開かれた病理へSherlock Holmes like oral health care

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口腔外科病理診断学−開かれた病理へSherlock Holmes
like oral health care の実践−
田中, 陽一
歯科学報, 114(5): 497-497
http://hdl.handle.net/10130/3458
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
歯科学報
Vol.114,No.5(2014)
497
特 別 講 演 3
口腔外科病理診断学
−開かれた病理へ
Sherlock Holmes like oral health care の実践−
東京歯科大学市川総合病院臨床検査科病理室教授
田中
陽一
病理診断は全人的な解剖病理学から発展してきたが,その規範は今も変わらない。患者さんの治療におけ
る,最後の診断を行うのも病理医である。しかし,現代医学の現場では治療の水先案内とも言われる,外科病
理診断が注目される。また一般医科では,大学病院や市中の病院において,病理診断科が標榜されるように
なった。歯科・口腔領域においても臨床からの信頼やその重要性は同様であるが,標榜科への道はさまざまな
理由から,現時点では遠いと言わざるを得ない。演者は,市川総合病院での日常の診断を通して,口腔病理医
の立場から,research mind をもった開かれた病理を目指し,多方面での施行を重ねてきた。教育では卒前,
卒後研修においても“外科病理”を理解し実践してもらうために,いろいろな工夫を重ねてきた。学生の病理
実習も過渡期を迎え,そのあり方が問われている。臨床では市川市をはじめとした,細胞診を取り入れた早期
口腔がん発見への取り組みもその一つである。市川システムはいまだ発展途上ではあるが,今,各地での口腔
がん検査の一つの注目すべきモデルとなっている。咽頭を含めた口腔癌の死亡者数は,2012年の資料では7,
000
人を超えてしまった。QOL の面からも,早期がん対策は歯科医療従事者の重要な責務である。今は,従来の
歯科医療を見直す時期なのかもしれない。また診断サイドでは,志願者の少ない,口腔病理専門医や細胞診専
門医,専門歯科医育成にも協力してきた。プロフェッショナルの育成には時間がかかるが,確実な成果を上げ
る。他の病理医,口腔病理医や臨床科との密な連携も不可欠である。幸いなことに市川総合病院では,臨床科
の協力もあり実践できたと考えている。口腔外科病理診断の社会的認知度を高めることが,遠回りではあるが
確実に患者さんのためになると信じ,社会的運動も継続している。研究では,歴史的変遷の顕著な,早期癌や
前癌病変の病理組織診断基準,細胞診断基準作成のための基礎データ作りに取り組んできた。診断基準作成で
は一応の結論を見たが,今後は臨床への応用を含め,その精度を検証する必要がある。特に細胞診は子宮頸癌
を規範として発展してきており,口腔癌の発育過程とは大きく異なる。新システムの導入も,婦人科の協力が
あり,早くから実現した。今回,来るべき新しい stage への思いと期待を込めて,市川総合病院での20年を中
心にまとめてみた。その概要をお話させていただく。
≪プロフィール≫
1987年
1994年
1998年
2006年
慶應義塾大学中央臨床検査部病理助手
慶應義塾大学医学部専任講師
東京歯科大学市川総合病院臨床検査科助教授
東京歯科大学市川総合病院臨床検査科教授・病
理検査室長
現在に至る
<資格等>
歯科医師,歯学博士
死体解剖医(病理)
日本病理学会認定口腔病理専門医・研修指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医
NPO 法人口腔がん早期発見システム全国ネットワーク
監事
<略 歴>
1974年 東京歯科大学卒業
1974年 東京歯科大学病理学教室第二講座助手
1977年 イタリア政府奨学金留学生として留学
1979年 東京歯科大学病理学教室第二講座講師
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