自動詞の受動形

自動詞からの受動
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1. Dem Vater wird von dem Sohn gedankt.
父親は息子から感謝される。
今月号ではあらたにに受動表現を学びました。ポイントは,
(イ)過去分詞プラス werden の形式を用いる
(ロ)能動文の4格目的語が受動文の主語(1格)になる
の2点です。その際に取り上げられた動詞は,当然のことながら,4格目的語をとる動詞
(=他動詞)のみでしたが,4格目的語をとらない動詞(こららをひっくるめて「自動
詞」と呼びますが)はどうなのかという疑問が出てくるものと思います。これに答えるの
が私の話のポイントなのですが,前もって結論を述べるならば,「4格目的語をとらない
動詞(=自動詞)も,人間の行為が感じられる場合には受動形を作ることができる」ので
す。
他動詞のときに学んだ(a)受動の不定形は過去分詞プラス werden,(b)能動文の主語
(=動作主)は必要に応じて von プラス3格で表すという点は自動詞の場合も同一です。
問題は,自動詞から作る受動文における主語をどうするかです。自動詞は4格目的語をも
たない動詞なのですから,受動文の主語にするものがないわけです。これには2つの「解
決方法」があるのですが,それを具体的に説明してみましょう。たとえば次のような3格
目的語をとる自動詞文を見てください。
2. Der Sohn dankt dem Vater.
息子は父親に感謝する。
1つの「解決方法」は,主語のことなど考えず,動詞を受動形にし,定形が第2位である
ことを考えながら,適当な語句(たとえばこの場合は dem Vater)を文頭に置けばよいの
です。そうしてできたのが上にも挙げた例文 1.なのです。
1. Dem Vater wird von dem Sohn gedankt.
注意すべき点は,日本語では「父は」というように主語として考えられる Vater もあくま
で能動文の場合と同一の3格にすることなのです。受動文の主語(1格)になるのは能動
文における4格目的語のみでしたね。
他の「解決方法」は非人称主語 es を用いることです。これを上例1にあてはめると次の
ようになります。
3. Es wird dem Vater von dem Sohn gedankt.
表現内容上,文例1と文例3とでは微妙な差異がありますが,みなさんは意味は本質的に
同じであると考えておいてください。この es はただし文頭にのみ置くことができるのであ
り,文例1のように他の語句が文頭に置かれる場合には,この es は省かなければなりませ
ん。また逆に,自動詞を受動形にした場合,文頭に置けるものがなにもないときには必ず
この es を用いなければなりません(文例5参照)。以上で説明は終えることにし,次に2
つほど実例を挙げますので,しっかり学んでください。
1
4.
Wir hoffen auf gutes Wetter.
私たちは好天を待ち望んでいる。
4.a.
Auf gutes Wetter wird [von uns] gehofft.
好天が待ち望まれている。
4.b.
Es wird auf gutes Wetter [von uns] gehofft. (意味ハ同一)
5.
Man* tanzt.
*能動文の主語 man は主語を明示しないためのものですから,受動文では表現さ
れることがありません。
5.a. [語]Wird getanzt.
5.b.
Es wird getanzt.
ダンスが行われる。
最後になりますが,自動詞の受動文においては非人称主語 es を用いても用いなくとも必ず
定形は3人称単数になります。
2