳が 28.1%で最多、次いで 40~49 歳が 24.7%であり、
40 歳代以上で 75.1%を占める(図2)。男女別では、男性が 59.4%、
女性が 40.6%であり、30 歳代を除いてどの世代でも男性の方が多く、
3
特に、60 歳から 69 歳では男性の割合が約 80%と高い(図3)。
(図2)性別×年齢(n=1,236)
0%
10%
20%
全体(n=1236) 0.4 7.8 男性(n=734) 0.4 7.1 30%
16.7 50%
80%
90%
30.5 28.9 30~39才
30.5 40~49才
100%
22.3 26.4 20.9 20~29才
70%
28.1 21.8 15~19才
60%
24.7 13.8 女性(n=502) 0.4 9.0 40%
50~59才
10.4 60~69才
(平成 25 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカー詳細調査』)
(図3)年齢×性別(n=1,236)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
全体(n=1236)
59.4 40.6 15~19才(n=5)
60.0 40.0 20~29才(n=97)
30~39才(n=206)
40~49才(n=305)
50~59才(n=347)
53.6 90%
100%
46.4 49.0 51.0 52.5 47.5 55.9 44.1 60~69才(n=276)
81.2 男性
18.8 女性
(平成 25 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカー詳細調査』)
また、在宅ワークを始めた理由をみると、「在宅ワーカーの就業意
識に関する調査(平成 24 年度)」では、「都合のいい時期、時間に働
けるため」が最多で 54.6%、次いで「スキルや趣味をいかした仕事
をしたいため」が 40.8%であり、この他、
「自営で働きたかったため」
が 16.8%、
「家事、育児、介護等のために外に出て働けないから」が
14.2%といった理由もある(図4)。
4
(図4)生計上の位置づけ × 在宅ワークを始めた理由(複数回答、n=1,239)
(単位:%)
8.5
7.3
8.8
9.4
9.0
11.0
6.9
7.9
1.5
1.0
0.0
2.4
5.6
5.2
2.8
7.0
興
味
が
あ
る
仕
事
だ
っ
(
11.9
13.5
8.3
12.0
口外
がに
な出
いて
働
失き
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しい
たが
た良
めい
勤
め
、
4.6
7.5
2.3
3.0
無
駄
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う
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な転
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4.6
8.9
2.3
1.7
通
勤
が
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い
っ
16.3
14.1
23.1
15.5
人
間
関
係
康体
上力
の的
理に
由会
の社
たで
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・
健
、
家
賃
が会
苦社
手勤
なめ
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、
職
場
の
)
16.8
25.5
16.2
9.2
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ど業
所
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約要
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たス
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14.2
6.2
6.9
24.2
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人仕
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40.8
42.1
43.5
38.4
自
営
で
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き
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25.9
40.0
20.8
15.3
、
54.6
41.5
58.3
64.9
に家
出事
て
働育
け児
な
い介
か護
ら等
の
た
め
外
、
全体(n=1,239)
専業(n=482)
副業(n=216)
内職(n=541)
をス
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たル
いや
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め味
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か
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、
時
間
に
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がが
いや
が
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ただ
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報
わ
れ
っ
、
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た合
めの
い
い
時
期
収
入
を
増
や
す
た
め
そ
の
他
た
か
ら
16.6
12.9
15.7
20.3
14.9
7.3
32.9
14.6
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
)
さらに、在宅就業者の従事する業務は、「設計・製図」、「システム
設計・開発、プログラミング」といった専門性の求められるものや、
「データ入力」、「テープ起こし」のような比較的単純業務もある。
このように、在宅就業者の世代や性別、在宅就業の業務や始めた契
機は多様である。これらの多様性を踏まえ、例えば、性別、年齢、キ
ャリア等の観点から在宅就業者を分類すると、10 代から 20 代の職業
生活初期に在宅就業に入るタイプ、30 代で一定の職業経験を経て家
庭生活等の事情から在宅就業に入るタイプ、50 代以降の中高年齢者
が職業経験を経て在宅就業に入るタイプに分ける見方がある。
3
在宅就業の発注方法の多様性
在宅就業の発注方法は、発注者が直接、在宅就業者に発注する場合の
他、発注者が仲介機関を通じて発注する場合もある。近年では、インタ
ーネット上の不特定多数の人々に仕事を発注する、いわゆるクラウドソ
ーシングと呼ばれる仕組みにより、発注者が在宅就業者へ発注する場合
もある。
また、在宅就業は、在宅就業者の居住する地域に関わらず全国的に広
く受発注が行われうるものであり、さらに、グローバル化に伴い、国境
を越えてより広範囲での在宅就業の受発注が拡大する可能性も考えら
れる。
4
在宅就業者の団体
在宅就業者が自主的に組織した団体は、現在のところ多くないが存在
している。
今年度、ヒアリングを行った団体における主な活動は、報酬の不払
5
4.5
4.4
3.7
5.0
い、報酬支払の遅延等の在宅就業者のトラブルに関する相談や、就業
条件等に関する情報の共有化・ネットワークづくり、広報営業活動、
スキルアップ支援活動、共済等である。また、団体が仲介的な役割を
担っている場合には報酬額が低すぎれば発注を断ることもある。この
ように、労働組合的な役割や仲介機関的な役割を果たしながら在宅就
業者の保護を図っている。(「第2回検討会の概要」(P41)参照)
Ⅱ
在宅就業に関する課題と施策の方向性(総論)
在宅就業者数は「在宅ワーカー人口推計調査(平成 25 年度)」では 126 万
4 千人と推計され、今後も増加が見込まれる。市場規模からも在宅就業者に
関する施策の必要性は高いといえる。また、在宅就業は、育児・介護との両
立等の観点からも働きやすい形態である等から、多様な働き方の一つの選択
肢として、積極的に普及を図ることが適当である。
そのためには、適正な就業条件を確保することが重要である。
適正な就業条件の確保については、在宅就業は請負契約等に基づいて行わ
れるものであり、指揮監督下の労働ではなく、時間的・場所的な制約を受け
ないため、在宅就業者を労働者として労働基準法等により保護を図っていく
ことはできない。その一方で、在宅就業者は、事業主から委託を受けており、
裁量の幅は狭く事業者性が薄いため、労働者に準じた性格を有すると言える。
また、在宅就業者と発注者側には、情報や知識の格差があることや、実質的
に発注者側が契約条件を一方的に決定していること等の問題があり、トラブ
ルも生じている。
このため、在宅就業に関する契約について完全に在宅就業者と発注者(又
は仲介機関)の自由に委ねるのではなく、行政としても、在宅就業者の保護
を含む適正な就業条件の確保のための関与を行っていくことが必要である。
Ⅲ
在宅就業の普及促進
1 在宅就業者の分類に応じた課題
在宅就業者は、性別、年齢、キャリア等の観点から様々なタイプに分類
され、各タイプに応じて、在宅就業を行うに当たって必要となるスキルを
保有しているかどうかも異なる。例えば、職業経験のある中高年の場合は、
業務を遂行する上で必要となる知識・経験に加え、組織において他者と協
調しながら業務を進めるスキルも身についている場合が多いと考えられる
一方、職業経験のない若年層の在宅就業者の場合は、いずれも乏しい可能
性がある。
このため、現在は、セミナーにより、在宅就業で働く上で必要となるこ
とや在宅就業の具体的事例等について周知を図っているが、更に、在宅就
6
業者の置かれている状況、タイプの違いなどを考慮しつつ、教育訓練等、
必要となる支援を検討する必要があるだろう。
ただし、いずれのタイプに対しても、個人事業主として必要となる手続
き(税務申告、契約書等)、トラブル予防策等の知識は必要となると考えら
れる。
2
在宅就業と雇用労働の連続性
在宅就業には、個人事業主として必要な知識や在宅就業を行うに当たっ
て必要な基礎能力等も求められるため、職業生活の当初から在宅就業を継
続することは容易ではない。このため、在宅就業の普及に当たっては、雇
用労働と在宅就業が連続性を持ち、円滑に両者を円滑に相互移行できるこ
とが必要である。
この際、例えば、雇用労働者として就業する過程で基礎知識・人脈・経
験等を身につけ、その後、在宅就業に移行するパターンや、一時的に在宅
就業を行った後、雇用労働者へ戻るパターンなど、在宅就業者のキャリア
モデルの形成を行うことも有効であると考えられる。
3
能力開発
また、在宅就業は、情報成果物の作成等を行うものであり、継続的に在
宅就業を行う場合には、IT 技術等の変化に迅速に適応することが求められ
る。特に、雇用労働者と異なり企業による研修等の機会が少ないことや、
個人で勉強を続けるためには費用負担が大きいという問題もある。
「在宅就業者アンケート調査(平成 20 年度)」及び「在宅就業委託者・
発注者アンケート(平成 20 年度)」によると、在宅就業者が望む公的支援
として「スキルアップ支援」が 14.1%で 2 番目に高い割合を占めており、
発注者が望む公的支援として「在宅就業者へのスキルアップ支援」が 20.5%
で最多である。(図5、図6)
このため、在宅就業者に対して、能力開発の機会を提供し、安定的に就
業機会を得ることができるような措置を講ずることについても検討が必要
である。
7
(図5)在宅就業者が望む公的支援(n=1,030)
仕事のあっせん・紹介
4.6%
4.8%
スキルアップ支援
4.3%
悪質業者の排除
4.8%
トラブル解決のためのあっ
せん・調停
ホームページ等による情報
提供
在宅就業者同士の情報交換
の場の開設
業界団体や依頼主側への在
宅就業活用の働きかけ
相談窓口の開設
40.3%
5.0%
9.1%
13.1%
14.1%
その他
(平成 20 年度(財)社会経済生産性本部『在宅就業者アンケート調査』より作成)
(図6)発注者が望む公的支援(n=508)
19.9%
在宅就業者へのスキルアップ
支援
在宅就業者を活用する際に必
要な初期投資
在宅就業者との仲介支援
20.5%
個人情報など情報管理に対す
る支援
在宅就業活用の好事例の提供
8.7%
16.7%
0.8%
1.6%
5.1%
トラブル解決のための支援
相談窓口の開設
10.4%
16.3%
その他
無回答
(平成 20 年度(財)社会経済生産性本部『在宅就業委託者・発注者アンケート調査』より作成)
4
仕事のあっせん・紹介
「在宅就業者アンケート調査(平成 20 年度)」によると、在宅就業者が
望む公的支援では、「仕事のあっせん・紹介」が 40.3%で最多である(図
5)。在宅就業者の就業促進・マッチング支援に関する様々な具体的方法つ
いては、今後、引き続き検討を行うことが必要である。
8
5
在宅就業者間のネットワーク
我が国では相対による働き方を重視する傾向があること、発注者として
も在宅就業者の代替要員がなく成果物の完成が確実でない場合には発注を
躊躇する可能性があることから、中核的な業務を在宅就業へ発注すること
は多くないと考えられる。
このため、在宅就業者間のネットワークを設け、要員の代替性を確保す
るなどの環境を作ることが重要である。
また、在宅就業の組織化については、就業条件等の向上について労働組
合の団体交渉により統一的に契約条件を決定するという労働者に特有の方
式にはなじまないものの、トラブル発生時の相談や情報の共有化、共済等
を行う意義は大きいと考えられる。
Ⅳ
在宅就業の適正な就業条件の確保に関する課題
1 在宅就業者と発注者(又は仲介機関)の契約上のルール
在宅就業者と発注者側の関係については、
「在宅就業者人口推計電話調査
(平成 20 年度)
」によると、「どちらかといえば依頼主と比べ立場が弱い」、
「依頼主と比べて立場がかなり弱い」在宅就業者の割合は 33.8%を占めて
いる(図7)。
報酬については、
「在宅ワーカーの就業意識に関する調査(平成 24 年度)」
によると、報酬の決定に当たっては「依頼主が設定する」、
「依頼主が提示し、
必要があれば交渉する」等、自立性が低い割合が 76.6%と高い(図8)
。ま
た、報酬が何をもとに設定されているかについては「依頼主により設定・提
示されており、わからない」在宅就業者の割合が 19.9%である(図9)
。報
酬の設定手順の明示については、「作業開始前に報酬決定手順について明示
される」割合が 59.0%である一方、依頼主から「明示されない」割合が 22.9%
を占めている(図 10)。
発注者についてみると、「在宅ワーカーへの発注に関する意識調査(平成
24 年度)」によると、報酬額の設定手順について、「過去の同様の業務を基
にした額であり、在宅ワーカーに根拠を示している」発注者の割合が 50.0%
である一方、発注者が「設定・提示するが、在宅ワーカーに根拠は示さない」
割合が 15.6%を占める(図 11)。
9
(図7)仕事の依頼主との関係(n=71)
いえない・わか
らない, 4.2
どちらかとい
えば依頼主と
比べ立場が弱
い, 21.1
対等な立場で話
し合いや交渉が
できている,
38.0
依頼主と比べて立
場がかなり弱い,
12.7
どちかといえば
対等な話し合い
や交渉ができて
いる, 23.9
(平成 20 年度(財)社会経済生産性本部『在宅就業者人口推計調査』より作成)
(図8)報酬決定における自己決定レベル(n=1,239)
自立性が高い(自
分が提示し、依頼
主と交渉する・自
分で設定する)
23.4%
自立性が低い(依
頼主が設定する・
依頼主が提示し、
必要があれば交渉
する・その他)
76.6%
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』より作成)
10
(図9)在宅ワークの仕事の報酬は、何をもとに設定されているか(n=1,239)
その他, 3.6
依頼主により設
定・提示されて
おり、わからな
い, 19.9
1文字○円等、
作業単価を基に
した出来高,
33.9
過去の同様の仕
事を基にした
額, 31.5
1時間○円等、
時間単価を基に
した出来高,
11.1
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』より作成)
(図 10)報酬の設定手順の明示(n=936)
わからない
6.8%
明示されない
22.9%
作業開始前に
報酬決定の手
順について明
示される
59.0%
在宅ワーカー
が求めたときに
明示される
11.3%
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
11
(図 11)在宅ワーカーの仕事の報酬額の設定手順(n=96)
Q21.(N=96)
貴社が設定・提示
するが在宅ワー
カーに根拠は示さ
ない
15.6%
1文字○円等、作業
単価を基にした出
来高であり、在宅
ワーカーに根拠を
示している
14.6%
その他
4.2%
1時間○円等、時間
単価を基にした出
来高であり、在宅
ワーカーに根拠を
示している
15.6%
過去の同様の業務
を基にした額であ
り、在宅ワーカーに
根拠を示している
50.0%
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査』
)
このように、在宅就業の契約については、在宅就業者と発注者側に情報や
知識、交渉力の格差があること等から、実質的に発注者側が契約条件を一方
的に決定しており、また、契約内容も画一的で不明確であることが考えられ
る。
このため、在宅就業を巡っては、
『(デザイン変更など)仕事内容の一方的
な変更』、
『報酬の支払い遅延』、
『不当に低い報酬額の決定』、
『不当な成果物
の受領拒否や、やり直しの指示の繰り返し』といったトラブルが発生してい
る(図 12)。
(図 12)トラブル経験の有無(n=1,239)
(単位:%)
作業開始前の一方的な仕事の取り消し
(デザインの変更など)仕事内容の一方的な変更
(報酬の減額など)契約内容の一方的な変更
不当な成果物の受領拒否や、やり直し指示の繰り返し
不当に低い報酬額の決定
報酬の支払い遅延
報酬の不払い
商品の売り付け等、経済上の利益の提供要請
仕事量の過多等による納期未達
病気等による納期未達
スキルの不足等による契約不履行
情報漏洩その他セキュリティに関するトラブル
無し
85.2
74.9
86.4
88.5
84.7
82.1
90.7
98.0
93.2
95.5
98.1
98.7
有り
14.8
25.1
13.6
11.5
15.3
17.9
9.3
2.0
6.8
4.5
1.9
1.3
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
)
12
一方、『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査(平成 26 年度)』の調査
において、在宅ワーカーに仕事を発注する可能性があると回答した企業のう
ち、発注するための条件として「機密保持の問題が解決できれば発注する」
と回答した企業が 50.6%であることからも、発注者側が機密保持の順守を
重視していると考えられる(図 13)。
このため、在宅就業者と発注者側の契約内容として、例えば、成果物に瑕
疵があった場合の責任(報酬の減額、補修義務等)や、発注者側の保有する
情報についての秘密保持義務等について明確にするルール作りを行い、在宅
就業者と発注者側の両者が安心して在宅就業を行うことができるようにす
る必要がある。
(図 13)
在宅ワーカーに仕事を発注するための条件(n=81)
0%
20%
40%
60%
発注するのに適した仕事があれば発注する
仕事の質が十分に維持できるようであれば発注する
56.8
40.7
発注先として適当な在宅ワーカーを、仲介機関を通じて見
つけることができれば発注する
22.2
発注先として適当な在宅ワーカーを、クラウドソーシングを
通じて見つけることができれば発注する
13.6
発注に当たっての留意事項や発注方法に関する情報(仲
介機関やクラウドソーシング事業者)が分かれば発注する
11.1
4.9
個人の在宅ワーカーへの発注について、社内で理解・合
意が得られるのであれば発注する
17.3
発注するのに必要な予算が確保できれば発注する
22.2
管理にかかる手間やコストの問題が解決できれば発注す
る
33.3
通信・体制整備に費用がかかりすぎなければ発注する
18.5
機密保持の問題が解決できれば発注する
その他
100%
81.5
発注先として適当な在宅ワーカー(元社員、現社員の知人
等)に直接依頼できれば発注する
他社の発注の状況が分かれば発注する
80%
50.6
4.9
(平成 26 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査』
)
2
3 者構成であることに起因して生じる契約上の課題
在宅就業者と発注者と仲介機関の 3 者間の契約構造の場合、発注者が、仲
介機関と在宅就業者の契約内容に影響を及ぼしている側面があると考えら
れる。今年度、仲介機関に対して実施したヒアリングでは、発注者が倒産し
た等の事由により発注者から支払いがされない場合や、成果物の出来により
発注者が報酬額を減額すると言う場合などがあるとのことであった。
一方で、発注者と仲介機関の契約は企業間で自由に行われるものであり、
その契約に規制を設けることは困難な面もある。
このため、仲介機関を含む 3 者間の契約の場合に、仲介機関が発注者との
13
関係に起因して在宅就業者に対して負う責任・役割などについても実態の把
握に努め、その上で、在宅就業者が不当な責任を負わないようにするための
保護の在り方等を検討する必要がある。
具体的には、発注者が不払い等した場合や不完全な成果物であることを理
由に発注者が受領拒否した場合等の、仲介機関の在宅就業者に対する保護の
在り方や、発注者の保有する情報についての在宅就業者の秘密保持義務の在
り方等について、検討することが考えられる。
3
報酬額の決定に関する仕組み
在宅就業においては、報酬額について具体的な相場形成がされておらず、
各人のキャリア等、抽象的な相場観により報酬額が決定されている現状があ
る。
在宅就業者は多様であるが、「在宅ワーカーの就業意識に関する調査(平
成 24 年度)」によると、特に「文書入力」、
「データ入力」等の比較的単純な
業務の報酬の決定にあたっては、報酬額を「依頼主が設定する」等、自立性
が低い者の割合が高い(図 14)。また、現在困っていることが「単価が安い
こと」である者の割合が 54.9%であり(図 15)
、在宅就業者にとって納得性
の高い相場形成がされていないとも考えられる。
このような現状を踏まえ、在宅就業を適正な市場とするため、報酬額の決
定に関して参考となるような何らかの仕組みが必要である。
(図 14)自己決定レベル × 主要 12 業務(n=1,049)
0%
全体(n=1,049)
10%
20%
8.6 9.2 5.0 30%
4.0 40%
50%
7.2 7.8 16.0 60%
A
70%
5.0 80%
7.4 10.5 B
90%
100%
9.6 9.7 C
0.4 0.4 自立性が高い(n=258)
自立性が低い(n=791)
6.4 6.1 7.8 16.3 17.4 4.0 3.0 11.0 8.7 8.7 5.0 2.7 3.5 2.7 5.4 31.4 7.0 6.4 12.8 9.7 A:Webサイト作成
A:システム設計・開発、プログラミング
A:Webデザイン、グラフィック
A:コンサルティング
A:設計、製図(CADなど)
B:DTP(編集)
B:アニメ制作、イラスト制作
C:文書入力
C:データ入力
C:添削・採点
C:ライター
C:翻訳
12.0 11.0 ※主要 12 業務とは、全 27 業務のうち、回答者数が 30 件以上の業務を選定したもの。
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
)
14
(図 15) 困っていること(複数回答、n=1,239)
(単位:%)
13.8
13.4
13.9
30.7
28.6
31.3
と報
酬
資の
金支
繰払
りい
が
遅
い
こ
14.7
17.6
13.8
確る大
保たき
めな
の仕
仲事
間を
引
人き
材受
のけ
14.3
21.7
12.0
取
引
先
と
の
ト
ラ
ブ
ル
グ必
レ要
な
ド機
材
等
の
ア
ッ
54.9
37.9
60.1
納
期
に
追
わ
れ
る
こ
と
ー
71.9
70.3
72.4
家
事
等
と
の
両
立
、
全体(n=1,239)
自立性が高い(n=290)
自立性が低い(n=949)
単
価
が
安
い
こ
と
、
、
な収
い入
こ
と仕
事
量
が
安
定
し
能
力
・
知
識
の
不
足
プ
4.0
3.4
4.1
20.2
25.9
18.4
25.3
26.2
25.0
仕
事
を
す
る
場
所
の
確
保
7.7
10.7
6.8
そ
の
他
特
に
な
し
4.0
3.8
4.1
11.5
13.8
10.9
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
)
4
労働時間及び健康確保
在宅就業は、指揮監督下の労働ではなく、労働に当たって時間的な制約を
受けないため、発注者側に対して、労働基準法のように労働時間の規制を設
けることはなじまない。
ただし、育児・介護等との両立やワークライフバランス等の観点から、作
業時間が長時間となりすぎることは適切ではない。現状、「在宅ワーカーへ
の発注に関する意識調査(平成 24 年度)
」では、納期設定に当たり、発注者
において「在宅ワーカーの作業時間は考慮していない」割合が 30.9%であ
る(図 16)が、契約締結にあたって在宅就業者の自立性が低いことを踏ま
えれば、納期の設定等に当たって、作業が長時間に及ばないように留意する
ことは必要である。
特に、在宅就業者と発注者側の間に継続的な関係が認められる場合等にお
いては、メンタルヘルスを含め、発注者側が在宅就業者の健康確保に配慮す
るという視点は必要である。
(図 16)仕事の納期を設定する際に、在宅ワーカーの作業時間をどの程度考慮
しているか(n=152)
1日当たりの作業時
間が6時間未満に
なるように納期を設
定する
3.3%
Q24.(N=152)
1日当たりの作業時
間が6時間以上8時
間以下になるように
納期を設定する
6.6%
在宅ワーカーの作
業時間は考慮して
いない
30.9%
在宅ワーカーと1日
当たりの作業時間
を相談した上で設
定する
59.2%
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査』
15
5
トラブル時の紛争解決手段
在宅就業を巡っては、『(デザイン変更など)仕事内容の一方的な変更』、
『報酬の支払い遅延』、
『不当に低い報酬額の決定』、
『不当な成果物の受領拒
否や、やり直しの指示の繰り返し』等のトラブルが発生している(図 12)。
現在、ホームワーカーズウェブにおいて、在宅ワーク相談室によるトラブ
ル時の相談対応等を行っているが、ADR(裁判外紛争解決手続)による適
切な紛争解決も含め、引き続き、在宅就業に当たっての相談の紛争解決手段
の在り方等についても、検討を行っていくことが適当である。
Ⅴ
在宅就業の適正な就業条件の整備に関する対応方策
在宅就業の適正な就業条件の整備に係る対策は様々なものがあるが、家内労
働法改正等により在宅就業者にも法的保護を及ぼすことや、現行のガイドライ
ンを改正すること等が考えられる。
1
家内労働法の適用対象の拡大について
家内労働法は、労働基準法等に準じて、審議会における厳格な最低工賃の
決定、委託者の最低工賃の遵守、安全衛生の確保やこれらに違反した場合の
罰則等の規定が設けられている。
一方で、在宅就業は、その就業形態や条件、業務の裁量の範囲について、
家内労働と比較して多様であることから、家内労働のように、厳格な最低工
賃のような仕組みを適用することは適当ではない。また、情報成果物の作成
又は役務の提供を行うものであるため、物品の製造・加工を行う家内労働の
ように、就業に当たって機械や作業環境に起因して物理的な事故や災害が発
生する恐れは低いとみられ、家内労働法の安全衛生の確保に関する規定をそ
のまま適用することはできない。
これらのことを考慮すると、現行の家内労働法の規定をそのまま在宅就業
についても適用することは適当ではない。
2
家内労働法の抜本改正等の立法措置について
次に、家内労働法を抜本的に改正すること等により、Ⅳでみた在宅就業に
おいて特に重要と考えられる契約上の課題や、家内労働法には規定のない秘
密保持に関する規定等を盛り込んだ立法措置を講じることも考えられる。諸
外国では、雇用労働者に限定せずに法的保護を与えている例も見られ、労働
者の概念を広く捉えることについて検討することも考えられる。また、消費
者契約法等も参考になると思われる。
しかし、在宅就業の業務は多様であり、クラウドソーシングのように、ま
16
ずは実態把握が必要となる新しい形態も出現するなど、在宅就業の在り方は
流動的である。また、在宅ではない請負等、在宅就業と類似の課題が存在す
る可能性がある就業形態が存在するなか、在宅就業についてのみ施策を講じ
ることについて、他の就業形態との整合性が十分に整理されている状況には
ない。
このため、在宅就業に必要な観点も盛り込んだ立法措置を講じることは、
将来的に必要な課題ではあるが、現時点では機が熟しているとはいえない。
3
ガイドラインによる対応等について
このため、当面は、実務や在宅就業者のトラブル事例等の実態を踏まえつ
つ、在宅就業に係る契約において重要である、瑕疵担保責任や秘密保持義務、
3 者構成の場合に留意すべき事項等の課題に対して、弾力的な対応が可能な
「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を見直すことにより、対
応を行うことが適当である。
(1)課題に応じた検討
より実態に則したガイドラインとするためには、在宅就業者の置か
れている状況、タイプの違いなどを考慮しつつ、課題に応じた検討を
行うことが必要である。
報酬額の決定についての仕組みづくりについては、例えば、業務内
容に応じた報酬の計算方法のモデルにより報酬額の決定に当たって参
照できる仕組みを設ける方法や、単位当たりの報酬額が算出しやすい
分野の業務を優先的に検討すること等が考えられる。この際、在宅就
業においては成果物の納品が契約の履行条件となっているという性格
を踏まえ、報酬は出来高払いの要素がある点も留意する必要がある。
(2)ガイドラインの周知
『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査(平成 26 年度)
』による
と、在宅就業の発注企業でも「在宅ワークの適正な実施のためのガイ
ドライン」が「あること自体を知らない」と回答している割合が 82.8%
であり(図 15)、「在宅ワーカーの就業意識に関する調査(平成 24 年
度)」では、「ガイドラインの内容を知らない」と回答した在宅就業者
の割合 78.9%である(図 16)
。今年度実施した、在宅就業者や在宅就
業者等からなる団体に対するヒアリングにおいても、同ガイドライン
は認知されていなかった。また、在宅就業者はフリーランスであると
いう自己認識がある場合、自らが同ガイドラインの対象となる在宅就
業者であるという認識を持っていないケースもあった。
17
現在、同ガイドラインは、ハローワーク、女性センター(都道府県
が所管する男女共同参画関連施設)、都道府県労働局等に配布している
が、その認知度は著しく低い実態が明らかとなっているため、SNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用したガイドライ
ンの周知など、現在の周知方法の在り方を抜本的に見直す必要がある。
その際に、どのような者が在宅就業者に該当するのかについても、在
宅就業者や発注者等に広く認識させることが必要である。
(図 17)ガイドラインの認知度<発注企業>(n=29)
ガイドラインの内容に
ついて知っており、契
約及び仕事の進め方
は「ガイドライン」を参
考としているが、完全
に「ガイドライン」の内
容に沿っているわけで
はない, 3.4%
ガイドラインの内容に
ついて知っており、契
約及び仕事の進め方
は「ガイドライン」の内
容に沿っている, 3.4%
ガイドラインの内容に
ついて知っているが、
契約及び仕事の進め
方は「ガイドライン」に
沿っていない, 3.4%
ガイドラインがあること
を知っているが、どこで
入手したらよいかわか
らない, 6.9%
ガイドラインがあること
自体を知らない, 82.8%
(平成 26 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング
『在宅ワーカーへの発注に関する意識調査』
(図 18)ガイドラインについて(n=1,239)
「ガイドライン」の内容を知っており、契約及び仕事の進め方は「ガイドラ
イン」の内容に沿っている
「ガイドライン」の内容を知っており、契約及び仕事の進め方は「ガイドラ
イン」の内容に沿っていない
「ガイドライン」の内容を知らない
15.2%
6.0%
78.9%
(平成 24 年度三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング『在宅ワーカーの就業意識に関する調査』
)
18
第2章 未発注企業調査の概要
在宅就業の活用に対する企業の意識を把握し、今後の在宅就業施策の検討に
活用するため、未発注企業を中心に、発注の可能性、在宅就業者を活用するメ
リット、発注可能性のある業務や課題等について調査を実施した。
(1)回答企業の属性
有効回答数は 631 社(発注企業 29 社、
発注経験のある未発注企業 16 社、
未発注企業 586 社)であった。従業員数は 5~29 人が 71.6%と最も多く、
30~49 人が 12.4%であった(図表 1)。
図表 1
300~499人, 1.4%
従業員数(n=631)
500~999人, 0.5%
1000人以上, 0.5%
100~299人, 5.4%
50~99人, 8.2%
30~49人, 12.4%
5~29人, 71.6%
(2)在宅ワーク等の認知度
全企業のうち、
『在宅ワーカーの活用について知っている』割合は 28.8%、
『いずれも知らない』割合は 66.9%であった(図表 2)。
図表 2
在宅ワーク等の認知度(n=631)
0%
10%
在宅ワーカーの活用について知っている
在宅ワーカーの活用に当たっての仲介機関の存在を
知っている
クラウドソーシングを知っている
いずれも知らない
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
28.8
2.7
8.1
66.9
また、「発注経験のある未発注企業」と「未発注企業」では、『ガイ
ドラインがあること自体を知らない』割合が 90.4%、
『ガイドラインが
あることを知っているが内容を知らない』割合が 7.8%であった(図表
3)。
19
図表 3
ガイドラインの認知度
<発注経験のある未発注企業、未発注企業>(n=602)
ガイドラインがあること
を知っており、内容も
知っている, 1.8%
ガイドラインがあること
を知っているが内容を
知らない, 7.8%
ガイドラインがあること
自体を知らない, 90.4%
「発注企業」でも『ガイドラインがあること自体を知らない』割合が
82.8%であり、ガイドラインを知っている場合でも、
『ガイドラインを
あることを知っているが、どこで入手したらよいか分からない』割合
が 6.9%であった。(図表 4)
図表 4
ガイドラインの認知度<発注企業>(n=29)
ガイドラインの内容に
ついて知っており、契
約及び仕事の進め方
は「ガイドライン」を参
考としているが、完全
に「ガイドライン」の内
容に沿っているわけで
はない, 3.4%
ガイドラインの内容に
ついて知っており、契
約及び仕事の進め方
は「ガイドライン」の内
容に沿っている, 3.4%
ガイドラインの内容に
ついて知っているが、
契約及び仕事の進め
方は「ガイドライン」に
沿っていない, 3.4%
ガイドラインがあること
を知っているが、どこで
入手したらよいかわか
らない, 6.9%
ガイドラインがあること
自体を知らない, 82.8%
(3)発注しない理由
「発注経験のある未発注企業」が、在宅ワーカーに仕事を発注しない理
由は、『現在は、発注に適した仕事がない。発注していた業務自体を取り
やめたため』の割合が 56.3%、『発注業務について、自社で対応できるよ
うになったため』の割合が 43.8%、『在宅ワーカーとの間でトラブルがあ
ったため』の割合は 0.0%であった。(図表 5)
20
図表 5
在宅ワーカーに仕事を発注していない理由
<未発注企業(発注経験有り)>(n=16)
0%
過去に発注した際に、在宅ワーカーとの間でトラブルが
あったため
10%
20%
30%
40%
50%
0.0
過去に発注した際に、満足のゆく仕事ぶりではなかった、
期待した成果があがらなかったため
6.3
現在は、発注に適した仕事がない。発注していた業務自
体を取りやめたため
56.3
業務の難易度が上がり、在宅ワーカーでは対応できなく
なったため
12.5
発注業務について、自社で対応できるようになったため
情報保護の取扱いを厳格化したため
43.8
0.0
その他
18.8
また、
「未発注企業」が、在宅ワーカーに仕事を発注しない理由は、
『発
注するのに適した仕事がないから』の割合が 62.1%、『そもそも在宅ワー
クの存在を知らないから』の割合が 42.8%、『社内の人員で対応可能であ
るから』の割合が 40.4%であった(図表 6)。
図表 6
在宅ワーカーに仕事を発注しない理由<未発注企業>(n=586)
0%
20%
そもそも在宅ワークの存在を知らないから
個人の在宅ワーカーへの発注について、社内で理解・合
意が得られないから
在宅ワーカーの活用について、自社の担当者が詳しくない
から
40%
60%
4.6
8.2
62.1
仕事の質が十分に保たれないから
6.7
4.8
発注先となる在宅ワーカーを見つける方法が分からない
から
発注するのに必要な予算を確保できないから
7.3
2.9
管理に手間や費用がかかるから
通信・体制整備に費用がかかりすぎるから
8.9
1.7
機密保持が難しいから
17.7
社内の人員で対応可能であるから
40.4
既存の外注先で対応可能であるから
13.3
発注するメリットがわからないから
12.5
その他
80%
42.8
発注するのに適した仕事がないから
発注先として適当な在宅ワーカーが周囲にいないから
2.0
21
60%
(4)今後の発注の可能性、発注のための条件等
「発注経験のある未発注企業」(16 社)のうち、在宅ワーカーに仕事を
発注する『可能性がある』割合は 93.8%(15 社)であった(図表7)。
一方、「未発注企業」(586 社)のうち、在宅ワーカーに仕事を発注する
『可能性がある』割合は 11.3%(66 社)であった(図表8)。
図表7
在宅ワーカーに仕事を発注する可能性
<未発注企業(発注経験あり)>(n=16)
6.3%
93.8%
可能性がある
図表8
可能性がない
在宅ワーカーに仕事を発注する可能性<未発注企業>(n=586)
11.3%
88.7%
可能性がある
可能性がない
また、発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」
(15 社)のうち、在宅ワーカーに仕事を発注するための条件は、『発注す
るのに適した仕事があれば発注する』の割合が 80.0%、『発注先として適
当な在宅ワーカー(元社員、現社員の知人等)に直接依頼できれば発注す
22
る』が 53.3%、
『仕事の質が十分に維持できるようであれば発注する』、
『発
注するのに必要な予算が確保できれば発注する』が 46.7%であった(図表
9)。
一方、発注の『可能性がある』と回答した「未発注企業」
(66 社)では、
『発注するのに適した仕事があれば発注する』の割合が 81.8%、『仕事の
質が十分に維持できるようであれば発注する』の割合が 59.1%、『機密保
持の問題が解決できれば発注する』の割合が 57.6%であった(図表 10)。
(図表9)在宅ワーカーに仕事を発注するための条件
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
20%
40%
60%
発注するのに適した仕事があれば発注する
80.0
仕事の質が十分に維持できるようであれば発注する
46.7
発注先として適当な在宅ワーカー(元社員、現社員の知人
等)に直接依頼できれば発注する
53.3
発注先として適当な在宅ワーカーを、仲介機関を通じて見
つけることができれば発注する
33.3
発注先として適当な在宅ワーカーを、クラウドソーシングを
通じて見つけることができれば発注する
13.3
発注に当たっての留意事項や発注方法に関する情報(仲
介機関やクラウドソーシング事業者)が分かれば発注する
0.0
他社の発注の状況が分かれば発注する
0.0
個人の在宅ワーカーへの発注について、社内で理解・合意
が得られるのであれば発注する
13.3
発注するのに必要な予算が確保できれば発注する
46.7
管理にかかる手間やコストの問題が解決できれば発注す
る
6.7
通信・体制整備に費用がかかりすぎなければ発注する
13.3
機密保持の問題が解決できれば発注する
その他
23
80%
20.0
0.0
100%
(図表 10)在宅ワーカーに仕事を発注するための条件
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
20%
40%
60%
80%
発注するのに適した仕事があれば発注する
81.8
仕事の質が十分に維持できるようであれば発注する
59.1
発注先として適当な在宅ワーカー(元社員、現社員の知人
等)に直接依頼できれば発注する
37.9
発注先として適当な在宅ワーカーを、仲介機関を通じて見
つけることができれば発注する
19.7
発注先として適当な在宅ワーカーを、クラウドソーシングを
通じて見つけることができれば発注する
13.6
発注に当たっての留意事項や発注方法に関する情報(仲
介機関やクラウドソーシング事業者)が分かれば発注する
13.6
他社の発注の状況が分かれば発注する
6.1
個人の在宅ワーカーへの発注について、社内で理解・合意
が得られるのであれば発注する
18.2
発注するのに必要な予算が確保できれば発注する
16.7
管理にかかる手間やコストの問題が解決できれば発注す
る
39.4
通信・体制整備に費用がかかりすぎなければ発注する
19.7
機密保持の問題が解決できれば発注する
その他
100%
57.6
6.1
在宅ワーカーに仕事を発注する可能性がある企業(81 社)が希望する発
注の形態は、
『在宅ワーカーに直接発注』の割合が 82.7%、
『仲介機関を通
じて発注』の割合が 43.2%、『クラウドソーシングを通じて発注』の割合
が 28.4%であった(図表 11)。
(図表 11) 希望する発注の形態(n=81)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
在宅ワーカーに直接発注
70%
80%
90%
82.7
仲介機関を通じて発注
43.2
クラウドソーシングを通じて発注
その他
60%
28.4
1.2
24
(5)在宅ワーカーの活用に期待するメリット
発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」(15
社)が在宅ワーカーを活用する上で期待するメリットは、『専門的業務へ
の対応』が 46.7%、『繁忙期への対応』が 40.0%、『人件費の削減』、『オ
フィスコストの削減』が 20.0%であった(図表 12)。
一方、発注の『可能性がある』と回答した「未発注企業」(66 社)が在
宅ワーカーを活用する上で期待するメリットは、
『人件費の削減』が 47.0%、
『専門的業務への対応』、『繁忙期への対応』が 37.9%、『一般的業務への
対応』が 18.2%であった(図表 13)。
(図表 12)在宅ワーカーを活用する上で期待するメリット
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
5%
10%
15%
20%
人件費の削減
20.0
オフィスコストの削減
20.0
在宅ワーカーを労働力として確保
25%
30%
35%
40%
45%
6.7
退職者の能力・経験の活用
13.3
専門的業務への対応
46.7
繁忙期への対応
40.0
一時的な業務への対応
その他
50%
20.0
0.0
(図表 13)在宅ワーカーを活用する上で期待するメリット
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
人件費の削減
50%
47.0
オフィスコストの削減
10.6
在宅ワーカーを労働力として確保
13.6
退職者の能力・経験の活用
15.2
専門的業務への対応
37.9
繁忙期への対応
37.9
一時的な業務への対応
その他
45%
18.2
3.0
25
(6)在宅ワーカーの選考、仲介機関への依頼において重視すること
発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」
(15
社)が在宅ワーカーの選考において重視する点は、『能力・熟練度』が
86.7%、
『当該職種の経験・実績』が 80.0%、
『責任感・信頼性』が 73.3%、
『費用・報酬額』が 46.7%であった(図表 14)。
一方、発注の『可能性がある』と回答した「未発注企業」(66 社)が
在宅ワーカーの選考において重視する点は、
『責任感・信頼性』が 74.2%、
『能力・熟練度』が 69.7%、
『当該職種の経験・実績』
、
『費用・報酬額』
が 62.1%、『仕事への意欲・積極性』が 39.4%であった(図表 15)
。
(図表 14)在宅ワーカーの選考において重視する点
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
20%
40%
60%
80%
当該職種の経験・実績
80.0
能力・熟練度
86.7
資格等の客観的な能力指標
13.3
責任感・信頼性
73.3
自己管理能力
13.3
ビジネスマナー
20.0
仕事への意欲・積極性
20.0
対応可能な業務量
33.3
プレゼンなどの提案内容
機器・設備
6.7
0.0
費用・報酬額
46.7
納期
その他
100%
26.7
0.0
26
(図表 15)在宅ワーカーの選考において重視する点
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
当該職種の経験・実績
70%
62.1
能力・熟練度
69.7
資格等の客観的な能力指標
15.2
責任感・信頼性
74.2
自己管理能力
24.2
ビジネスマナー
24.2
仕事への意欲・積極性
39.4
対応可能な業務量
21.2
プレゼンなどの提案内容
16.7
機器・設備
6.1
費用・報酬額
62.1
納期
その他
80%
39.4
1.5
仲介機関に依頼する場合に重視することは、発注の『可能性がある』
と回答した「発注経験のある未発注企業」
(15 社)及び「未発注企業」
(66
社)のいずれも、
「手数料」、
「仲介機関の迅速で丁寧な対応」
、
「登録ワー
カーのプロフィール(スキル・実績等)の情報開示レベル」が上位であ
った(図表 16、図表 17)
(図表 16)仲介機関に依頼する場合に重視する点
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
仲介機関の迅速で丁寧な対応
33.3
登録ワーカーのプロフィール(スキル・実績等)の情報開
示レベル
66.7
過去の受注企業の事例・数
33.3
手数料
27
90%
73.3
登録ワーカーの数
その他
80%
80.0
0.0
(図表 17)仲介機関に依頼する場合に重視する点
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
仲介機関の迅速で丁寧な対応
70%
80%
63.6
登録ワーカーの数
19.7
登録ワーカーのプロフィール(スキル・実績等)の情報開示
レベル
60.6
過去の受注企業の事例・数
30.3
手数料
72.7
その他
6.1
(7)在宅ワークの活用に当たって必要な情報
発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」(15
社)が在宅ワークの活用に当たって必要な情報は、『各発注業務の一般的
な価格』が 93.3%、
『他社の在宅ワーカーの活用の状況・事例』が 40.0%、
『契約書や発注書などの必要な書類の雛形』が 20.0%であった(図表 18)。
一方、発注の『可能性がある』と回答した「未発注企業」(66 社)が在
宅ワークの活用に当たって必要な情報は、『各発注業務の一般的な価格』
が 78.8%、『他社の在宅ワーカーの活用の状況・事例』が 27.3%、『トラ
ブル発生時の解決策』が 25.8%であった(図表 19)。
(図表 18)在宅ワークの活用に当たって必要な情報
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
各発注業務の一般的な価格
60%
70%
80%
90% 100%
93.3
契約書や発注書などの必要な書類の雛型
20.0
受発注の手続き等に関するマニュアル
6.7
他社の在宅ワーカーの活用の状況・事例
40.0
トラブル発生時の解決策
13.3
仲介機関に関する情報
0.0
クラウドソーシングに関する情報
0.0
その他
0.0
28
(図表 19)在宅ワークの活用に当たって必要な情報
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
10%
20%
30%
各発注業務の一般的な価格
50%
60%
70%
80%
90%
78.8
契約書や発注書などの必要な書類の雛型
16.7
受発注の手続き等に関するマニュアル
12.1
他社の在宅ワーカーの活用の状況・事例
27.3
トラブル発生時の解決策
25.8
仲介機関に関する情報
16.7
クラウドソーシングに関する情報
その他
40%
12.1
3.0
(8)在宅ワーカーに発注可能性のある仕事、予算額等
発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」(15
社)が在宅ワーカーに発注する可能性のある仕事は、『Webサイト作成』、
『Webデザイン、グラフィック』が 60.0%、
『Webコンテンツ制作』が
33.3%であった(図表 20)。
一方、発注の『可能性がある』と回答した「未発注企業」(66 社)が在
宅ワーカーに発注する可能性のある仕事は、
『Webサイト作成』が 47.0%、
『データ入力』が 40.9%、
『Webデザイン、グラフィック』、
『設計、製図
(CAD)など』が 34.8%であった(図表 21)。
29
(図表 20)在宅ワーカーに発注する可能性のある仕事
<発注経験のある未発注企業>(複数回答、n=15)
0%
20%
40%
Webサイト作成
情報検索、計算処理
60.0
0.0
Webサイト上の情報更新等の業務
20.0
ネットショップのシステム運営・管理(ネットショップ運…
20.0
システム設計・開発、プログラミング
26.7
ソフトウェアのバグチェック
0.0
オンライン上で行うパソコンインストラクター
0.0
電話によるオペレーター業務(※1)
0.0
インターネット上でのオペレーター業務(※1)
6.7
文書入力
13.3
データ入力
20.0
テープ起こし
取引文書作成
6.7
0.0
伝票整理
添削・採点
6.7
0.0
メールマガジン・広告メールの作成
20.0
Webデザイン、グラフィック
60.0
DTP(編集)(※2)
13.3
音楽制作・編集
6.7
映像制作・編集、フォトグラフィング
20.0
アニメ制作、イラスト制作
13.3
Webコンテンツ制作
33.3
ライター
13.3
設計、製図(CADなど)
20.0
翻訳
20.0
調査、マーケティング
コンサルティング
30
60%
6.7
0.0
80%
(図表 21)在宅ワーカーに発注する可能性のある仕事
<未発注企業>(複数回答、n=66)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
Webサイト作成
47.0
情報検索、計算処理
10.6
Webサイト上の情報更新等の業務
33.3
ネットショップのシステム運営・管理(ネットショップ運…
18.2
システム設計・開発、プログラミング
21.2
ソフトウェアのバグチェック
9.1
オンライン上で行うパソコンインストラクター
4.5
電話によるオペレーター業務(※1)
7.6
インターネット上でのオペレーター業務(※1)
4.5
文書入力
27.3
データ入力
40.9
テープ起こし
7.6
取引文書作成
13.6
伝票整理
19.7
添削・採点
4.5
メールマガジン・広告メールの作成
24.2
Webデザイン、グラフィック
34.8
DTP(編集)(※2)
音楽制作・編集
10.6
1.5
映像制作・編集、フォトグラフィング
アニメ制作、イラスト制作
7.6
4.5
Webコンテンツ制作
ライター
15.2
4.5
設計、製図(CADなど)
34.8
翻訳
6.1
調査、マーケティング
21.2
コンサルティング
9.1
また、発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」
(15 社)及び「未発注企業」
(66 社)が発注する場合の業務内容の予算規模
(月額)は、
『3 万円以上 5 万円未満』
、
『10 万円以上 20 万円未満』、
『5 万円
以上 10 万円未満』の割合が上位を占めている。一方、
『20 万円以上 30 万円
未満』、
『30 万円以上 50 万円未満』、
『1 万円未満』の割合は、
「発注経験のあ
る未発注企業」では無回答であるが、
「未発注企業」では合計 15.1%の割合
を占めている(図表 22、図表 23)。
31
(図表 22)業務内容の予算規模<発注経験のある未発注企業>(n=15)
1万円以上~3万円未
満/月, 20.0%
10万円以上~20万円
未満/月, 26.7%
3万円以上~5万円未
満/月, 33.3%
5万円以上~10万円未
満/月, 20.0%
(図表 23)業務内容の予算規模<未発注企業>(n=66)
30万円以上~50万円
未満/月, 4.5%
1万円未満/月, 1.5%
1万円以上~3万円未
満/月, 16.7%
20万円以上~30万円
未満/月, 9.1%
10万円以上~20万円
未満/月, 22.7%
3万円以上~5万円未
満/月, 24.2%
5万円以上~10万円未
満/月, 21.2%
(9)企業の業績と在宅ワークの関係
発注可能性のある「未発注企業」
(66 社)及び「発注経験のある未発注企
業」
(15 社)の方が、発注可能性のない「未発注企業」
(520 社)及び「発注
経験のない未発注企業」(1 社)よりも業績が良い割合が多い(図表 24、図
表 25)。
32
(図表 24)今後発注する可能性のある企業の業績
(<未発注企業>及び<発注経験のある未発注企業>)
(n=81)
悪い
32.1%
良い
67.9%
(図表 25)今後発注する可能性のない企業の業績
(<未発注企業>及び<発注経験のある未発注企業>)
(n=521)
悪い
45.7%
良い
54.3%
また、発注の『可能性がある』と回答した「発注経験のある未発注企業」
(15 社)及び「未発注企業」
(66 社)をみると、業績の良い企業も業績の悪
い企業も、
「Web サイト作成」
、
「Web デザイングラフィック」
、
「Web サイト上
の情報更新等の業務」の割合が同程度で比較的高い。一方、「データ入力」、
「メールマガジン・広告メールの作成」といった比較的単純な仕事は、業績
の悪い企業の方が割合が高く、
「システム設計・開発、プログラミング」
、
「設
計・製図(CAD など)」といった専門的スキルが必要な仕事は、業績の良い
企業の方が割合が高かった(図表 26)
33
(図表 25)在宅ワーカーに発注する可能性のある仕事
(<未発注企業>及び<発注経験のある未発注企業>)
(n=81)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
49.1
50.0
Webサイト作成
7.3
情報検索、計算処理
11.5
30.9
30.8
Webサイト上の情報更新等の業務
ネットショップのシステム運営・管理…
20.0
15.4
システム設計・開発、プログラミング
15.4
25.5
7.3
7.7
ソフトウェアのバグチェック
5.5
オンライン上で行うパソコンインストラ…
5.5
7.7
電話によるオペレーター業務(※1)
5.5
3.8
インターネット上でのオペレーター業務…
23.6
26.9
文書入力
29.1
データ入力
10.9
11.5
取引文書作成
14.5
伝票整理
23.1
3.6
3.8
16.4
メールマガジン・広告メールの作成
38.5
40.0
38.5
Webデザイン、グラフィック
9.1
DTP(編集)(※2)
音楽制作・編集
53.8
7.3
7.7
テープ起こし
添削・採点
60%
15.4
3.6
10.9
7.7
映像制作・編集、フォトグラフィング
アニメ制作、イラスト制作
7.3
3.8
Webコンテンツ制作
11.5
9.1
ライター
設計、製図(CADなど)
翻訳
23.1
3.8
10.9
20.0
15.4
調査、マーケティング
コンサルティング
21.8
3.8
良い(n=55)
9.1
悪い(n=26)
34
36.4
(参考1)
今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会開催要綱
情報通信技術及び機器の急速な発達に伴い、パソコン等を使って在宅形態で自
営的に働く在宅就業者が増加し、その就業実態も多様化する中、働き方の一つ
の選択肢としての在宅就業の位置づけが高まっている一方で、契約を巡るトラ
ブルや仕事を確保する上での不安定さ等が依然として見られ、在宅就業者の地
位の向上や在宅就業環境の整備は、引き続き重要な課題となっている。
また、在宅就業者と働き方が類似している家内労働者については、家内労働
法により法的保護が整備されているものの、昭和 45 年の同法制定以来抜本的な
改正は行われていない。家内労働を取り巻く環境の変化や、家内労働者数が継
続的な減少傾向にある中、家内労働者の実態を踏まえた施策の在り方等を検討
すべき時期に来ていると考えられる。また、昨年 4 月に、請負形態で働く者の
労働組合法上の労働者性について最高裁が判断を示したこと等、在宅就業者を
取り巻く環境にも変化が生じている。
これらを踏まえ、在宅就業について、家内労働をはじめとする関連制度・施
策等を踏まえつつ、法的措置を講ずることも念頭に、今後の在宅就業施策の在
り方に係る幅広い論点について、有識者による検討を行うこととする。
<座長>
鎌田
耕一
東洋大学法学部教授
<委員>
芦野
訓和
東洋大学法学部教授
有田
謙司
西南学院大学法学部教授
奥田
香子
近畿大学法科大学院教授
富永
晃一
上智大学法学部准教授
西岡
由美
立正大学経営学部准教授
水町
勇一郎
東京大学社会科学研究所教授
<専門委員>
村上
義昭
日本政策金融公庫総合研究所主席研究員
(50 音順、敬称略)
35