3 実数の連続性(1)

3
実数の連続性(1)
連続性の公理/上限・下限
基本事項
1 最大・最小
A ⊂ R は空でないとし, α ∈ R とする。
{
(i) α ∈ A
def
(1) α が A の最大 ⇐⇒
(ii) ∀x ∈ A [x <
= α]
{
def
(2) α が A の最小 ⇐⇒
(i)
(ii)
α∈A
∀x ∈ A [x >
= α]
2 上界・下界
A ⊂ R は空でないとし, M ∈ R とする。
def
(1) M ∈ R が A の上界 ⇐⇒ ∀a ∈ A [a <
= M]
def
(2) M ∈ R が A の下界 ⇐⇒ ∀a ∈ A [a >
= M]
(3) A が上界を持つとき A は上に有界であるといい,A が下界を持つとき A は下に有界であるという.
また,A が上にも下にも有界であるとき A は有界であるという.
3 上限・下限
(1) A ⊂ R は上に有界かつ空ではないとき,上界全体の最小の元を上限といい
supA と書く。
(2) A ⊂ R は下に有界かつ空ではないとき,下界全体の最大の元を下限といい inf A と書く。
(A が上に有界でない場合は sup A = ∞ とし,下に有界でない場合,inf A = −∞ とする。)
4 連続性の公理
空でなく上に有界な R の部分集合は上限を持つ
5 区間を表す記号
(a, b) = {x ∈ R | a < x < b}
(a, b] = {x ∈ R | a < x <
= b}
(−∞, a) = {x ∈ R | x < a}
(b, ∞) = {x ∈ R | b < x}
(開区間)
(半開区間)
(開区間)
(開区間)
[a, b] = {x ∈ R | a <
=x<
= b}
[a, b) = {x ∈ R | a <
= x < b}
(−∞, a] = {x ∈ R | x <
= a}
<
[b, ∞) = {x ∈ R | b = x}
(閉区間)
(半開区間)
(半開区間)
(半開区間)
【3−1】 A = (−1, 2] とする.
(1)
A の最大数 max A と最小数 min A を求めよ。ただし,存在しない場合は存在しないことを示せ。
(2)
A が上に有界ならば,その上界全体の集合を求めよ。
(3)
A が下に有界ならば,その下界全体の集合を求めよ。
(4)
A の上限 sup A と下限 inf A を求めよ.
【3−2】 次のことを示せ。
(1) a, b を正の数とするとき,ある自然数 n に対して na > b が成り立つ。(アルキメデスの原理)
(2) 任意の ε > 0 に対して,ある自然数 n で
1
< ε を満たすものが存在する。
n
【3−3】 次の各集合の上限,下限,最大数,最小数を求めよ.
(1) A = [−1, 1]
(3) C = [−2, 5) ∪ {100}
{
}
(5) E = n + 1 ; n ∈ N
n
√
√
(7) G = {x ∈ Q | − 2 <
=x<
= 2}
(2) B = {1, 3, 5, 11}
(4) D = {x ∈ R ; |x − 2| < 1}
}
{
(6) F = 1 − 1 n ∈ N
n
【3−4】 以下の問いに答えよ。
(1) A ⊂ R とする。与えられた実数 x が A の上界でないことを,否定記号(¬)を使わずに,論理式で表せ。
(2) 任意の a ∈ (0, 1) は (0, 1) の上界でないことを示せ。
【3−5】 A ⊂ R は,空でなく上に有界とする.任意の ε > 0 に対し,supA − ε < a となる a ∈ A が
存在することを示せ。