くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 7 月 31 日(金) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email 勘定科目や償却期間に注意! 上下水道の負担金の会計処理 水道関係の支出金は会計処理や償却に注意 建物を建築し、給水設備工事や排水設備 工事を行う場合には、 「建物附属設備(給排 水設備)」として資産計上し、15 年で償却 することになります。 これらの工事の際には、上水道について は、水道事業者に対し「水道利用加入金」 を、下水道については、市町村に対し「受 益者負担金」を支払うことがあります。 似たようなものに見える支出ではありま すが、これらは、会計処理や償却期間が異 なるため、キチンと区別したいところです。 [email protected] (=公共施設)について、法人・個人事業者 自身が受けるメリットを反映するため費用 配分を行うものであるからです(土地の地 積に負担金単価を乗じて計算されます)。 公共施設負担金の償却年数は、その施設 の耐用年数の 7/10 とされていますが、現実 に、その設備ごとに償却期間を定めると煩 雑になることから、このような受益者負担 金については、通達により一律に6年(公 共下水道を使用する排水設備を新設・拡張 するための負担金は 15 年)とされています。 分割納付の受益者負担金には要注意! なお、受益者負担金は分割納付を認める 市町村が多く見られますが、繰延資産は原 則として3年超の場合には、総額が確定し ていても、その総額を未払計上して償却す 上水道は無形固定資産、下水道は繰延資産 ることを認めていません。 上水道の加入金については、 「無形固定資 ただし、長期分割払いについては、①分 産」の「水道施設利用権」あるいは「工業 割払いの期間が繰延資産の償却期間以上で、 用水施設利用権」として 15 年で償却します。 ②分割支払額が概ね均等額であり、③徴収 この「水道施設利用権」とは、 「水道事業 が工事着工後に開始される場合には、その 者に対して水道施設を設けるために要する 支出日の属する事業年度において損金に算 費用を負担し、その施設を利用して水の供 入することができるものとされています。 給を受ける権利」とされています。他人(水 なお、水道加入負担金に 道事業者)の所有する水道施設を利用する は消費税が課されます ことを目的とする「権利」であり、その金 が、受益者負担金には消 額は、メーターの口径で決められます。 費税は課されません! 一方、下水道の「受益者負担金」は「税 務上の繰延資産」となります。 これは、市町村が所有・管理する下水道 補足と解説 法人税法施行令 13 条(減価償却資産の範囲) 法人税基本通達 8-3-4 法第二条第二十三号 (減価償却資産の意義)に規定す る政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産 以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していな いもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを 除く。 )とする。 (長期分割払の負担金の損金算入) 法人が公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係 る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合にお いて、当該負担金が次のいずれにも該当するものであると きは、その負担金として支出した金額は、その支出をした (中略) 水道施設利用権(水道法 (昭和三十二年法律第百七 日の属する事業年度の損金の額に算入することができる 十七号)第三条第五項 (定義)に規定する水道事業者に ものとする。 (昭 53 年直法 2-24「二」により追加、昭 55 対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その 年直法 2-8「三十」により改正) 施設を利用して水の供給を受ける権利をいう。 ) (1) その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償 ソ 却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収 レ 工業用水道施設利用権(工業用水道事業法 (昭和三 十三年法律第八十四号)第二条第五項 (定義)に規定す る工業用水道事業者に対して工業用水道施設を設けるた めに要する費用を負担し、その施設を利用して工業用水の されるものであること。 (2) その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等 額であること。 供給を受ける権利をいう。 ) (3) その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の 工事の着工後に開始されること 法人税基本通達 8-2-5 (公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例) 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業 として公共下水道を設置する場合において、その設置によ り著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の 法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、8 -2-3 にかかわらずその償却期間を 6 年とする。 (昭 50 消費税法基本通達 11-2-8(公共的施設の負担金等) 国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業 者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のため、国若 しくは地方公共団体又は同業者団体等がこれらの施設の 利用者又は受益者から受ける負担金、賦課金等で、当該国 年直法 2-21「23」により追加) (注) 法人が下水道法第 19 条の規定により負担する負担 若しくは地方公共団体又は同業者団体等において、資産の 金の取扱いは、7-1-8《公共下水道施設の使用のための 譲渡等の対価に該当しないこととしているものについて 負担金》によることに留意する。 は、当該負担金、賦課金等を支払う事業者においても、課 税仕入れに係る支払対価に該当しないのであるから留意 法人税基本通達 8-3-3(分割払の繰延資産) する。 法人が令第 14 条第 1 項第 6 号《公共的施設の負担金等の 繰延資産》に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割し て支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定 しているときであっても、その総額を未払金に計上して償 却することはできないものとする。ただし、その分割して 支払う期間が短期間(おおむね 3 年以内)である場合には、 この限りでない。 (昭 51 年直法 2-39「4」 、昭 55 年直法 2 -8「三十」 、平 19 年課法 2-3「二十」 、平 19 年 -17「十八」により改正) 課法 2 (注) 負担金等が例えば専用側線利用権、電気ガス供給施 設利用権、水道施設利用権、電気通信施設利用権等の権利 の設定等に係る対価と認められる等の場合には、当該負担 金等は、それを支払う事業者において課税仕入れに係る支 払対価に該当する。
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